高校生活3日目。クラス内で親睦を深めるためにレクリエーションが行われる。と言っても近い席で集まってのパーティゲームみたいなものだが。こういう方法は高校生的には幼稚な遊びのような気もするが、実際企画者の思惑通りに、ゲームを共にした人の顔と名前をなんとなく覚えることができたし普通に楽しかった。さすがは幼稚園の頃からやってた記憶のあるベテラン遊戯だ。
「おい清崎、食堂行かね?」
「細見か。よし行こう。他も誘うか?」
「いや、他の奴らも集まってるらしいから別にいいだろ」
人脈はありがたい。そもそも他の奴らはこの辺りの人間なんだから既にグループは作られているだろう。一人と繋がれば一気にグループに入れてぼっち回避というわけだ。ゆるい絆のありがたさに感謝だ。細見という名字に似合わない誘ってきた巨漢は、同じグループでレクリエーションをしたクラスメイトだ。見た目通り性格もパワフルな人間で他に説明できることはない。
「おにぎりが一番安い。しかし、コスパで言うとうどんの方が上か?」
「おいおい、そんなケチケチしてたらデッカくなれないぞ!」
「俺文化部だからそんなに食べる必要ないわ。あと、いくらデッカくなるからと言ってもカツカレー大盛りに唐揚げ付ける方がおかしいと思うが」
「今日は初めての食堂で様子見してたんだがお前も少ないと思うか?」
「多すぎだわ!」
そのまま食事を受け取った俺達は細見の案内で彼らのグループへと案内される。一目で分かる運動部のノリ。暑苦しいが頼りになりそうな連中だ。
「よっす!清崎君だっけ?俺前田!よろしくな!」
「清崎です!よろしくお願いします!」
「ところで部活決めた?まだならサッカー部入らね?清崎君運動できそうだし絶対活躍できるよ!それに、サッカー部は結構モテるよ〜」
「ごめん、もう部活決めたんだよね。日常記録部ってとこ」
「ふーん、よく知らないけど文化部っぽいな。いい人材だったけどもったいない。けどしょうがないか!」
さすが、サッカー部のイケメン。女子にモテそうな馴れ馴れしさにいい引き際。チャラそうに見えてオフサイドに引っ掛からなさそうな状況把握能力だ。サッカーの戦術知らんけど。
自分も合わせて8人のグループとなり、みんなから自己紹介される。ほぼ全員運動部で一人だけ吹奏楽部もいたが、あれも実態は運動部みたいなものなので、まともな文化部は俺くらいだった。
「ところで、日常記録部?って何する部活?」
「毎日起こったことを交代で日記に書く部活」
「それ楽しい?」
「さあ?先輩の活動見る限りは楽しそうだったけど」
「ふーん。変わった部活もあるもんだねぇ」
「そのくらいのアバウトさでいいさ」
「変わった部活といえば、あそこで勧誘してる子見てみ?」
そう言われて指された子を見る。その元気そうなポニーテールを揺らしながら『超能力研究会部員求む!』と書かれたプラカードを掲げている。
「あいつ同じ中学の堀裕子っていうんだ。自称超能力者を売りにしてる」
「ふーん?」
「中学はそんな変なことする部活なかったから帰宅部だったんだけどさ、高校になって創部ができるとなってからあの調子なんだよ。お前の部は暇そうだから助けてやれば?」
「オカルトには興味ないな」
「そりゃそうだ」
噂話に気がついたのか件の堀裕子とやらが近づいてくる。
「前田君!もしかして私の噂話をしてましたか!?」
「うん、してたな。こいつが超能力に興味あるってよ」
「本当ですか!?是非私と一緒に超能力研究会を作りましょう!ところであなたは誰ですか?私は堀裕子!超能力者です!」
「C組清崎霍弥。こいつが適当言ってるだけで別に超能力に興味ないからな?」
「えー!?いや、でも、とりあえず入部しません?やっていくうちに興味持つかもしれません!」
「いや、もう他の部に入部してるし」
「それなら名前だけでも!創部には5人必要なんです!週一しか来ない幽霊部員でもいいですから!そういえば幽霊部員って響きってなんかよくないです?」
「今何人集まってる?」
「...私一人です」
「希望なさそうだからやめとくわ」
「ちょっと!?ほんの少しだけ興味持ってくれたと思ったのに!あなたは意地悪ですね!」
「勧誘頑張ってな〜。他に二人集まったら考えてやってもいいぞ〜」
「入部希望者見つけて見返してあげますからね!」
元気な自称超能力少女は、ぷんぷんしてますといった足取りで去っていった。
「意外と食いつきいいじゃないか。あんなんでもルックスとコミュ力だけはいいもんな」
「どうせ今の部活も暇多そうだし、超能力同好会とやらもどうせ暇だろ。そのくらいの手助けはしてやってもいいかって思っただけよ。あと、性格が合わないだろあれは」
「あいつに告って振られた奴結構多いからな?なぁ細見?」
「掘り起こすな前田ァ!!」
「ご愁傷様です。細見お前マジか」
「笑いたきゃ笑え」
「怖いからやめとく」
「それはそれで辛い」
仰天エピソードを含めた馬鹿話は意外と盛り上がった。結構女子には聞かせられないような話も含めて。食堂という公共の場なので周りの女子から痛い目線を受けていたが告白をバラされた漢、細見の恥に比べれば大したことないさ。
時は進み放課後、今度は迷わずにちゃんと行けた日常記録部部室にて。
「ってなことがあってな。どう思う高森さん?」
「超能力ですか...ごめんなさい私そういうの詳しくなくって」
「まあ俺もだがな」
昼に食堂であったことを要点だけ押さえて高森さんに話す。なんとなくカッコつけて条件付けてしまったから割と重要な問題だ。
「それで、その部活は人数が集まりそうなんですか?」
「無理だと思う」
「知らない人ですけど、せっかく高校に来てやりたい活動ができないなんて可哀想ですよね」
「俺もそう思ったから残り二人は俺らの名前貸してもいいかなとは思ったけどさらに二人はなぁ」
「えっ?もしかして私の名前勝手に使われそうになってました?」
「万が一そうなるかもしれないからこの話題してる。ちゃんと許可は取るつもりだったよ?」
「まあいいですよ。今はやることあるけど、多分暇になりますしね。もしそうなったら私も名前出してもいいかな」
「よかった。高森さんなら協力してくれると思った」
「私もみんなが幸せに学生生活を送れた方がいいですしねっ♪」
というわけでちょっとした雑談を終えて、昨日の部室作りの計画に取り掛かろうとする。すると元気な音を立てて部室のドアが開く。
「おっまたせー☆あれ?思ったより二人とも仲良くなってない?やっぱりはぁととは時代が違うわ☆」
そういえば、先生が何か準備するって言ってたような気がするな。
ようやく私の一番の担当であるユッコの登場です。いやあ時間的に長かった。評価や感想を頂けたら私がめちゃくちゃ喜んだり参考にしたりするのでよければお願いします。しゅがはのキャラ把握しきれてないから次回が怖い...