今日はゴールデンウィークの三連休のど真ん中の水曜日。先輩達を迎えるために三人は部室に集まっている。ちらりと先輩達の写真を見るに、女性二人はかなり美人っぽい。会うのがすごく楽しみだ。こんな恵まれた状況でやる気なさそうにしていた男の先輩を信じられないぞ。
「むむっ?清崎君からやましい雰囲気が!?」
「やましくなる理由なんかないな」
「ふーん。でも、あんまり女の子の勘は舐めないほうがいいですよ。そういうのすぐに気付きますから」
「ユッコちゃんが警戒しすぎだよー。私は何も感じないので安心してくださいね清崎君っ♪」
「おっ、おう...」
高森さんはともかく、ユッコを相手にするときは変なことを考えない方が良さそうだ。もはや超能力ではなく勘って言ってしまっているが、こいつの変な行動は俺に向かってくることが多いので変に絡まれるのは避けたい。
「先輩達に会うのが楽しみですね!」
「相葉先輩はなんでもできるすごい先輩で、鷺沢先輩は毎日何か読んでる読書家らしいですね。生田先輩はよく分からない?」
「クラスとかにあいついつも何してるかわかんねーなって人いるじゃん?その類の人間だろ」
「先輩の前でそんなこと言わないでくださいね」
「分かってるさ」
「いつも清崎君は口が軽いのですごい不安ですね!まあ、ユッコはフォローしてあげられませんけど」
ユッコじゃないんだから内心と表に出す敬意くらい分けられるし。というかユッコの方が先輩に失礼がないか不安になるな。悪意は向けないだろうが余計なことをしでかしそうだ。
机を長方形に並べて各々座って先輩達がやってくるのを待つ。もうそろそろだよな?
コンコン
「入っていいですよー」
「こんにちは後輩君たち!はじめまして!元部長の相葉夕美だよ!」
「はじめまして。元日常記録部の鷺沢文香です」
「同じく、生田憧人」
「みなさんよろしくお願いします。俺は今の部長の清崎霍弥です!」
「わぁ、清崎君が部長になったんだ!はぁと先生から藍子ちゃんと清崎君のことは聞いてるよ。そっちのお団子の子が藍子ちゃんだね!」
「はいっ、私が副部長の高森藍子です!よろしくお願いします!」
「よろしくね!へぇ、副部長なんて役職作ったんだ。しっかりしてるね!あと、そこでスプーンを持ってるポニテの子は最近入った子かな?」
「はい!私はサイキッカーの堀裕子です!ユッコって呼んでください!ここで一つスプーン曲げをご覧に入れて差し上げましょう!」
「わぁ部長副部長に続いてサイキッカーもいるなんて今年は面白いね!」
そのキャラ先輩相手でも貫き通すのか。その精神はなかなかすごいなユッコよ。満面の笑みで曲がりませんでしたーと言ってるとこまで満点だぞ。
それにしても、写真で見ても相葉先輩は美人だったが、対面してみるとやはり信じられないほどの美人だ。5月に入って涼しげな格好をしているせいか、ところどころ肌が見えている。そして胸元の開いた誘ってるのかと言わんばかりのワンピース、これは高校生に成り立てのガキには目に毒すぎる。
「清崎君、目つきがえっちです」
「いやユッコ、これは違くてだな!」
「ふふっ、清崎君はちゃんと男の子だねっ!でもそういうのは気づかれないようにしなきゃ。ユッコちゃんに嫉妬されちゃうぞ〜。憧人もこのくらい正直だったら可愛げがあったんだけどな」
「なっ、そういうのじゃなくてですね!」
「夕美、あんまり後輩をいじめるなよ。大体、俺は夕美みたいな恥じらいがないやつに目は向かん。文香みたいに清楚な感じの方が好きだ。文香も夕美みたいなのは着れないよな?」
「確かにそうですが、夕美さんと今の服装は似合っていますし。私が今着ている服も、夕美さんに選んでもらったものですから」
「相葉先輩ってオシャレなんですね!私も教えてもらいたいです!」
「じゃあ今度女の子だけで買い物にいこっか!私達みんな大学近くていつでも会えるからさ!」
ナイス話題逸らし高森さん。というかこの人達すごく自然に名前呼びしてて仲良いんだな。俺もいつか高森さんを藍子って呼んだりするのかな?小さい頃から一緒にいたら呼び捨てもできそうだけど、この年齢だと難しいか。ユッコは...いつまでもユッコだろう。
「みんな、この部には慣れた?と言ってもまだ一か月だからわからないか。どんなことしてる?」
「そうですねー。清崎君がこの辺りに引っ越して来たばかりなので、この辺りに慣れるのも兼ねてお散歩をやってる感じです」
「ええ、高森さんがこの辺りの案内をしてくれてすごく助かってます」
「へえ、そうなんだー。なんだか文化部らしくていいなぁ。私が入った時なんか床で寝てる憧人と椅子だけ出して座ってる文香ちゃんだったんだよ!全く活動らしいことしてなかったね」
「あの頃は、お恥ずかしながら憧人さんと話すほどの勇気もなく、本を読むことしか私にはできませんでした」
「せっかく静かな空間ができたというのに寝ないと損だろ」
「いやー、この二人を引っ張っていろいろしたあの日々がもう懐かしいなぁ。青春って感じだった!」
こうも控えめな二人を引っ張った相葉先輩の手腕が気になるが、今の部員達には必要ないな。ユッコの手綱の握り方も聞けば教えてもらえそうだけど、それも必要ないか。ユッコは放っておいてもとりあえず害はなさそうだし、聞いて相葉先輩に揶揄われるのもなんか違うし。
