【完結】プレイしていたゲームの能力で転生するやつ   作:Leni

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■13 莫邪の両剣

◆37 リザルト

 

「うわ、ネギ、ボロボロじゃない!」

 

「ネギ先生!」

 

 再び軽い人払いの魔法と認識阻害の魔法をかけて、ロビーに集まった私達。

 戦闘で服がところどころ破けたネギくんを見て、神楽坂さんと雪広さんが駆け寄った。

 

「ネギ先生、頭から血が!」

 

「頭以外にも、全身ボコボコだぜ」

 

 ハンカチを取り出して頭に当てる雪広さんに、ネギくんの肩に乗ったカモさんがそう言った。

 

「まあっ! 急いで治療を!」

 

「ああ、それなら、私がまとめてやりますよ」

 

 心配そうに言った雪広さんの声を受けて、私は横からそう宣言しつつスマホから力を引き出す。

 それは、複数人をまとめて回復させる、風水使いの上位クラス、風水仙人の力。私を除く四人の身体が、光に包まれる。

 

「あっ、痛みが引きました」

 

「あら、私も」

 

「私も、猿に蹴られたところがマシになった気がする」

 

 それぞれネギくん、雪広さん、神楽坂さんが、自分の身体に触れながら声をあげた。

 

「これは、刻詠さんが? すごいですね、無詠唱呪文で複数人同時に治療するなんて」

 

 ネギくんが、私の方を見てキラキラした目で言った。

 

「残念ながら、私が使ったのは魔法ではないですよ。今のは、私が持つ魔法ではない超常能力、いわゆる固有能力というやつです」

 

「えっ、固有能力ですか!? すごいですよ!」

 

「ネギ、固有能力って何?」

 

 神楽坂さんがそう尋ねると、ネギくんはややテンション高めで答える。

 

「魔法とは異なる神秘の力です。本人以外に伝授も譲渡も不可能な、いわゆる超能力というやつですよ!」

 

「リンネちゃん、超能力者だったの!?」

 

「神楽坂さんが想像しているような、テレパシーを使ったり、サイコキネシスでスプーン曲げをしたりするようなのとは、私の力は違いますけどね」

 

 私は、スマホを手元に呼び出して、フリフリと振ってみせた。

 

「なるほど、その端末が刻詠さんの固有能力なんですね?」

 

「そうですね。このスマホから、力や道具などを取り出していろいろできます」

 

「ただの高性能なケータイかと思っていましたが、超能力ケータイだったのですね」

 

 雪広さんがそう言いながら、興味深そうに私のスマホをじろじろと見つめた。

 この時代に、スマホは珍しいからね。世間で似たような物を見かけたとしても、それは多分スマホではなくPDAだろう。

 

「それで、木乃香さんがさらわれかけたと聞きましたが……」

 

 ネギくんがそう尋ねてきたので、私達は呪符使いの女と戦い、見事に撃破して近衛さんを救出できたことを説明。その後に、追加で銀髪の少年が現れて女を回収していったことも語った。

 

「なるほど、そこは見逃して正解だったと思いますよ。修学旅行中の僕達が、敵を拘束し続けるのは不可能ですから」

 

 ネギくんにそう言われて、雪広さんは「さすがネギ先生です!」と感心して彼の手をにぎる。うん、私が見逃すことを提案したときとずいぶん対応が違うな、このショタコンは……。

 

「それで、ネギの方にも敵が出たわけね? なんでか、くーふぇもいるみたいだけど……」

 

 神楽坂さんの言葉に、ネギくんは外での戦いを語り出した。

 

「外の見回りをしていたら、旅館入口のちょうど前あたりで、剣を持った女の人と、僕と同じくらいの歳の男の子が歩いてきたんです。それで、さすがに怪しいので声をかけたところで、親書を出せって言われて……」

 

「そこで私が登場アルネ」

 

「なんで、くーふぇが外にいたわけ?」

 

 神楽坂さんが、古さんに疑問を投げかける。

 

「リンネに救援の念話を受けたアルヨ。ネギ先生に敵が近づいているから、助けに行けと。私はリンネの仲間アルからネ」

 

「なるほど、古菲さんの異様な強さは、魔法関係者だからだったのですね」

 

 雪広さんが納得顔で言うが、それを古さんは否定する。

 

