入学前の一幕。
時間をかけて投稿しようと思ったのですが、ここまでは投稿しちゃいます。
次はたぶん明日。
今日かも。
とはいえ。
それでも、僕の言動に問題がないわけではなかった。まあ、シービーちゃんが言ってたほどではなかったけど、学園側への挑発になってしまったことは否めない。
なので、僕というウマ娘を知るために面接をすることになった。
学園へ入り、理事長室へ向かう。
駿川たづなさんという理事長秘書の人に連れられる。
緑の服に緑の帽子をかぶっている女性だ。
たづなと呼んでくださいと言われたので、たづなさんと呼ぶが、この人どこかで見たことがあるような。
たしか、活躍したウマ娘を調べている時に……。
「着きましたよ」
「あ、ありがとうございます」
そんなことを考えていると、理事長室に着く。
「理事長、お連れしました」
「承知っ! 入りたまえ」
「失礼します」
元気な声が聞こえて僕はそれに従って入る。
そこにいたのは猫を頭に乗っけている女性(少女?)だった。一度調べたことがあるからわかったが、彼女が中央トレセン学園の理事長である秋川やよいさんだ。
なんで猫乗っけてるの?
「歓迎っ! 座るといい」
「はい、失礼します」
こうして面接が始まった。
とは言っても、そんなに変わったことを聞かれることはなかった。
「基本的に寮生活になるが大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。知っていると思いますが、僕は孤児院出身ですので、むしろ他の子に部屋を渡せる分、ありがたく思います」
「勉学やレースに関する不安などはあるか?」
「はい、勉学に関しては特にありません。勉学は孤児院の先生から優秀でなければレースには出さないと言われていたので、しっかりとする習慣を身につけています。レースに関してですが、唯一の懸念点の金銭面もアマチュアレースの賞金が残っているので心配ありません」
「学園のルールに従ってもらうことになるが、校則について質問は?」
「はい、ありません。それが必要なルールだということも理解しています」
などなど、まあ聞かれるだろうなと思っていた質問だ。
だけど、その節々に僕を心配するような気持が伝わってきて理事長は優しい人なんだろうなと感じた。
「では、最後に中央トレセン学園に入る理由、目標を聞かせてもらいたい」
目標か。
それは決まっている。
「僕はすべてのウマ娘のために生まれてきました。先輩たちが胸を張れる場所、そして、後続や走ることを選ばなかったウマ娘たちが夢を見れる場所にするためにここに来ました」
そう言うと、理事長はバッと扇子を開く。
そこには『歓迎』と書かれている。
「君のウマとなりがよく分かった! 来てくれてありがとう! トレセン学園は君を歓迎しよう!」
こうして本当に憂いなくトレセン学園の入学が決まったのだった。
青毛のウマ娘が帰った。
秋川やよいはその扇子を閉じる。
「理事長、彼女はどうでしょうか?」
「そうだな、聞いていた話とは少し違ったな」
「少しじゃありませんよ」
「うむ」
アマチュアのレースを勝利しまくっているという話を聞いて、ぜひ入学してほしいとスカウトを派遣したのだが、とんでもないウマ娘だとスカウトに向かった者は言っていたのだ。
曰く、傲慢だがそこまで実力があるように思えない
曰く、レベルが低すぎて学費を払いたくないと言う
曰く、メイクデビュー戦なら余裕だろうと言う
そして、寒門どころかどこのウマの骨ともわからないウマ娘は中央トレセンにはふさわしくないとスカウトマンは言っていた。
やよいもたづなもそのスカウトマンに良い印象を抱いていなかったので、調べなおしたのだ。
そして、孤児院の院長に話を聞くことができた。
『あの子はとても良い子なんですよ。わがままを言ったことはありません。でも、ウマ娘としての自分に戸惑っているようでした。孤児院には他には……今はウマ娘がいませんから。他の子を傷つけないように臆病になっていました。だから、余計にわがままを言わなくなっていたんだと思います』
ブラックトレイターを語る孤児院の院長は優しい表情をしていた。
『そんな子が一つだけわがままを言ったことがあるんです。レースに出たいと。その前からずっと鍛えているようでしたから言われるのはわかっていました。それで聞いたんですよ、どうして出たいのって。私は楽しそうだったからとか、憧れたからとかそういう答えを期待したんです』
でも、と院長は言う。
『でも、彼女は孤児院に少しでもお金を入れたいって言ったんです。物をよく壊していたことを気に病んでいたんだと思います。……ウマ娘だったら、普通なんですけどね』
最終的に院長はやよいに頭を下げた。
『あの子は頑張りすぎちゃうんです。だから、トレセン学園に入れなければ私はそれでいいと思っています。でも、きっとブラックトレイターは誰かのために走ることを選ぶ。もし、入学を許してくれるのなら、彼女のことをよろしくお願いします』
やよいは院長が嘘を吐いているとは思えなかった。
しかし、あのスカウトマンはURAからの派遣だ。そのスカウトマンが嘘を吐いていると断ずるのは良くなかった。
なので、実力を見るために未登録バ戦に出し、人格を見るために面接をした。ブラックトレイターは自分が思っているよりも入学が危ぶまれている立場だったのだ。
「やはり、良いウマ娘だったと思える」
「そうですね。しかし、学費の話は本当でしたね」
「うむ。学費が払えないからレースで稼ぎたい、と」
「……とはいえ、スカウトマンが提示した条件をクリアしましたからね」
「ああ、残念だが、これでメイクデビュー戦には勝ってもらわなければならなくなった」
そういう約束が成されてしまったのは変わりがない。
いざという時には自分のポケットマネーがあるが、一人のウマ娘のために個人的に学費を出すのは許されないだろう。
「……奨学金制度を整えねばな」
「そうですね」
やよいはせめてブラックトレイターの学園生活が上手く行くように三女神に祈った。
いつもたづなさんかたずなさんかを覚えてなくて書き直してた。
まだ書き直しができてないところがあるかも。