ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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コンニチハ(恐怖)

最後の投稿日を見て、自分で戦々恐々としていました、辣油です。

ちょっと取っておきたい、取りたい資格があったので、そっちの方に集中したいと思いハーメルンを辞めてました。

取り敢えず資格試験は受かりそうなので投稿を再開したいと思います



#25

 

 

 

 日が登って数時間。

 時刻で言えば早朝7時の時、人通りが少なくまだ閑散としている商店街、その片隅にあるDキューブで三影と対面している。

 

 

 元気盛んな中学生と言えど、休日の早朝。バンやアミと言えど、この時間帯に起きている人間はそう居ない。久々に三影と俺のタイマン、サシの勝負を楽しんでいる。

 

 

 三影が扱うのはアマゾネスに変わり、派手な紅色の機体色と、緑に光るツインアイが特徴的なガーベラテトラ改と様変わりしている。

 

 

「どう、ソレの調子?」

 

「いい とっても いい…!」

 

 

 なんか、凄く気に入ってもらえてるらしい。

 製作者として、また対面で相手する身としては想定以上の性能を出せている事にホッとしている。

 三影だからと言うのもある、ただ人に渡す以上は多少のミスも許されない。MK-Ⅱの製作の経験があったから、その分勝手は解っていたつもりでいた。

 

 

 ただ取り掛かってみると想像以上に難しい。市販品をベースに色々削ったり取り付けたりするのと、一から別のものを作り出すのとでは次元が違った。

 

 

 作ったはいいものの、膝の可動域がおかしかったり、肘の関節が弱かったり、腰回りが柔らかすぎて上を向くとフレームが歪んだりと、修正と試行錯誤の連続。

 

 

 よく友人が整備士とエンジニアは根性と言ってたが、あながち間違ってない。修正できるまで何度でも、何時間でも作業を続けると、最後の最後に割とどうとでもなる事がある。

 故に今、テトラ改は現段階で最高のLBXとしてフィールドに立にっている。

 

 

 試しに、適当に攻撃を仕掛けてみよう。

 

 

「じゃ、今度は俺から」

 

 

 全体的に丸みを浴びたフォルムと、黄色に統一された機体の肩部、腕部、胸部のミサイルポッドから多数の飛翔体が放たれ、煙を撒き散らしながらテトラ改を追尾していく。

 

 

 ミサイル同士が接触して誤爆しないかヒヤヒヤしたが、心配をよそにそれぞれが異なる軌道で同じ目標を追い始める。

 

 

 三影も直ぐに動く。ただ逃げるのではなく、追ってくるミサイルを撃ち落としていく。

 腕部、頭部のバルカンと主兵装のビームマシンガン、時にはサーベルで切り落とすなどかなり破天荒だ。

 また時には、体操選手の様な身のこなしで空中を高らかに飛んでいく。

 

 

 あと、テトラ改は高速移動時、他のLBXと違いスラスターがオバヒしない限りは足を付けずに高速移動を行う事ができる。

 他の機体がバッテリーを消費しながら必死に走って移動する中、こいつだけはホバー機以上のスピードで地上を移動することができる。

 

 

 そう言った機体性能に、プレイヤーが翻弄されない様にCCMとCPUにも手を加えてある。手を加えたのが技研なので、何をやったかは定かではないが、少なくとも入力信号がウンタラカンタラと言っていたのは覚えている。

 

 

 まぁその甲斐あって、こうしてフィールドを跳ねたり駆け巡ったりと、従来のLBXとは比較にならない性能を持っている。

 

 

「悟、これ 凄い…!」

 

 

 三影から語彙力が失われている……

 いや、実際俺も完成した当初はそう思ったよ。

 武装の威力、素の耐久値、移動力等、他企業のLBXと比べても数世代上の性能を有している。

 

 

 ただ惜しむらくは、このすぐ後に、真正面からリニア新幹線を止める化け物(プロトゼノン)とか、ホビーの癖にマッハで空を飛ぶオーパーツ(オーディーン)等が世に放たれ、そいつらの性能と比べたら一歩も二歩も劣っているだろう。

 

 

 いや、まぁ……主人公勢が使うって言ったらそれまでだけど。1人の製作者としては、やっぱりちょっと凹むよね。

 まぁ、だからと言って山野淳一郎に成りたいとも思わないし、憧れも抱かないけど。

 あいつテロリストだし。憧れと言うか、目指したいと思うのは、やっぱり宇宙国宝たる真田さんでしょ。

 

