旅人シリーズの第一話です。
本編とは別の扱いとして投稿していく予定です。
よろしくお願いします。
『世界は1冊の本のようなもの。
旅をしないということは、その本の1ページしか読まないようなものだ』
―――アウグスティヌス
1:名無しの淫魔族
魔界を旅してる人間きゅんがいるのみんな知ってる?
2:名無しの吸血鬼
妾は遭遇した
3:名無しの淫魔族
はぇ^~
すっごい
4:名無しの淫魔族
女か?
魔界なんて渡り歩いたら
(性的に)捕食されるだろ
5:名無しの淫魔族
いや男の人間きゅんらしいぞ
6:名無しの淫魔族
ファッ!?
そんなの
『人間が裸でスラムを旅行してる』
ってレベルやんけ!
7:名無しの淫魔族
間違いなく誘拐案件だろ
8:名無しの淫魔族
当たり前だよなぁ?
9:名無しの淫魔族
会ったことあるけど
襲う気がしないんだよね
10:名無しの淫魔族
なんで?
ワイなら秒で襲う自信あるで
11:名無しの淫魔族
淫魔の鑑
12:名無しの淫魔族
いやぁそれがさ
もう既に誰かが目をつけているのよ
13:名無しの淫魔族
は?
14:名無しの淫魔族
所有物を歩かせてる・・・ってコトォ!?
15:名無しの淫魔族
独身淫魔への嫌がらせかな?
16:名無しの淫魔族
どうも人間きゅんに
自分を見つけて欲しいっぽいのよ
だから過酷な旅をさせてる
17:名無しの淫魔族
(お前は一体何を言ってるんだ?)
18:名無しの淫魔族
性的錯誤者やんけ!
即会いに行ったれや!
19:名無しの淫魔族
人間きゅんに辛い思いをさせるとか
DVでしょ
20:名無しの淫魔族
魔界総務省案件やんけ!
21:名無しの淫魔族
通報した方がええんか?
22:神祖カミーラ
無理じゃ匿名さん
大魔王様でも手を焼いてる相手だからのう
23:名無しの淫魔族
神祖!?
久しぶりに名前を見たわ
24:名無しの淫魔族
おお
独身から抜け出せましたか?(小声)
25:神祖カミーラ
出来るわけないじゃろうが・・・
そもそも我が領域に訪れることが稀じゃ
26:名無しの淫魔族
神域ってクソ要素のおかげで
万年独身淫魔じゃんwwwww
27:神祖カミーラ
お主のところに
妾の眷属数人を向かわせたぞ
死ぬほど後悔するがよい
28:名無しの淫魔族
草
グッバイ >>26
29:名無しの淫魔族
お前のことは忘れないよ
30:名無しの淫魔族
その相手って
誰なんですか?
31:神祖カミーラ
【永久に眠りし王】
32:名無しの淫魔族
???
33:名無しの淫魔族
え
見えないんですけど
34:名無しの淫魔族
ワイも見えないんだが?
35:神祖カミーラ
もう一度書くぞ
『永久に眠りし王』
36:名無しの吸血鬼
括弧内に文字書いてます?
神祖様
37:名無しの吸血鬼
神祖様が妾達をおちょくるはずなかろう!
愚か者が!
38:名無しの淫魔族
じゃあどういうことか説明しろよ
39:名無しの吸血鬼
妾も分からぬ
血で”りんく”しておる妾達にも分からぬのだ
40:名無しの吸血鬼
なんて書いてあるか分からないッスね
41:名無しの淫魔族
はぇ^~
吸血族にも分からないってことは
全員に秘匿されてるってこと?
42:神祖カミーラ
単純に名前を使われたくないからじゃな
あやつは好きな者にしか存在を明かさないのじゃ
43:名無しの淫魔族
ヤンデ……レ?
44:名無しの淫魔族
どちらかというと
メンヘラっぽい
45:名無しの淫魔族
「お前らのこと知らないから名前は呼ばせないンゴwwww」
ってことでしょ?
46:名無しの淫魔族
草
47:名無しの淫魔族
そんなことの為に
広域に『禁言魔法』かけてるの?
どれだけ魔力があるんだよそいつ
48:神祖カミーラ
まあ神様の一人なのじゃ
49:名無しの淫魔族
僕が悪かったッス
50:名無しの淫魔族
許してください見知らぬ神様
命だけはお助けを
51:名無しの淫魔族
手のひらクルクルで草
52:名無しの淫魔族
大魔王様管轄は問題ないけど
余所の神様侮辱はNG
53:名無しの淫魔族
淫魔でも触れては
いけない場所もあるんやなって
54:名無しの淫魔族
話は変わるけど人間きゅん
ってどんな子でした?
