知を致すは物に格るに在り   作:チュータツ

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料理教室

□日富理子

 

「高認合格おめでとう。

ごめんなさいね、お祝いするのが遅くなって」

 

「ううん。年末で忙しいんでしょう?

むしろお祝いの時間を取ってくれて嬉しいよ」

 

おまけに珍しく外食である。

それほど高いレストランと言うわけではないが、それでも母と一緒に外食できるだけで嬉しくなる理子だった。

 

「そうなるかなとは思ってたけど、まさか一発で合格とはね」

 

「えへへ。まあ、効率良く勉強できたからね」

 

資料自体を直接持ち込めないとは言え、3倍時間で復習できるのは非常に便利だった。

 

「それよりも外食とか良かったの?

私は一緒にお出かけできるのは嬉しいけど」

 

「うん?別にうちは裕福とは言えないけど、外食できないほど貧乏ってわけでもないわよ。

ただ、外食する時間がなかなか取れないだけで。

あなたの場合学費とかもそれほどかかってないし」

 

「それなら良いけど・・・」

 

「ただ、クリスマスはさすがに外でと言うわけにはいかないけど」

 

「それはさすがに無理よ」

 

クリスマスはだいたい予約でいっぱいだし、料金も高くなる傾向にある。

おまけに恋人同士と言うのが定番である。

 

「料理は私が作るから大丈夫よ」

 

「本当。ありがとう。

でも別に彼氏と過ごしてくれてもいいわよ」

 

「そんなのいないよ」

 

勉強とゲームしかしていない中、そんなことを考えたこともなかった。

 

(しかし、クリスマスか・・・。

ケーキとかも作ってみようかな)

 

折角デンドロ内で練習もできるのだし。

 

 

□【菓子料理人(ペストリー・コック)】アリシア・ノイモント

 

そこで料理人ギルドに来て、クエストを発注することにした。

 

「と言うわけで、ケーキ作りの指導をして欲しいのですが、ケーキ作りの指導ができる方を手配していただけますでしょうか。

ケーキの種類としては生クリームを使用したスポンジケーキでお願いします。

指導料は1万リル。材料等の諸経費はこちらが持ちます」

 

「なるほど。それならばジョブクエストとして発注してよろしいですね。

条件はわかりました。日にちはいかがいたしますか」

 

「そうですね。3日後で可能でしょうか。

何が必要なのか私にはわかりませんので、材料の方もお任せしたいのですが」

 

「わかりました。可能ですよ。

では3日後に当ギルドの調理室で行いましょう」

 

「よろしくお願いします」

 

まったく知らない状態から始めるのもどうかと思うので、それまでの間に作り方を調べておくとしよう。

 

 

「すみません。クエストを発行したところ、同じように習いたいという方が何人も出てきて。

複数人で受講する料理教室とさせていただけませんでしょうか。

代わりに諸経費はこちらが負担いたします」

 

「構いませんよ。私の指導もちゃんと行っていただけるのであれば。

ところで同じように習いたいというのは<マスター>の方でしょうか」

 

「はい。良くお分かりで」

 

ケーキ作りを習いたいという人は意外と多いようだ。

クリスマスが近いのでアリシアと同じように自作を検討しているのだろう。

しかし、当日に伝えてアリシアが断った場合にはどうしたのだろうか。

 

 

「さて、今回指導する【菓子職人】のフィル・ロイドだ。

今回はスポンジケーキの作り方と生クリームを使用したデコレートのやり方を教えていくぞ」

 

周りをみるとアリシアの他にも3人ほど<マスター>がいた。

料理教室形式とはいえあまり大規模にならないように抑えてはくれていたようだ。

 

 

順調にスポンジケーキ作りは進んでいき、オーブンに入れた段階で他の<マスター>が話しかけてくる。

 

「あなたが今回の企画者?」

 

「考えたわよねー。デンドロ内ならお金かからないしー、試作したの食べても太らないし―」

 

「・・・・・・」

 

太らないのは誤解なのだが、あえて指摘するほどではないだろう。

 

「みなさんはやっぱりリアルでケーキ作りするための練習に?」

 

「そうよー」

 

「やっぱり彼氏には手作りを食べさせたいしね」

 

「・・・・・・」

 

どうやら恋人持ちのようだ。

というか、ひょっとしてアリシアもそう見られているのだろうか。

 

「ああ、恋人がいるのですね」

 

「そうよー。だからデンドロのクリスマスイベントには参加できそうにないけどねー」

 

「あはは。でもリアルに恋人がいるならそちらの方が大事ですよ。

デンドロにハマりすぎて別れることになったら目も当てられないですし」

 

「そうね。どちらにせよ私はまだそんなに強いわけではないし、今回のイベントはパスかな」

 

「・・・・・・」

 

日本に住んでいるアリシアはクリスマスイブを母と過ごしたとしても、クリスマスとその翌日はイベント参加することができるだろう。

地域によってはクリスマスイブとクリスマス当日がちょうどイベントの日になるので、恋人がいるのであれば参加は難しいだろう。

しかし、クリスマスイベントはどういう内容になるのだろう。

デンドロは直前まで詳細の告知がないので予想が立てにくい。

ハロウィンイベントと同じであれば、季節モンスターが出るのだろうか。




なお、この直後のランキング更新時に【菓子料理人】のジョブ名が表記されたため、一部の人たちを混乱させた模様。

捏造設定
菓子料理人(ペストリー・コック)
料理人系統派生下級職
料理の内、お菓子作りに特化したジョブ。
上級職で【菓子職人(パティシエ)】になる下級職。
自分で考えておきながらなんだけど、漢字読みの語呂が悪い気がする。
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