東方夢幻想   作:厄味

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厄味による厄味のためのお話
はーじまーるよー



プロローグ

そこに日の光はなかった

…別に変わった事じゃないわ

元々そういう場所なのだから

 

八雲紫はスキマ空間にいた

 

いつも通りの仄暗い空間

光源は無い

にも関わらず物を見るのに困ることは無い

普通の人妖からすれば不思議に感じるだろう

まぁ…私以外の誰かがここに来ることなんて滅多に無いのだけれど

そして今このスキマは外の空間との関係を遮断している

所謂完全密室っていうやつね

なぜそんなことをしているのかって?それは―…

 

「久しぶりだね、紫」

 

来訪者がいるから

 

「久しぶりね…こう直接会うのは博麗大結界を張った時以来かしら?」

 

「あー…もうそんなに経つのかぁ…」

げんなりした顔の来訪者ーすなわち彼女は以前に会った時から変わっていなかった

 

整った顔、華奢な身体、そして腰まである綺麗な髪はー…

 

「前に会った時はそんな髪色だったかしら?」

 

「これ?“彼女の色”。中々似合うっしょ?」

 

そう言う彼女はコロコロと笑いながらそっと髪を撫でた

昔見た若葉のような緑髪は血で染めたような緋色へと変わっていた

…昔の色の方が私は好きなのだけれど

 

そんな彼女がなぜ唐突に私の前に現れたのか

…嫌な予感がする

 

「…ねぇ一つ聞かせて頂戴。貴女が私の前に現れたって事は…」

 

「流石紫だね。話が早い…ついにだよ」

あぁ…やっぱり

沈む気持ちとは対照的にこちらを見据えるその二つの瞳は爛々と輝いており、まるで子どものようだった

 

「…かつて貴女が言ったんじゃない」

 

「そうだっけ?」

考える仕草を数秒取った後、諦めたように元に戻る。

…思い出せなかったのね

 

 

「…本当にやるのね?」

「もちろん。そういう約束だしね…異論があるなら紫とはいえ…殺すよ…?」

ゾワリ…

彼女から殺気が溢れ出す

…恐らく脅しや冗談の類ではない

もし拒絶の意を示せば一瞬で私の体は真っ二つ

…そんなの御免だわ

 

「まさか…異論なんて無いわ。貴女の覚悟を確かめたかっただけよ」

 

「そっかそっか ならいいよ」

表情は先程と変わらずニコニコとしている

ただ彼女から発せられていた殺気はまるで幻だったかのように消えていた

…ふぅ 扱いにくさも相変わらずね…

一筋の冷汗が頬を伝う

 

「そいじゃ早速始めようか」

 

「そうね…」

正直乗り気では無い

この幻想郷全土を危険に晒す事になるのだから

…それでも私に彼女は止められない

彼女が何のためにそんなことをするのか

どういう想いを秘めているのかを知っているから

止めることなど出来なかった…

 

「“彼”は希望になれるのかなぁ…?あぁ…楽しみだなぁ…」

うっとりとする彼女からは仄かな殺気とずっしりとした狂気が感じられた

それも恐らく本人が意識していないにも関わらずに…

 

あぁ…願わくば大きな被害が出ませんように…

不安を胸いっぱいに抱えつつ

外の世界へと空間を繋げる

 

「はぁ…」

諦めのようなため息が自然と漏れた

 




短いです
でもプロローグは最初600字程度に纏める予定だったから
かなり水増ししてます

次からは長くなる…ハズ
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