Heaven Burns Red from REAL×EYEZ 作:桐生 乱桐(アジフライ)
あのノリは再現できてないかもですけど暇が潰せたらいいとは思う
0日目
ある日、世界は唐突に終わりを告げた
外宇宙から飛来してきたキャンサーと呼ばれる謎の生命体によって、あっけなくも簡単に滅びの一途を辿っていった
キャンサーには通常兵器が一切通用せず、そのまま人類は奴らに敗北、今では陸地の大半はキャンサーの支配下だ
比較的日本は安全ではあるが、それもいつまで続くか分からない
それでも今を懸命に生きようとしていたある日、―――軍服を着込んだ軍人っぽい人から突然スカウトを受けたのだ
意訳すると、〝君の力を貸してほしい〟とかなんとか
こんな状況を自分一人でひっくり返せるとは思ってないし、それでも何かの役に立てるのなら、とその時の自分は承諾した
で、今現在
(―――きっまずい…!!)
安請け合いしたことを多少なりとも公開しつつある今日このごろ
現在自分―――
なんでこんなところ来てしまったんだろうか、周りはどういうわけか基本的に女子ばかり
ごく少数の男性はいるっちゃあいるがそれでも比率は圧倒的に9:1で女性が多い
普通の一般男性ならなんだこのハレムひゃっほうとか調子に乗らないこともないかもしれないが、正直そんな感情なんて一ミリもわかないのが現状である
っていうかなんでこんなに女子が多いんだろう
そもそもよく見たらなんか雑誌やテレビとかで昔見かけた人たちもいるような気がする
見かけたのが崩壊前だったからか記憶があいまいだ
『―――このように、本基地は学校としての体裁が整っています。詳細は後ほど担当教官から説明がありますので、各自確認しておくように』
上の垂れ幕に〝入隊式〟と描かれた看板のある壇上で、女性の教官は話をしている
それはそれとしてこういういわゆる先生のお話というのは長いものである
先ほど学校という言葉が出たが、今となってはほとんどの学校は閉鎖されているから、そういう体験ができるのなら貴重なのかもしれない
状況が状況なら、アルトも多少は喜べただろう
でも同時に本基地、とも言っていたからやっぱり軍とのしての体裁もあるのだろう
ますます自分がなんでここにスカウトされたのかよくわかんなくなってきた
「ORCHID! アンタORCHID好きなのかい!? あの〝ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!〟って叫び散らして魂をふるわせる、あの伝説の激情バンド!!」
なんか聞こえてきた
テンション高っ
どうやらある一角にいる女の子が発したようだ
それに応えるかのように隣の女の子が返す
「な、なんだよそのテンションの変わりよう…それにそんな叫び散らすロックバンドなんてやだよ…」
若干引き気味な銀髪?の女の子が応える
しかしその横の薄茶色っぽい短髪の女の子は止まらない
「いやいやなんでさ! イライラが募ってもう自分を制御できない解き放ちたいっ! て時にお前どうすんの!」
「どうすんのって…そりゃあ少しは他人に当たるかもだけど…」
「ぇえぇ!? 普通〝ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!〟って叫ぶだろ!」
「叫ばねぇよ!? 叫んでもそれは選ばねぇーよ!?」
「でも黙ってるなんてこともないだろ」
「そ、そりゃあくっそー! とか、それくらいは言うかもしれないけど」
「そいつはもう〝ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!〟じゃねぇか!」
「どの辺が!? 天と地とまではいかないけど結構な差があるよ!? っていうかハッカー集団の説明進んでなーい!! 説明させろ―! オーキッドの話をさせろぉー!」
「ORCHID! アンタORCHID好きなのかい!? あの〝ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!〟って叫び散らして魂をふるわせる、あの伝説の激情バンド!!」
「コピペしたみたいに最初のセリフ繰り返すなー!! 怖いわ! 同じ言葉延々と繰り返すNPCか!! 科学の力ってすげーおじさんか!! デバッガーも〝ここもう少し作りこみましょう〟って提案するレベルだわ!!」
(なんかやべー人たちいる…)
別の意味で震えてきた
っていうか、オーキッド…? そういえばそういう名前をどこかで聞いたことあるようなないような
『そこ、ギャーギャーうるさいぞ』
(あ、怒られた)
ついに壇上で話している教官的な女性から一言言われた
まぁさすがにこれであの女の子も静かになるだろう
「ギャーギャーなんて一言も言ってねぇーよ! 〝ギャイアグレイーイボドドドゥドオー!〟だぁぁぁぁっ!! 魂の叫びなんだよ! こんちくしょうがっ!!」
まさかの怒鳴り返し
それは流石に予期してなかった、あの子想像の斜め右上を余裕で超えていく
一周回って三周する勢いだ
周りのほかの女子も「何あの人…」とか「司令官に向かってすごい言葉遣い…」とか至極全うな言葉を呟いている
「いやいや、初日で周りが引くほどキレるなよ! 目立ちすぎだから!」
「っとと。ごめんごめん。ちょっと興奮しちゃったみたい。もう大丈夫」
〝ちょっと〟?
