アオハルダイアリー   作:しろいくろねこ

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この調子で頑張ってほぼ毎日更新を続けたいですね。


9話 DIY

 入学してから初めての土曜日。俺と高森さんは部室で木材や器具と向き合って作業している。前日までに部屋の採寸や設計図の制作を行っているので、あとは加工して取り付けるだけだ。俺は柱の木材をノコギリでカット、高森さんは天板に金具を取り付ける作業をしている。技術の授業以来にこういう作業をするが、自分たちのために作るとなるとなかなか楽しい。今度はもうちょっと複雑なものに取り組んでもいいかもしれない。

 

「柱の位置合わせしたいから完成した天板もらえる?」

「大丈夫ですよー」

 

 めちゃくちゃ順調に作業が進んでいく。俺も高森さんも奇抜なことをしない人間なのがよかったのかもしれない。佐藤先生に関わらせたら大変なことになりそうな...でも、あの先生は服を作ってるから案外丁寧に仕事をするかもしれない。

 

「思っていたよりも順調ですね」

「もっと大変だと思ってたな。図工や技術の時間で結構時間かけていろいろ作ってたからね」

「授業で何作りましたか?私は本棚作りました!」

「俺も本棚作ったな。組み立てに手間取ってたような?」

「私は切るのが大変でした。切り方はわかるんですけどゆっくりやってしまうんですよね」

「このディアウォールは組み立て家具みたいになってて本当に作りやすかったな」

「はいっ!こんな感じならいつかまた何か作ってもいいかもしれませんね♪」

「それで...めちゃくちゃ早く終わりそうなんだけどどうする?」

「そうですね、とりあえず掃除して、棚におうちから持ってきたものを置いてあとは何しましょう?」

「仕方ないから今日はこのくらいでお開きにするとか?」

「そんな感じですかねー?」

 

 そんなこと喋っている間に柱の位置合わせが終わり、天板の金具付けも終わっていた。あとは天板を取り付けてスマホアプリで水平を確認するだけ。完成だ。

 

「わぁ、雰囲気は出てます。でも、ちょっと彩りが足りない?」

「一回物を置いてみようか」

 

 各自持ってきたものを広げる。俺は猫の置物と、修学旅行で買った置き場に困ってた白熊のスノードーム、そしてトランプなどのカードを使うような収納にスペースを取らない簡単なテーブルゲームをいくつか持ってきた。地元が田舎過ぎてスマホを持たせてもらえない子がいたからその子と遊ぶためにこういうのには詳しい。高森さんは何を持ってきたのだろうか。猫の意匠が施された置時計やティーカップにティーポッド、それに缶ケースが見える。猫の置物としては実用性で負けたような気がする。けど、猫は何匹いてもいいので大丈夫。ティーカップやティーポットは部室でお茶でも淹れるのかな?

 

「そのケースの中には何が入ってるの?」

「お菓子やティーバッグを入れてます♪まだ電気ケトルがないのでお茶は作れませんがお菓子は食べていいですよ」

「後でもらおうかな。じゃあ持ってきたものを置いていこうか」

 

 上から一段目に俺が持ってきたものを、二段目に高森さんが持ってきたものを置く。高森さんが持ってきた時計で遊んでいる猫の屋根の上で、俺の猫の置物が我関せずといったように気ままに寝ているように見えるのがかわいらしい。スノードームやティーセットも彩りを感じさせる。

 

「いいんじゃないかな」

「私もそう思います♪よかったですねっ!」

「そうだな、俺も自分のカップ持ってこようかな」

「別に私が持ってきたものを使ってくれてかまいませんよ」

「いやー、柄が一緒だからもし混ざってしまったらなんだか申し訳ないし」

「あっ、そうですね!じゃあ清崎君お願いします!」

「任されました。うちにもお気に入りの湯呑があるからね」

「清崎君って意外とそういうこだわりあるんですね」

「まあね」

 

 いろいろと終えたところで、お掃除の時間だ。作業で出た木くずがたくさん散らばっている。とはいえそれ以上の問題もある。

 

