アオハルダイアリー   作:しろいくろねこ

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体調崩したりリアルが忙しかったりスランプだったりしました。


12話 水晶占い

『ゴールデンウィーク真っ最中の水曜日に先輩たちが部室に来るから予定空けとけ☆』

 

 ユッコの入部届を先生に渡したとき先生にそんなことを言われた。今年のゴールデンウィークは平日を一度挟んで三連休が二回。休日を二日取れれば10連休となるが、学生の身分に有給休暇などなく、少し損した気分になるゴールデンウィークである。そのため、自分を含めた日常記録部のみんなは大した予定を入れておらず、無事先輩の来訪に備えることができた。

 本日は土曜日、本来ならば高森さんがプロデュースする散策の日だが、ユッコが家から私物を持ってきたいらしく部室での活動を行なっている。現在はユッコが不在で高森さんと二人ゆるふわタイムだ。

 

「もう四月が終わっちゃうんですね。思ったより早かったなぁ」

「何かとイベントが多い月だからね。まだ慣れてないことが多いよ」

「それなら私、まだクラスメイトの全員と話せてません。女の子はみんな話せたけど男の子は席が近い人くらいしか話せてないなぁ」

「それは俺も一緒。なんなら男子にも名前覚えてないのがほんの少しいる」

「それは清崎君が頑張りましょ?その子ももしかしたら仲良くしたいのかもしれません。あとは、書道室が遠くて私みたいに動きが遅いと遅刻しかけちゃったり」

「ああ、あるある。俺は美術選択だけど、書道も美術も荷物が多くて準備に時間かかっちゃうよね。前の授業が長引いたときはもう焦る。」

「数学のかっこいい方の先生よく授業伸びるよね。後からくる古文のお爺ちゃん先生によく怒られてます」

「あの先生怖いよね」

 

 高校生活もだいぶ慣れて来たのでこういった話題で盛り上がることも増えて来た。クラスが違う友人は高森さんしかいないので、こういう情報共有は楽しい。小テストの情報も教えあって命拾いすることも多い。

 

「お待たせしましたー!サイキッカーユッコが部活動を彩るサイキックアイテムをたくさん持ってきましたよ!」

「わぁ!どんなすごいものが見られるのか楽しみです!」

「楽しめたらなんでもいいかな」

「二人とも私がこれから出すものを侮らないでくださいね。正真正銘不思議なパワーを宿したアイテムですよ!」

 

 急にやってきて急に叫んで急にでかいバッグから物を取り出し始めるユッコ。重厚感もあるし単純にサイズがデカい。どうやって持ってきたのか気になるが、こいつなら力技なのが明確だ。どうせ中身はロクでもないものばかりなのだろう。

 

「みなさんにお見せするサイキックアイテム一つ目!水晶玉です!超能力を使えばこれをを通してあらゆる奇跡を見通せますっ!」

「わぁ!すごいですね!」

「へぇ。何かやってみてよ」

「まぁまぁそう慌てずに!ある程度具体的な目的がないとこれはうまく成功しないんです。何を占いましょう?」

「何なら成功するんだ?」

「まるで私が何もできないかのような物言いですね。ここはオーソドックスにこの部の未来でも見ましょうか。あと、ついでに清崎君に降りかかる不幸を見て笑っておきます」

「勝手に笑っとけ」

「ちょっとぉ!二人とも仲良くしましょうよ〜」

「おいユッコ、高森さんもこう言ってるし仲良くしような」

「はい清崎君、藍子ちゃんもこう言ってるので頑張って仲良くしましょうねっ!」

「まぁ!」

 

 俺とユッコ、互いに力強く痛いくらいに握手して高森さんに仲良くしているところを見せつける。別に俺がユッコを嫌ってるわけではなく、ユッコが一方的に俺のことを敵視してくるので仕方なくユッコのテンションに付き合って俺も冷たくあしらってやってるだけなんだが。高森さんが俺達の不毛なやり取りのせいで居心地を悪くしてしまうのはただただ申し訳ない。

 

「それでは占いを始めますね〜。水晶よ!私達の輝かしい未来を映して見せよ!むむむーん!」

 

 ユッコが水晶玉に手をかざしながら元気に占い始める。占いってもうちょっと暗い場所で静かにするものだと思っていたが、まあユッコだし。

 

「むんっ!むむん!むーん?むむーん!!」

 

 むんむん唸るユッコを高森さんと二人で眺めながらしばらく待つこと数分、整いましたと言わんばかりの満面に輝く笑顔でユッコが口を開く。

 

「はいっ!占いの結果が出ました!なかなか面白い結果になりましたよー!」

「わぁ、楽しみです」

「とりあえずは聞こうか」

「あくまで占いですからね?私のサイキックを上回る力で干渉されたら未来なんて簡単に変わっちゃいます。その私以上の力の使い手は明日以降の私なんですけどねっ!」

「予防線張るのはいいからさ」

「清崎君、めっ!です」

「ユッコの占い早く聞きたいなー」

「そこまで楽しみにされたら私も張り切っちゃいますよ!」

 

 ユッコの占いなんて全く信じる気はないが、ユッコがこの部でどの様に過ごしたいかはわかるかもしれない。一応真面目に聞く価値はありそうだ。

 

