意外と多くの方に見て頂けているようで驚きました。
ここからは私独自の設定・解釈が増えていくのでご留意下さい。
博霊神社での宴会の翌朝、人々は突然訪れた春に戸惑いつつも、暖かな陽気と咲き乱れる桜を始めとした花々に顔を綻ばせ、子供達ははしゃぎ回り、人里は活気づいていた。
そんな春に浮かれる人々を横目に、里の外れへと向かう少女の姿があった。彼女は 宵闇の妖怪「ルーミア」。幸太の友人を自負している者の1人であり、彼の妖力を宿した血肉に魅せられ、その血肉を少し食べさせて貰う代わりとして彼の体内に蓄積された妖力を一定量まで吸い取り、引き受けている。幸太が恩人と思っている人物の1人だ。
そんな彼女は、果実や山菜、人里に来る前に仕留めた兎の肉等を持っていた。人からの施しを、自らに関わる事で不幸にしてしまうからという理由で受け付けない幸太。そんな幸太になんとか栄養あるものを食べさせようと考えていたルーミアは、手に持った山の幸を見ながら薄く微笑み、自らの考えた作戦を口に出して確認していた。
「あの馬鹿は施しの形では絶対に受け取らないだろうからな。〝いつもより血肉を多く分けて貰うからその為に栄養をある程度補充しろ。これらはその前払いと思え。お前が倒れて血肉が貰えなくなるのは私も困る。〟とでも言えば大人しく受け取るだろう。一部はその場で調理して食わせよう。そうすれば残すのは勿体無いと考えて残りもしっかりと食べるだろうしな。」
言葉は酷くぶっきらぼうなものだったが、その口調や表情はとても柔らかく、幸太への思いやりや優しさに満ちていた。そんな彼女が幸太の家の前に着くと、そこには既に3人の少女が居た。
「おや?霊夢に魔理沙、それと......」
「十六夜 咲夜 と申します。霧の湖の近くに最近越してきました紅魔館にてメイド長をしております。以後、お見知り置きを。」
「ああ、あの館の...私は 宵闇の妖怪ルーミア だ。そこの家の住人、幸太の友人だ。よろしく。で、そんな紅魔館のメイド長さんが幸太の家になんの用だい?」
「紅魔館の支配者にして我が主であるレミリアお嬢様より、友人である幸太様の様子を見て来るようにとの命を受けまして。同じく幸太様の様子を確認しようとした霊夢、魔理沙とこうして彼の家を訪れたのですが......」
咲夜の言葉を継いだのは霊夢だった。
「幸太、昨日の夕方頃に森に向ってから帰って来てないみたいなのよ。里の人間によるとナタを持っていたらしいから狩りに行ったんだと思うけど......」
その言葉を受け、ルーミアは俯き暫く考え込んだ後、顔を上げて霊夢達に提案した。
「…分かった。私もアイツに用があったし、森の中なら幾つか心当たりもあるから今から森に行って幸太を探してみよう。見つけたらお前達にも様子を伝えに行くよ。」
ルーミアの言葉を受け、霊夢達はそれぞれ一度帰る事にした。比較的手が空いている魔理沙は、暇があれば魔法の森方面を軽く見て回り幸太がいないか確認する事になった。
霊夢達と別れたルーミアは持って来た荷物を幸太の家の食料置き場に置いた後、彼が向かったらしい森へと入って行った。そして、そこから霧の湖の方向へ向かいながら木の洞や洞窟等の人が雨風から身を隠せる場所を見て回った。それらの場所に人の居た痕跡は無かったが、その事にルーミアは焦る様子は無く、むしろ痕跡が無い事に少しホッとしているようだった。
「……ふむ、ここにも人が居た気配は無いな。やはり妖精達、いや、チルノか大妖精の所かな。」
幸太が狩り場にしているこの森は普段は妖獣達の縄張りだが、昨日のような大雪の際には彼等も
そして、妖精達のリーダーとも呼べるチルノと大妖精の友人である幸太に対し、妖精達は彼の人柄もあって
「ふふっ。流石のアイツも、多数の妖精相手に遠慮し続ける事は無理だろうからな。途中で諦めて素直にもてなされていた事だろう。アレは必要なかったかな?」
彼の家に置いてきた食料を思い浮かべ、そう呟く彼女の顔には少しの落胆とそれ以上の安堵が浮かんでいた。そんな彼女は数分後、霧の湖近くにあるチルノや大妖精を含めた妖精達の住処の1つに到着しようとしていたが、そこで違和感を覚えた。
「(……何だ?いつもより妖精の気配が多い様な...しかもその割には静か過ぎる...いつもの人数の時よりも静かなんじゃないか?)」
妖精の住処からは、普段の倍以上の妖精の気配が感じられるものの、それにしては静か過ぎた。妖精の性格から考えて、これは通常あり得ない事だ。つまり、目前に迫った住処にて何らかの異常事態が発生していると考えていいだろう。ルーミアは木陰から妖精の住処の様子を伺おうとしたが、その瞬間、突如ルーミアの周りに彼女が見た事の無い妖精が8体現れていつでも攻撃出来る態勢で彼女を包囲した。
「な、何っ!?(なんだこいつ等!?今の今まで気配を感じなかった!しかも普通の妖精より強い。1,2体までなら何とかなりそうだが、次の瞬間に残りにやられる...)」
