ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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久々にPSPのダンボール戦機出して楽しみながらストーリー補修してます。



#2

 授業が終わり皆がそれぞれの事に思いを馳せながら教室を後にする。

 

 来月にはここともお別れだ。大した思い出もないが、過ごしてきた記憶だけは有る。それのせいかも知らないが、少しだけ哀愁を感じる。

 

 自分は図書委員の為に、少しの間学校に留まる。放課後でも残る生徒は残るし、放課後に本を返しにくる生徒もいる為、暗くならない程度の時間まで図書室にいる事はザラだ。

 

 人のいる教室を尻目に図書室へ歩いていく。

 三影も図書委員だが、今日は当番じゃないから帰っている。指定時刻まで1人の時間を過ごす………筈だった。

 

 当番でもないのに、カウンターに三影が座っていた。

 

「遅い」

 

「…うん。言いたい事があるけど、取り敢えずごめん」

 

「ん」

 

 それだけ言って読んでいた本を畳み、三影は隣の空席をポンポンと叩く。

 

 拒否する謂れもないから、三影の隣へと着席する。

 

 三影は俺が座ったのを確認して本を読み出す。読んでいる本はカバーで分からないが、内容的にはライトノベルのようだった。

 

「今日当番じゃないよね?」

 

「駄目?」

 

「いや、駄目って訳じゃないけど…」

 

 図書委員の仕事をしながら問答を繰り返す。三影がいる時は大体こんな感じで、他愛もない会話をしている。

 

 三影は口数が少ない。酷い時は単語で会話する時もあるし、会話が続かず気まずい雰囲気を作る事もしばしばだった。

 

 最近は他の子とも、ある程度の意思疎通ができるようになっているが、今みたいに2人の時はいつもの三影口調に戻ってしまう。

 

 短い発言で察せてしまう自分もどうかと思うが、これは不可抗力だ。付き合いが長いのもあってどんな時が不機嫌だったりとか、どんな時がご機嫌だったりと把握できてしまう。

 

「嫌?」

 

「いや、あぁ……その聞き方は狡い気がする」

 

「なら、大丈夫?」

 

「まぁ、うん」

 

 そう言って椅子の間隔を詰めてくる。

 

 図書委員の仕事を手伝ってくれるから、拒みづらいって言うのもある。記録の抜けとか、返却期間過ぎても返してない生徒に返却するよう促してくれたり、基本図書室から離れられないから、凄くありがたかった。

 

 記録をつけて、来週の図書室の当番に名札を変えて、ノートを懸けておく。

 

 最後に忘れ物がないか三影と見て回り、何もないことを確認して図書室を戸締まりし、職員室に鍵を返しにいく。

 

「鍵返してくるから、先行ってて」

 

「ん」

 

 廊下で三影と別れる。

 

 1人になって職員室までの長くもない廊下を歩く。改めて三影との記憶を思い出してみる。遡れば一年か半年前? 他人の記憶で信憑性が欠けているが、それくらいには三影の存在は一応確認できたし、記憶として存在していた。

 

 ただそれ以前の記憶がすっぽり抜けている。

 

 『三影』『三影ちゃん』

 

 自分の親や他の友人からはこの単語が出てくるのに、肝心の出会った日やこうなるキッカケが全く出てこない。

 

 なんかモヤモヤするが、幾ら思い出そうとしても具体的な物が出てこない。出てこないなら仕方がない。考えるのを諦めて明日のことでも考えよう。

 

 やりたい事を考えよう。そうした方がふとした事で思い出すかも知らない。

 

「失礼しまーす。図書室の鍵返しにきましたー」

 

「お疲れ様、気を付けて帰るんだぞ」

 

 はーい。 と言って鍵を渡す。

 

「失礼しましたー」

 

 鍵を対応してくれた図書担当の先生に渡して、そのまま職員室を後にする。

 

 荷物を回収しに教室に戻ろうとしたら、携帯にメッセージが届く。

 

『荷物 持ってる。校門で』

 

 三影からのメッセージだった。

 自分の荷物も持ってくれて居ているらしい。

 

 『ありがとう』と返信して、校舎を後にする。

 自分以外にも校舎からまばらに生徒が出てくる。大体はクラブか自分と同じ委員会で残って居た生徒達だ。

 

 それらを尻目に校門へ向かう。

 メッセージ通り、荷物を持った三影が校門の外側で待ってくれていた。

 

「お待たせ」

 

「はい」

 

「ありがとう」

 

「ん。行こ」

 

 三影に連れられて、学校を後にする。

 

 

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