「まず、これからしばらくは平和な暮らしが続きますね」

「「平和な暮らし?」」

「はい!三人揃ってお出かけしたりお話ししたり超能力開発をしたりするんです!普通の高校生らしい青春ですね!」

「ツッコみたいところはあるがまあいいか」

「そういう普通の青春もいいですよね!」

「でしょ!ユッコ的にも普通の青春は大好きですが...じゃあ続き話しますね。ある日とある大きなきっかけが起きて私達の活動は大きく変化します!」

「何があってどうなるんだ?」

「さあ?そこまで具体的に見えるわけじゃないので。おおかた清崎君が厄介ごと持ってくるんじゃないですか?」

「そういうのはユッコが引き起こしそうなものだけどなあ」

「それでもいいですけどね!」

 

 ユッコは楽しいイベントをご所望のようだ。一応自分も何か探そうとは思うが、この自称サイキッカーの欲求を満たせるのか。わざわざそのハードルを越えなくても、高森さんと自分が楽しめるだけでもとりあえずいいんだが。

 

「そしてなんだかんだ私達は困難を乗り越えて無事満足な学園生活を終えて卒業できます!」

「よかったですっ!」

「お前の予想とはいえ無事卒業できてよかったよ」

「占いですっ!私だって楽しい青春送ってちゃんと卒業したいんですよ!」

「型破りなサイキッカーな割にはちゃんとしてるのな」

「私もちょっと超能力を使える女の子なだけで、それ以外は型破りでもなんでもない普通の可愛い女子高生ですっ!」

「可愛いを自称する女子高生を普通と言っていいのやら」

「自分で言うのも変ですけど私って結構可愛い方じゃないです?告白とかも何度かされたことありますし」

「そういやバラされてた奴がいたな。まぁユッコは顔は可愛いんじゃないか?」

「あっさり可愛いと言われるのもなんだか気に障りますが...まあいいでしょう!藍子ちゃんも私に劣らないくらい可愛いですし、気に食わないですが清崎君もモテなくはなさそうなので二人とも告白されたこととかあるんじゃないです?」

「恥ずかしいので教えられませんっ!」

「残念ながらね」

「むむむ...つまらないですね」

 

 急に恋バナ路線に走られたら反応に困るだろ。高森さんも顔を赤らめておどおどしてるし。高森さんはともかくユッコとはそういう話をする関係じゃないし、というか男女間でそういう話をするかね?話を振ってくるくらいなんだから返しに意中の人を聞いてみてもよかったが、適当にはぐらかされて返されても面倒だし、話題を変えようか。

 

「で?俺の不幸とやらも占ったんだろ?どんな結果だ?」

「気になるんですかー?私は清崎君と違って優しいので教えてあげなくもないんですがねー。私のおかげで困難から逃れられたりするんですけどねー」

「教えたくないなら別にいいんだが」

「私は気になりますっ!清崎君は頼りになるから大変な目に合ってしまうと、この部が成り立たなくなっちゃいます!」

「藍子ちゃんがそう言うなら仕方ないですね...清崎君はあなたにもとっても優しい藍子ちゃんに感謝してください」

「この部のためにユッコなんかを信じてくれてありがとうな」

「どういたしまして♪」

「清崎君はいちいち私に毒を吐かないと気が済まないんですか?それでは言いますよ。よーく聞いておいてくださいね。清崎君のためなんですから」

「私に手伝えることがあるかも気になります!」

「清崎君は己の口の悪さが災いを引き起こす可能性が高いです。私のような親しい仲間には優しい言葉遣いをしてあげるんですよ!私だって清崎君に危害を加える気など全くないですが、清崎君のいじわるな言葉のせいでサイキックが暴走してあなたを傷つける可能性は否定できませんので!」

「あんまり口悪くしてる気はないんだけどなぁ。高森さんどう思う?」

「うーん?売り言葉に買い言葉って言えばいいんでしょうか?二人とも仲良く話すように意識すればユッコちゃんは望み通り清崎君と仲良くなれるんじゃないですか?」

「望み通りって!例えですよ例え!ユッコは仲良くするサイキックも持っていますのでこんなの朝飯前です!」

 

 さすが高森さん、今の俺たちの状態をよく見てる。ユッコが俺に当たりが強いのは感じていたが、高森さんの言う通り仲良く努めてあしらってやれば向こうも飽きて仲良し日常記録部が誕生するだろう。

 

「とにかく!清崎君は私に優しくすればいいんです!今からでもできることと言えば...おやつください!」

「そんなんでいいのか。はいシガーフライ」

「気が利きますね!それでは一口...むむっ!美味しい!」

「よかったよかった」

「清崎君もなかなかいいところがあるじゃないですか!じゃあ次からのサイキックアイテムは清崎君のために使ってもいいかもしれませんね」

 

 想像以上にユッコチョロいな。一袋100円くらいのお菓子で釣れるとは思ってもなかったぞ。




お久しぶりです。前話までにお気に入りや評価をいただいてとても励みになっていたにも関わらず更新が遅くなったことが個人的に悔しいです。でもこれまではこれまで、これからはこれからと気持ちを入れ替えて三人の話を書きたいと思うので応援よろしくお願いします!
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