「んー、私が仙術を学んだのは麻帆良に来てからアル。魔法関係ない武術は小さな頃から修行していたネ」

 

「仙術! 古菲さん、仙人だったのですか」

 

「まだまだ仙人は遠いアル。今は道士ネ」

 

 仙術や道士というワードを聞いて、尋ねた雪広さんだけでなく、神楽坂さんもキラキラとした目で古さんを見つめている。桜咲さんも、初耳だという顔で驚いている。

 古さんは魔法生徒として麻帆良に登録していないので、桜咲さんも古さんの詳細は知らなかったのだろう。

 私やちう様とつるんでいたから魔法関係者とは思っていただろうが、仙術はさすがに予想していなかったはず。いや、中国人ということで予想はできたのかな?

 

「それで、私は剣を持っている方が実力が上だと判断して、剣士を相手したアル。刀と脇差しの二刀流で、神鳴流言っていたアルね」

 

 古さんのその言葉に、桜咲さんに皆の視線が集まる。

 

「ここは京都ですから、神鳴流が敵に回ることは予想していました。しかし、野太刀の類ではなく、刀と脇差しですか……」

 

「そうネ。宮本武蔵みたいな二刀流アル。なかなかの剣技だったあるが、私の宝貝(パオペイ)には敵わなかったアルね」

 

 宝貝? と私と古さん以外の皆が不思議顔になる。

 すると、古さんは最初から携えていた、一本の(こん)を皆に見せつけるようにして構えた。

 

「宝貝は、仙人・道士が使う特殊能力を持つ道具ネ。私のこれは、『莫邪(ばくや)の両剣』言うアル」

 

「剣といいますか、棍に見えますが」

 

 雪広さんの言葉通り、古さんの足先から胸元あたりまでの長さの棍にしか見えない。

 だが、実際には違う。

 

「見ているヨロシ」

 

 古さんが「むんっ」と念じると、棍の両端から、青い光の刃がそれぞれ生えてくる。

 光の刃の刃渡りは、二十センチほどだ。

 

「『スター・ウォーズ』のダブルブレード・ライトセーバーじゃん!」

 

 神楽坂さんの目の輝きが増した。ふーむ、『スター・ウォーズ』を観たことあるのか。何年か前に上映された『エピソード1』に、この形状に似たライトセーバーが確か出てくるんだよね。映画では、柄はここまで長くないし、刃はもっと長いが。

 

「両剣って言っているアルが、私は柄尻側の刃を出し入れして、変則的な槍として使うアル」

 

 古さんは李書文先生の弟子だ。そして、李書文先生は素手よりも槍を得意としている。古さんが己の武装である宝貝に、槍を選ぶのは当然と言えた。

 

「この宝貝で、神鳴流を名乗る剣士と戦ったアルが、相手はなかなかの腕前だったアルネ。正直、ネギ坊主、アスナ、いいんちょの三人は、当たると斬り殺されるしかないヨ」

 

「斬り殺される……」

 

 神楽坂さんが、目の輝きを失いながらそうつぶやく。

 

「あれは人斬りの目だったネ。急所攻撃に一切の迷いがなかったアル。実際、何人か斬った経験があるかもしれないネ」

 

「兄貴一人で戦っていたら、今頃死んでいただろうぜ」

 

 古さんの言葉に乗るようにして、ネギくんの肩に乗るカモさんが、そんな言葉を吐露した。

 神楽坂さんと雪広さんの顔が青いが、敵はそういう存在なのだと理解してもらう必要がある。ここで尻込みするようでは、今後長く続くネギくんの戦いに付いてこられないので、着いてくるなら覚悟を決めてもらうしかない。

 

「それで、こちらの攻撃も器用に防いでいたアルネ。突破が難しかったので、宝貝の能力を使わせてもらったアル」

 

「うわっ、使ったんですか」

 

 古さんの発言に、私は思わずそんな言葉をもらした。

 

「うむ。ちょっと焦がしちゃったアル」

 

「何やっているんですか、全く」

 

「死んでないのでセーフアル」

 

「えっと、古菲さん、能力とは一体……」

 

 話の続きを聞きたそうに、雪広さんが尋ねる。

 すると、古さんは「話が逸れたアルネ」と言って、宝貝の機能の説明を始めた。

 

「この宝貝は、ビームが出るアル」

 

「ビ、ビームですの?」

 

「うむ。この『莫邪の両剣』は光の宝貝で、自由に曲がるビームを飛ばせるアル」

 

