「って、いつ考えても気味悪いのよね、あんたとの出会い」
「うーん、それは否定できない」
そんな彼女との出会いも二年目に突入。なんだかんだ私たちは変な縁を結んでいた。私が無理やり結んだと言った方が適切かもしれない。
彼女の名はシルヴィア、と言った。それ以外はまだ何も知らない。けれど、それでいいんじゃないかな、とも思う。それがいい。私たちはそれでいい。
「そういえば、シルヴィの選んでくれた服、すっごく好評だよ。町でしか着れないけどね」
そう言うと、彼女はむっとしたように「何で」と言った。
「あ、別にシルヴィの服が嫌いとか、そういうことが言いたいんじゃなくって! ほら、村だと汚れるし、それに……」
「それに?」
言わなきゃよかった、と目をそらすものの彼女の追及の視線は鋭い。彼女は「嫌い」に対して敏感だ。誠実だ。無視できてしまうささくれを見逃さない。自分の痛みに同じくらい、人の痛みもよく見てる。そういうところが、私は好きで、嫌いだったりする。見逃せば幸せにいられたはずのことを直視しなくちゃいけなくなるから。彼女に言われて気づく私でもしんどくなるのだから、言われなくてもそのように見える彼女の「目」には世界はどのように映っているのだろうか。……それは、さぞかし生きづらい世界じゃないのか。あまりにも、正しくなさすぎるから。
「何か、おじさんたちに『色気づいた』とか言われるのが面倒くさくて……」
「何それ。どこも変わらないのね。死んじゃえばいいのに」
ばっさりと彼女の言葉でおじさんたちは殺された。こうやって彼女はすぐ気に食わない人を殺す。死ね。生きてる価値ないね。目腐ってんのかな。今でもそれは馴れなくて、聞くとちょっとどきっとする。でも、本当は、同時にちょっとだけすかっとした。一応、そこまで言わなくても、とたしなめると、ふん、と彼女は鼻を鳴らした。
「でももう、冬になっちゃうからこれでしばらく着納めかな。ねえ、また来年の春も会おうね」
冬になると、あの村は雪と氷で完全に閉ざされる。――出る手段がないわけじゃないけど、危ないし、もう私は村の貴重な労働力の一つだしでそうそう簡単に出られない。
でも、なんだかんだ言って出られなかった去年の冬が明けた春、彼女はここに来てくれた。だからきっと、次の春も来てくれる。
彼女の返事がなかなか来なかったので、会おうね、と念を押すようにふざけて言った。けれど答えは帰って来なくて、「もう行かなきゃ」と彼女は立ち上がった。
大丈夫。照れてるだけだよ、きっと。そう自分に言い聞かせながら、私も空き家を出た。