少年☆歌劇 レヴューソードロード~オレ 再生産~ 作:キッコ
これからよろしくお願いします。
「マジでいたよ……西條クロディーヌ」
俺が前世の記憶を思い出したのは、幼稚園の年中の頃だったと思う。幼稚園の園庭で友達と遊んでいた所、何の前触れもなく頭の中におそらく自分の前世、の記憶が心のどこかから泉が湧き出るように、じわりじわりと現れたのだ。
前世の死因は通り魔だった。まあ、トラック転生の亜種みたいなものだと思う。おそらくは救急車が来る前に死んだはずだ。
死因を思い出した途端、記憶の中の痛みで幼い俺の体は実際に刺されたわけでもないのに脳への負担からか気を失った。ナイフで腹を刺されるのは死ぬほど痛くて、園庭でごろごろ転がりつつ漏らしながら大泣きもした。当時は園児だからセーフ。
まさか自分がラノベやウェブ小説さながらの転生をするとは思わなかったが、ここまでは転生のテンプレと言ってもいいだろう。
通り魔に刺されて死んで転生した男子大学生(享年十九歳)が幼稚園の頃に前世の記憶を取り戻しました、で説明が出来る話だ。
そんなこんなで前世の記憶を持ちつつも、それなりに稼いでいるサラリーマンの父親とその稼ぎのおかげで専業主婦をしている母親、姉。そんな家族に囲まれ、なんとか周囲に合わせて俺もすくすく育ち、クラスメイト達も芸能人だのアイドルだのに興味を持ち始める小学校五年生になった頃。そう、俺が人生での最大の驚愕を覚えたのはここだ。
同い年の友達との会話で俺は聖翔音楽学園の存在を知った。
この時、今の俺こと星崎勇太(ほしざき ゆうた)、十一歳164cm。「まだ五年生なのに大きいね」だの「将来格好良くなりそうね」だのと言われて自惚れ気味なお年頃である。前世と合わせた精神年齢?……知らんな。俺は十一歳だ。
「せい……しょう……?」
聖翔音楽学園、と聞いて俺は前世で見たアニメと遊んでいたスマホゲーをすぐに思い浮かべた。『せいしょう』という響きだけならともかく、『聖翔音楽学園』と来たもんだ。
レヴュースタァライトとの差異を調べるに当たってまず俺は『西條クロディーヌ』を検索した。
子役として活躍していた、との設定から彼女を調べるのが一番だと思ったからだ。
「一歳年上じゃん……」
結果として彼女は存在していて、俺より一つ上の十二歳。
既に子役として活動して名前も売れ、将来は聖翔に入るだろう、なんて噂もされている。映画にも既に何本か出演しているようだ。さすクロ。
とりあえず心配事の一つだった、『すでに原作の年代でばななループしています』オチは回避された。でも将来的には分からんね。多分ばなないるもんねそうだね。
シークフェルト音楽学院はもちろん凛明館女学校も存在した。その一方でフロンティア芸術学校は無かった。作中でも新設校とあったしまだ設立されていないのだろう。
「うーん……芸能関係はまったく別モンだなぁ」
この世界、某女性歌劇団は存在しないし、某大手男性芸能事務所も同様に無い。さらに俺が知っている芸能事務所は一つも無かった。芸能関係の枠組みがまるっと一新されている。
様々な芸能情報を検索して行く内に行き当たった、御剣プロダクションはそんな中で男性部門を持つ芸能事務所としては最高峰の一つだ。
男女問わず所属人数は多く、アイドル部門、モデル部門、舞台演劇部門、バラエティ部門、果てには声優部門や芸能人枠ではない有識者部門(テレビに出る学者など)まで持つ。お笑い芸人以外すべてに強い力を持つ芸能界の雄。
「ねえ、勇太。あんた顔良いんだし、中学出たら御剣学園受けたらどう?」
「あら、いいわねぇ。お金はあるから大丈夫! きっといけるわよ!」
姉の一言とまさかのノリ気な母の賛同である。姉ちゃんはともかく母ちゃんそれ、いいの……?