自分を包囲する妖精の実力を瞬時に見抜いたルーミアは、万歳のポーズをとり、抵抗の意思が無い事を示し、包囲されたまま大人しく連行された。
ルーミアが連れて行かれた先は妖精の住処から少し離れた場所にある小池、その傍に佇む1軒の小屋だった。小屋の中はそこそこ広く、中央には小屋のほとんどを占領する大きさの長方形の机と多数の椅子があり、その椅子には多種多様な妖精が座っており、席の殆どを埋めていた。妖精等は小屋に連行されてきたルーミアへとほぼ全員が顔を向けており、その視線の多さに彼女は少したじろぎ、それ程の数の妖精が集まっている事に驚いた。しかし次の瞬間、彼女はもっと驚く事となる。
「皆(みな)、気にするな。その者は私の友人である。お前達も彼女を開放してやれ。危険は無い。」
鈴のようによく響く美しい、しかしそれを超える冷たさと威厳を含んだ声が、一瞬にしてその場支配した。椅子に座した妖精達は声の主へと視線を転じ、ルーミアを囲んでいた妖精達はそれぞれ軽く頭を下げると足もとの影に落ちるようにして姿を消した。よく訓練された軍隊の如き統一された動きに、何よりそれを行う妖精達に、ルーミアは恐ろしさすら覚えた。この場に居る妖精達は自分のよく知る妖精達と同じとは、とても思えなかった。更に、聞き覚えのある、しかし自分の知る声とは全くと言っていい程違う声の持ち主。その人物へと目を向ければそこに居たのは......
正に “妖精の女王” と呼ぶべき女性だった。
年の頃は20代後半だろうか。まるで氷の彫像を思わせるその美貌にはルーミアへ対する親愛の笑みが浮かんでいたが、そんな表情を向けられているというのにルーミアにはかつて感じた事の無い程の緊張が走っていた。
「(なんだ!この感覚は!恐れでは無い...しかし彼女に服従し、敵対したくないと思わせるこの感じは...カリスマとでも呼ぶべきモノだな。彼女の王としての存在感が私を圧迫している...いや、私が勝手にそう感じているだけだ。事実、彼女は私を全く威圧していないのだから...)」
初めての感覚に少し戸惑うも、直ぐに自己分析を終わらせ自らの心を落ち着ける事に成功したルーミアは、改めて玉座のような、しかし決して華美では無い椅子に座る“妖精の女王”を見やる。
薄い水色でまるで冬の晴れ空を思わせるまっすぐな髪は腰ほどまで伸びており、その中に5月の新緑のような若草色のメッシュが幾筋か入っている。それが髪全体の色を引き立てており、見ているの者に3月の空と草原のような、6月の湖と水草のような、穏やかな自然の風景を感じさせる。瞳の色は右がサファイア、左がエメラルドを思わせる深い色をしており、それは所謂オッドアイと呼ばれるものであった。宝石のような美しさを持つその眼には慈愛と憤怒、悲しみと喜び、2つの相反する感情が同時に湛えられている。白いワンピースタイプのシンプルなドレスは、彼女の女性らしさを体現したような黄金比を思わせる身体を際立たせつつ、しかしその威厳や神々しさを損なう事無く、絶妙なバランスを保たせている。そんな彼女の背には薄氷のように薄く半透明なアーモンドを思わせる楕円形の羽が4枚、片仮名のハを上下に2個連ねたような形に生えている。ダイヤモンドダストのような煌く光の粉を絶えず綿雪の如く落としているその羽は彼女に神秘的な雰囲気と触れたら容易く壊れてしまいそうな儚さを与えている。
「(見れば見る程、冗談のような美しさだ。しかし...何だろう...どこかで見たような...)」
ルーミアが彼女の顔に謎の既視感を感じていると、そんなルーミアの様子に“妖精の女王” 怪訝そうな表情を浮かべたかと思うとすぐさま納得顔になり、ルーミアへと自らの説明を始めた。
「うむ、ルーミアはこの姿の私...いや、私達を知らないのだった。すまなかったな。私の名前は『大妖精チルノ』、幻想郷の妖精達の王を務めている。普段は『氷の妖精 チルノ』と『大妖精』として暮らしている。」
「チルノと大妖精だと!?」
『大妖精チルノ』の言葉に、ルーミアは驚きを隠せないでいた。言われてみれば確かに目の前の妖精女王からはチルノと大妖精の面影を感じ取れるが、しかし普段のチルノと大妖精を知る身からすれば同一人物であるとは到底思えなかった。
「ふふっ、混乱しておるな。まあ、しかし、仕方あるまい。元の私達はそこらの妖精と大差ないからな。まあ、どちらかと言えば今の姿の方が本来の私達に近いのだがな...。よし、では今日はこれまでとする。明日また改めて話し合うとしよう。解散!」
大妖精チルノの言葉を受け、妖精達は彼女に向けて一度深く礼をすると全員小屋から出て行った。その場に残されたのは大妖精チルノとルーミアのみとなった。
う~ん、相変わらずの語彙力......。
そしてこの先の話のストックがほぼ無いというね。
なんとかあまり間を開けないようにはしたい......。