ifから始まる幻想郷崩壊   作:サンシャインWest

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 一気に3話目もどーん。

 稚拙文 一気に出せば 怖くない  ・・・・・・メイビー


第3話 束の間の安らぎに潜む陰

 長引いた冬が終わり、春の陽気が桜と共に幻想郷中に一斉に訪れた夜。博霊神社では異変解決後の恒例行事となっている宴会が開かれていた。

 異変を起こした者も、解決に奔走した者も、関わらなかった者も、人も、妖怪も、皆区別なく集い、飲み、食い、笑っていた。

 

「いやー、今回は私の推理力と火力が大活躍だったな!」

 

「何言ってんのよ。油断して幽々子の弾幕の餌食になりかけてた癖に。」

 

 調子に乗った普通の魔法使い「霧雨 魔理沙」に博霊の巫女「博霊 霊夢」が突っ込みを入れる。いつもの遣り取りに皆笑みを浮かべる。

 その輪から少し離れた場所にて、妖怪の賢者にして幻想郷の管理者であるスキマ妖怪「八雲 紫」は、今回の異変の首謀格である2人へ異変の後始末の進捗について聞いていた。

 

「そういえば、集めた春はすべて返し終えたのかしら?」

 

その問いに対して今回の異変の首謀格の1人である半人半霊の剣士「魂魄 妖夢」は少し苦々しげな表情を浮かべながら返答する。

 

「……実は、直接返していない春があります。」

 

 妖夢の言い回しに紫は首を傾げる。

 

「直接ではない...誰かに頼んだって事?」

 

「はい。殆どの春は『妖桜』が落ち着くと共にそれぞれ本来在るべき所へ戻って行ったのですが、とある春だけは首飾りの形となって『妖桜』の前に落ちていたんです。」

 

「…戻るべき場所のない春があった?」

 

 だとしても何故首飾りの形をとっていたのか。紫はそこに引っかかりを憶えた。

 

「その春には実体もあったので、現世へと持って行き、どこで回収した春か調べていたんです。その時「春告げ精」がやってきて『その春を在るべき場所へと還すから渡して下さい。』と言われたので彼女に渡しました。」

 

「『リリー』が?彼女がその春の関係者だったのかしら。」

 

 春告げ精『リリー・ホワイト』。彼女は幻想郷に春がやってきた事を告げて回る妖精であり、その気になれば春を操る事も可能だ。その春が彼女由来のものである可能性は確かに高い。

 

「その春と春告げ精からは同じ波長を感じたので、おそらくはそうかと...実は、あの春だけは回収時の記憶が無いんです。」

 

「記憶が?」

 

 沈痛な面持ちで告げる妖夢。その様子と告げた内容に紫は疑問を抱く。そして妖夢の主であり、今回の異変を起こした張本人である冥界の姫にして白玉楼の主「西行寺 幽々子」はその言葉に強い反応を見せた。

 

「…妖夢ちゃん、それって...。」

 

「ええ、おそらくは【狂気】が表に出ていたかもしれません。」

 

 それを聞いた瞬間、幽々子は妖夢に詰め寄り、鬼気迫る勢いで問い質した。

 

「妖夢ちゃん!それはいつ!?どのくらいの時間!?」

 

「昨夜の0時頃から2時頃までの記憶がありません。気が付いた時には森に流れる川で血を洗い流していて、その時には例の春は回収後でした。」

 

「血!?妖夢ちゃん!その血はっ!......。」

 

「私のものではありませんでした。その血には妖力が混じっていたので人間のものではないと思います。近いものですと...妖獣ですね。おそらくはその返り血かと。」

 

「…そう...。」

 

 それを聞いた幽々子はほっとしたのかその場に腰を下ろした。

 

「……幽々子、説明が欲しいわ。」

 

「ああ、ごめんなさい 紫。そうよね、貴方は知らないのだものね。」

 

 幽々子は紫の方へと向き直ると神妙な面持ちで話し始める。

 

「…妖夢にはね、人格が2つあるの。…この子の祖父である『魂魄妖忌』が修行の旅に出てから出て来るようになったから、おそらくはストレスが原因だと思うわ。もう1人の人格は血と争いを好む戦闘狂でね。危険すぎるから普段は私の力の一部を使って押さえつけているのだけれど...。今回、私は力のほとんどを妖桜の方へ注いでいたから、妖夢へ向けていた力が不安定になって一時的に出てきてしまったみたい。」

 

 幽々子の話に驚きを隠せない紫であったが、直ぐに気を取り直して右手で広げた扇子で口元を隠し思案し始めた。

 

「……そうだったの...。まあ、今回は特にそれによって大きな被害が出ている訳じゃないからいいわ。けれど、今後は気を付けてね 幽々子。もしその力が幻想郷の脅威になるようであれば...私は、貴方と敵対する事になるとしても妖夢を処分する事を躊躇わないわ。」

 

「…ええ、分っているわ。そうならないよう、今まで以上に気を配るわ。」

 

「お願いね。しかし、その残っていた春...少し気になるわね...。少し調べてみようかしら。」

 

 こうして、妖怪の賢者は【狂気】の存在を知った。だが、既に【狂気】が幻想郷にとって致命的な過ちを犯してしまっている事に、誰も気づけないでいた。そう、当の【狂気】でさえ、自らの殺めた人間がこの幻想郷を支える柱の1つ、その要石とも呼べる存在となっていた事を知らない。

 

・・・

 

「そういや霊夢、今回の宴会に幸太を呼ばなかったのか?あいつも宴会でなら遠慮せずに飲み食い出来ただろうし。」

 

「勿論、私もそう考えて呼びに行ったわよ...でも...。」

 

魔理沙の疑問に霊夢は返答を返すが、直ぐに顔を俯け言い淀む。そんな霊夢の言葉を引き継いだのは、いつの間にか2人の傍に居た 紅魔館のメイド長「十六夜 咲夜」だった。

 

「私もお嬢様の指示で彼の家を訪ねましたが、家を空けている様でした。近くの人間に尋ねてみたところ、ナタを持って人里の外の森へ向かう姿が目撃されている為、恐らくは狩りへ行ったものと考えられますね。」

 

「成程な。多分、自分で食べる分の食料調達ってところだな。」

 

「ええ、そうね。幸太に限って狩りで引き際を間違える事はないと思うけど、大きな怪我をしないか心配ね。明日にでも一度様子を見に行ってみようかしら。」

 

「おう、そうだな。私も気になるし付き合うぜ。」

 

「私も気になるわ。咲夜、貴女も明日彼女達に附いて幸太の様子を確認して来て頂戴。」

 

 霊夢と魔理沙、2人のセリフに少し幼さの残る声が混ざる。それは 紅魔館の主であり吸血鬼姉妹の姉「レミリア・スカーレット」であった。

 

「承りました。お嬢様。」

 

 主からの命に、咲夜は恭しく頭を下げながら返答する。

 

 宴会は程無くして解散となり、騒がしい夜は明けてゆく...一抹の不安を残して......

 

 

 こうして、幻想郷という世界は、支えを失った柱から崩れていく...誰にも気づかれず、ゆっくりと、しかし確実に...

 それに彼女らが気付けるのは、これより少し先。しかしその時には、既に崩壊は手遅れな域まで達する事になる。

 

 幻想郷最後の春が始まる......




 今度は一気に長文・・・

 実はここまでに3か月の執筆期間を要してるというね。

 自分の文才の無さに泣ける orz
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