代行者、近界に立つ。   作:フェクト

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こんにちは。原作キャラと名前が同じという指摘を受けて改名したのですが改名した名前も原作キャラと名前が同じになっている、と指摘を受けました。これまで投稿した分も含めて変更していきます。今後は無いように気をつけますのでこれからも見守ってくださると幸いです。


第4話

───────近界で初めて戦場にたった日から10年が経過した。

 

結局あの日は最後に兵士を殺して拠点に戻って、まず、他の子供は全員死んだ事を知らされた。

次に、俺が多くの兵士を殺した事でスピンテールに隙が生じ、その隙をこちらの国が突いたことによって勝利。スピンテールは壊滅とは行かずとも大ダメージを食らった、という事を教えて貰った。

 

そこから6年ほどナイフ1本で数多くの戦場に駆り出されて。そのおかげか代行者時代と同レベルまで身体能力を高める事が出来た。これを幸運ととるのかはたまた不運ととるのかは分からないが少なくとも代行者時代まで身体能力を高められたのは良い事だろう。

 

そこから更に1年が経過した時に初めてトリガーというものを貰った。どうやらこれまでの戦績が評価されたらしい。使えるトリガーは本来トリオン体には効果が薄い打撃をトリオン体にも有効にする、というものだと説明された。このトリガーのおかげで八極拳も通用するようになり、俺が、随分と都合がいいな、と呆れたのはおかしなことではないだろう。

 

そこからは戦争続きだった。この国はかなりの特殊な技術を保有しているが故に他の国からの侵攻が多い。少なくとも年に4回は侵攻されるし多い時には年に7回侵攻なんてこともあった。そうしてこれまでを回想していると───────

 

「おい!カツミはいるか!」

 

五月蝿い奴がきた。この五月蝿い男───────カーターは俺が転生した後最初に出会った男だ。兵士の様な体格をしているが本業は研究者らしい。因みにカツミとは俺の名前だ。本名は前世と同じ白上克巳。近界に連れ去られてきた時に持っていたらしいメモ帳に書かれていた。

 

「そう大声を出さずともここに居る。それで何の用だ。」

 

「何って…てめぇの事だ、もう分かってんだろ。また侵攻だよ。とっとと準備しろ。」

 

察してはいたものの改めて言われてため息をつく。戦闘は嫌いどころか好きな部類に入るがそれでもこう多いと流石に疲れてくるものだ。

 

「はぁ…。で、今回はどんな国だ?名前はいいから特徴を教えろ。」

 

「ため息つくんじゃねぇ。んで、今回の相手は珍しく(ゲート)について研究してる国だ。研究してるからここの技術が欲しいんだろうよ。そんで今はここも玄界に近い。門に入ったら簡単にはこっちには戻ってこれねぇ。気ぃつけろよ。」

 

「了解した。では後でな。」

 

「おう。後でな。」

 

見慣れた廊下を歩き外へ出る。事前に渡されたマップを見て場所を確認、トリガーを起動して駆け抜ける。

 

「モールモッドが三十体に、後ろにバンダー十体…バドは少なくとも百はいるか。」

 

周りの敵を目視し、数を確認する。確実にいつもより多い───────が、問題は無い。駆け出し、モールモッドの上に飛び乗って震脚を叩き込む。ただの震脚と侮るなかれ、トリガーの使用によって威力をあげたそれはモールモッドを粉々にする程の威力を有する。そして残骸から跳躍、別のモールモッドの目の前に着地し、拳で即座に粉砕する。後ろからまた別のモールモッドがブレードを振るうが跳躍して回避、さらに振り切られたブレードに着地し、そこから再度跳躍。モールモッドの頭に踵落としが突き刺さる。そのまま沈黙したモールモッドを背にして残りへと向き合う。いつの間にかモールモッドが40に増えているが問題はない。そうして、蹴る、殴る、踏みつける、と多種多様な殺し方をして残りが10になった時に異変は起きた。近くに門が発生したのだ。だが触れていない以上門は関係ない。戦場が狭くなるのは厄介だがその上でもモールモッド程度対応可能だ、と判断して────