55:神祖カミーラ
すごく可愛かったぞ
あの者がツバをつけてなければ妾の物にしてた
56:名無しの淫魔族
神祖さん?
57:名無しの淫魔族
うーんこの年増
58:名無しの吸血鬼
神祖様!?
59:名無しの淫魔族
直系血族でも淫魔なんやなって
60:名無しの淫魔族
大魔王様も城で泣いてるぞ
61:神祖カミーラ
やめよ
その言葉は本当に効くから
62:名無しの淫魔族
一般淫魔からの精神ダメージを受けている吸血族の祖
63:名無しの淫魔族
なお訪れた人間きゅんに
惚れかける模様
64:神祖カミーラ
お主ら・・・
万年人間きゅんが恋しく領域で引きこもり続ける気持ちを考えよ!?
頭がおかしくなりそうになるのだぞ!!!
65:名無しの淫魔族
ワイなら自○するわ
66:名無しの淫魔族
ワイも
67:名無しの吸血鬼
当然だ
神祖様はどれだけ事象改変しても
人間への影響が大きすぎて渡航禁止だからな
68:名無しの吸血鬼
せやね
ワイらの長だから早く結婚して欲しい
69:名無しの淫魔族
では人間きゅんを紹介しようと
思ったことはないんですか?
70:名無しの吸血鬼
……
71:名無しの吸血鬼
…………
72:名無しの吸血鬼
そもそも妾達に旦那がおらんぞ
73:名無しの淫魔族
駄目みたいですね・・・
74:名無しの淫魔族
うーんこの
75:名無しの淫魔族
バンパイアハンターだっけ?
あれで来ないの
76:名無しの淫魔族
あれは時代錯誤過ぎるだろ
それに吸血鬼ボーナス時代の話やん
77:名無しの吸血鬼
あの頃は良かったなぁ
先輩吸血鬼が結婚してワイも出来るかなって・・・
78:名無しの淫魔族
出来ましたか?
79:名無しの吸血鬼
出来ませんでした(小声)
80:名無しの始祖
そもそも妾の居場所まで人が来ないんだが?
81:名無しの淫魔族
貴女が住んでいる場所は
人間きゅんが耐えられないのよ
82:名無しの真祖
ヴァン・ヘルシング卿みたいな人間きゅんはいないの!?
83:名無しの淫魔族
お前らが求める強さの人間きゅんなんて
滅多にいるわけないやろ
84:名無しの淫魔族
ヘルシング家の子孫と
お見合いすればいいじゃん
85:名無しの吸血鬼
簡単に言ってくれるな
あの見合いがどれだけ倍率高いと思ってるんだ
魔界全土の独身吸血鬼が全員応募するんだぞ!
86:名無しの淫魔族
そもそも1/100でしか人間きゅん産まれないし……
87:名無しの淫魔族
つよつよ吸血鬼の未来は暗そう
88:名無しの淫魔族
地球に館を移したらええんやないか?
89:名無しの吸血鬼
私達の領地なら未だしも
お姉様方の領地は……
90:名無しの淫魔族
うん
魔界貴族並の広さだもんね
幾つか移動したら地球が終わるわ
91:名無しの淫魔族
出稼ぎに行けばいいのでは?
92:名無しの吸血鬼
働きたくない
93:名無しの吸血鬼
お主ら不労所得って知っておるか?
そういうことじゃよ
94:名無しの淫魔族
やっぱりこいつら駄目だわ
95:神祖カミーラ
なんで妾の分身って
こんなに自堕落なの?
96:名無しの淫魔族
かわいそう
今度トマトジュース奢ってあげるね
97:名無しの淫魔族
どんまいやで
98:名無しの淫魔族
で人間きゅんは何処に向かったの?
99:神祖カミーラ
>>96
嬉しいこと言ってくれるのう・・・妾感激じゃ
それが血の海から出たら行き先も
言わずに出て行ってしもうた……
100:名無しの淫魔族
無視されてるの草
101:名無しの淫魔族
不憫過ぎるだろ
102:名無しの淫魔族
何か言ってた?