 

「そこ!」

 

 

 なんてこと考えてると、追っ手のミサイルを片付けたテトラ改が目の前に。

 普通だったらシールドで防ぐなりするところだが、最初から火力だけを追求した潔い機体故、シールド等の防御装備を一切積んでいない。

 

 

 ミサイルはクールダウン中、咄嗟に使えるのはビームライフル程度。ただし、この機体の自衛能力を甘く見てもらっては困る。

 距離を詰めて、サーベルを引き抜いて切り掛かってくるなら尚更効果が期待できると言うもの。

 

 

 気取られない様に、持と手持ちのビームライフルで出来る限りの抵抗を行う。何も知らない三影は、それが精一杯と思っているのか、どんどん距離を詰める。

 ついに至近距離、ライフルよりサーベルが有利な距離。少なからず、三影は自分の攻撃が必ず当たると、不可避だと思っている。

 

 

この瞬間を待っていたんだー!(コノシュンカンヲマッテイタンダー!)

 

 

 完全な不意打ち、次々と不規則に広がって進む光線がテトラ改を襲い、さっきまでの勢いを一気に失わせた。

 

 

 火力に振り切っても尚、一定の自衛力を持つ所以はこの腹部拡散ビーム砲がもつストッピングパワーにある。

 散弾同様に、扇状に広がっていくビームが至近距離ではほぼ全ての機体を絡め取り、威力自体も高い為に近距離までなら追撃にも使える、この機体の長所だ。

 

 

 そして近距離での戦闘スタイルは、この腹部拡散ビーム砲(腹ビー)からの格闘が基本コンボになる。

 

 

「貰ったぁ!」

 

「!」

 

 

 ほぼ初見の不意打ちコンボ、自分でテトラ改を最高の性能と言ってあいてなんだが、初見は初見。まず避けられないと確信していた。

 

 

 しかしどうだ。三影は咄嗟にビームサーベルを振り抜き、迫っていたビームサーベルを弾き返してかた。

 さすがうち(サイバーランス)の技研だ。プレイヤーの反応速度を、機体の動作に即座に反映させる。あの改造が最大限活かされている。

 

 

 例えるなら、対戦ゲームで露骨に現れる回線性能の差。CPUやCCM内のECU、その他センサ諸々の性能が、コアパーツやフレームよりバトルに与える影響が高い。

 この手のゲームもやっぱりハードウェアよりソフトウェアが重要らしい。

 

 

 中々に面白い。テトラ改自体、他のLBXより機体が大きい故に余裕もあるから、後々付け足したりも出来そうだ。

 

 

「まだ、まだ試したい事が ある……!」

 

「三影、ステイステイ」

 

 

 三影が興奮を抑えられてない……(2度目)

 普段は物静かで何か喋っても一言二言。口数も少なく、服装のせいで見る人によっては、所謂地雷系に区分される三影だが、今だけは年相応にはしゃいでいる。

 

 

 感情が無いわけじゃない。ただそれでも希薄な方で、あまりそう言った仕草を表に出さない。特に郷田に憧れていないのもあって、尚更見る機会が少なかった。

 

 

 故にギャップの差と言うか、ちょっと可愛い以外に形容し難い。綾波が笑った時、シンジくんも同じことを思ったに違いない。

 こんな天使の笑顔、独り占めして大丈夫なんですか?

 

 

「はーい。じゃあ、今度は三影が動きたい様に動いてみて」

 

「うん!」

 

 

 う〜ん、やっぱり天使。

 

 

 

 

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、悟!」

 

 

 商店街にある定食屋の屋外テラスで遅めの昼飯を食べていたら、通りかかったバンに名前を呼ばれた。

 とは言え、口に含んだまま振り向くのはモラル的にも行儀的にも悪い。それやっていいのは例の海賊王くらいだ。

 

 

 ある程度噛み砕いたらしたら飲み込む。

 

 

「むぐ………バンじゃん。そらに郷田先輩まで、どうした?」

 

「ちょっとレックスの所にな。用が済んで商店街を歩いてたらた、お前らが見えたんだ」

 

 

