代行者、近界に立つ。   作:フェクト

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こんにちは。今回はワートリ要素をきちんと出せました。拙い文章ですが是非お楽しみ下さい。

感想・評価をして下されれば励みになります。


第2話

「…きろ。」

 

───────声が聞こえる。

 

「おい!起きろ!」

 

再度声がした。しかし何故声が聞こえるのだろうか。自身は癌で死んだはずでは───────

 

「てめぇ…とっとと起きろ!」

 

瞬間、腹への衝撃。弾き飛ばされ、意識が鮮明になっていく。これ以上目を瞑っていると危険だと判断し、目を開く。その先には───────

 

2人の男がいた。

 

「ようやく起きたかクソガキ」

 

「おい、あまり暴力を振るうな。()()()()()()もまだだ。下手に壊すのは良くない。」

 

「あぁ!?起きねぇほうが悪ぃんだろうが!」

 

「だがそいつのトリオン量が多い可能性だってある。起こすために蹴る、というのは些かやりすぎだ。」

 

「…それもそうだな。まぁ怪我もしてねぇみたいだし良いだろ。」

 

「そういう問題では無いのだが…」

 

2人が会話をしているうちに状況を確認する。先程は気づかなかったが周りには子供が数人いる。全員が怯えているのを見ると攫われて来たのだろうか?そして何より気になるのは片方の男が発していたトリオン測定という言葉。トリオンと言うのは聞いたことがない。何かの隠語だろうか?──と思考を巡らせていると上にあるスピーカーから声が聞こえて来た。

 

「トリオン測定の準備が完了した。監視の2人は早急に玄界の子供を連れて来い。」

 

「おっ出来たのか!じゃあガキ共着いてこい。行くぞ。」

 

「逃げようとは考えない事だ。万が一逃げられたとしても死ぬぞ。」

 

そう注意し、2人は部屋の外へと歩いていく。何故生きているのか、此処は何処なのか、と疑問は尽きないが今は着いて行くしかないだろう、とドアへと歩きだす。それを見たのか他の子供も怯えながら着いてくる。そうしてドアから出て───────思考が停止した。

 

ドアの外には窓があった。それ自体は変な事ではない。屋内なのだ、窓の一つや二つあるだろう。しかし窓ごしの外には()()()()()()()()()()()()()()()()()。咄嗟に魔術の存在を思い浮かべるがここまでの魔術があれば教会の耳に入ってくるはずだ。いや、それよりも気になるのは窓に映された自身の姿。その姿は───────

 

 

「子供……?」

 

思わず口に出してしまう。幸い誰にも聞こえなかったようだがやはり自制が効きにくくなっているあたり少しこの肉体に引っ張られている部分があるようだ。しかし何故子供の姿に?生き延びただけであれば魔術師や聖堂協会が何かした、で済ませるが若返っているともなればそれは魔法の領域だ。そんな事を可能にする者がいたとしても自身にそれを使う訳が───────

 

「おい、てめぇとっとと来い。来ねぇなら引きずってでも連れてくぞ。」

 

と話しかけられた事で一旦思考を中断する。見れば他の子供は随分先に行っておりわざわざこの男が戻って来たことが伺える。短気ではあるがそこまで悪い奴では無いのかもしれない、と評価を改め、すみません、と告げてついて行く。とりあえずトリオン測定とやらをして情報収集をするしかないだろう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

トリオン測定とやらはそこまで時間がかからずに終わった。採血などもなく一人一人個室に入っていくだけの物だった。今は最初の部屋に入れられ、男に少し待ってろ、と命令され待機しているところである。とりあえずする事もないので情報の整理をしていく事にする。

 

まずこの場所について。

トリオン測定の間に色々聞いてみたがこの世界の名前が近界(ネイバーフッド)という事しか分からなかった。因みにその名前はあくまで玄界と言う場所で呼ばれている物だとか。さてここから分かるのはこの場所だけでなくこの世界その物が自身の知るものとは全く別の物であるということだ。もし自身がいた世界にこんな場所があれば速攻聖堂教会に通達が来るだろう。

 

次にトリオンについて。

これに関してはかなり有益な情報を得られた。どうやら彼らはトリオンの研究をしていたらしく聞いていないことまで話してくれた。それがトリガーの存在である。

まずトリオンは心臓の横にある見えない内臓で生成されているエネルギーらしい。人によって作り出せるトリオンの量も変わるのだとか。そしてそのエネルギーを使った兵器がトリガーという存在である。トリガーは使う際に必ずトリオン体というものになり身体能力の大幅な向上、そして痛覚の遮断などの効果が得られるらしい。トリガーの中でも出力が段違いな黒トリガーというものもあるらしいがこれに関しては話してくれなかった。