103:神祖カミーラ
「助言をありがとう、愛してくれる者を探す旅を続けます」
と言っておったな
104:名無しの淫魔族
紳士やん
105:名無しの淫魔族
理想の彼氏や
106:神祖カミーラ
ちなみに
「私もそんな風に愛されたい」
って言ったら無視された
107:名無しの淫魔族
草
108:名無しの淫魔族
神祖様が傷心してる
109:名無しの淫魔族
まあ千載一遇のチャンスだったろうからね
110:名無しの淫魔族
次は数千年後か・・・
111:神祖カミーラ
もう独身は嫌なのじゃぁああああああ!!!
ここからは蛇足になります。
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【神祖カミーラと世界について】
―――『旅人ジョン・ドゥの日記』
やあ、見知らぬ人よ。
この日記を開いてくれてありがとう。
私の名前はジョン・ドゥ。
名無し男と自分では呼んでいる。
私はいわゆる転移者と呼ばれる者であり、
諸君が存在する世界にいた何処にでもいる男だ。
現在そんな私はこの世界で神祖なる者達を追っている。
『神祖』
名の意味の通り、それは神、または種族の祖とも呼ばれる。
この世界に存在する淫魔は我々と違って上位種族である。
そして彼女らを更に凌駕するのが神祖という存在だ。
間近で闘争を拝見したことは無いが、
拮抗した者達は大魔王傘下の側近のみだろう。
人間側の対抗策があるか?勇者?偉人達?
そんな現実は存在しないことをここに記す。
我々人間はそもそも勝てるわけがない。
それを証拠に魔界の知識は、
この世界の地球における隠蔽された歴史を著しているからだ。
例えば、
ゴルゴタの丘での出来事
世界四大文明の崩壊
十字軍の遠征の失敗
日出ずる国で起きた【神風】という現象
世界に存在する幾多の逸話
人々が興した数え切れない程の宗教など……etc
これらが全て”淫魔”が関係しているという真相があったら・・・?
そうだ君達が考えてる通りさ。
これらの出来事、
人類の偉大で愚かな営みと闘争に『淫魔族』が関与しているのだ。
あの有名な『天地創造』も改変されている。
有名な話ではあるが、文章に隠蔽された項目があることを知っているだろうか?
7日目:神は休んだ。
そうだ。
これには続きがある。
8日目:神は偉大なる大魔王によって睡姦された。
大魔王は満足し神と共に歩まれた。
酷い話だろう?
我々人間を創造した偉大なる神は睡姦によって貞操を奪われたのだ。
そして神と大魔王の間に生まれたのが、
所謂”淫魔族”であり後の『神祖』と呼ばれる者達である。
話が大きく逸れてしまった。
それでは『神祖カミーラ』との出会いを綴ろう。
神祖カミーラ。
カミーラは女の吸血鬼とされているが、それは間違いだ。
彼女は吸血鬼という概念に囚われていない。
人間の形をしてはいるが、その本質は同族の血を介して変幻する生き物である。
この者の能力を受け継いだ子らこそが、
魔界における【始祖】【真祖】と呼ばれる吸血鬼達である。
ある吸血鬼は私にこう言った、
「神祖様?うーん。存在は本能で理解してるけど何処に居るかは分からないや」
また違う者も存在を知らぬという。
「妾もお会いしたいとは思うが、ほとんど人前に姿をお見せにならぬのだ」
吸血鬼、そして上位の真祖も知らぬと言う存在。
この情報に私は関心を持った。
魔界は年齢の進行が著しく遅い。
また地域によっては環境が過酷であった。
それでも私は多くの淫魔達の協力を得ながら一人旅を続ける。
幾千の海、山々、地平線まで続く草原を越えた。
そして見つけたのは【血の海】であった。
魔界はその構成上、
地域ごとに必ず淫魔族を見つけることが出来た。
だがここには何者も存在しなかった。
血と表現しているが、実際に血が浮かんでいるわけではない。
赤くドロリとした粘着質な液体であり、
味は舐めてみるとトマトジュースの味がした。
膝程度しか沈まないため徒歩で移動が可能である。
そして海を歩き続けること1週間程。
ついに神殿を発見した。
その神殿は、
地球に存在するパルテノン神殿を思い出させてくれる。
全てが赤い未知の物質により構成されていた。
中に侵入すると心が温かい気持ちになった。
本能が拒否をしないことに私は心底この場所に安心を見いだした。
生物として喜ばしいことだが人間には理性がある。
それが溶けていく音が中央の棺に向かうほどに加速していた。
棺は黒曜石のように光沢と漆黒を纏いながらも、
黒色から反するように周囲の赤を反射していた。
