キューティ☆バーニィのプロレス実況!(※にわか) 作:ウェットルver.2
Harrow everyone! Good Rabbing!
My name is Barnard“Burny”Rabbitson!
Davidsonじゃあないんだぜ、「うさうさバーニィ」で憶えてね!
でもって芸名は「キューティ☆バーニィ」! 可愛いだろー。可愛いんだぜ!
まあ、ぼく男だけどね。
それじゃあ、えー、時は1975年。
あのマイケル・ジャクソンがまだ兄弟で音楽活動をしていた頃。*1
まだ人種差別が色濃く、……いや今でも根深いうちではあるかもしれないけれど、まだ色濃く、南北戦争以来、ふたたび人権問題が問題視されるまでは遠い時代でのこと。
名高き愛の正義超人「キン肉マン」が現れるよりも昔、超人レスリングといえばアメリカ合衆国こそが国際的なメジャーリーグだと言っても過言ではなかった。……いやいや超人オリンピックとかあるけど、あっちはほら国際的な催事だからね。うん。
もちろん第二次世界大戦が終わって30年、高度経済成長期を迎えた日本を相手にヘイト感情が高まりつつある合衆国内において、のちのキン肉マンの来訪がどれほどの衝撃を与えたのかは言うまでもないだろう。
それまでの間は、「日本=敗戦国」とか貿易黒字の問題とか、……あとベトナム戦争関係で憲法九条を利用した外交とかも相まって「日本=ずるいやつ」みたいな印象もあった中、「日本が好き!」とか言えるやつは珍しかったわけだ。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズとか、対日感情の推移が分かりやすい映画だぜ? このあたり、興味があったら映画鑑賞してみてね。
なので、日本の国民性や文化への理解なんて、のちの「テリーマン」の最初の対応くらいが、「まだ一般的なうちだ」と表現しても過言ではなかったのである。
「うへぇ! また日本人が悪役のヒーローコミック?
勘弁してくれよ、最近こんなのばっかりじゃないか……」
漫画雑誌をゴミ箱に投げ捨て、フード裏のポケットをまさぐる。
そんなぼく、バーニィの私服は、兎を連想させるカートゥーン調のコスチュームだ。
フードは兎、靴も肉球つき、ロジャーな感じとオズワルドな感じを足して、のちの日本のアニメ・漫画文化でもある「動物の擬人化」を思わせるフワフワ感ある仕立て。
もちろん手袋だってあるよ? ちゃんと色は白!
これ作るの、大変だったんだぜ?
けっこう何作も作って、やっと想像通りの形になったってところなんだ。
たまに図体のでかい男に襲われるけど、そこは、うん、友達のおかげで助かっているかな。別にホモとかSissyとかじゃないもん。可愛いのがすきなだけだし。
「世の中楽しいほうがいいのに。
なんでこういう漫画や、そういう男が多いんだよ。
男らしさってやつで相手を甚振るのも、憎しみもエンターテイメントってこと?」
「そんな最低の気分の時は~? ……もちろん、これ!」
フードから取り出したるは、超人レスリングの座席指定チケット!
超人レスリングで、わざわざ日本人を思わせる仮装をしてまで興行に徹し、「悪役」を演じようとする超人はいない。だって自分の個性関係ないじゃん?
だから何度見ても楽しいのだ。身体的特徴が豊富な超人レスリングほどの、スリリングで漫画チックで毎回の試合運びが多様化する娯楽はなかなかない。
うん、まあ、ここ、漫画の世界のパラレルワールドなんだけどね?
「ふっふっふ……ビューティフル・ローデスVSダイナマイツパイパー!
スタンダードなヒューマノイド・スタイルの超人同士だけど、超人ならではの身体能力でのバトルってやつは本当に面白いんだよね!」
人間レスラーでは不可能な技もできる、それが超人レスリング。
みんなも御存じ「キン肉ドライバー」や「マッスルスパーク」だって、人間レスラーがやろうとすると大変だからね、ああいう技が飛び交うのは見ていて楽しいんだ!
…………いちいち種類が多すぎて、ぼくには憶えきれないけど!
「そうと決まればレッツゴー!」
ぽっぴぽっぴと靴を鳴らし、向かうは会場。
今にして思えば、こういう「考えていることをぺらぺらしゃべっちゃう癖」が、結果的に今の仕事に繋がったのだろうなーとか、あのアブナイうちのプロデューサーに見つかったのだろうなーとか思わなくもないのです。
だってほら、うれしさ勝って楽しさあふれてピョンピョン跳び回っていたら、スキップしてたから忘れちゃうじゃん? なーんか後ろに感じていた視線とかさあ!?
思い出してみると結構怖かったかも、プロデューサーの尾行術!
