知を致すは物に格るに在り   作:チュータツ

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傷痍系状態異常【筋肉痛】とかも考えたが、筋肉ではなくステータスで動くあの世界で筋肉痛になるのか自信が無い。


魔法の講習

□【魔術師】アリシア・ノイモント

 

翌日。【賢者】に魔法について教わりにきた。

 

「お前が魔法を知りたいという<マスター>か」

 

「はい。今日はご教示お願いします」

 

「【賢者】のラキトスだ。実はお前のことはちょっと興味を持ってた」

 

「?ラキトス様の年齢から見れば、私なんてまだまだ乳臭い子供みたいなものでは?」

 

「そういう意味じゃない。

というか、お前あの爺さんに毒されてないか?」

 

「・・・先生のことをご存じで?」

 

「ああ。というか、【賢者】の中であの爺さんを知らない奴の方が少ない。

ティアンでも数少ない超級職。

その中でも学者系統ではトップとも言われる【賢王】だしな。

そこに弟子入りした<マスター>ともなれば興味も出てくる」

 

「言われてみれば確かに」

 

【賢王】はいろいろなところに影響があるようだ。

それはともかくようやく魔法について勉強することができる。

 

「まず、魔法というものについてだな。

簡単に言うと魔法と言うのはMP(魔力)を使用して何らかの現象を作りだす技術のことだ。

使う魔法によって起こす現象も形も異なるがな。

例えば【魔術師】が初めに覚える《ファイアーボール》だと、火という現象を作り出し、丸い形にして、敵に向けて撃ちだす。

《アイスニードル》だと凍るという現象を作り出し、針の形にして、敵に撃ちだす。

ただ、口で言うのは容易いが実際に自力で行うのは難しい。

そこで、魔法を使うときにはそれらがワンセットで自動的に行われるスキルに頼ることになる」

 

「ということは、スキルが無くても魔法を使うことはできるのですか?」

 

「理論上はな。だが、考えてみろ。

身体を動かすのと同じようにMPを動かせるか?

まあ、師匠のような一握りの天才はこれができるが、凡人にはまずその感覚が分からない。

でもまあ、ひたすら魔法を使っていればそのうち分かるようになるのかもな」

 

「なるほど」

 

それならばアリシアにも当てがある。

後で試してみることにしよう。

 

「続けるぞ。魔法における現象と言うのは大きく分けると3つに分かれる。

気体を操作する天属性。

液体を操作する海属性。

固体を操作する地属性だ。

天属性にはエネルギーを増加させるというものも、海属性にはエネルギーを減衰させるというものも含まれる。

天属性だと風属性の他に火属性や雷属性が、海属性には水属性の他に氷属性や威力を減少させる防御魔法なんかが含まれる感じだな。

ここから外れる属性なんかもあることはあるが、今回は省略するぞ。

基本的に【魔術師】はこれら全ての属性に対応していて、基本的には上級職になるとより各属性特化した【紅蓮術師】【白氷術師】なんかに就くことになる」

 

「【賢者】も何かに特化しているのですか?」

 

「いや【賢者】は少し違う。

各属性に特化した【紅蓮術師】なんかと比べると攻撃力の高い魔法は使えない。

なので実戦魔術師と言うと【紅蓮術師】などを指すことの方が多い。

だが、【賢者】の場合には代わりに全ての属性の魔法を【魔術師】よりもより高度なレベルで使うことができる。

まあ、器用貧乏とも言えるがな。

だが、【紅蓮術師】などの属性特化の上級職だと覚える魔法は十にも満たないが、【賢者】の場合は何十も覚えることができる。

もっとも単純にレベルアップで覚える訳ではなく、特殊な【魔本(スペルブック)】を使用したり、クエストで覚えたりしなければならないがな」

 

「ああ、条件解放のスキルですか」

 

「知っていたか」

 

「はい。昨日、【拳士】で《フットワーク》を解放しました」

 

他にも【賢人】でも解放したスキルはあるが、ここではいいだろう。

 

「お前・・・魔法使いを目指している癖に面白いことをしているな」

 

「少し照れますね」

 

「別に褒めてるわけじゃない。話を戻すぞ。

【賢者】は他の特化型の上級職に比べて魔法の威力で大幅に劣るから、あまり人気のないジョブでもある。

転職するためには三大属性全てに適性が無ければならないから、ティアンにとってはハードルも高いしな」

 

「でも特定の属性に特化していると、その属性に耐性がある敵に出会ってしまえば何もできなくなるのでは?」

 

「まあその通りではあるが、それでも大火力と言うのはそれだけ魅力なんだろ。

敵にダメージを与えるのはそいつらがやって、【賢者】は主にそのフォローに回らざるを得ないことも多いな」

 

「いいじゃないですか。縁の下の力持ちですね」

 

「なんだその言葉は」

 

「ああ、こちらでは使われない言い回しですか。

私の国の言葉で表立って目立つことはないけど、いないと困る大事な役割を担うものという感じの意味の言葉ですね」

 

「そうか。いい言葉だな」

 

どうやら少し気に入ったようだ。

雰囲気が柔らかくなったのを感じる。

 

「続けるぞ。同じ魔法でもMPを多く込めることで威力を上げる方法もある。

もっとも込めたMPに比例するわけではなく、だいたい平方根程度の威力になるがな」

 

「それでは威力を上げるよりも、同じ魔法を何度も撃った方が効率が良いのでは

・・・いや、そうか」

 

「ああ、話はそんな単純じゃない。

相手の防御力なんかもあるからな」

 

一見すると威力10の魔法に倍のMPを込めて威力14にするよりも、威力10の魔法を2回撃った方が効率が良さそうに見える。

しかし、相手の防御でダメージが9減少すると仮定すると、威力10の魔法を2回撃っても2ダメージしか与えられないが、威力14の魔法を撃てば5ダメージ与えられることになる。

状況によってはそちらの方が効率が良いだろう。

 

「最大MPなんかでも威力は変わってくるが、この辺りを上手く調整できるようになって魔法使いとしてはようやく一人前ということだ」

 

「なら強力な魔法を覚えない【賢者】であってもダメージを与える術はあると言うことですね」

 

「まあ、どんな魔法も使い方次第と言うことだな。

なんだ【賢者】に興味があったのか」

 

「ええ。聞く限り私に向いたジョブと言う気がします。

それに【賢者】と言うからには“学者”としての側面もあるのですよね」

 

「気づいていたか。その通りだ。

学者系統との繋がりがあるのもその辺りが大きいな」

 

「本日はありがとうございました。

・・・そういえば【魔本】の入手や魔法を覚えるクエストなんかはどうすれば良いのでしょう」

 

「もし【賢者】に転職したら、その辺りは俺の方でなんとかしてやるよ。

俺もお前に興味が出てきたしな」

 

「ラキトス様ってやはり子供に興味が?」

 

「そのやり取りはもういい」

 




一応主人公も16歳なので子供とも言い切れない年齢ではありますが。

この【賢者】の口調がこれで良いのか自信がないが、気にしないでおこう。
名前は捏造しました。

捏造設定
魔本(スペルブック)
魔法を覚えるために使用するアイテム。
生産職における【レシピ】と似たところがある。
本なので、ちゃんと中身は読むことができる。
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