 光の宝貝。両端の刃も、その光を操る力でビーム状のブレードを作り出しているわけだ。

『莫邪の両剣』は、スマホの中に居るスクハさんという姫様が持つ『莫邪の宝剣』という大剣をもとに設計された宝貝。

『莫邪の宝剣』は自在に剣ビームを飛ばせる実体剣で、古さんの宝貝を作るに当たってスクハさんには全面的に協力してもらった。

 

 ちなみに『莫邪の宝剣』は元々、『莫邪剣』と『干将剣』という夫婦剣であった。だが、『千年戦争アイギス』のスクハさんの仲間加入イベントで、『干将剣』に宿る力が『莫邪剣』に統合され、一本の宝剣へと姿を変えた。

 その話を以前エミヤさんに話してみたら、エミヤさんも気になってスクハさんのもとを訪ねたらしい。そして、投影品の『干将・莫耶』という双剣を『莫邪の宝剣』に近づけてみたが、なんの反応も示さなかったとのこと。

 それぞれ違うゲームの存在だから仕方ないが、反応したら面白かったのになぁ。

 

「仮契約のアーティファクトではないのですよね?」

 

 雪広さんが問うが、古さんは首を横に振って否定する。

 

「仙人の師匠達に作ってもらったネ」

 

 仙人作と聞いて、興味深そうに古さんに近づいていく周囲の面々。

 

「こりゃあ、確かに召喚されたアーティファクトじゃねえな。でも、そもそもアーティファクトっていうのは、無から発生しているわけじゃなくて、元々誰かが作った品を呼び出しているものなんだぜ。だから、この両剣っつーやつも、未来で誰かのアーティファクトになっているかもしれねーぜ」

 

 仮契約とアーティファクトに詳しいカモさんが、そんな解説を入れる。うーん、スマホの中の世界で作られた道具が、はたしてアーティファクトになるかは定かではないね。

 それはさておき、古さんの戦いの行方である。

 

「相手はビームのことを知らないから、とっておきの場面で使おうと考えたアル。そこで、つばぜり合いに持ちこんだところで、宝貝からビームを撃ったアル。そうしたら、見事に命中してちょっと焦がしちゃったアルヨ」

 

「うわあ……」

 

 光景を想像したのか、神楽坂さんがちょっと引いている。

 

「神鳴流には飛び道具が効かないとは言われていますが、その撃ち方では防ぐのは難しそうですね……」

 

 桜咲さんも、苦笑気味にそんなことを言った。

 

「それでビームでひるんだところを数回柄で殴ったら、敵は倒れたアル。その後は、ネギ坊主の戦いを見守ったアルヨ」

 

「なるほど、敵は少年に回収されたでしょうが、倒れて動けないほどの怪我を負っているのですわね」

 

 雪広さんがそう分析するが、古さんは「それはどうかネ」と言った。

 

「魔法や仙術には、怪我を治療する術が存在するアル。怪我は治してくる可能性が高いアルネ」

 

「むっ、それではイタチごっこですわ」

 

「そうアルか? ネギ坊主は親書を届ければ勝ち。コノカについては修学旅行の間を守りきれば勝ちアル」

 

「あっ、そ、そうでしたわね……」

 

 古さんの指摘に、恥ずかしそうにうつむく雪広さん。うーむ、秀才組とバカレンジャーの立場が逆転している。

 

「私の報告は以上アル。ネギ坊主の戦いアルが……」

 

「はい。僕の相手は、犬上(いぬがみ)小太郎(こたろう)と名乗る男の子でした。頭から、犬みたいな耳が生えていて……」

 

「狼男……いえ、関西という場所を考えると、狗族(くぞく)でしょうか」

 

 桜咲さんが、ネギくんの言葉を聞いて、そんなことを言った。

 それに対し、ネギくんは答える。

 

「驚異的な再生能力は見られませんでしたから、狼男はないと思います」

 

「では、狗族ですか。狼や狐の変化。つまりは妖怪の類です」

 

 そんな桜咲さんの言葉に、神楽坂さんが言う。

 

「何よ、エヴァちゃんに引き続き、化け物の敵って訳? もう驚かないけどさ、ホント迷惑よねー、まったく……」

 

「す、すみません……」

 

「? なんで刹那が謝るのよ?」

 

