知を致すは物に格るに在り   作:チュータツ

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ガチャ

□【賢者】アリシア・ノイモント

 

「ふぅ。だいぶ使えるようになってきたかな」

 

ギデオンの第八闘技場。

アリシアが闘技場のレンタルを希望したときここを紹介された。

周辺地域の治安が悪いこともあり、この闘技場は人気が無いらしい。

そのため、他の闘技場と比べて格安であり、しかもすぐにレンタルすることができたのだった。

闘技場では加速時間も活用した上で、朝から晩まで連日魔法の練習を行い、数日かけてようやくスキル無しで魔法を使うことにも慣れてきたところである。

もっともそれは目的に対する入口に過ぎないのだが。

ただそろそろ一度気分転換に他を見て回っても良いだろう。

ラキトスからも決闘等の催しを見るのも勉強になると教えられたことだし。

 

 

かなり儲けてしまった。

試合前に選手に会うことができれば能力が分かる。

能力が分かれば大体勝敗も予想がつく。

スキルをどのタイミングでどのように使うかまでは完全にはわからないので百発百中とまでは行かないが、かなりの的中率で賭けに勝つことができた。

闘技場のレンタルで使用した分の小遣い稼ぎ程度に考えていたのだが。

そうして歩いていると、とあるお店に外まで行列ができていた。

看板を見ると“アレハンドロ商会”と書かれている。

どうも多様な品物がおかれたお店ではあるようだがどうしてそこまで並ぶことになっているのだろうか。

 

「あの、すみません。これって何の行列でしょうか?」

 

「ああ、先日からこの店に【ガチャ】が置かれてね。

欲をかいたものと、物珍しさでやってみようという者たちで並んでいるのだよ」

 

「ああ。ガチャ」

 

ガチャ。

カプセルトイとして昔からある販売方法ではあるが、一時期ソーシャルゲームが流行ったときにその課金方法として一部では問題視されていたものだ。

一定金額で購入することでランダムにアイテムやキャラクターなどが手に入る。

その中でレアなものについてはなかなか出ない代わりに性能が高く、非常に射幸心を煽るものであり、一部の人間は破産まで追い込まれることもあったという。

 

「ちなみに回すためにはこのお店の物を何か購入する必要があるよ。

お金は店に入るのではなくどこかに消えていくらしいけど、なかなか良い客引き方法だよね。

もっとも前の持ち主はガチャを自分で回し過ぎて破産したとか」

 

本当におそろしい話だ。

 

「ちなみに一回当たりの金額はいくらくらいなのですか?」

 

「投入金額は100リルから10万リルまで。

当たる景品は投入金額の1/100から100倍以上まででランダムだそうだよ」

 

今まで一度も手を出したことはなかったが、実は少し興味はあった。

どうせゲームの中のお金ではあるし、先ほど賭けで相当儲けたので、多少やっても問題はないだろう。

100リルから10万リルまで一通りやってみることにする。

がその前に

 

「ごめんください。コレをください」

 

レジェンダリアから入荷したという【マナウッド・レーヨン】と呼ばれる布が使用されたMPの回復速度が上昇する服を購入する。

500万リルと高額な上に必要レベルが400と高く、まだアリシアでも装備はできないが、精神状態異常耐性も付いた非常に性能の良いものだし、デザインも悪くないのでガチャの件がなかったとしても購入しておいた方が良いだろう。

賭けの儲けもあることだし。

 

ガチャの権利を得たのでさっそく回して見ることにする。

 

100リル⇒F:【石ころ】

1000リル⇒D:【レムの実】

1万リル⇒C:【SP回復ポーション】

 

(まあ、そうそう当たりは出ないわよね)

 

とは言え段々と良くなってきている。

最後の10万リルで当たりが出ればそれまでのところはたいして問題にもならないだろう。

再度行列に並びながらそんなことを考える。

完全にランダムなので、ハズレの後には当たりが出るというものでもないのはわかっているのだが。

これで最後だと金貨10枚を投入してガチャを回すと

 

「うおおおぉお!?」

(ビクッ!)

 

アリシア本人よりも周りの方が盛り上がる。

金のカプセルに黒字でAと書かれたものが出てきた。

 

「おい。開けて見せてくれよ」

 

「あ、はい。構いませんが、少し離れてください。

なんだかちょっと怖いです」

 

先ほどガチャの説明をしてくれた客が興奮して問い詰めてくる。

......アリシアが買い物とガチャ4回回す間、ずっと繰り返し並んでいたのだろうか。

少し、この人が破産しないか心配になった。

 

「【ホバーボード】というものみたいですね」

 

どうやら特殊装備品のマジックアイテムらしい。

 

「少量のMPで宙に浮かせることができる板ですね。

推進力はありませんが、移動するときに便利そうです」

 

店の外に出て軽く乗ってみる。

......少し楽しい。

 

「いいもの見せてもらったよ。

やっぱり、人によっては当たりも出るのだね」

 

「あ、はい。でもほどほどにした方が良いですよ」

 

一応忠告しておくが、聞き入れて貰えそうな気がしなかった。

本当にガチャはほどほどにしておいた方が良いだろう。

当たりを引けたのは良いが、周りの反応がちょっと怖かった。




ギデオンと言えばガチャ。
そして主人公はリアルラックで当たりが出る。
これも物語の定番という気がする。

捏造設定
【マナウッド・レーヨン】
自然魔力を豊富に含んだ植物を使用したレジェンダリア産のレーヨン生地。
防御力はそこまで高くないが、魔力関係の装備スキルを付けやすい。
500万リルは高そうにも思えるが、必要レベルが高いからまだこの程度で抑えられているとも言える。

【ホバーボード】
SFとかで見かけるアレ。
デンドロ内の技術なら実現も不可能でもないだろうと思う。
浮遊するのは多分地属性魔法の応用。

誤字報告感謝です。
機能を使い慣れていなくて、ずっと気づいていなかった。
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