知を致すは物に格るに在り   作:チュータツ

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交渉

□【賢人】アリシア・ノイモント

 

アリシアは王城に来ていた。

王族の関係者とのアポイントが取れたらしい。

特典武具を使った実験も行いたいが、準備もあるのでまた今度だ。

 

「アリシア様ですね。こちらへどうぞ」

 

そう言って1人騎士に案内され、王城内の一室へと通される。

しばらく待っていると一人の男性が数人の共を連れて現れる。

というか、この顔は知っている。

 

「国王・・・陛下?失礼いたしました。

まさか陛下が直接来られるとは予想もしておらず」

 

「カドモスからは王族を裏切らない人物を要望されたからな。

それを満たす者としては最適だろう?」

 

「はい。ただ、私はこういう時の必要な礼儀作法を知りません。

もし失礼がありましてもご容赦いただけますと助かります」

 

「<マスター>だからな。別に構わない。

で、ずいぶんとたいそうな人選を要望されたが、要件はなにかな」

 

思ったよりも寛容なようで助かった。

早速要件に入ることにする。

 

「決闘都市ギデオンの八番街で地下通路を発見いたしました。

領主公邸と外とを結ぶものです」

 

「ほぅ・・・。うん?

それがどうしてアルテアに来て王族に相談するのかね。

普通に考えればそれはギデオン伯爵に持ち掛ける案件だろう」

 

「ひとつは私に伝手が先生を通した王都側にしかなかったこと。

そしてそれよりも大事な理由としてはこれです」

 

そう言って件の指輪型アイテムボックスを差し出す。

 

「これは?」

 

「アイテムボックスです。

地下通路途中の隠し部屋にありました。

解除コードは『私の恋はここに置いていく』です」

 

そう言うと、そのアイテムボックスは別の者が確認した上で解除された。

 

「これは・・・日記か」

 

「はい。どうやら初代国王とご結婚されたフレイメル・ギデオン様が残していったものみたいなのですが・・・」

 

「なるほど。ところで中身は読んだかね」

 

「いえ。正直に言えば興味はありますが、それを読んでしまうのはいろいろな意味で憚られてしまうので」

 

「ふむ。わかった。この件はこちらで預かろう。

で、それに対してこちらへ要望があるのだろう」

 

「ありがとうございます。話が速くて助かります。

この地下通路は八番街にある孤児院の庭の下で見つけました。

その孤児院は立ち退きを迫られていたのですが、できれば代わりに別の地区で彼らを受け入れられるようにしてください。

その上でその土地は国もしくは領主が買いあげた上で管理することをおススメします。

一応地下通路に至る穴は埋めたのですが、それでも見る人が見ればそこに何かがあるのはわかってしまうので」

 

一つ目として孤児院の問題の解決をお願いする。

 

「二つ目としては地下通路内にはネズミや害虫が数多くいるようなので、その退治をお願いします。

街の地下がそのような状態になっているのは衛生的にあまり良いようには思えませんので」

 

「ふむ。それはそちらの要望というよりもこちらが対処しなければならない問題だな」

 

「三つ目としては完全に個人的な要望です。

その日記はアイテムボックスごとお渡しいたします。

その代わりになるアイテムボックスをいただけませんでしょうか。

《窃盗》対策や時間停止が施されたものは、正直私としても少し惜しいので」

 

「・・・くくく。それがお前の要望かね。

いいだろう。最高のものをオーダーメイドで作ってやろう」

 

「あ、いえ。そこまで凄いものではなくても構いませんので」

 

「遠慮は要らないよ。

後で指のサイズを測らせよう」

 

貴重なものが保護できればそれで良かったのだが、なんだか思ったよりもすごいものが作られることになりそうだ。

 

「そうだ。ひとつ伝えておこう」

 

部屋から出る前に国王がそう言ってくる。

 

「あるいはお前は解除コードの言葉から初代王妃の不貞を疑ったのかもしれないが・・・」

 

(あえて避けていたのだから、そういう直球な物言いはやめて欲しい・・・)

 

「心配せずとも、初代王妃は不貞など働いていないよ。

それは直系である私が保証する」

 

その根拠は聞かない方がいいだろう。

 

 

□■【聖騎士】エルドル・ゼオ・アルター

 

「おもしろいな。

<マスター>とはみなあのような感じなのか。ラングレイ」

 

「さて・・・。

カドモス翁の話では彼女は<マスター>の中でも変わり種の部類とのことですが。

私が会ったことのある他の<マスター>とも趣が異なるように見えます」

 

「そうか。今後も<マスター>は増えていくだろう。

彼らをどのように扱っていくかがこの国の今後を左右するのかもしれないな」




国王の口調がこれで良いのかわからない。
アズライトに話しかけたのと対外的なのはまた異なるだろうし。
まあ、あまり気にしても仕方ないか。

やっていることはかなりリスキー。
たぶんレジェンダリアとかで同じことをやったら、指名手配になるかもしれない。
主人公もこういう交渉事をするには経験が足りていない。
欲をかきすぎても身を滅ぼすことがわかっているし、逆に欲が無さ過ぎても胡散臭く見える気がする。
そのための取ってつけたかのような三つ目の要求。
もっとも相手からはそういうところも見ていてわかったようだが。
とはいえ、<マスター>という得体のしれない超人集団からの交渉は王国としてもそれなりに慎重にはなったと思う。

多分今回オーダーメイドで作られるアイテムボックスの価格は億に届く。
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