 

 

そして1番の疑問点であった何故俺が生きているのか、ということだ。

これに関してはここが異世界だと気づいた時にある程度の仮説を立てることが出来た。それが()()である。信じ難い話だが実際そのくらいしか今の状況を説明出来ないのだから仕方がない。

 

と、ある程度情報の整理が出来たところでドアが開いた。随分とタイミングが良いものだ、と思いながらドアの方へ目を向ければあの2人の姿があった。

 

「じゃあ今からてめぇらの仕事について説明する。とりあえずこれを持て。」

 

そう言った後に一人一人に彼はナイフを手渡していく。ナイフをつかう仕事、ということは殺し合いでもさせるのだろうか、と思考を巡らせナイフを受け取る。全員が受け取ったのを確認してもう片方の男が説明を始めた。

 

「では説明を始める。1度しか言わんからきちんと聞け。まず今からお前達は()()()だ。最初はそのナイフで敵を殺して来い。トリオンを流せるように作ったからどうにかしてトリオンを知覚して使え。でなければトリオン体は壊せん。その戦績によってはトリガーも配られる。分かったな?では戦場に行ってこい。」

 

と、突然の情報量に少し困惑するがとりあえずする事は分かった。この武器で相手を殺す───────代行者の仕事とあまり差異はない。トリオンを流す、という事をまだ出来ていないのに加えまだこの肉体は子供であることを加味するとかなり難易度は高いがそこは頑張るしかないだろう。さて、戦場に行こうと思いドアへと歩き出したところで──────────────戦場の場所を聞いていない事を思い出した。

 

 

「そういえば教えていなかったな。ついでだ、今回の相手も教えておこう。相手の国はスピンテールと言う国だ。まぁ分からんだろうがな───────さて、戦場はここだ。分かったなら行ってこい。」

 

「分かった。」

 

と戦場の場所を聞いて今度こそドアから外へ出る。

さて、そちら(戦場)に向かいながらどう戦うか戦略を練る。何しろこちらは子供な上に生身、トリオンを流すと言う感覚を掴めなければ死ぬのは分かりきっている。そうして考えた結果トリガーとやらを見ることが先決だと判断した。百聞は一見にしかず、という言葉もある、見るだけでも感覚は掴めるだろう…と、とりあえずの目標を定め歩くスピードを少し早めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「あれか。」

 

と、視界の先にある爆発を見て戦場についた事を知る。気を引き締め何時でも動けるようにナイフを握る。そして───────1人でいる敵兵を見つけ、突撃した。

 

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その時その敵兵はかなり危険な状況にあった。トリオン体ではあるものの周りには自分1人。もしここで会敵してしまえば自身は死んでまうだろう、と恐怖で身を震わせて───────何処からか振るわれたナイフが首に当たった。それに気づいた瞬間そこから飛び退き自分の武器を構える。あの時死ななかったのは相手がトリガーを使っていない証拠だ、であれば殺すのは容易だと判断し、敵がいるであろう方向を見る。そしてそこに居たのは───────子供だった。

 

「は…?子供…?」

 

何故子供が、と疑問に感じるもののその手に握られるナイフを見て先程自身を攻撃した敵だと認識する。少し罪悪感はあるがこれは戦争だ、と心の中で言い聞かせ刃を子供へと振りかざして───────()()()()()

 

「はぁ!?」

 

と、思わず声を上げてしまう。当然だ。生身の子供がトリオン体から放たれる斬撃を躱したのだから。だが彼は兵士だ。殺せていないことが分かった瞬間再度斬撃を繰り出して…()()()()()()。それを見て兵士は先程からの回避が偶然でもまぐれでもない事を悟る。とんでもない事だが彼が子供である事実は変わらない。体力の限界が来るまで攻撃を続ければ殺せるだろう、と検討をつけ切りかかる。それを彼はひらりと横に飛ぶ事で躱す。再度繰り出される斬撃を後ろに跳躍して躱す。子供にあるまじき身体能力。どんな教育をされて来たんだ…?と思っていると───

 

「これがトリオンか。」

 

と、意味の分からない言葉を発して()()()()()()()()()()()()()()。その瞬間兵士は動きを止める…いや、()()()()()()()。その時驚愕しながらも飛び退けば彼は死ななかっただろう。彼が防御に意識を割くことが出来れば反撃にも転じる事が出来ただろう。しかし彼は動きを完全に止めてしまった。故に────トリオン体を破壊する術を得た彼によってその兵士の喉首がナイフによって貫かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




戦闘描写も入れて見ました。難しいですね。変な所、読みにくい所があれば教えて下さい。


後いつの間にかバーが黄色になっていました。読んでくれた皆さんには感謝しかありません。本当にありがとうございます。
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