え、あれで〝ちょっと〟なの?
正直言葉を交わす機会があるかどうかわからないけどうまく話せるかもう心配になってきた
たぶん横の子も〝初日からすげー奴に話しかけちゃったなぁ〟って思ってるかもしれない
と、そんな時だ
ブォーン、ブォーン、とサイレンのようなものが鳴り響いた
『全員、防衛体制へ移行をお願いします』
士官っぽい女性がそう答える
これは軍事的知識に疎いアルトでも何となく察しはついていた
早い話―――〝戦争〟が始まるかもしれないのだ
◇◇◇
とりあえず案内の元、一度体育館のような建物から出た後、外の方へ向かってみる
防衛体制、とは言われたが正直それが何であるかもわからない
目の前を走っていると、視線の先に壇上で話していた軍人の女性と、士官の女性、そしてボドドドゥドオー系の女の子とオーキッド系の女の子がいた
「あ、アンタは」
足音に気づいたボドドドゥドオー系女子に話しかけられた
それに合わせてオーキッド系女子がこちらを振り向く
「数少ない男の人だ」
「いやその通りなんだけど。もっとなんか…いやないな、うん」
「ないのかよ。…いや、こんな状況じゃ仕方ないか」
ボドドドゥドオー系とオーキッド系の言葉にアルトはそう返した
「とりあえず名前だけでも。俺は飛嵜アルト。どうしたの立ち止まって」
「茅森
「和泉ユキってんだ。いや、司令官に呼び止められてさ」
確か軍人の人ってこの基地の司令官的な人だったな、と思い返す
ボドドドゥドオーのインパクト強すぎて忘れるところだった
「七瀬、状況は」
司令官の言葉に七瀬と呼ばれた女性が応えていく
手慣れているかのようにとてもスムーズだ
「先ほどキャンサーの群体が第二次防衛ラインを突破。三十分後にはこちらに到達する予定です。しかし敵の数は多くなく、哨戒部隊だけでも対応は可能かと」
「そう。…いい機会だから、あなたたちにも後方支援をしてもらおうかしら。急いで出撃準備を整えて」
「あ、あたし等!? ウソだろ!?」
「そういえばあの人だれ?」
「いやいや、司令官だよ。…名前は知んないけど」
「なんで知んないんだよお前も聞いてなかったクチか! 手塚司令官な!」
和泉のツッコミが冴えわたる
半分くらい君らのせいなところもあるがそこはアルトはグッと堪えた
「時間もないから、手短にブリーフィングを済ませるわ。よく聞いておくように」
「待って。そもそも出撃って」
「読んで字のごとくよ。あなたたちにも戦って、足止めをしてもらうわ」
すごいこと言ってきた
今日招集されたばかりなのにもう実戦に赴くとか展開が早すぎる
「んな無茶苦茶な…」
「安心しなさい。私もすぐ近くでサポートするわ。何があってもすぐに助けられる位置で。―――では、出撃!」
手塚司令官の一声で出撃する運びとなる月歌とユキ
大変だなぁ、と思っていると七瀬士官がアルトに向かって
「貴方もですよ」
「デスヨネ」
逃げられなかった
◇
集合地点である橋へと向かって歩いていく
途中ピンク髪の関西弁を話す女子や小さい女の子やフード被った女の子とかとすれ違った
