お盆休みあるのはいいんのですけど、長期休暇後は大体死ぬほど整備依頼が入ってくるのでクソですわ!!迷惑客はもっとおクソでしてよ!!(発狂)
毎度の事ながら誤字報告してる方、ありがとうございますですわ〜
どうしても自分だと見つけづらいので助かりましてよ
「なぁ、ほんとに大丈夫なのか?」
「まだ言うか? さっきも言ったけど、気にするだけ無駄だぞ」
バンとジンの一騎打ちは何事もなく決着がついた。機体の性能とプレイスキルで上手のジンに、手数の多さと最後の最後まで極秘技を隠していたバンが勝利した。
その後に起こった出来事に関しては、今の俺達じゃどうこうする事は出来ない。よって、ただ見ているだけだったが、あの少なくともバンはかなり精神的に参っている。
メタナスGXはいいとして、アキレスは修復不可能なレベルで破壊され、中身のプラチナカプセルだけ丁寧に抜き取られてしまった。
その上大会は事実上中止と言う形で打ち切られ、その後の対応も後手後手であり、優勝者以下選手一同への対応の遅さに割と批判されている。
運営が気の毒なのはさて置いて、経緯と状況は違えど俺も同じ経験をしている。
あの時は完全に彼我の実力差が明確だったから、多少心の中で整理は出来たし納得もできた。
ただ納得は出来ても悔しいのは変わらない。特に、実力でも何でもない相手にしてやられたバンに関しては余計そうだろう。
と、言うことでここは一つ。我々サイバーランス社へバンをお招きする事になった。
「入って、どうぞ」
「う、うん……」
研究棟というか、開発部の区域には応接間とか来賓をもてなす場所なんてないから、普段使ってる部屋に案内する。
本当はコーラとかジュース系が有れば良かったが、冷蔵庫は共有スペース、仕方がないので誰も手をつけていないアイスティーと包みチョコを出しておく。
「あのショーケース、全部サイバーランスの?」
早速バンが興味を示した。
バンが指差すショーケースには、開発部に置ききれなかった複数のプロトタイプがいくつも入っている。
シンプルに纏まった量産機系列から、色々付け加えてゴテゴテにした
「動かしてみる?」
「え、いいの?」
「平気平気。制作に携わった身としては、動かしてみた感想とか聞きたいし」
ショーケースから幾つか手に取ってテーブルの上に並べ、いつ出したのか分からない展開状態のDキューブを引っ張ってくる。
目の前に未知の体験が待っているとなると、いくら凹んでいても気分も変わると言うもの。バンも若干気分が上がっているらしい。
一つ一つ手に取っていき、今までにないシルエットのLBXに触れている。
「……かなり作り込まれてるね。フレームの装飾もそうだけど、武装の取り付け位置や重心の位置まで、全部が噛み合うように出来てる」
忘れられがちだが、バンはこの手のことに関してはリュウと同じオタクに数えられるタイプだ。
アミや北島夫妻から得た知識と、アキレスを扱うにあたっての整備経験がある分、ことLBXに関しては特に詳しく、場合によっては厳しい意見も出す。
そのバンが特に否定しなかったのは中々好感触。招いた甲斐があったと言うもの。
バンに立ち直って欲しいと言うのは否定しない。アミとカズから頼まれたのもある。が、実際のところは、今回に関してはうちの開発した製品がちゃんと受け入れられるか、車で言うところの試乗体験を兼ねているから心置きなくOKを出した面もある。
ただやるからには相手に損をさせない、それがサイバーランスのやり方だ。
「はい、専用CCM」
「ありがとう」
最初のしんみりから一転して、表情も明るく声もハリが出てきた。いいぞ〜、調子が上がってるならこっちもやり易い。
一通りバンの好きに動かさせて、また様子を見る。多少は口出しするだろうが、危なかったり聞きたいことがある時だけ口を挟む程度に留めておく。
「は、速い!」
あ、早速ダメそう。
頑丈だからいいけど慣れないスラスター移動にあっちこっちぶつけてながら進んで、盛大に転けている。ヅダでもないのにぐちゃぐちゃになりそうだったが、その程度で壊れるヤワには作っていない。
ただ少しすれば慣れてきたか、最初のお粗末な動きからだんだん真面な動きになって来た。
順応が速すぎるが、まぁバンだし気にしたら負けだ。慣れてきた頃にそろそろ例の話をするとしよう。
「さて、バン。お前をここに呼んだのは他でもない。こっちで用意させてもらった機体、全て動かしてもらう」
「へぇ、全部………え、全部?」
俺の言葉にバンは唖然としている。
「ここに置いてあるもの全てって訳じゃないけど、触ったり使ってみたいって言うなら融通はするよ」
「ほ、本当に? 本当の本当!?」
おう、急に元気になるじゃないか。
まぁそうだろうな、特にバン、お前みたいな奴にはこの条件は特に効くだろう。なんせあと2年、いや下手したら一年で株価も名声も失ってクラスターイングラム社の子会社化するタイニーオービット社と違い、我らサイバーランス社はこれから先も存続し続ける。
遠慮するな、おかわりもあるぞ!(事実)
「いやまぁ……ちゃんとやってよ?」
「勿論! で、何すればいいの!?」
おぉ、なんか完全復活してしまった。いや、いつまでも引きずっている方が本人にも周りにもよくない。これはこれで良い方向に行ってるんだろう。
「いや、さっきみたいに動かして評価してもらえればいいかな」
「解った!……でもさ、これ。どっちかと言うと専属チームとかテストプレイヤーの仕事じゃないのか?」
「いや、うちタイニーオービットとか神谷とか、名だたる企業みたいな資本力ないから……」
