見直しては居るもののやっぱり抜けや誤字を全て直せないことが歯痒すぎる
なので毎度のことながら誤字報告助かります
場所はお台場。
今日は世界大会当日。通勤時間やピーク時でもないのに電車は人でごった返し、幹線道路は乗用車で埋め尽くされ、路線バスはもはや缶詰状態。
駐車場も駐輪場もパンパンで、バスはひっきりなしに駅と会場をピストン輸送している。その割にはスタジアム前はかなり平和な空間になっている。
元々の収容人数が多いのと、スタジアム自体が割とデカいので入り口が複数設置されていて、中に商業施設等に人間が分散しているお陰だ。
多くても国内外からの参加選手が見れるデカい停留所くらい。それ以外は人混みも少ないし、歩道も割と空いてるからスイスイ進む。三影が少し遅れるから、人が少ないのは合流時に有難い。
……でもやっぱり、全体的に広くなりすぎて違和感がすごい。どちらかと言えば日本よりシドニーとかニューヨークとか、あの辺の再開発地区を思い出す。
「遂に来ちまったなぁ、アルテミス」
「あぁ。遂にここまで来たんだ!」
子連れの家族や大人が多い中に子供だけと言うのは割と目立つ様で、歩いていると先についていたバン達を見つけた。
「よう。昨日ぶり」
「お、悟か。途中大丈夫だったか?」
「まぁ、なんとか。それよか、調子はどう?」
「初めてって事もあるけど、いつもと変わらないわ。下手に緊張すると強張っちゃうし」
変に緊張してるわけでもない。寧ろ純粋に大会を楽しみにしている様で、試合はまだかまだかと言う感じだ。
贅沢言わないから、そのメンタル全部くれないかなぁ………無理だろうなぁ……
「そう言えば、三影はどうしたんだ?」
「ちょっと遅れて来る。お台場まで来たら連絡するらしいから、途中迎えで抜けるかも」
「気を付けてよね? 何処にイノベーターの刺客が居るか、分からないから」
「居たとしたらスタジアム内だろうけど、気にしては見るよ」
確かに紛れていてもおかしくはない。
政治の中枢に風呂場の黒カビの様に長年へばりついてるだけあって、その辺向こうはかなり気を遣っている。
まぁ、ここまで来る間に何もなかったって事は、もうスタジアム外では何も起こらないのと同じ。
これで交通機関が大規模に遅延したり、バン達が道中襲撃されたとかなら話は別だけど、流石に露骨すぎる手を使って来るほど間抜けじゃないだろう。
「ま、公の場で手を出して来るほど馬鹿じゃな……うぉ⁉︎」
一番外側、車道側に立っていたカズのすぐ後ろを、法定速度以上の速度で走り去っていく。
妙に静かだと思ったら、タイヤがついてなかった。磁力か反重力でも使ってるのか、その割には車体はブレずに安定して加速も良い。まだタイヤが主流の時代故に、見た目の異色さも相まって注目が集まる。
そのまま通り過ぎていくかと思えば、スタジアム前の停留所に止まる。全体的に黒く威圧感のある車が止まった。
「何だアレ?」
「あぁ、アレ神谷重工の車だよ」
「神谷? あそこ誰か居たか?」
「さぁ…誰と言われても、去年もそんな感じだったし……」
周囲は困惑、停留所にいる一同はもっと困惑しているだろう。
言われてみれば、神谷重工はアルテミスへの出場は示していても、誰が出るかは明言していなかった。
神谷自体も新興企業、そしてそんな成長著しい企業が何の宣伝もせずに大会へと送り出す謎のLBXプレイヤー。人目を引く理由には十分過ぎる。
群衆の目が集中する中、車のドアが開くとバン達にとっては最早顔見知りの人間が降りて来る。
「海道ジン⁉︎」
「あいつ、神谷重工の選手なのか?」
こっちを見るなり何を言うわけでもなく、特に視線を気にする事なくそのままスタジアム内に入っていく。
秒殺の名は海外でも有名らしいのか、選手一同の視線には闘争心が溢れている。
怖ぇ……とは思ったけど、トライアミューズメントタワーだと毎日こんな感じだったな。あそこは視線より先に暴言が飛んできて、次いで手と足が飛んでくる無法地帯だ。
