するすると病室のドアが開く音がした。
医師が来る時間はまだのはずだ、では誰かが見舞いに来たのだろうか?しかし、自分のことを見舞いにくる人間などいなかったはずだが…と思考しドアの方に目を向ける。
───────そこには幾度か目にした事のある神父服を着て薄ら笑いを浮かべた男とその妹弟子にあたる少女がいた。部屋に入りベッドの横にある椅子に神父服の男が腰掛けたところで口を開いた。
「・・・驚いたな。貴様ほどの実力者の死因が肺がんとは。」
「第一声がそれか
それを聞いていた少女が不満をあらわにして声をあげる
「何?魔術師がお見舞いをするのがそんなに珍しい?いくら私でもお見舞いくらいするわよ。」
「それは失敬。しかし俺の異端嫌いを抜きにしてもお前らが見舞いにくるなんて想像もしなかったんでね。」
「それ、暗に私の性格が悪いっていってるわよね?まぁあんたには世話になったし死ぬ間際くらい会いに来てあげようって思ってね。で、病状はどうなの?」
さて、どう答えるべきか、と思考する。何しろ担当の医師から
「さて、どうだろうな。生憎俺は医師ではないからよく分からない。」
はぐらかすことだった。
何しろ本当の事は言えないが嘘をついても先程から横で黙りこくっている神父に看破されるのは目に見えている。いやまぁ彼であれば愉悦を得る為に嘘を看破した上で黙っているということも有り得るのだが…それでも嘘をつくよりはぐらかすほうが幾分かマシだと判断した。そしてその答えを聞いた彼女はと言うと…
「はぁ?あんたバカじゃないの?自分の病状くらい自分で理解しときなさいよ!」
と、語気を強めてそう言った。当然の反応だろう。彼女からすれば珍しく心配しているというのに相手は自身の病状を把握していないというのだ。彼女でなくともその反応をするだろう。…だが、それでも話すことは出来ない。何故ならば彼女は
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そうしてその後2人とたわいもない会話をして日が沈み始めた時には2人は部屋を出ようとしていた。
「じゃ、帰るから。次があるかは知らないけどまたね。」
「あぁ。また会える事を祈っておくよ。」
───────これでいい。だって自身の死で2人に迷惑をかける訳にはいかない。聖杯戦争に参加する凛には特に。そうして最期の挨拶を言峰にも告げようとして─
「すまない。少々伝え忘れていたことがあった。凛は先に病院を出ておいてくれ。」
「は?…いや別にいいけど長くなるようなら先に帰るわよ。」
そうして凛は部屋を出て行き病室には俺と言峰だけが残った。しかし伝え忘れていた事とはなんだろうか?やはり聖杯戦争の事だろうか。いや監督役である言峰から聖杯戦争の事を伝えるなどいくら同じ
一瞬、思考が止まった。言峰が切り込んでこなかったからバレていないものだと思っていたがバレていたのか──とこれ以上隠すことが出来ない事を悟る。これは正直に話すしか道はないだろう。
「1週間生きられれば奇跡、と言われた。それ以外は知らん。明日には鼓動が止まっているかもしれんし、奇跡が起こればそれ以上生きられるかもしれん。」
「そうか…しかし呆気ないものだ。
「実力でどうにかできるほど癌は甘くないという事だろう。だがお前が人を心配するとはな、明日は槍でも降るのか?」
「何、元同業者のよしみ、というやつだ。貴様の末路くらいは見届けてやろう、とな。」
「はぁ…凛には言うなよ。折角の俺の気遣いを無駄にするな。」
「言わんさ。唯、気になっただけだ。」
「なら良い。俺はもう休む。お前は帰れ。」
「言われずとも帰るさ。───ではせいぜい安らかに眠れ。」
そうして言峰が部屋を出ていったのを確認して目を閉じる。───────だんだん意識が遠くなっていく。眠るのとは違う明確な死というものを近くに感じるそれに身を委ねて────プツリと意識が途絶えた。
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───────2004年1月15日23時52分35秒
白上克巳 死亡
すいません、少ない上にワートリ要素0になってしまいました…。次は絶対ワートリ要素出します。