棺が自ら開いた。
そして中から出てきたのは赤を纏った女であった。
黒いスーツをはだけて着ているその女性は、
女性貴族が着込むような薔薇の飾りとふわふわとしたコートを更に羽織っていた。
肌は白く、形容したがいほどの美しい東洋の女性に見えた。
かぐや姫という者を私は見たことはないが、
日出ずる国に住んでいる者ならそう例えるのが正しい外見であった。
身長は190cm程はある。
腰まで垂れる長い髪は棺の色と同じであった。
その顔は気だるい表情をしており、
血に染まったような瞳は私を睨み付けるとこう言った。
「妾に何かようか?異端者よ」
この場合”言う”は間違いである。
大気が震えて周りの全てが私に直接語りかけてきた。
私は彼女の口が動いていないことに驚愕を覚えながらも、
”神祖に会いに来た”と伝えた。
「なぜ妾に会いに来た?神祖なら他にも多くおるだろうに」
「ふむ・・・お主はこの世界に呼ばれし拒絶された者」
「気の毒にな・・・人間よ、お主は世界でただ一人にしか愛されぬ」
意味は分からなかったが、彼女は何かを知っているようだ。
”異端者”とはどういうことなのだろうか。
「彼女ではない、カミーラと呼べ」
私の心を覗けるということから、
既に生物としての格は私の想像を凌駕していた。
「異端者はお主が他の者に目をつけられているということ」
目をつけられているという言葉に疑問を持った。
私は確かに多くの男性とは違い、淫魔に誘惑されない存在である。
「そうじゃお主はある者から愛されすぎておる」
「その者はたぶん・・・大魔王様ですら手に焼く存在なのだ」
そんな者が存在するのか不審に思ったが、私は受け入れることにした。
「とりあえずお主は神祖達を訪れよ、そうすれば道が開かれようぞ」
ありがとうカミーラ。
そう思いながら別れを告げた。
「待て、お主に目をつけている者を知りたくはないのか?」
必要ないと私は言った。
神祖と呼ばれる存在の先に道があるのなら旅を続けるだけだからだ。
「そうか・・・お主の相手は過酷なことをさせる女だのう」
それが愛なら受け入れるまでだと私は思っている。
きっとその先で目的の女性が待ち受けているのだろう。
「妾もそのように愛されたい」
私はその言葉を無視して神殿を去った。
私と彼女が交わらない存在ならば、
これ以上世間話を行うことは酷であるからだ。
カミーラは私を血の海の端まで送ってくれた。
次に目指すのは違う種の神祖の居場所。
私はカミーラが言っていた、
目をつけている者とは誰なのかを考えながらまた歩み出した。
私の旅は止まらない。
私を待ち続ける女性へ辿り着くまで。
❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤
【吸血族】:
『神祖カミーラ』の血族を総称する。
一般的に有名なのは”吸血鬼”である。
貴方が思い浮かべるヴァンパイアの格好をしている。
能力によって異名がついているが、
だからといって偉いわけではない。
『神祖』だけは別であり、
多くの吸血族から信仰、尊敬を集めている。
高位の存在になれば領地が大きくなり、
その領土は地球にある国家を超えてしまうとか。
地球にあまり進出してない種族であり、
その理由は「働きたくないから」
これには神祖も嘆いているという。
【神祖カミーラ】:
吸血族達の神。または祖。
大魔王様と神の子であり、その存在は吸血鬼に収まらない。
特徴は
『無限の命と無限の存在』
今まで旦那がいないので使用したことのない悲しい特徴だが、
『吸血族と人類史の全てを創造可能』というもの。
流石に未来には干渉できない。
この能力を用いて旦那様が理想とする世界を創造する。
尚、もう一度申し上げるが旦那がいないので使用したことがない。
赤い海は好物のトマトジュースで満たしている。
旦那の股間でトマトジュースを呑みたいそうだ。
【ヴァン・ヘルシング家】:
魔界に存在する吸血族の家名。
旦那の人間きゅんは鞭を振るいながら壁を移動できるらしい。
魔界に来て多く愛し合い、最も栄えている家である。
ちなみに人間の赤ちゃんが生まれると、
魔界全土からお見合いの話が飛んでくる。
特に吸血族が多いとされており、
結婚することが多いのも吸血族だとか。
【旅人】:
私達の住む地球から転移してしまったよわよわ人間。
ちーとのうりょく?はない人間なのに【淫魔族】から誘惑されない。
本人はその謎を追い求めて魔界の旅を続けている。
愛する者は今日も待ち続けている。