今年の春は暖かいらしい。
朝の天気予報で、ニュースキャスターが来週までの気温と天気予報をそう伝えていた。
いつも思うんだけど、春と秋の区別ってつきずらいと思うんだ。
寒い日が続くと思ったら、急に暑くなってそのまま夏へ。
暑い日が続くと思ったら、急に冷え込んで寒くなる。
秋なんて特に分からない。
アレって紅葉以外、季節としてはないも当然でしょ。
「ねぇ、三影」
「ん」
「春と秋ってさ、あると思う?」
「……微妙」
三影に問いかけるが、三影も三影で春と秋の存在があるのか定かではないらしい。
桜が咲いてるから春なのか、それとも桜が咲くから春なのか。
一つハッキリしているのは、行事は多いし変化が大きい期間というのは分かる。
来月になれば小学生を卒業し中学生になる。
ここミソラ第二小の生徒は大体がミソラ第二中へ進学する。
一部の成績優良者は都心の私立中学へ進学したりするらしい。
私立中に関しては、自分は無関係な話だ。
それよりも、ミソラ第二中へ行った後の事の方が心配だ。俺はともかく三影に関しては郷田ハンゾウ……だったかな?
確かスラムに行く際のイベントでバン達と絡みがある。三影の趣味と言うか、憧れを抱いている人間が郷田ハンゾウであった。
ただ今の三影は……何というか、ちょっとズレている。
彼のやっている事は否定しつつも、彼の”敵”以外の人間への振る舞い、敗者への振る舞い、負けた時や自分に非がある時の潔さ。
全てを肯定する訳でもなく、また否定する訳でもなく、評価出来るところは評価しつつ、それ以外を指摘する様な形で、彼を尊敬はしている。
かなり中立的な受け取り方をしていた。
本来の三影が、言ってしまえば何があろうと推しを擁護するアイドルオタクである。
今の三影は推しに非がある場合、しっかり批判できるの様な感じ、という風に分かられる。
それに、郷田ハンゾウ以外の不良には、何処か軽蔑の視線が混じることがたまにある。
聞いても多分答えてはくれないだろう。俺も嫌いなものの事を聞かれて、それについて喋りたいとは思わない。
これに関しては三影から話してくれるのを待つ事にする。
「今日 どうする?」
「あ、うん。今日もお願いしていい?」
「ん」
今日の放課後の事を考えながら、学校へと足を進める。
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放課後、いつも通りゲームセンターに三影と訪れ、操作を教わり、コアパーツの編成を習い、それを実践する。
俺にはある程度LBXの実力を付けねばならない理由が出来てしまっている。
先の通り、三影はストーリーの進行の都合上。主人公である山野バンが三影に話しかける時がある。
それ以降もなんだかんだでバン達と行動を共にし、最終的には決戦の場までその他キャラ達と着いていく。
本当だったら関わる事はなかった。
多分、彼らが死ぬ気で頑張っているなど知らずに、そのままのほほんと生きていたかもしれない。
ただ、三影と出会って、割と仲良くなって、個人的に辛い時に無条件で頼れる様な関係になってしまった。
だから、これから起こること。少なくとも三影とこうも関係を持ってしまっている以上、何かしらの出来事で巻き込まれることは確定してしまっている。
これらに対して備えなければならない。見えている未来に対して備えないのは、控えめにいっても馬鹿のする事た。
死ぬかもしれない環境に放り込まれて、そんな時最後まで頼りになるのは、結局自分自身なのだ。
ダンボール戦機。
このストーリーが始まるまでに、少なくとも彼らと共に行動しても足手纏いにならない程度には、力を付けなくてはならない。
「悟?」
そんな事を考えていたせいか、三影に名前を呼ばれる。
「…あ いや、うん。なんでもない」
一旦LBXの操作をやめて、そばに寄って顔を覗き込んでくる。
「本当?」
「うん。ちょっと考えてただけ」
「…そう」
回答に少し不満があるのか、三影は少し不服そうながらも、元の位置へ戻っていく。
「…始めよ?」
「うん。お願い」
そう言って練習を再開する。