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───────ナイフを引き抜き、次の場所へと歩きだす。トリオンを流すコツは掴めた。あとはもう殺していくだけだ、と考え───────
咄嗟にナイフを構え、相手の姿を確認する。先程の斬撃は喉を貫いたはずの兵士による物だった。死徒、という存在が頭をよぎったがそれはない、と一蹴する。先程の動きは死徒のものにすれば遅すぎたことが証拠となる。
───しかし、あの兵士は何故生きている?喉を貫いたことは彼の喉にある亀裂が物語っている。まさか、トリオン体になれば不死となる訳でもあるまい、何処かにカラクリがあるはずだ。───────とりあえず、急所を貫いていくか。と、思考をまとめ相手へと駆け出す。子供特有の身軽さで相手の股下をくぐり抜け心臓を突き刺した後、ナイフを引き抜き後ろへと飛び退く。警戒は緩めない、先程のように生きている可能性がある───────と、突然彼の体が光に包まれた。そこから出てくるのは
先程とは違うな、と相手を観察する、先程斬撃を繰り出した時は喉に亀裂が入っていた、だが今回は亀裂すら入っていない完全な無傷。先程の光は再生するための物か、と当たりをつける。心臓を貫いても再生するのであらば狙うべきは───脳。即座に駆け寄り相手に対応をさせる暇を与えず額を貫く。
そして───────
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兵士を殺して数分がたった。先程の戦闘で無理な動きをした代償か、身体が悲鳴を上げている。それでも問題はない、動けない程の痛みは感じないから戦闘は可能だ。目指すべきは次の戦場だ。何しろまだ1人しか殺していない。そして視界に
───────脳裏に自身の知らない映像が流れ込んだ。心臓近くを抉られ、寄り添うようにして死んでいる男女、白い化け物に食われる自分と泣いている明るい茶髪の少女───────なんだ?これは、と流れ込んだ映像を見て動きを止める、頭に痛みが走る、これは少なくとも自分の記憶では無い。となれば考えられるのは───────この、肉体の記憶だ。自身が宿る前、この少年が生きてきた記録。それが、あの白い何かを引き金として流れ込んできた───────。
頭の痛みが収まり、この肉体は自身が1人の少年を殺して奪ってしまったのだと理解する。
───────問わねばならない。この少年はどんな人間だったのか。あの少女はなんなのか。そして───────何故自身がこの少年に宿ってしまったのか。必ず、あるはずだ。自身がこの少年に宿った理由が、この少年を殺してしまった責務を誰でもない自分が果たさなければ───────。
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この世界での目標を立てたところでここが戦場であることを思い出し、1度思考を振り払う。幸運な事に敵には見つからなかったようだが致命的な隙を晒していた事には変わりない。とりあえずは、この戦争に勝つことを考えよう、それからでも問いの答えを探すのは遅くない───────と、あの白い化け物に突撃する。形が変わろうともやる事は変わらない。ナイフを使って、殺す。それだけだ。
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戦場の1部分に、誰もが目を疑うような光景が広がっていた。そこかしこにスクラップと化したトリオン兵、そして物言わぬ骸となった兵士。そして───────今まさに今殺されようとしている兵士が恐怖に身を震わせていた。隠れなければ、と兵士は逃げる。
「おや、何処へ行くつもりだ?」
「何処って、逃げるに決まってるだろう!あの子供の皮を被った悪魔から、逃げなければ───────!」
瞬間、激痛が走る。足の健を切られたのだと気づくのには数秒の時間を要した。
「酷いな。悪魔などと呼ぶのは。これでも聖職者なのだが。」
お前のような聖職者がいるものか───────、と心の中で叫ぶ。逃げようにももう足の健を切られているが故に逃げられない。もはや感じるものは絶望しかない。そして───────戦場に骸が一つ増えることとなった。
それから、近界にはとある兵士の噂が広がることになる。曰く、聖職者を名乗る悪魔、曰く、血に濡れて喜ぶ獣、曰く───────死神の
そして、10年後──────
かなり雑な区切りになりましたが近界の生活は次で終わりです。