冷静に考えるとここ個性多すぎじゃあなかろうか
なんだかんだ考えているといつの間にか橋にたどり着いていたようで、そこには七瀬士官と茅森、そして和泉がいた
「来ましたね。改めて状況を言いますと、現在キャンサーの群体が第三次防衛ラインまで近づいています。準備はよろしいですね?」
「いける」
「マジかよ。急に動員されたのにもうやる気あんだな、すげーなお前」
「肝が据わってんのかもしれないね」
ガッツが凄まじいともいうのか
あるいは何も考えていないのか
「それではご案内します」
Prologue 終わる世界と入隊式
七瀬士官に案内されてやってきた前線
そして崩壊した街並みを改めて視認するとキャンサーの脅威度を再確認する
果たして自分たちはキャンサーと戦うことなんてできるのか
「しっかし、随分寂れた場所に来たな」
月歌の言葉にアルトは心の中で同意する
ここも以前は人にまみれて活気に満ちた場所であったのだろう
それも今となっては人っ子一人おらず、あるのは廃墟と化した街並みのみ
「安心しなさい。ここは激戦区ではないから、集中して戦えば、死ぬことはないわ」
「そ、そんなの気休めにも―――!! お、おいあれって…!」
なんかカバンのようなものを持っている手塚司令官の言葉に和泉が言葉を返そうとしたとき、彼女の視界に何かが見えたことに気づいた和泉は言葉を止めてその視線の先を指さす
「なぁ、向こうにいるのって…!」
和泉ユキの視線の先
そこには一体のナニカが佇んでいた
丸っぽい物体からクモみたいに四本の足のようなナニカが生え、突っ立っている
丸物体の真ん中には目のような丸い印のようなものが見える
「…なんか昔見たアニメにそれっぽいのいたような」
「あ。アルトも? あたしもなーんかそのアニメ思い出してさ。けものフレンズだっけ」
「うんうん。あんなデカくないけどそれっぽいのいた気がする」
「緊張感ゼロかお前ら!! 一歩間違えば死ぬんだぜ私ら!!」
クソどうでもいい言葉を口走るアルトと月歌に対してツッコむ和泉
最早立ち位置が何となく決まってきているような気もしてきたが、自分もボケに回るといよいよ和泉が過労するので適度にボケることにしよう
「…んん。あれがあなたたちの敵、キャンサーよ」
手塚司令官の一声で何とか現実に引き戻される
「…しかし、さっきも言ったけど目の当たりにするとデカいな」
「あぁ。今まではデータでしか見たことなかったけど…圧が半端ないな」
「あんなん相手にどー戦うのさ」
「こちらに来なさい、これから戦う方法を教えるわ。まずは飛嵜くん以外の二人、こっちに」
え、とアルトは目を丸くする
こんな状況でハブられるはずはないとは思うが
二人と顔を合わせ、とりあえず頷きあうと月歌と和泉の二人が手塚司令官のとこへ歩いて行った
「二人は〝セラフ〟と呼ばれる武器を扱えるようにすでにこちらで手配済みなの。あとは電子軍人手帳をかざして、セラフィムコードを口にするだけ。それであなたたちのとこにセラフが舞い降りるわ」
いきなり変な単語が出てきた
ファンタジーかな?
