巫女なボクと化身使いなオレ   作:支倉貢

47 / 61
まだまだ行きます! ここはテンション上げて一気に書くぜ!


第41話 vs帝国学園4 〜勝機〜

「あ、あれ⁉︎ 楓……⁉︎」

 

ここで初めて、楓がいないことに気が付いた。

 

え、まさか……あんな体調のまま、どこかへ行ったとか⁉︎

 

おろおろするボクを横目に、試合はどんどん進んでいく。今度は倉間くんがアルティメットサンダーを試した。しかし、ここて走り込んできた帝国DFの龍崎くん? だっけ。が、オーラを全身から放っていた。

 

「化身か!」

「はぁぁあああ‼︎ 竜騎士テディス‼︎」

 

あの人、化身使いだったのか!

 

突然のことに倉間くんは反応出来ず、ボールを奪われてしまう。龍崎くんはボールを前線へとロングパスを出す。御門くんにパスが渡った。

 

このまま点を取らせるワケにはいかない!

 

「このぉ‼︎」

「何っ⁉︎」

 

ボクは御門くんの前に出て、彼のマークについた。ボールを出させないように、突破させないように彼にぴったり張り付く。

 

「ふんっ!」

 

御門くんの脇から、右足の側面で掠めるようにボールを奪う。動きは簡単に言えば、天馬くんのそよかぜステップみたいな感じかな! 何回か見せてもらって、覚えたんだよね。

 

「拓人!」

 

ボクがパスを出すと、拓人は腹の底から声を張り上げた。

 

「うおおおおお‼︎ 奏者マエストロ‼︎」

 

拓人が化身を発動した。ボクは拓人が攻めるのを見て、拓人と共に走り出す。当然、化身を見て彼らが対抗しないワケがない。龍崎くんも、竜騎士テディスを発動した。

光と光のせめぎ合い。これが、化身対決というものか。光の重圧に押されながらも、なんとか前を見る。

 

「うわああっ‼︎」

 

その声に拓人達を見ると、拓人が跳ね飛ばされ、龍崎くんがボールを奪ったのを見た。龍崎くんはボールを奪うと、走り出した。

 

……なかなか、あのディフェンスを崩せない。あれに対抗するには、やはりアルティメットサンダーが必要だ。しかし、今の雷門にはキッカーがいない。

 

「しかも相手には化身使いのDFっていうオプション付きか……このままじゃ、本当に勝機がない!」

 

たらりと冷や汗が流れる。ボクも化身を出すべきか。考え始めるが、あいにく今はそんな余裕はなさそうだ。

ボールをキープした御門くんが黒い光と共に走る。もうこれを見れば分かる。彼も化身使いだ。

 

「勝つのは我々、帝国! 黒き翼レイブン‼︎」

 

御門くんは化身を発動したままノーマルシュートを放った。ノーマルシュートと言えども、化身を発動した場合は威力が違う。三国先輩が防ぐ間も無くゴールされた。

ここで、耳を劈くようなホイッスルの高い音が鳴り響いた。

 

 

 

ベンチに戻ったボクはすぐに葵ちゃんに声をかけた。

 

「ねえ、葵ちゃん! 楓は? 楓はどこにいるの?」

「え? 楓先輩……あれ⁉︎ 楓先輩⁉︎」

 

葵ちゃんがキョロキョロと辺りを見回す。ボクも楓を探そうとすると、茜ちゃんがボソッと言った。

 

「楓くんなら、さっき外に出てったよ。何だか怒ってたみたい」

「え……?」

 

楓が? 怒ってた? 何に?

ボクの頭の中をはてなマークが埋め尽くす。どうやらボクのバカな頭じゃ、楓の考えは分からないみたい。

ボクは、楓の考えが見破れない。楓がいつもどんなこと考えてるとか、どんなこと思ってるかとか、分からない。よく思う。双子なのに、いつも一緒にいるはずなのに、何で楓の考えが分からないんだろう。

シュンとするボクの耳に、聞き覚えのある声が届いた。

 

「俺を試合に出せ‼︎」

 

振り返ると、そこにはあの改造制服を(なび)かせた剣城くんと。

 

「ぁっ……!」

 

楓が立ってた。

 

「俺を試合に出してくれ‼︎」

「監督、みんな。俺からも頼む」

 

楓も、剣城くんと同じように懇願する。

 

「確かに剣城クンはシードとしてここに来た。でも、お前らもあの時見ただろ? こいつのサッカーへの想いはホンモノだ。俺はこいつの想いを信じる。監督お願いします。こいつを出してやって下さい!」

 

楓がペコッと頭を下げる。こんな楓、初めて見たかもしれない。ボクは呆然と楓を見ていた。

あの時ーーフィフスセクターがボクらの家に来た時も、楓はこうやって自身を犠牲にしたのか。そう思うと、何だか苦しくなった。

 

「剣城くん……」

 

でも、今とこれとは別だ。ボクは剣城くんに歩み寄り、手を握る。

 

「⁉︎」

「やっと来てくれたね! 待ってたよ、剣城くん!」

「紅葉……」

 

剣城くんは驚いた様子でボクを見下ろす。楓もホッとしたのか、頬が緩んでた。

ところで何で剣城くんの顔が赤いんだろ? まあどうでもいいけど。

 

「俺も剣城を信じます!」

 

天馬くんも、一歩進み出て言う。ボクは剣城くんの手を放し、みんなに向き直った。

 

「いいよね、みんな! 剣城くんはきっと力になってくれる! 一緒に戦ってくれる! 監督! ボクからもお願いします!」

 

楓と一緒になって、ぺこりと頭を下げる。

 

「……そうだな。よろしく頼むぞ、剣城」

 

拓人がそう言うと、みんなも納得してくれた。

これなら、まだ勝機があるかもしれない。剣城くんに、アルティメットサンダーを任せるしかない。

ボクは剣城くんを見ながら、円堂監督と話す楓を視界の隅に捉えていた。

 

 




楓くんが動きましたね。
これから楓くんのこともちょっとずつですが、明かしていきたいと思っています。
これからもよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。