「……あの子、男の子で、あの口調で、その格好しているのっ………!?」
遠くで見つめるプロデューサー。
その名は、……まあ、べつにいいですよね、紹介しなくても。
あくまで本題がぼくの話ですから?
ただ、プロデューサーに曰く、どうもぼくが時代をぶっこわせるほどの……アメリカ・アイドル業界の超新星だと直感したとかどうとか。「そんなことないですよね?」って当時は思ったけど、電波ソング爆売れしてから気づいたよ。
1970年代のアメリカ合衆国に日本式の「
「マジで? 天然のアイドルじゃないのっ!
超人レスリング界のアイドル・アナウンサー……行けるかしら、いえ、まずは下調べから始めるべきよっ。どんな観戦するのか……見せてもらうわ!」
頭が沸騰したおねーさんと化したプロデューサーは、なんとまあ、ぼくの近くの席のひとと交渉して席を譲ってもらうとか、そのくらいの無茶はしたようで。
そんなことが起きているとはつゆ知らず、「なんか後ろの席がうるさいな?」としか思わなかったぼくは、思う存分に楽しんだってわけさ。
「決まったっ、ダイナマイツパイパーの必殺ホールド!
ええと、なんだっけ、なんだっけ……とにかく関節極まった側の肘とかが青くなっちゃうやつ~っ! ローデスこれ受けて大丈夫なの!?」
「ああ~っ!?
ローデス、捕まったと思ったらすり抜けた~っ!
なんかこんなの見たことある! 子供が鳩捕まえようとして追いかけて捕まえられなかった、みたいな、なんかそんな感じの! いや白鳥でしょ、ローデスは!」
「おおっ空中で翻って……キックが背中にシュ~ッ!
そのまま反動で舞いあがるぅ! ふわりと羽ばたいて、ほわー、ほわーっ!?
めっちゃ綺麗なパフォーマンスじゃんっ、こんなの初めて見た!」
って、感じで楽しんで、試合が終わった頃。
……え、どっちが勝ったかって? そりゃあビューティフル・ローデスだよ?
今のアメリカ合衆国のチャンピオンだし。チャレンジャーに負けはしない。まだ。
「あなた、プロレス実況に興味ない?」
「え?」
プロデューサーに声をかけられたぼくが、ほいほいとついて行って、話を聞いて、にわかでもOKだから実況してくれ、顔と声が魅力的だしいけるいける、むしろ初心者むけのプロレス実況をぜひとも放送させてほしい、とまで言われて乗り気になって。
しばらくして、「あれ? この世界って超人限定で男女逆転しているんだから、女子プロレスの実況やる男の娘ってつまり『男子プロレスの実況をやる美少女』ってことじゃ……?」と気がついた頃には、とっくに契約をして違約するわけにはいかず。
「―――Good Rabbing!
『キューティ☆バーニィのプロレス実況』、はーじまーるよー!」
「こちら、解説のチャック・ザ・ガールです、よろしくお願いします。
……バーニィ、ちゃんと自己紹介。」
「あっ、ひゃいっ、ぼくバーナード“バーニィ”ラビットソンです! 実況ですっ!
全国のおにいさま、おねえさま、よいこのみんな、バーニィって呼んでね☆
今回の試合はビューティフル・ローデスVSザ・テリーマんきゃっ!?
………舌噛んじゃった…………」
「………なんかもう頑張れバーニィ」
全力で平常心を崩さずに!
カメラの前で緊張しながら笑顔を振りまいたのでした。
結果的に見晴らしのいい実況席で仕事ができたから、いいけどね! でも!
「うぇへへ、じゅるっ、計画通りよ!
あの無防備なアホさ加減、放送事故ひとつとっても最高に可愛いわっ……!」
後ろでよだれ垂らしていたプロデューサー(おねえさん)は!
あとで絞めました! 絞めても幸せそうでした! どうすればいいのぉ!?
☆ダイナマイツパイパー
原作ではダイナマイトパイパー。必殺技は「パイパーキーロック」。
キン肉マンレディーでは原作の彼をモデルとした超人はいたが、名前がなく、この作品オリジナルの名前。
ワイルドな女傑。試合後にバーニィの実況番組を見て「あっ、こいつアイツかあ!」と盛りあがったりした。
教壇からだと生徒の素行がよく見えるてきなあれで顔も声も覚えている。後ろの席にいたプロデューサーのやばい顔も気づいている。
☆プロデューサー
ショタコン。
☆チャック・ザ・ガール
第一回放送から素人に実況任せるとかマジ??
え、そのほうが数字とれる? 正気です?
(数時間後)
電話が鳴りやまない? 内容は?
…………ウソだろ、ショタコンしかいねーの?