知を致すは物に格るに在り   作:チュータツ

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※この小説は小説家になろうで掲載およびHJ文庫で出版の<Infinite Dendrogram>を原作とした二次創作小説です。
それなりに独自解釈と捏造設定等が含まれます。
また、一応最新話まで読んだ上で書いておりますが、原作の設定から矛盾した部分も出てくるかもしれません。

小説を書くのは初めてなので、いろいろと拙い部分があると思いますが、もしよろしければおつきあいください。


きっかけ

□日富理子

 

高校を中退した。

切っ掛けはカンニングを疑われたこと......いや、中間、期末テストで全教科満点を取ったことだ。

そのことを証明するために完全に監視した上でやり直しても良いとも言ったのだが、それは聞き入れて貰えなかった。

そんな必要はない。全教科満点なんてあり得ない。カンニングしたのは明らかだと。

そう言われたとたん、何もかもがどうでも良くなってしまった。

反省文を書けば許してくれるとの話だったが、そんなのはどうでも良かった。

(回答間違いが無ければ満点になるのは当たり前だと思うんだけど・・・)

そんな簡単なことが理解できない相手から教わる気は完全に失せた。

そのまま即行で自主退学をしてしまった。

 

 

「それで、これからどうするつもり?」

 

そう母が聞いてくる。

正直母には申し訳なく思っている。

女手一つで育ててくれて、高校への進学も快く認めてくれたのに、1年も経たずに自分から辞めたのだから。

 

「いまさら別の学校に編入することもないかな。とりあえず高認は受けようと考えてるけど」

 

「そう。一応考えているならいいわ」

 

「それだけ?」

 

「他に何か言って欲しいの?」

 

「そういうわけじゃないけど・・・」

 

嘘である。本当はもっといろいろと弁解したかった。

今回の件が他のだれかの妬みを買ったのが原因なのは分かっている。

でも、そもそもテストの点数を競うのがおかしい。

テストは何点取ったかではなく、何を間違えているかの確認のためのもののはずだ。

いろいろと頭に浮かぶ。

 

「まあ、あなたは賢いし、母さんは別に間違ったことをしたとも思っていないけど」

 

「?」

 

「社会人の一人として言わせてもらうなら、理不尽に一々腹を立てても仕方が無いわよ。

社会に出たら理不尽なんて山ほどあるのだし。

何が正しいかよりも、どうするのが自分にとって得かで判断を考えないと生きづらいわよ。

感情に任せて衝動的に動いていると損をするから気を付けなさい」

 

それは確かにその通りだろう。

間違ったとは考えていないが、高校を中退した自分は他人からすればすでに立派な落伍者だろう。

それはその後の人生に大きな陰を落とすかもしれない。

それでも

 

「うん。それでも、もうあそこに通うのはしんどいだけだし・・・。」

 

卒業間近ならともかく、これから2年以上も通い続けることは精神的に耐えられそうにない。

退学したのも結局自分のためだ。

 

「そう。まあ、何かあったら言いなさい。

母さんは味方だから」

 

本当に母には頭が上がらない。

 

 

今日も図書館で勉強した。

別に学校を辞めたからと言って勉強までを辞めるつもりはない。

 

もともと勉強は嫌いじゃない。むしろ好きだ。

新しく知識が増えるのはワクワクする。

皮肉なことに学校を辞めた後の方が勉強は捗る。

他の人に合わせる必要もなく、自分のペースで勉強する方が自分の性に合っていたようだ。

 

(このペースなら今年に高認を受けても良さそう)

 

高認:高等学校卒業程度認定試験に通ればひとまず大学に行くことはできる。

別にわざわざ高校に通い続けなくても問題はないだろう。

ただ

 

(でも、すぐに大学を受けることはできないんだよなぁ・・・)

 

一部例外はあるが基本的に日本では飛び級が認められていない。

仮に今年で高認に受かったとしても、18歳になるまでは大学を受けることができないだろう。

仮に今年合格できたとしても、2年間は完全に暇を持て余してしまうだろう。

では、働くかと言うとそれはそれで今一つ乗り気にはなれなかった。

そもそも多少の理不尽に我慢ができなかった自分が母の言うような社会でまともに働くことができるのだろうか。

高卒程度の学歴で就職をすると特にそういった理不尽は多くなるような気がする。

 

今一つやりたいことが見つからないままこれからどうするかを考えながらの帰り道。

駅前を通りかかったときにふとテレビの音が聞こえてきた。

 

「<Infinite Dendrogram>は新世界とあなただけの可能性を提供いたします」

 

そのときそれが聞こえてきたのは偶々である。

だが、なぜだか理子にはその言葉が鮮明な輝きを持って聞こえた。

 




主人公の設定

日富理子(ひとみさとこ)
頭は良い方だが、人付き合いの要領はあまり良くない。
最高位(ハイエンド)とまでは言えないが、恵まれた(ギフテッド)と言える程度には才能がある。
ただし、日本ではギフテッド教育がないためその才能は持て余し気味。
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