「よー若者達、元気にしてるかい☆みんなのアドバイザーしゅがーはぁとだぞ☆二世代の日常記録部が楽しそうではぁとは楽しいぞ☆」
「はぁと先生お久しぶりです!元気にしてましたか?」
「はぁと先生お久しぶりです。今年もこの部活の顧問をしていらしているんですね」
「佐藤は変わらずそんな痛い格好してるんだな」
「久しぶりだなんてみんなツレないなぁもうっ。君達を見送ったのはほんのちょっと前じゃないか♪」
そんなことを言いながらノックもせずに部室に入ってくる佐藤先生。生田先輩も佐藤呼びしてるしはぁと先生と呼ばなくても生きていられることは判明した。流石に先生呼びはするが。
「今日はサイキッカーのユッコちゃんの提案でコスプレ衣装を持って来たぞ☆女の子達はみんな着ろ☆」
「へぇ、ユッコちゃんの提案ってどんなコスプレ衣装なのかな?」
「少し恥ずかしいのですが、先輩として後輩に立派な姿を見せてあげないといけませんね」
「ちょっとユッコちゃん!?私これからコスプレしちゃうの!?そんな覚悟できてないよぅ」
「ちょっとそこのスケベさんの本性を確認しないといけない気がしましてね。これから私達は着替えするんで清崎君は外に出てもらえますか?」
「ごめんね憧人、ちょっとの間外で待っててくれるかな。私達のコスプレ楽しみにしててね♪」
男子二人は女性陣によって部室の外に追い出される。というかユッコよ、俺のことをスケベさんだとは無根拠だというのによく言うよな。俺はいたって健全な男子高校生だぞ。
外で生田先輩と待たされているが、この先輩とどう話せばいいのか。口数も少なかったし話し難い雰囲気も感じる。そう思っていると急に先輩が口を開く。
「おい、後輩。なんでこの部活に入った?」
「はいっ、なんと言えばいいのかわかんないですけど、強いて言えば運命の出会い?っていう感じです」
「ふーん、俺は静かに寝られそうな場所を探してたら文香が本読んでるだけのこの部屋を見つけた。夕美が入ってからは静かじゃなくなったがな」
「夕美先輩が最後だったんですね。どうでしたか、この部活は?」
「ああ大変だったさ、主に夕美のせいでな。花を育てさせられるわ、生徒会活動に付き合わされるわ、校外奉仕活動に参加させられるわ。そこまで頑張っても国立の推薦枠は夕美が掻っ攫っていったんだから笑えるだろ?」
「ええっと、それは大変でしたね?」
この人はなんというか夕美先輩に振り回された高校生活を送ったのだろうか。可哀想だと思うべきなのか、それこそ青春だと思うべきなのか。
「とはいえ、あんなのでも面はいいからな。俺の好みとは違うけど十分な美人だ。最初は適当に手伝ってやったら幸せな思いができると思っていたわけよ」
「そういう話後輩にしちゃいます?」
「あんたどうせ俺のことを話し難い人間だとか思っただろ。思ってなかったらすまんな、そういう人間多いからさ。どうでもいい人間なら無視するんだが、あんたは一応後輩だからさ。こういう下世話な話でもすれば食いつくと思ってな。夕美に鼻の下伸ばしてたあんたならな」
「あーはい、そーですか」
うっわ、この先輩面倒臭そう。言いこそしないがこの先輩クズなのでは?クズを自覚してるっぽいのがどう対処すればいいのか悩む。とりあえず相槌だけ打ち続ければ先輩的にも満足か?
「話を続けるが、夕美に振り回されてたら水着姿とか寝姿とかなんにせよいい思いができたんだ。夕美だけでなく文香のもな」
「はぁ、それはよかったんじゃないですか?」
「そうだな。それに加えて夕美のおかげでいわゆる青春というものも味わえてこの部活からはたくさんの物が得られたと俺は思う」
「じゃあ、この部活に入ってよかったんですね」
「まぁ一応な。俺みたいなクズな人間でも青春できることをあいつらと一応先生から学ばされたさ」
「羨ましいですね」
「俺より立派に生きてそうなあんたならもっといい高校生活が送れるさ。夕美や文香に劣らない美少女達も一緒にいてくれるんだし」
「そうですか。俺も先輩みたいにこの部を満喫します!」
こんな気怠げな先輩からも青春なんて言葉が出るんだな。この先輩にこうも言わせる相葉先輩や鷺沢先輩との関係が気になるが、野暮だろう。
部室の中から俺たちを呼ぶ相葉先輩の声が聞こえる。
「おーい、憧人!清崎君!準備できたから入っておいでー!」
呼ばれて入る男二人。中に待っていたのは、バニーガール衣装で身を包んだ...
「うぅ...恥ずかしいです。みんなスタイルいいから私だけ浮いてる感じがします」
腕で出来るだけ全身を隠そうとしている高森さんに、
「ふふん、どうですか清崎君!スケベさんな清崎君の目にはさぞ魅力的なユッコ達が映ってるでしょう!私に感謝してください!」
胸を張って堂々と立つユッコに、
「「憧人(さん)!」」
生田先輩の腕を引っ張ってそれぞれ胸に抱え込む相葉先輩と鷺沢先輩に、
「うっふーん☆バニーなはぁとが青少年のハートをメロメロにしちゃうぞ〜☆」
歳を考えろと言いたいが、残念ながら5人の中で一番ノリノリで着こなしてそうな佐藤先生がいた
Q.物語の序盤だけどイチャラブ描写が書きたい!どうすればいいですか?
A.本筋とは関係ないバカップルを出して主人公達に見せつけましょう。
この調子でゆっくり更新することになりそうなので、ぼちぼち応援いただけると励みになります!