Battle Dolls -VR世界で大型人型ロボットに乗って戦うeスポーツ少女-   作:のこのこ大王

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本日は2話同時投稿です。
1つがスピードスターの吉田遥視点のもの。
もう1つがストームトルーパーの鹿島真琴視点のものです。
先に吉田視点の方から読むことをオススメします。

*ちなみにこちらは鹿島視点なので、まだ吉田視点を読んでいない場合は先に吉田視点を読むことを強く推奨します。


第8話 視点:鹿島 真琴

 

 

 

 

■side:京都私立華聖女学院高等学校 2年 鹿島 真琴

 

 

 

 

 

「あぁー!もー!ふざけんな!!」

 

 倒壊するビルの傍を全速力で通過してくる相手に思わず叫ぶ。

 途中落下してくる巨大なブロック片を回避しながら突っ込んでくる度胸は嫌いじゃないけど。

 絶対に逃がさないという想いが全面に出ている感じだ。

 

 速度を重視したと思われるスピードスターの性能を100%使えるであろう市街地戦。

 しかしそれはこちらも同じ。

 右腕が潰れたのは痛手だったが、まだマシンガンにトイフェルファウストがある。

 相手のメインはサブマシンガン2丁。

 一瞬にして大きくダメージを受ける訳ではないが、全ての弾を回避出来ないためジワジワと削られる。

 このままでは削り殺されるだろう。

 

「それにしても……ウザいッ!」

 

 第1世代機スピードスター。

 初の高速移動を可能にした高機動機の元祖。

 だが数々の欠点によりそこまでの活躍をしなかった。

 しかし今回の相手は違う。

 明確に弱点を潰し、長所を活かした戦い方をしてくる。

 

 もう何度目になるか解らない曲がり角を曲がった瞬間に思う。

 何故自分がここまで追い込まれなければならないのか?

 罠にかかったから?

 それとも右腕が潰れたから?

 ……いや、そうじゃない。

 

 私自身が日和ってるからだ。

 

「……そうだ。そうなんだよっ!どうしてアタシが逃げなきゃならないんだよッ!!」

 

 どうせ右腕は使えないんだ。

 せいぜい突撃する時に利用しよう。

 もう何度目かになる曲がり角を曲がった瞬間―――バック走行から前進走行へと変更する。

 急激な転換に機体は大きく揺れる。

 それでもアタシは笑っていた。

 

「―――行くぜぇぇぇぇ!!」

 

 勢いよく曲がり角を曲がって追いかけてきたスピードスターに右肩から思いっきり突っ込む。

 またも大きな衝撃があるものの、衝撃が来ると解っていればどうってことはない。

 

 相手は転倒しないために全力でブースターを吹かして抵抗する。

 

「そのまま大人しく死になッ!!」

 

 左手のマシンガンを相手に向けると武器を捨て抑えてくる。

 良い判断だ。

 しかも相手の体勢が立て直ってきたのかパワーバランスが落ち着き始める。

 これはマズイ。

 

 何か打開策が無いかと空中にコンソールを呼び出して機体状況を出す。

 ふとそこでトイフェルファウストに目が行く。

 

「―――ふ、ふふっ、ふふふ」

 

 思わず笑い声が漏れてしまう。

 そして笑顔のまま片手で操縦レバーを押し込みながら相手に突っ込み、もう片手でプログラムを組み始める。

 

「―――地獄の機体耐久レースと行こうじゃないかッ!!」

 

 プログラムを完成させたアタシは、最後のエンターキーを押す瞬間にそう叫ぶ。

 すると腰に付いていたトイフェルファウスト2つが急に斜め上を見上げるかのように動いた。

 まるで相手を向くかのように。

 

 そして腰から遠隔操作で発射されたトイフェルファウストは、スピードスターに命中すると2機とも巻き込んでの大爆発を起こす。

 音と衝撃で何もかも解らなくなる。

 そして―――気づけばいつの間にかそれらが無くなり警報音だけが響いていた。

 

 右腕は肩が残っているものの動かすことが出来ないほどボロボロ。

 ブースターは比較的マシだが両足のホバーは、ほぼ死んでいた。

 恐らくあと数秒ぐらいなら動くかもしれないという大破コース。

 腰部異常が出ていて腰から上半身を左右に動かすことが出来ないようだ。

 唯一元気なのは頭部メインカメラだけ。

 

「……チィッ!」

 

 試合のログを確認して思わず舌打ちが出る。

 まだ試合が終わっていない―――つまり相手が生きていることが解ったからだ。

 

 そう思っていると周囲の燃える街の中に何かが居るのが解った。

 スピードスターだ。

 右肩が無く、両足もボロボロでローラーも破損していた。

 それが勢いよく燃える炎の中に立っていた。

 

 相手は腰にあったナイフを残った左手に装備し、前に突き出した構えを取る。

 

「―――まだ諦めないってぇ?いいじゃないかッ!」

 

 アタシは左手にサーベルを持って構える。

 

「さあ、アタシを倒してみなッ!!」

 

 相手は背中のブースターを点火する。

 そして一定の出力になった瞬間、全力でナイフを突き出し飛びかかるように突撃してきた。

 

 相手の狙いはコックピット。

 なら―――

 

 アタシはナイフが迫ってくるギリギリでホバーと生き残ったバランサーやスラスターを使用してしゃがんだ。

 それでもナイフを回避しきれず、相手のナイフはストームトルーパーの頭部を貫く。

 しかし―――

 

「もらったァァァァッ!!!」

 

 一瞬だけ起動したホバーによる滑らかな回避と共に相手側に迫るようにしゃがんだストームトルーパー。

 そして生き残ったブースターを点火してサーベルを突き出したまま機体を前へと進める。

 メインモニターが潰れ、瞬時にサブモニターに切り替わろうとする画面。

 だがもうそんなものは必要ない。

 アタシがやるのは、ただ相手のコックピットにサーベルを突き刺すことだけ。

 

 ―――そしてサーベルは吸い込まれるようにスピードスターのコックピットを貫いた。

 

 スピードスターが機能を停止し、その場で膝をつく。

 コックピット破壊のログが出た瞬間。

 

 ―――試合終了。

 

 終了の合図と共に現実世界へと戻される。

 私はVR装置のシートにもたれ掛かった。

 

 そして―――

 

「アタシの勝ちだぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 両手を突き上げて心の底から叫んだ。

 

 

 

 

 

 

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