「この部室ってちょっと埃っぽくない?」

「そうですね。気にはなってましたけど言い出す機会がありませんでした」

「先輩たちが卒業してからしばらく経ってるもんね。今日は大掃除にしない?」

「賛成です!でも、その前にちょっと早いですけどお昼にしません?汚れた服でご飯食べるのはちょっと嫌です」

「そうだな。何が食べたい?」

「清崎君は何が食べたいんですか?」

「なんでも食べられるから高森さんが決めてくれたらうれしいな」

「たくさんは食べられないけど、私もなんでもいけるので清崎君が決めてください!」

「そういわれてもこのあたり詳しくないしなぁ。できれば高森さんに教えてもらいたいな」

「むぅ...そう言われると弱いです。では、駅のほうにおいしいスパゲッティが食べられるお店があるのでそこに行きましょう!」

「助かるよ、高森さん」

 

 よくありがちな問答の末に高森さんに主導権を握らせることに成功した。変なお店に連れて行っても申し訳ないし、しばらくは高森さんの好みの傾向が知りたい。ちなみに、スパゲッティはすごくおいしかった。さすが高森さん。その後、スーパーで必要そうな掃除道具やジュースを購入し部室へと戻る。

 

「廊下の掃除用具入れからほうきとちりとり取ってきたよ」

「ありがとうございます!どう掃除しますか?」

「俺濡れ仕事するよ。窓一通り拭いてから、高森さんが掃いてくれた机やいすや床を拭こうか」

「いいんですか!?肌があまり強くないので助かります!」

「いいっていいって。手を汚すのは結構慣れてるし」

「なんだかダーティな仕事してる人みたいなセリフです」

「それっぽい服着て『闇の掃除屋だ』みたいなこと言ってそう」

「はぁと先生に言ったらいろいろ揃えてくれそうです♪」

「そのぐらいなら受け入れられるけど...」

「じゃあ先生に頼んでおきますね♪」

「お、おう...」

 

 その後も駄弁りながら分担して掃除を続けていく。過去の日記を入れた段ボールや机には指でなぞると確認できる程度に埃が積もっている。先輩達は受験勉強に卒業、そして入試と数ヶ月はちゃんと掃除できてなかったんだろうな。もし俺達が入部せずに、この部室がずっと埃を被り続けて先輩達が戻ってきたら多分悲しんでたろう。日常記録部が続いた今となっては、そんな未来は来ようがない。

 

「これからの部活はどうします?」

「これからって?」

「明日からのことです。今週は入学したばかりで非日常感があっていろんなことがあって楽しかったですが、高校生活はまだ三年もあるんですよ。どうやって部活動をして過ごせばいいのかなぁって思って」

「部室でお茶飲んでお菓子食べて宿題して遊んでって感じでいいんじゃないか?非日常はたまにしかないんだから楽しいんだし」

「でも、そうするとしたら他の部活と比べるといつも同じようにただのんびりしてるだけのような気がしません?」

「運動部だって毎日同じようなことして体に動きを染み込ませてるだけだぞ。この部も同じようなことを繰り返せばいいんじゃないか?『日常』記録部なんだし」

「そういうものなんですかね?」

「そういうものなんじゃない?」

 

 先週、クラスメイトにこの部の何が楽しいか聞かれても何も答えられなかった。おそらく、しばらくはずっと同じ解答になるだろう。俺と高森さんと、伝統的に来るとされているもう一人の部員、この三人でこの部活動の存在意義を見つけることがこの部の目標となるのかもしれない。

 

「まぁそういうことはゆっくり考えていけばいいんじゃない?まだ三人目も来ていないんだし」

「そうですね。なんだか柄にもなく焦っちゃいました。まだ二人ですもんね」

 

 そのまま掃除を終えて、軽くお菓子を食べて帰るのだった。

 

2022年4月16日(土) 清崎霍弥

 今日は部室にディアウォールを作った。思ったよりも手際よく進んですぐに完成。俺と高森さんがそれぞれ持ってきた猫のグッズが大変可愛らしい。

 お昼には高森さんの紹介で洋食屋さんへ。おすすめのカルボナーラが大変美味しい。これはまた行きたい。

 後片付けの掃除中に今後の活動について話し合ったがあまりいい案がその場では思い浮かばなかったので、帰ってから思い浮かんだものを列挙してみる。高森さんはどう思うだろうか。

・市内散策(主に土地勘のない俺のために)

・部室に置きたいモノの捜索や創作

・夕美先輩おすすめのガーデニング




藍子ちゃんのゆるふわ感を出すのってなかなか難しいですよね。ユッコP的にはジュエリーズのドラマでユッコに毒吐く藍子ちゃんの印象が強いので尚更です。
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