ゴジラの存在しない世界でゴジラオタクがゴジラ小説を書きます。 作:怪獣馬鹿
やぁ、僕は柊猪士郎。
あれから撮影はかなり順調に進んだ。
昨今の危険撮影は国関係なくシビアになってるからかなり僕らも慎重にやってる。
また僕は演じてる役者の演技を見て台詞をこまめに書き直したり、役者の意見も積極的に聴いて色々とやってる。あぁ、これらは撮影に入る前のリハーサルでやってるから撮影時にやってるわけじゃないよ。流石にそれは無理。
色々と徹底的にやってる。
ん?ゴジラの核問題はハリウッドは嫌厭するんじゃないかだって?
それはハリウッドではなくアメリカね。
しかもミゲルはメキシコ人だから一応入る前に聞いたら全く問題ないって寧ろやらないといけないからやると宣言してくれた。
スタジオがカットするのではとも思われてそうだがパシフィック・リムをやったミゲルが最終的な決定権を持ってるので全く問題ない。
ここまでの大作で監督に決定権があるのはそうそうない。まぁミゲルも僕も製作には名前を出してるけどね。
撮影は本当に順調に行ってたが問題が起きた。
ゴジラ役が決定していたアメリカ人のスタントマンがアメリカで逮捕されたらしい。詳しい事情は全くわからないがスタジオからすぐに代役を立ててやるように言われた。
ミゲルも僕も頭を抱えてる。
アメリカに飛んで探そうにもそうそういないレベルなのに時間がないからもう日本で探すしかない。
しかもゴジラはかなり重く、あれを着て歩ける人間はそうそういない。僕もミゲルも代役を必死で探して着せて歩かせてみせるが数メートルしか歩けないし、歩くのに精一杯すぎてこれでは演技もクソもないレベルだ。
撮影を休止して世界中に飛んで探すかと云う話にもなったが何分そろそろ金銭的な問題にも直面し始めてこのままだと製作中止になるほどに金を使いまくってしまった。主にVFXと大量のエキストラにね。
ミゲルと最悪VFXにするしかないかと諦めかけてた時にアイツならいけるかも知れないと言われて僕達は最後の賭けとしてその人物とあった。
その人は社会人の大学生で色んなアクション映画でのスタントに加えてその際に100キロ超の物も着たことがある若い人との事でその大学に行った。
彼は僕もミゲルも知ってる人だった。
というか撮影でエキストラが大量に出るシーンをやるときに手伝ってくれた人で中島春樹君だ。うちの英二やミゲルのモニカと一緒のサークルのメンバーだった。
僕とミゲルは急いで交渉してOKを貰った。特撮シーンの撮影開始まで後1ヶ月を切っていたので僕は参考に動物園のデカい動物の動きを見てきてと言って行かせた。
そして撮影が始まったが何分準備に時間が足らず、中島君はゴジラの大きさや重さに手間取っていたが徐々にゴジラの全体が掴めると上手く行き始めた。
本人にどうやったか聞いたら、色々と難しいので手探りで夢我夢中でやってたので自分でも良くわからないとの事らしい。
まぁこうしてゴジラのシーンも上手く行った。
正直に云うと中島君がスタントマンとして人に紹介されるくらい上手く無かったら危なかった・・・
そうやって何とか撮影を終わらせてVFXと編集も1年以上掛けて終わらせて僕とミゲルは『空想特撮映画 ゴジラ』を世に出した。
初の実写版に加えて登場人物全員が日本人かつ主言語も日本語の超大作で予算も80億円の中でかなりギリギリな中で作られた今作だが大ヒットを飛ばした!