そう思うと行動や言動に移さないだけで平和な方だ。実に理性的で良い!(感覚麻痺)
「待って、また誰か降りてきたわよ」
海道ジンが降りてすぐ、別の人物が姿を現す。
セミボブだった髪はポニーテールとして後ろに纏められたが、前髪のメカクレは相変わらず。服装も大人しめの物から私立校みたいなきちんとして黒い制服を身を包んでいる。
何故か俺の個人情報を中抜きしていて一方通視認している謎のサイコスキャニング女。
最早面影が残っているか怪しいラインだが、これでも後々の重要人物、灰原ユウヤ…………じゃなかった。灰原ユウナだ。
とは言え、周りは拍子抜けだろう。海道ジンと共に降りてきた謎のプレイヤーで、前者は単身で挑むことが決定している故、チームを組む事はない。
そして神谷はチームを送り込むと言っていた。となると後者の人間が、神谷重工が推薦しているLBXプレイヤーとなる。
で、向こうは辺りを見渡してこっちを視認するなり、大手を振って来る。やめろよ、関係者だと思われるだろ。
「……なぁ、アイツ悟に手を振ってないか?」
「奇遇だな、俺も悟に視線を向けてる気がする」
「奇遇ね。私もそう思うわ」
ほらもう飛び火してきた。
「なぁカズ。アサシンの時の覚えてるか?」
「あぁ……あぁ⁉︎ おい、まさか……」
「そうそう。アイツ」
カズが見たのは姿だけ。それも身体のラインが見えない服装で、顔も深くフードを被ってたせいで全く視認できていなかった。
バンとアミは言わずもがな。会ってすらいないので存在自体を知るはずがない。
2度目は待っていたかの様に現れた。服装も容姿も当たって普通で、向こうがバラさなかったら一生気付かなかっただろう。
元の生気皆無の根暗みたいな感じだったらまだ良かったが、あの精神状態で行動力もある。バン達には悪いが、大会本番でのジャッジの動きが気になる所。
「って事があってですね」
「海道ジン以外にも、イノベーターにはプレイヤーがいるって事ね」
「だけど、せっかく掴んだチャンスなんだ。絶対に負けない!」
「おう! 悟の分まであん時の借りを返してやるぜ!」
バンは海道邸での、アミはアングラビシダスでの、カズはアサシンの一件での雪辱を晴らさんとばかりと戦意は高い。
不確定要素はあるが、まぁアングラビシダスの時もそんな感じだったし、あとバン達だし何とかなるでしょ(メタ)
じゃあそろそろ受付に、という時に携帯に通知が入る。
宛名は遅れてくると言っていた三影からだ。
「あ、悪い。ちょっと迎え行ってくる」
そう言って足早にバン達の元を後にする。
______________________
「もしもし三影? 今どの辺?」
開会式まで後数十分というのもあって、朝来た時より人が多く流れが早いなって来た。迎えに来て何だけど、下手したら俺が流されて迷子になってしまうかもしれない。
なので、仕方なく電話で位置を確認する事に。
昔は移動でこんな苦労した記憶ないんだけどなぁ……
『直ぐそこ。 改札の 近く』
「オッケー。戻るわ」
場所が判明したので、公式サイトの駅マップと格闘しながらその場所に向かう。
大人の濁流を遡りかき分けて、改札まで戻ってくる。三影は何処かと見渡すが、それっぽい人物は見当たらない。
居ないからと言って、名前を呼ぶ訳にもいかないから、取り敢えず動いて探すかと思った時。改札近くのロビーで携帯片手に手招きしているのが見えた。
『こっち』
「………」
おかしい。三影がある場所に来たはずなのに、三影以外の人が居る……
『悟?』
「あ、はい。今行きます」
あ、三影ですね間違いない。
携帯をしまって足早に近寄る。確かに三影だ。三影なんだが、普段と違ってその様相は異なっていた。
いつもは黒と碧を基調とした全体的に暗い感じの服で、服装が違っても基本同じ色に統一されていた。
それが今日に限って全く別物。普段着ていた縞模様のパーカーが、すみれ色のカーディガンの下にラベンダー色の薄着。