今でこそLBXのお陰である程度認知されているサイバーランス社だが、元は衛星のバッテリーや電子機器、モーターやステルス技術等を開発・製造していた中小企業だ。
スポンサーだからと言ってポンと専属やらテスターを雇ったりといった、盛大な使い方が出来るほど安定していない。
先輩達が節制という名の錬金術に励むのもそれらが理由らしい。極めすぎてて参考にならないけど。
「まぁ、そういう事だから。よろしく頼む」
「あぁ、任された!」
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「これが、新しいLBXか?」
普段は海道義光とその囲いの人間以外は入る事がない海道邸に、海道ジンは1人の男を外部から招いていた。
身なりを整えて社員証を首掛けた彼は、サイバーランス社の営業担当部から出向いており、彼が海道邸に足を踏み入れることが出来たのは、ジンが彼の提案を了承したからである。
「えぇ、今のサイバーランスが用いる技術を導入し、エンペラーよりも速い反応速度に加え、高い機動力と打撃力を誇ります」
「………」
「疑っても構いませんが、受けていただいた以上は我々としても貴女に損はさせませんよ」
「そこを疑っている訳じゃない。ただ、随分と速いな」
想定していたよりも納期が速い、ジンの疑問はそこにあった。
世界大会が煮え切らない形で終わりを迎えてからはや5日。サイバーランスからの誘いがあったのがつい3日前、納入日には事前に連絡すると言われたが、この対応の速さにジンは内心少し驚いていた。
「えぇ、最近特別枠で入ってきてくれた″新入社員″の子に大分助けられてます。今回のゼノンも、彼らの頑張りのお陰です」
「……そう」
新参でありながら、ゼノンの開発に携われる程に信頼されている技術者。サイバーランスにはタイニーオービット、そして神谷にも負けない人材が揃っていると、ジンは認識を改める。
まぁ、実際に居るのは技術者ではなく資材の錬金術師や予算の魔術師が大量に在籍しており、少ない予算で数多の試作品や実験機を作り上げる為、上は上で途轍もない苦労を抱えている。
その荒波と理不尽に揉まれ、錬金術師の扉を開けかけている少年が1人いるが、それは今関係ないので捨てておく。
「フレームもコアパーツも、貴女の期待に応えられる代物で固めてあります。エンペラーよりも使い易く、ジンさんの実力を最大限反映させられるでしょう」
「……努力しよう」
「データに関しましては……」
「解っている。そちらが提示した条件で構わない」
CCMからゼノンの操作権限を委譲される。
ジンにとって神谷重工製以外を扱うのは初めてである。その筈だが、多少動かしてみた時に妙に手が馴染む感覚があった。
以前から自分が使うことを想定されたかのような出来栄えに、賞賛しつつも不気味さを覚えた。
だが安心して欲しい。
「あぁ、最後にジンさん。我が社にはこんなサービスも有りますよ?」
そう言って、ビジネスバックから複数枚の資料をジンに渡す。
渡された資料の一枚には、デカデカとサイバーランスの新製品とそれらLBXのイラストが描かれていた。
「これは?」
「我々がタイニーオービット社一強を打破すべく、社運を賭けて行っているプロジェクトですよ。来週にも発表予定ですので、気になったらいつでもお声がけ下さい。では失礼します」
そう言って手渡しし、足早にジンの元を後にする。
別段、サイバーランスのLBXに興味がある訳ではないが、まぁ渡されたからには見ておくかと、テーブルに置かれたそこそこ厚い資料に手を伸ばす。
現時点で山野淳一郎とかいうチートと提携してオーディーンやらを世に放つ事になるタイニーオービットは別として、ゼノンはサイバーランスが独自開発した一品。
現時点でもどの勢力のLBXにも力負けすることはない。そんな機体を製造した企業が、打倒タイニーオービットを掲げて進める新型LBXのプロジェクトだ。
資料の厚さもそうだが、中身の内容もかなりみっちり組み込まれている。内容一つとっても本腰なのが見てとれた。
「………」
大部分がプロジェクト内容で埋め尽くされているが、後半になると自社PRと社員構成が載っている。今のところ就活するレベルの学生ではないジンにとっては、イマイチどうでも良い部分だ。
なので後半は流し読みで、気になる部分だけ見る程度に済ませる事にした。
「……?」
で、早速目につく物がありページを遡る。
良くある企業の部署ごとの集合写真だが、その一つである開発部門。周りがガタイの良い大人や青年に囲まれる中、1人だけ小柄な少年と呼べる、見覚えのある男子を見つけた。
名簿が載ったページを開くと一人一人の個人写真と役職、名前が載っている欄がある。そこからは特に苦もなく見つける事ができた。
まだ幼さが抜け切っていない顔の中に、己が知っているものとは違う目をしていた。何処か別人の様で、途轍もない違和感を覚えていた。
思い出すのは、山野バンと仙道ダイキの仲裁に入った時。あの時、自分を見る彼の目と彼自身に感じた違和感が、ふと浮かび上がってくる。
自分を覚えていない素振りだった。いや、知らなかったかの様な振る舞いで、ジン自身も動揺のせいで声をかける事も出来なかった。
「…覚えているだろうか、私の事……」
執事にも聞こえない声量で、そう呟く。
ヘックシュ!!
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友人を励ますついでにデータ取らせてた人物1
クシュッ!!
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甘い汁に釣られてデータ取りに協力した人物2