そりゃ凄い大ヒットでパシフィック・リムの20億ドルを超えて25億ドル。文字通り世界歴代興行収入No.1の作品になった。
80億から2500億なので無事に予算も回収出来たので僕もミゲルもホッとした。
色んな人が並んで観に来てくれてる。
その姿に僕は満足した。
良かった・・・世界が愛したゴジラが戻ってきてくれたんだ。
そんな風に感慨深くなってたら目の前が真っ暗になった。
〇〇〇
昨日、父さんが倒れた。
原因は今まで無理をやってきたツケが来たらしい。
もう60歳近くで健康に気を付けろと言ってたのに案の定倒れた。
母さんは狼狽えてなかった。
何時かこうなると思ってたかも知れない。
僕と母さんが病院に入ると父さんは凄く穏やかな顔をして眠っていた。
医者からはもう長くは無いとだけ言われた。
3人で病室にいると父さんが起きたが弱々しくて体を起こせなかった。
「父さん、大丈夫!?」
「英二・・・ここは?」
「病院・・・無理が祟ったのよ・・・」
「薫さん・・・そうか・・・ごめんね、ずっと心配ばかりかけてしまって・・・」
「本当にね・・・私のゴジラの漫画が終わるまで死ぬなんて許さないから・・・」
「ごめんなさい・・・英二もごめん・・・心配ばかりかけて・・・」
「僕は良いよ・・・何か飲みたいものとかある?」
「オレンジジュース・・・」
僕は病室を出てすぐに買いに行った。
〇〇〇
猪士郎さんが倒れたと聴いて私は覚悟した。
最近、ずっと無理して飛ばしていて何時かこうなると思ってた。
病院で猪士郎さんの容態が良くないのを教えられた。かなりの過労で無理してきたツケと言われた。
私と英二が病室にいくとあの人は眠ってた。それはもう穏やかにまだ生きていられると思ったけど、それも無理だと起きたときに思い知らされた。
ここ最近はかなり弱々しくなってたけどそれ以上に弱々しくなって本当に限界なのだと一目で分かってしまった。
それでも猪士郎さんは明るく振る舞って英二にジュースを買いに行かせると私の手を握った。凄く冷たくて硬くてけど確かに頑張ってきた手。
「ごめんね薫さん、もう限界が来たみたいで・・・ごめんね・・・君達を残してしまって・・・」
「さっき許さないって言ったの本当よ・・・勝手に行くなんて・・・本当に許さないから・・・だから今はゆっくり休んで・・・もう休んで良いから」
私は涙が止まらなくなってそう言った。
休んで良いって云うと行ってしまう。けど、もうそれ以上何も言えなくなって・・・猪士郎さんは最後は笑ってくれてそのまま眠ったように逝った。
英二は逝ったすぐ後に戻り、何がなんだかわからなくて困惑していたが私が泣いてるのと部屋に鳴り響いてる心電図の音で察して私を泣きながら抱きしめてくれた・・・
猪士郎さんの死はすぐに世界に報道された。
盟友でアメリカに帰ってたミゲルやモニカは飛んできて葬式に参加してくれた。
ミゲルやモニカは子供のように泣いてくれた。
英二と私は2人にありがとうと感謝しか無かった・・・
あれから1年が経って、私は漸くゴジラの漫画を完結できた。英二はミゲルの弟子になると言って単身アメリカに渡った。
そうそう、ミゲルに聴いたらモニカと付き合い始めたらしくて複雑な気分だと言ってた。
私はここで1人、また漫画を新しく描き始めてる。
それは1人の怪獣好きの青年の話で彼がなぜ、世界で愛されるようになったのか、柊猪士郎とは何者なのか、世間が天才と呼んだ彼の本当の姿を描く為に漫画を描いてる。
タイトルは『世界で1番ゴジラを愛した男』
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夢を見た。
ゴジラや他の怪獣達が沢山出ていて、その中心には猪士郎さんもいた。
私もそこに行きたかったけど、猪士郎さんは首を横に振って行かせて貰えなかった。
いつもそうなんだから・・・
いつも私よりも先に行ってもっと一緒に居たかったのに・・・
「猪士郎さん、ありがとう!!」
私は猪士郎さんに向かって大声で叫んだ。
彼は笑ってくれた。
そして周りの怪獣達も咆哮で応えてくれた。
そうか貴方達も猪士郎さんの横に居てくれるのね。
ありがとう皆。
ありがとうゴジラ。
今話をもってこの小説は完結します。
皆様、応援してくださりありがとうございました!
最後に皆様に報告です。
私の前の作品で最後に超全集のような物を出したので今作でもします。
ただ、書くのに結構時間がかかるので最大で1週間はお待ち下さい。
皆様、ありがとうございました!!