知を致すは物に格るに在り   作:チュータツ

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内部では前回の話から少し時間が経っています。


足運び

□【賢人】アリシア・ノイモント

 

戦う手段を求めてアリシアは魔術師ギルドへとやってきた。

身体を動かすのも苦手ではないが、頭を使う方がどちらかと言えば得意である。

《高速思索》を上手く使うためにも手がふさがる武器を持つこともできない。

いろいろと考えた結果、攻撃手段としては魔法が最適だと思えた。

 

「こんにちは。魔術師に転職したいのですが」

 

「あ、はい。転職のジョブクリスタルはこちらになります」

 

受付に案内されジョブクリスタルへとやってくる。

転職先としては【魔術師】の他に【呪術師】や【付与術師】など少し異なるものも含まれているが、アリシアは当初の予定通り【魔術師】に就いた。

 

「それと、可能であれば魔法についてご教示いただける方はいますでしょうか」

 

「え?」

 

「あ、そういうのはダメでしたでしょうか」

 

「いえ、そういうわけではありませんが<マスター>の方は転職してすぐに外へと戦いに向かう人ばかりでしたので」

 

多くの<マスター>は戦う手段として魔法を選んだだけであり、基本的にはレベルアップで新たな魔法を覚えるのでそれで良いのだろう。

ただ、アリシアとしては

 

「私としてはこれでも学者のはしくれでもありますので、魔法と言うものを使うだけでなく原理等を詳しく知りたいと考えております。

ただ、学術院の方にはまったく魔法に関する資料はありませんでしたので」

 

「なるほど。そういうことでしたか。

であれば、実戦魔術師の方よりも【賢者】の方が良いですね。

ただ、本日は【賢者】の皆さまは出払っておりますので、また明日の・・・そうですね、正午ごろ来ていただけませんでしょうか。

あとクエストとして発注することになりますので、報酬をご準備いただけますでしょうか。

そうですね。基本1万リルとして後は情報に応じて要相談としていただければ」

 

「承知いたしました。こちらが基本報酬ですので、よろしくお願いします。

では、本日はこれで失礼いたします」

 

金貨1枚を渡して魔術師ギルドを後にする。

そういうことであればと、もう一つの目的地へと向かうことにした。

 

 

□【拳士】アリシア・ノイモント

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、」

 

アリシアは前後左右のステップを必死で刻んでいた。

 

「いいぞ。まずは足をすばやく動かすと言うことに慣れるんだ」

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、」

 

「よし、いったん休憩」

 

「はっはっぜっはっ、」

 

「あんまり呼吸を乱すんじゃねぇよ」

 

「そうっ、言われっ、ましてもっ、」

 

「呼吸が乱れると余計に身体が疲れる。

呼吸が乱れると思考が鈍る。

お前身体を動かしながらでも魔法を使いたいんだろ」

 

そう。格闘家ギルドに来て、上手く魔法を使うために攻撃を回避する技術を教わりたいと相談したのはアリシアである。

そうこうしていると戸惑う受付を他所に【師範代】が出てきて、アリシアに【拳士】のジョブに就かせた上でひたすらステップの練習をさせることにしたのだった。

 

「休憩終わり。もう一セット行くぞ」

 

「はいっ」

 

そうして、ひたすらステップを繰り返す。

 

 

「フッ、フッ、フッ、フッ、」

 

そしてステップを刻むことに慣れてきたころ

 

【......をクリアしたため、パッシブスキル《フットワーク》を習得しました】

 

スキル習得を告げるアナウンスが現れた。

途端にどう動けば良いのか知識ではなく感覚でわかり、ステップを刻むのが楽になる。

 

「覚えたか」

 

「これは?」

 

「今のお前に必要なスキルだよ。言ってしまえば足運びが上手くなる。

ただそれだけのスキルだがどんなジョブでも使用できる汎用スキルだし、お前にはピッタリだろ」

 

「たしかに。さきほどまでも言われたことをちゃんとやっていたつもりでしたが、このスキルを習得したとたん、正しく足を動かすにはどうすれば良いのかがなんとなく分かるようになりました」

 

「元々そんなのが無くてもできる奴はできるセンススキルなんだが、できない奴ができるようになるためにはこういったのを覚えるのが一番近道だ」

 

(それよりも、ちょっとコツを教えただけなのにもう呼吸を整えるのに慣れてきている。

あれだけ動いたあとなのに、すでに大して息を乱していやがらねぇ。

ひょっとしてコイツ格闘家としても大成できたんじゃねぇか?)

 

「ありがとうございました」

 

「礼を言うのははえぇよ。次は俺が攻撃をするからひたすら躱せ」

 

訓練はまだ終わらないらしい。

 

 

□【賢王】カドモス・アイレス

 

「フッ、フッ、フッ、フッ、」

 

「のう。あれは何をしておるんじゃ?」

 

「よくわかりませんが、格闘家ギルドでいろいろと教わってきたそうですよ」

 

「・・・あやつ魔術師に転職するとか言っておらんかったか?」

 

「そうでしたね」

 

「格闘家に転向するつもりかの?」

 

「さぁ」

 

習得したセンススキルを使用して動きの最適化を行うために学術院に帰った後も練習を行っていたが、【賢人】達には今一つ理解されなかった。




目指すは身軽に動ける魔法使い。

前回の話からの間に【賢人】に転職しているし、【賢人】のスキルも一部覚えている。
ジョブクエストを何度も受けたため再びお金もある程度貯まっている。
下級職の数が合わないのはジョブリセットも行っているから。
・・・という設定。

捏造設定
《フットワーク》
足運びが上手くなるセンススキル。
ステップを一定量熟すことで習得できる。
【拳士】系統で覚えることができるが、他の系統でも覚えたりできるらしい。
AGI自体は上がらないが踏み込むときの(STR)のかけ方などもサポートされるので、上手く活かせば走る速度などは速くなる。

《マスターシップ》
【賢人】のレアスキル。
下級職の学者系統スキルが【賢人】に紐づけられて、その下級職をジョブリセットしてもスキルが消えなくなる。
紐づけることができるのはあくまで下級職の学者系統スキルのみ。
下級職をすべて学者系統(カンストではなくても良い)で埋めた上で、一定回数以上学者系統スキルを【賢人】で使用する。
その上で下級職をジョブリセットした際に取得する。
【賢人】が7種以上の学問を修めるために必要なもの。
本編でこのスキルについて書くかは未定。

なお、主人公はリアルの方でも《フットワーク》の練習を始めている。
リアルではデンドロ内のステータスも<エンブリオ>も無いため、内部に比べて成果が得られるのはゆっくりとだが。
格闘家がリアルの技術をデンドロに持ち込むことがあれば、デンドロ内の技術をリアルに持ち出すこともあって良いんじゃないか......とも考えたがそこまで描く余裕が無かった。
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