先に述べた通り、うちはまあそこそこ金持ちだ。入学費と授業料は出せるだろうけど……てかまだ4年は先の話なんだけど……。小学五年ぞ、俺。まだショタぞ。
はい、受かりました。受かっちゃいました。
「マージでー! 顔か!? 顔とタッパか!?」
あれから4年。すくすく育って180cm15歳高一。俺は春から入学した学校について改めて思い浮かべていた。
御剣プロダクションが運営する学校法人、御剣学園俳優育成コース。悲しきかな、男子校。女性部門は別の学校となる。
聖翔音楽学園ではバレエや日舞があったが、こちらでは流石に日舞はないが、幅広く授業が設けられている。舞台演劇やダンス、歌はもちろんのこと、吹き替えやナレーションに声優、モデル、殺陣、アクション、食レポに至るまで、現代の男性芸能人に求められることはほとんど授業に含まれている。食レポまでやるのかー。
ただし前世の芸能事務所付属の育成コースのイメージと比べると舞台演劇に力が入っているように見えるのは否めない。やはりこの世界は舞台演劇が隆盛なのだろうか。
御剣学園俳優育成コースの今年の一年生としては舞台『ソードロード』が外せない。
これは聖翔音楽学園におけるスタァライトと対を成す、ではないが、聖翔におけるスタァライトと同じく年に一度の大演劇祭で発表される舞台演劇だ。第一学年の最終成果として外部の芸能プロダクション傘下の育成校と合同で催される。なんせうち、男子校なんで。
男だけの舞台ではなく、外部の女性も参加するのだ。なお、主役はうちからの男二人のW主演とする。なんでやねん。ヒロインは!?
聖翔のように同じ演目を三年間やるわけではなく、毎年演目は変わるしあらかじめ何年生は何々をやる、と決まっているわけでもない。今年の一年生、つまり俺らがやるのが『ソードロード』だと言うだけだ。
ちなみにこの『ソードロード』、この世界では男優が主演の舞台演劇としてはかなり有名な部類に入る。世界中の大手劇団が上演権に高額を支払う。
ただし学生公演では大幅な割引あり。(大演劇祭の入場者から金を取るので上演権の金銭のやり取り自体は発生する。もちろん入場料だけでは賄えないので残りは学校負担)
『ソードロード』は簡単に言ってしまえば伝説の剣を手に入れるまでの男二人の友情冒険譚。
一見チープな題材に見えるが奥が深く、実はW主演の片方が亡国の王子だったりするのだが以下省略。まだ詳細な脚本見てないし、スタァライトと同じで年々細かく修正が入って変わっていくらしい。
ばなな達は今年、二年生。今の俺は何回目の俺なんだろう。もしループするならば今年は『5月25日までしかない』。深く考えたら頭おかしくなるぞこれ。
ピロリロリロリロリン。ピロリロリロリロリン。
お持ちなさい
あなたの望んだその剣を
・このメールは選ばれたかがやきを持つものだけに送られる(えっ、きらめきじゃないの?)
・このメールは複数人に送られている
・このメールを送られた者同士でレヴューを行い、戦う
・レヴューにおいて相手の第二ボタンを落とした者が勝者、落とされた者が敗者となる
・レヴューを勝ち抜いた者はトップ俳優になる権利を持つ
・レヴューを行う者は当日のメール受信後に指定された場所に来ること
・指定された場所に来なければ不戦敗。初回のレヴューに来なければ資格を失う
・このメールに関しては他言無用
「厄ネタじゃねーか! あの偶蹄類!!」
ところでなんで俺、今エスカレーターから空中に放り出されてるんですかね?
○主人公
星崎勇太(ほしざき ゆうた) 覚えてやってください
十一歳時点:164cm 十五歳(入学時点)時点:180cm
黒髪短髪、デカい、顔が良い(自覚あり)
顔面偏差値はかなり高いです
まあ原作勢が全員美少女なのを考えるとね?
次回、エスカレーターから放り出される前の話をやるので『オレ 再生産』にはあと2話くらいかなー。
今回短かったですがモチベに繋がりますので感想お待ちしております。