 郷田の口振りから、今日が超プラズマバーストの伝承日だったらしい。バンも心なしか高揚している様に見える。

 そうなると、バン達は朝からスカーレット隊したシーカー本部や、その煽りを喰らって閉鎖された喫茶店に行ったり、郷田の古巣に行ったりおあっちへこっちへ駆け巡っていたと言うわけだ。

 

 

 こっちは朝からぶっ通しでバトル三昧で、休日を満喫していたけど。

 

 

「はぁ〜成る程。予定がないなら、バン達も一緒に食べてかない? 勿論、郷田先輩も。今なら奢りますよ?」

 

「俺にも体面ってもんがある………のもそうだが、俺がいると話しずらいだろ。気持ちは受け取るさ、お前らだけで食っとけ」

 

 

 そう言って足早に郷田は現場を後にする。

 中学生とは言え、ミソラ町の一角に勢力圏を築く不良共を仕切る番長。それが二つ下の後輩に飯を奢られる時を見られた日には、それをダシに舐めてかかる奴もいるだろう。

 

 

 そうじゃなくても、先輩が後輩に飯代を奢ってもらうと言うのは、余程お互いが親密でもなければ悪い見方をされるのが多い。

 あとは先輩の不良が1人混じっていたら言う気遣いだろうか。

 

 

「あぁ言ってるし、バン達もどう?」

 

 

 

_______________________

 

 

 

 

「て事があってな」

 

「完全に蚊帳の外だった」

 

 

 食事ついでにバン達から話を聞く事で、ここ数週間で何があったかを知る事ができた。

 大体アングラビシダスあたりからほぼ別行動、そしてお家の都合で学校もほぼ休講してたので、話を聞こうにも時間が合わない事の方が多かった。

 

 

 今危惧すべきは、海道義光もそうだが今世紀最大のテロリストが世に放たれた事だ。

 久々のシャバで息子に会いたかったのか、目的があったからとは言え大会にやべーキャラを演じて緊急参戦するくらいだ。

 

 

「まぁ、こっちとしては悟がサイバーランスで働いてたって事の方が驚きだけどね」

 

「……納得。最近学校にも 家にも居ないから 心配だった」

 

「だよなぁ、どうりで最近学校で見かけない訳だぜ」

 

「働いてると言うか……アレだよ、教育実習生と同じ。まだ研修中」

 

 

 研修中とは言っても、会社の新しいプロジェクトにはズブズブに足を突っ込んで関わってるけどな。

 

 

 研修中の割に、自由に施設使わせてもらったりしてるけどな。何であんなに自由にさせてくれるのか、逆に心配になってくるくらいだ。

 

 

「それより、カズやアミもアルテミスに出るんだって?」

 

「バン1人でって訳にはいかないだろ?」

 

「正直、1人じゃ不安だったんだ。でもカズとアミが来てくれるなら安心して戦える!」

 

 

 まさにユウジョウ。

 まぁ、舞台ステージは否応に万人の視線と気迫を受ける場所。そんな場所に年端も行かない少年が1人放り込まれれば、萎縮して飲まれてしまうかもしれない。

 

 

 ただまぁ、バンに限ってはメンタルの閾値が高めに設定されてるから、余程のことが無ければヘコタレはしないだろう。

 

 

「まぁ、俺にできる事があったら言ってくれ。多少の改造なら引き受けられるし」

 

「マジ⁉︎ じゃあハンター頼んでもいいか⁈!

 

「じゃあ私のクノイチも」

 

「俺のアキレスも頼んでいいか⁉︎」

 

「じゃあ 私も」

 

「おいちょっと待て」

 

 

 まだ具体的にどうするとも言ってないのに、何だこの食いつき様は⁉︎ 水族館の鯉じゃないんだから、もうちょっと節度守りなさいよ。

 

 

 が、言い出したからには腹を括るべきか。取り敢えず営業のマニュアルに書いてあった通りにしなくては……

 あんまり手がかからないのがいいなぁ。

 

 





半年近く前だけど当時の誤字報告、ありがとうございました。



黄色い丸いLBX


かの戦略ゲームではメタスと共に黄色い悪魔と呼ばれた、その名もズサ。
バトオペでは即よろけ武装がないので割と上級者向けの機体。ただし慣れた人間が使うと強襲すらダメージボックスになる。腹ビーから下格が通用するのがいけない。
あと肩ミサイル。

ズサにブースターをつけると、オーディーンと同等の速度で大量のミサイルをばら撒く空飛ぶ化け物が生まれる。
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