「私達の手で日常記録部が始動しちゃいましたね。」
「そうだな。先輩達もいないし不安なことだらけだけども。」
「普通はこういう活動って年上の人に教わりながらするものですよね。でも、こういう一から作る部活動もいいじゃないですか。」
「そうかもな。各代がそうやってこの部を維持して来たんだから、それも伝統だろうよ。」
「とはいえやっぱり何か参考になるものが欲しいような...昨日読み損ねた過去の日記でも読みませんか?何か役に立つかもしれません!」
高森さんが言う通り、過去の日記を読んでみようと箱を漁る。昨日探したのでおおよその中身は覚えている。先代のが一番参考になるだろうか。『21st Dairy Record club Aplil 11- November 7, 2019』と刻印されたレザーの冊子を見つけて高森さんと目を合わせる。
「なんだかおしゃれな日記帳ですね。この文字なんて焼いて入れたんじゃないんですか?力を入れてこの日記を作ってるのがわかります。」
「大きさも持ち運びにちょうどいいサイズで便利そうだ。表紙も紙も材質がよくて丈夫そうだ。」
「さすが男の子、目の付け所が現実的ですね。丈夫そうだからって乱暴に扱わないでくださいねっ!」
「俺そこまでガサツな男子じゃないよ。」
そのまま日記を開き二人で読み始めようとする。すると、一枚の可愛らしいメモ用紙がハラリと落ちてきた。花柄のメモ用紙にはこんなことが書かれている。
『21代目日常記録部部長の相葉夕美です!この日記を読んでくれているってことは新入部員かな?はじめまして!入部ありがとう!もし先生が読んでたらそっと戻してくれると嬉しいです♪この日記を開いてくれたってことは右も左も分からないこの部のあれこれを私達の活動から参考にしたかったんだよね?でもごめんね?この日記の最初の方は文香ちゃんの読書感想文か憧人のほとんどまっさらなページばかりであんまり参考にならないと思うんだ。だから私達の最後の日記帳の余ったページにいろいろ書いておいたから是非参考にしてね!』
確かに相葉先輩が書いた通り、この日記の最初の方は読書感想文と空白ばかりだ。相葉先輩が出てくるのは6月くらいまで待つことになる。むしろどうやってこの二人で部活動を回したのか気になるが、日記の情報量は鷺沢先輩が読んだ本の内容と感想以外にほとんどない。
「じゃあ、こっちの一番最近の日記に私達へのアドバイスが書いてあるわけですね。」
と、俺が一冊目を流し見してる間に探し出したのか高森さんが目当ての日記を手に持っていた。
「日記本文読むのは後でいいか。先輩達もちゃんと後輩を気遣ってくれて嬉しいな。」
「私達が卒業するときも先輩達を見習って何か残さなきゃですね!」
二人でアドバイスを読み始める。
『日記を書き始めよう!内容は何でもいいからその日にあったことやしたことを書いてね。でもぎっしりとまでは言わなくても十分読めるものにしようね』
おおよそ佐藤先生から聞いたような話が最初に出てくる。初めて知ることは一冊目は先輩達が買った日記帳だということ、表紙に文字を入れる道具がこの部屋にあることとその使い方、書いたら面白くなるネタの見つけ方などなど知りたい情報がたくさん載ってた。それを読んだ高森さんは鞄から何かを取り出す。
「あのっ!私、このトイカメラを使ってよく写真を撮るんです!撮った写真を日記に載せるのっていいと思いませんかっ!」
「いいんじゃないかな。文字とは違った味が出て面白いかも。」
相葉先輩もよく花の写真載せてたし何をどう記録するかは自由なのだろう。相葉先輩も大概花の観察記録となってて他の二人のことどうこう言えそうな内容じゃなかったし。さて続きを読もう。日記以外のことも知りたい。
『日常記録部にはなんと!専用の花壇があります!校内でいろんな花を育て放題な組織なんてうちくらい...』
このあとにも校内で育てるのに適した花の種類と育て方、詳しい先生、近所の園芸用品売り場など10ページほど書かれている。
「高森さん。これは後回しでいっか?」
「そうですね。こういうの嫌いじゃないですけど、相葉先輩には悪いけどいろいろと落ち着いてからでいいかな。」
すみません相葉先輩。お花に溢れる日常記録部はしばらくお休みです。
『日記以外の活動内容についてなんだけど、申し訳ないけど本当に何も決まってないんだ。私達は市内の小中学校の子供たちと一緒に花を植えるボランティアに行ったり、ちょっと遠出して合宿とかしたりしたよ!顧問の先生達と相談はしないといけないけど自分達で企画してやってみるのはすごく楽しいから、好きなことをみんなで協力してやってみるのもいいと思うよ!』
「まぁ、こういうのはそのうちやりたいことが見つかるんじゃないかな。今のところ思い浮かばないけど。高森さんも何かやってみたいことがあれば、教えてくれたら是非手伝うよ。」
「清崎君ありがとうございます。でも私も思い浮かばないかなぁ。何かすごいことができるといいですねっ♪」
「だな。ちょっと特殊な部活だし普通では味わえないことしてみたいな。」
先代は相葉先輩がすごくアグレッシブで他二人を無理矢理引っ張っていたような気もするが、まあ口には出さないでおこう。それに比べると今のところ高森さんとは部活への温度差は無さそうなので揉めることも無さそうだから安心安心。
『最後に部室に置いていいものなんだけど、火を使う物じゃなかったら大体なんでも置けるよ!私達の代でだいぶ校則が緩くなったからパソコンとかゲーム機とか好きなように持ち込んでいいよ!ワイファイも飛んでるから結構動画の調べ物なんかにも便利だったよ!生田君は文句は言ってたからオンラインゲーム?には向かないかもしれないけど。せっかく女の子が二人もいるんだから三人で遊べばいいのに...一人で過ごす空間じゃないからちゃんと話し合って部室を彩ってね!私達が次部室に来るとき楽しみに待ってるよ!』
「つまり、見たこともない先輩がいつかやってくると?」
「相葉先輩なら話しやすそうでいいじゃないですか。いろいろと経験豊かでさらに大学生になってるんですから面白い話をしてくれるかもしれません。」
「花に関しての話なら絶対に参考になるのは分かる。」
「ところで清崎君はどんな部室にしたいですか?」
「うーん、特に思い浮かばないかなぁ。高森さんは?」
「例えばですね隠れ家的なカフェみたいな感じにできたらいいですね。ゆったりめの音楽を流しながら部屋の隅で静かにお茶を入れてゆっくりとした時間を過ごせる空間が作ってみたいです♪」
「いいね。大まかなレイアウトは高森さんに任せてもいいかな?こういうのってあまり馴染みがないからさ。」
「はい!任されました!そういえば清崎君ってどっちの方角へ帰るんですか?ちょっと一緒に寄ってみたいところがあって。」
「港の方だけど自転車だからちょっと遠回りでも大丈夫だよ。」
「そうですか!参考にしたいカフェがあって一緒に行きませんか!?」
「そういうところ初めてなんだけど、こんな自分でも大丈夫かな?」
「大丈夫です!もういい時間ですし早く行きましょう!さあ!」
というわけで高森さんの気迫に負けて日記を持って部室から去り、先生に鍵を預けてカフェへと向かうのであった。今日は自分が書くのでいいんだよな?
大変お待たせしました。序盤の展開が思い浮かばない上に、リアルの方が忙しかったり、他の短文に浮気したらしてこちらを疎かにしてました。次の投稿を約束はできませんが書きたいことはたくさんあるのでゆっくりと書いていきたいと思います