「セラフィムコードはそれぞれの電子軍人手帳に記載されてるから、確認してちょうだい」
手塚司令官に言われ、いそいそとそれぞれ電子手帳を取り出す
少し探す動作の後、先にコードを見つけた和泉がそれを口にした
「私のは…これか? 〝HelloWorld〟」
彼女がそれを口にした途端―――空が割れた
急に空がねじ曲がったと思った刹那、ワームホールのようなものが生成され、そこから彼女のセラフであろう丸いナニカが現れたのだ
呼び出した当の本人は口をパクパクさせながらフリーズしている
「なんか武器みたいのが出てきてるな」
「なんでそんな冷静なんだよ! 結構すげー絵面だよこれ!」
「輪っかにしか見えないぜ? あれでどう戦うの? 殴るの?」
「お前もか!! いや輪っかに見えるけどたぶんあれ銃の類! トリガーみたいなの見えたもん!」
よく見えたな
「それがあなたたちの武器、〝最終決戦兵器セラフ〟よ」
「えーっと…あたしのこれかな。〝あたしの伝説はこれから始まる〟」
月歌がそれを口にした途端、和泉の時と同じ現象が起こる
空がねじ曲がり、そこから現れたワームホールから二刀一対の剣が出現してきたのだ
「うぉー出てきた! ってかあたしのコードだっさ!!」
「あなたたちなら意のままのはず。次に飛嵜くん」
「は、はい」
言葉を投げかけられ、アルトは手塚司令官の方へと振り向いた
彼女はずっと手に持っていたカバンを開けると、そこから何かのデバイスを取り出してアルトの方へと手渡した
よく見るとこれは入隊式のちょっと前にやった小検査で自分が腰に取り付けたやつだ、とアルトは思い出す
「何このベルト…ベルト?」
「特撮のデラックス玩具みたいだな」
月歌と和泉が思い思いの反応を口にする
正直反応を返してもよかったが、手塚司令官に何言われるか分からないのであえてスルー
「あなたに使ってもらうのは、この〝ゼロワンドライバー〟よ。既に使い方は、少し前のでラーニングしたはずね」
「…あ! あの時の小検査って、まさかこのために…!?」
ベルトをつけた時、なんでか知らないが意識がどこか別の場所へと飛んだ記憶がある
あの時はなんか夢でも見たのかな、と思っていたがまさかあの夢っぽいのは使い方を学んでいたようだった
手塚司令官に指摘され、意識の外で学んだアレコレが思い出される
「今回は私もいるけど、貴方の任務は彼女たちの〝守護〟無理のない範囲で、今はあの二人を守ってあげて」
「わかりました。とりあえず今は、目の前の仕事から片づけます」
手塚司令官の手からベルト―――ゼロワンドライバーを受け取ると、もう一つ手塚司令官はこちらに何かを投げ渡す
それはプログライズキーと呼ばれる代物だ
アルトはそのプログライズキーを持ち直すと親指でライズスターターを押して、そのキーを起動させる
<ジャンプ>
そのままアルトは腰のドライバーのオーソライザーへとキーを持っていってプログライズキーを承認させて、閉じられていたプログライズキーを開いた
<オーソライズ>
刹那、月歌や和泉の時と同じく空がねじ曲がる
違うのはそこから現れたのはセラフでなく、〝バッタ〟だということ
「なんだありゃ!」
「バッタが出てきた!? もう何でもありか!!」
バッタはその辺を縦横無尽に飛び回り、何かを待っているかのようだ
そう、待っているのは自分の言葉と覚悟
あとは以前ラーニングした通りに、ベルトにキーを入れるだけ
そしてこの言葉が、実質自分の〝セラフィムコード〟となるだろう
これから先どんなことが待ってるか想像もつかないが―――まずはこの初陣を乗り切らなければならない
「―――〝変身〟!」
その言葉と共に、アルトはプログライズキーをゼロワンドライバーに挿入する
<プログライズ! 飛び上がライズ! ―――ライジングホッパー!>
―――A jump to the sky turns to a riderkick.
アルト―――否、ゼロワンは変身した己の姿を改めて確認する
視界に移る自分の手も、仮面の感覚も音質も全てがクリアに聞こえる
無駄に自信が湧いてきそうだ
「普通にカッコイイな! それつけたらあたしもなれっかな?」
「言ってる場合か! ホントマイペースなのな!」
「はは、ありがとう月歌。和泉もお疲れ様」
「無駄話はそこまで。―――三人とも、行動開始!」
『了解!』
手塚司令官の言葉に三人は息のあった返事を返すと、二人はセラフを構え、ゼロワンは身構えて突撃していく
これが、飛嵜アルトが、ゼロワンとして戦い始めた、最初の記憶―――