むしろ、ラノベや漫画等の創作物はよく読んでいます。
「申し訳ありませんが、ご同行を願えますか」
襲ってきたPK達を捕縛した後、騎士がそう尋ねてくる。
それはそうだろう。街中で騒動を起こしたのに、問題は解決したのではいさようならとは行かない。
特に今回は<マスター>の起こした騒動である。
普通のティアンが起こした場合と状況が異なるため、騎士たちもどう対処すれば良いのか戸惑っている部分もあるのだろう。
「構いませんよ」
なので、アリシアもすぐに同意する。
そのまま詰所へと同行する......その前に
「あ、少しだけ待ってもらっても良いですか」
「?」
「あの、ごめんなさい。お騒がせしました」
周りに集まっていたティアン達へと謝っておく。
今後自分を含めた<マスター>達に悪い印象を与えないためのただの打算ではあったが。
少しの間が開いた後、ワッと広場が盛り上がる
「いいよ。嬢ちゃんが悪くないのは見ていたからな」
「何かあれば俺たちが証言してやるよ」
「カッコ良かったぜ」
「今度うちの店にも着て頂戴」
街中で起こった突然の騒動。しかも、騒動の主は自分達とは異なる<マスター>。ティアン達もどうすべきか戸惑って遠巻きに見るしかできなかった。
騎士たちがやってきた後も若干恐れを抱いていたのだが、<マスター>がただの乱暴者ではないことがわかり安心したのだろう。
そのように誘導したのは自分だが、予想以上の盛り上がりに少し驚きつつも手を振りながら広場を後にした。
◇
「で、襲われたわけか」
「ええ。どうも<マスター>間での殺しは罪に問われないと言うのを拡大解釈しているみたいで」
あるいはおそらくティアンをNPCのような応答プログラムとしてしか見ていないのだろうか。
周りに居ようがこちらから直接干渉しなければ何のアクションも返ってくることもないだろうと考えていたのかもしれない。
ティアン相手にそのことを言うことはできないが。
「ありがとう。我々も奇行が多い<マスター>達の対処には苦労していてね。
<マスター>達が何を考えているのかいまだによくわからずにいるのだよ」
まあ、それはアリシアにもわからないことだが。
「じゃあ、これで聴収は終わり。戻ってくれてもいいよ」
「ありがとうございます。・・・と、そうだ。
これって普通に売っていたのですが、私が使用しても大丈夫なものでしょうか」
そう言ってアリシアは【墓標迷宮探索許可証】を示す。
これと幾つかの装備品の購入により、ジョブクエストで稼いだお金はほとんど使ってしまっていた。
「先生からはクエストをクリアすることで入手できるものと聞いていたのですが・・・」
「ああ、確かに王国が発注するクエストで入手可能だが、別に売買してはいけない決まりはないよ。
もっとも一度記名してしまえば他の人は使用できなくなるので、中古の使いまわしはできないけどね」
それを聞いて安心した。現在王都周辺での狩りが難しいと聞いて考えたのが神造ダンジョンである<墓標迷宮>に潜ることだった。
こちらは街の外とは異なりモンスターが自動でポップ仕掛けになっており、モンスターに出会えないと言う心配がない。
だが入手するにしても現状では大して戦力になるわけでもないのにクエストを受注できるとも思えず、強くなるためには街の外でレベリングをする必要があると行き詰まっていた。
そんなところ、丁度都合よく売っているのを見かけたので稼いだお金のほとんどを使用して購入した。
だが、【許可証】である以上直接許可を貰ったものしか使用できないのであれば、不正利用扱いになりかねず一応確認したのだった。
店主は心配せずとも大丈夫だと言ってはいたが、それでも一応。
「しかし、君は学者系統のジョブに就いていると聞いたがそれにしては強いんだな」
「あ、いえ。今回の騒動で大して強くないのを実感したので、とりあえず戦闘系のジョブへの転職を考えてますよ」
「でも襲ってきた<マスター>3人相手に互角以上に戦っていたじゃないか」
「あれは運が良かっただけです。
相手が変な小細工をせずに襲ってきていたなら、私は何もできずに負けていたはずです」
こちらの能力を知らずに相手が完全に油断していたから、逆に不意をついて反撃できただけだ。
また、相手の痺れ薬の使われたナイフがあったから、2人をあっさりと無効化できたのだ。
そうでなければ大して攻撃力があるわけでもないアリシアではロクに相手にダメージを与えることもできずに、一方的に倒されていたはずだ。
(あとはちゃんとした戦い方も教わらないと・・・)
また、思った以上に自分が上手く戦う技術を持っていないことも実感したのだった。
本人は戦闘系のジョブを持っていないからまだ弱いと思っていますが、序盤から装備を整えているので周りに比べるとかなり有利かもしれない。
戦闘系スキルこそないものの、学者系統でのステータスもあるし。