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。周りのモールモッドが吸い込まれていく。そして何よりも不幸だったのはその門が自身の近くに発生したことだ。咄嗟に離れようとするものの抵抗虚しく自身は門へと吸い込まれる事となった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

同日同時刻 日本 三門市 警戒区

 

『反応アリ。門、来ます!』

 

「了解!」

 

───────3人の男が通信を聞いて臨戦体制を取る。目の前に黒いエネルギーが集まっていく。まるで空間を切り取ったような「それ」からトリオン兵─────モールモッドが出現する。普通であればそこにいる3人の男達は数秒で物言わぬ骸と化すだろう。───────しかし、それは普通であればの話だ。そして、彼等は普通では無い。彼等は「近界民」から街の人々を守護する界境防衛機関「ボーダー」の隊員である。更に言えばボーダーの中でも事実上の最高階級であるA級の部隊だ、その実力の証拠としてトリオン兵が出現率してから数分も経っていないのに殲滅が完了しようとしている。そして最後の1匹が沈黙した時───────彼らは異変に気がついた。

 

「門、閉まりませんね。」

 

本来であればもう無くなっているはずの門に目をやりながら3人のうちの1人───時枝充が口を開く。

 

『う~ん、トリオン兵も出てくる感じしないし、故障でもしたんじゃないですかね?それより見ました?俺の必殺ツインスナイプ!』

 

先程の戦闘で離れた所からトリオン兵を狙撃していた男───────佐鳥賢が通信を通して答える。

 

「あぁ、賢のツインスナイプ、しっかりと見たぞ!後、この門からまだトリオン兵が出てくるかもしれない。警戒は怠らないようにな!」

 

と、答えるのは嵐山隊の隊長とエースを兼任している嵐山准。少し前まではもう1人隊員がいたのだが諸事情により隊を抜け、この3人とオペレーターである綾辻遥の4人が嵐山隊のメンバーである。そして遂に門から何かが出てくる。即座に3人が臨戦体制に入り出てきた何かを視界に捉える。───────それは、人だった。時枝と佐鳥が驚愕の表情を浮かべる。当然の反応だろう、門から人が出てきた例はこれまで無かったのだから。しかし、その2人よりも驚いているのが嵐山准だった。

 

「(()()()───────?)」

 

思い出すのは自身の従兄妹である小南桐絵の幼馴染である白い髪をした少年のこと。同時に自身の手が届かず近界民に連れ去られてしまった時の事を思い出し少しだけ顔を顰める。いや、今必要なのは回想では無く本当に門から出てきたのが彼であるのか、という事実確認。落下地点に駆け寄り顔を覗く。そこで落ちて来たのが彼────白上克巳である事を確信した。気絶しているのか目は閉じているが、それでも彼の顔を見間違えることは無い、と断言できる。思いがけぬ再開に身を震わせる。涙は零れていないが少しでも気を抜けば涙腺は崩壊しこの目からは滝のように涙が流れるだろう───────。

 

「ちょっと嵐山さん!いきなり走り出してどうしたんですか…いや本当にどうしたんですか?」

 

そして充に話しかけられて、今は任務中だった、と今にも溢れ出しそうな感情を押さえ込む。

 

「すまない。事情は後で説明する。とりあえずかt…この少年を本部に連れて帰る。」

 

後で説明をする、と伝え彼を抱えて本部へと駆け出す。本来であれば説明をしている所だが彼が気絶している以上本部へ送り届けるのが先決だ。それに、彼が白上克巳である事を抜きにしても門から出てきた人間を放置する訳にはいかない。

 

───────何故彼が戻ってきたのか、とか何故トリガーを使っているのか、とか、色々聞きたい事はあるけれど。それより今は彼が帰ってきたことを喜ぼう、と思いながら、嵐山准はボーダーへと帰還した。

 

 

 

 

 

 

─────これがとある黒トリガーを持った白い髪の近界民と、C級隊員のメガネの少年が出会う2年ほど前の話である。

 




原作キャラを初めて出せました。因みにカーターは名前をつけましたが多分これから出てくる事はないです。変な所があれば教えて下さい。
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