短かった黒のスカートが桔梗色のタイトパンツに、厚底ブーティーも白黒のキャンバススニーカーに様変わりしている。髪も肩くらいまでのツインテールから、一本に纏めて長くなったポニーテールとなって、普段と違った印象を受ける。
同年代らしく幼さとそれとは別に少し地雷っぽさがあったが、幼さがフェードアウトしてどこから取ってきたのか物凄く大人びている。
「……その、あんまり 見られるの 恥ずかしい」
「え、あぁ……ごめん。その、似合ってるよ。凄く」
ごめん三影、ちょっとこれ以外の言葉が浮かんでこないんだ。こんな俺を許して欲しい。
「あ、ありがとう……その、嬉しい とっても」
ヴッ(心停止)
「……と、取り敢えず、合流出来たし、行こうか」
「……ん」
______________________
「あ、悟。これ」
「あぁ、最近CMでよく見る奴だ」
スタジアムについた後、そのままスタンドに………行かず、施設に出張しに来ている企業ブースや売店を巡り歩いている最中です。
違うんです、ちゃんとスタジアムまで来たんです。来たんですけど海外製のLBXとか、普段見ないタイプの造形にお互い目を引かれてしまったんです。
国外に出ることがない身としては、海外産のLBXに間近で見たり触れられる唯一と言っても機会なんです! タイニーオービットが稀に世界コラボとかやるけど頻度が少な過ぎて希少なんです!
北米、南米、欧州、インド、中国、オセアニア、アフリカ、中東とそれぞれその地域の歴史的人物や神話モチーフの特徴的なものが沢山あるんで、どうしても足が止まってしまうんです。
つまり、我々は悪くない(開き直り)
「アタチュルクが許されるなら、近代までなら割と行けそうだなぁ」
このように、トルコ建国の父であるムスタファ・ケマル・アタチュルクから名前を取ったLBXも存在する。
ちなみにそれぞれムスタファ、ケマル、アタチュルクと三つのLBXが存在している。いくら何でも分割し過ぎではとは思うけど、カッコいいから良いと思います。
他にも紹介したいものはあるけど、多過ぎて収まりきらないので割愛させてもらうが、アメリカの物だけはデカデカと星条旗カラーが施され、重火器でゴテゴテに武装した王道の火力偏重機も居る。
ちなみに名前はコマンドーらしい。名は体を表すとはよく言ったもんだよ。
「結構 あるんだね。日本以外にも」
「どう? 気になるものとかある?」
「これ ショウキョウ?」
デカい扇子の二刀流が特徴的。アマゾネスがベースなものの顔はクノイチの様なツインアイで、全体的に服装もそれっぽい装飾がしてある。
全体的にオレンジ色で、尚且つ装飾品が多くてやたら手が込んでいるヨウキヒの様な機体だ。
スッゲェ見覚えがあるのは多分気のせいだろう。確かに
「使って見る?」
「……いいかな」
「? どうして。買うならまだしも操作くらいなら……」
「だって、悟の あるし」
ヴッ
「だから、いいかなって」
「……どういたしまして」
嬉しい反面、ここまではっきり言葉にされると少しむず痒くなる。むず痒くなった結果、心臓も止まりそうになった。
今日の三影は本当にいつもと違う。
服ひとつ違うだけで、仕草一つとっても大人びていて、普段の物静かさが落ち着きへと変貌している。
「ほら、悟。あっちにも 行こ」
そう言って三影に手を引かれ、企業ブースを余す事なくあっちへこっちへと駆け回る事になった。
大変といえば大変だが、連れ回される身というのも案外悪くない。三影に身を任せ、暫く見たり聞いたりとブースを満喫した。
ただそのせいで、バン達の予選試合を完全に逃し、スタンドに入った頃には完全に決勝戦が始まる直前だった。カズや郷田は兎も角、アミからのジト目が痛かった。
今度から、何かあったら必ず相手に連絡を入れよう(1敗)
アルテミスは大会に参加させないと特に書くことないからこれくらいでええやろ(小声)