ただのモブで終わる筈だった。   作:食べる辣油

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Mk-Ⅱの言い方はMk-Ⅱ(マークツー)ではなくMk-Ⅱ(マークトゥー)の様。

でも呼び方の違いで怒られた事はないです。
でもなんかトゥー呼びの方が好きです。



#6

「三影、よろしく」

 

「ん」

 

 お互いがLBXを投入してバトルを開始する。

 腕前が上達し、一度ストリートレギュレーションで三影と試合形式でバトルする事になった。

 

 三影との初回は醜態を晒したが、今は違う。

 どう動けばいいか、どこに行けばいいか、どう構えればいいか手にとる様に解る。

 

 三影も練習時と違う動きをするが、姿は見えずとも攻撃を仕掛ける瞬間は必ず姿を晒す。

 

 そこを狙うのだ。

 

 ここは市街地、自分は十字路の真ん中、下手に動くと串刺しにされてしまう。少なくとも三影は正面切っての格闘戦と不意打ちが得意だ。

 

 どこで待ち構えているか解らない。

 動くなら慎重に行かねばならない。

 

「そこ」

 

 勇気の一歩を十字路から踏み出した時、上からアマゾネスが降ってくる。

 

 避けるには時間がない、だからガンダム自慢のシールドで槍の軌道を逸らす。

 

 硬直で動けないアマゾネスに蹴りを入れてよろけさせ、ビームライフルを照射する。

 

「なんとぉぉぉ!?」

 

 しかし当たらない。

 ライフルの持ち手に足蹴りを入れられて、ビームを上空へ撃ち上げる。

 

 隙が出来た所に槍の突きが飛んでくるが、スラスターを噴かせて後方に下がる。

 

「まだ」

 

 まだ攻撃は終わらない。

 着地の硬直で槍の突きが飛んできて、それを避け続ける。

 

「ならこう」

 

 突きと見せかけての払い、からの槍での殴打。

 シールドを弾かれ、機体に何度か攻撃が当たる。

 

 しかしその程度でやられる程、ガンダムは柔らかく造ってはいない。

 

 多少の被弾でやらないからこそ、被弾前提の行動ができる。飛んできた槍を掴んで引き寄せ、アマゾネスをビームサーベルで斬る。

 

「そこだぁ!」

 

 どう言う理論かは解らないが、フレームは溶断されずにアマゾネスからは打撃音と火花が散る。

 

 追撃を入れようとするが、ガンダムをジャンプ台にされたアマゾネスは遠くまで飛んでいく。

 

 ただ今ので瀕死なのか、アマゾネスの動きがぎこちなくなっている。

 

 流石の威力。

 バッテリー消費を犠牲にしただけはあるし、これくらい強くなくては困る。

 

 それにしたって、親父が作ってくれた武器の威力たるやだ。

 

 アイデアと図面だけで産み出してくれるとは思わなかったし、その上完成度が高い。

 

 どうやったと聞いても、趣味でやっている人間の話は……よく解らないが、取り敢えず凄いと言うのはよく分かった。

 

「…やる」

 

「三影のおかげだよ」

 

 ガンダムはまだ戦える

 ただしアマゾネスは限界である。

 

 それでもLBXバトル……と言うか、勝負というのは最後まで結果が分からないし、三影もこの程度で諦める様な人間ではない。

 

 だから、アマゾネスが突っ込んでくる。

 それに応える様に、俺もガンダムを進める。

 

 

 

 

 

 

 

@ _________@ _________@

 

 

 

 

 

 

 

 結局、あの後一度といった試合を何度も何度も繰り返して、気が付いたら空が赤くなる時間帯まで戦っていた。

 

 勝敗は五分五分。

 三影の戦闘スタイルが近接ながら、同じ戦い方をしないのでかなり新鮮だった。

 

 戦い方で色々変わるんだなと、新しい発見だ。

 

「ありがとな三影。こんな時間まで付き合ってくれて」 

 

「……ん」

 

 三影に感謝を伝える。

 多分、ここまでしてもらって感謝伝えないのは根っからの屑だろう。

 

 俺なんか、三影にテコ入れしてもらうまではそこら辺の低学年の方がプレイスキルも腕前も上だったのだ。

 

 ただ、三影の表情は浮かばない。

 いつも真顔の三影だが、言うなれば普段から真顔だから喜怒哀楽はハッキリ浮かぶものだ。

 

「悟」

 

「何?」

 

「私 必要ない?」

 

「え?」

 

 突然何を言い出すかと思えば、急に産みの親を失った強化人間の様な事を言い出す。

 

「え? 急にどうして?」

 

「悟は 十分強い。私が教えた事 みんな吸収して、なんでも自分の物にしてる。私が教えられるのは もうない」

 

「でも、結構粗いよ?」

 

「それでも 十分。今日、それが分かった」

 

 三影の言う通り、確かに強くはなれた。

 ただ、世の中とは困った代物だ。

 

 ここまで実力を上げても、上には上が居て、さらに上にはたまたま人間に生まれた化け物みたい奴も存在している。

 

 ただ、そういった奴に限って、大体1人だ。

 言うなればボッチなのだ。

 

 そういった奴らを、遠からず巻き込まれる形で相手する事になる。だから、必要ある必要ない以前に三影には居てもらわなければならない。

 

 ……ただ、ほんのちょっと私情を挟むなら、三影には居てほしい。

 

 俺に接してくれている理由は解らない。

 話てもくれない。

 自分で思い出すことも出来ていない。

 

 ただ、一番混乱していた時にそばに居てくれていた事が、それが嬉しかった。

 

 自慢ではないが、親以外に本心を晒して言葉を交えられる様な関係は、三影以外にはあんまり居ない。

 

「なぁ、三影」

 

 横にいる三影に、こう問いかける。

 

「その、俺。まだ一緒に戦う事、教わってない……」

 

 困り顔でそう言う。

 

 するとどうだろう。

 キョトンとしてと思ったら、クスクス笑われてしまった。

 

 笑われるとは思わなかったから、少し変な汗が出て来た。

 

「え? え?」

 

「…ごめん。 これからも よろしく」

 

「あ、うん。よろしく」

 

 

 





最近ガンダム作品のジョニ帰とか0083とかの外伝漫画が多くて、合間に何があったかの補完ができて個人的には凄いありがたい。
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