 おおっと、神楽坂さん、今のはまずい。

 そこにいらっしゃる桜咲さんは、実は烏族(うぞく)と人間のハーフ、半妖でっせ! 知らないから仕方ないけど、真実を知った後はちゃんと謝ってあげてほしい。

 

「それで、相手は『狗神(いぬがみ)使い』を名乗る術者でしたが、本質は戦士のようでした。なので、僕が呪文詠唱をする余裕もなく、殴り合いになって……」

 

「明らかに殴り負けていたアルネ」

 

「だから、ネギ先生はあんなに傷だらけに……」

 

 ネギくんの言葉に古さんが補足を入れると、雪広さんがおいたわしやとでも言わんばかりに、顔を両手でおおった。

 

「それでも、なんとか反撃の隙をうかがって、相手が大振りになったところで自分の身体に魔力を注いで、一時的にパワーを増強して殴り飛ばしました」

 

「ネギ、やるじゃない!」

 

「アレはちょっと微妙な術だったアルネ。ネギ坊主、『戦いの歌(カントゥス・ベラークス)』とか使えないアルか?」

 

 神楽坂さんがネギくんを褒めるが、古さんは辛口評価を下した。

 

「えっと、僕がやったのは自分への『契約執行(シム・イプセ・パルス)』で、正直、思いつきの技でしたね。『戦いの歌』は、自分が格闘をするなんて思っていなかったので、覚えていないんです……」

 

「ふむ、そうアルか……」

 

『戦いの歌』は、西洋魔法使いが使用する、身体強化と対物魔法障壁を自身にかける白兵戦用の魔法だ。

『契約執行』は、仮契約している相手に魔力を供給し、身体強化を行なわせる魔法だね。

 

「えーと、それで、殴り飛ばした後は呪文詠唱して攻撃魔法を撃ったんですけど、それでも倒しきれなくて……さらに殴ろうとしたら、カウンターを食らっちゃいまして……」

 

「見事なクロスカウンターだったアルヨ」

 

 なるほど、それでお互いKOと。

 

「そこでリンネから、念話で撤退指示が来たアルネ。立ち上がろうとするネギ坊主を連れて、旅館に戻ってきたアル。ちょうど入口で、リンネ達が言っていた裸の女と少年の二人とすれ違ったヨ」

 

「何事もなくてよかったですわ……」

 

 雪広さんが、本当に安心した様子で息をついた。

 

 そして、その後は、明日の奈良での班別自由行動について話し合う。

 その結果、キティちゃん率いる私達1班と、神楽坂さんと桜咲さんおよび近衛さんがいる2班で一緒に行動することにした。

 雪広さんも一緒に来ると言いだしたが、さすがに自由行動でクラスの半分の人数は多すぎるとなったので、雪広さんは泣く泣く元々の予定通り動くことに。

 

 代わりに雪広さんは、明日一緒に行動しようとネギくんを誘い始めたが、古さんが「他にもネギ坊主と一緒に行きたい人は多いネ。ここで決めるのはずるアル」と告げて、雪広さんを引き離した。

 うーん、今のところ古さんからはこれといってネギくんへのラヴ臭はしないが、今後どうなるんだろう。

 

「では、以上で解散ということで」

 

 そうネギくんが宣言して、話し合いの場は終了した。

 そして、すかさず古さんがネギくんに話しかける。

 

「ネギ坊主。明日以降の戦いのため、『戦いの歌』を覚えられないか試すアルヨ。うちの班の部屋に寄って、エヴァにゃんか、ちうに教えてもらうヨロシ」

 

「えっ、エヴァンジェリンさんですか……というか、ちうさんって長谷川さんのことですよね?」

 

「うむ。ちうも西洋魔法が得意アル。リンネよりも上手アルヨ」

 

「気づきませんでした……」

 

 そんな会話をしながら、古さんはネギくんを連れて部屋へと向かっていった。

 そして、それに入れ替わるようにして、別の人が人払いの魔法がかかったロビーへと姿を現した。

 

 それは、麻帆良教師の瀬流彦(せるひこ)先生。

 

「ネギ先生は行ったようだね。とりあえず、他の生徒達は何事もなかったよ」

 

「おつかれさまです、瀬流彦先生」

 

 私が瀬流彦先生へペコリと頭を下げると、神楽坂さんと雪広さんがどういうこと? という顔でこちらを見てくる。

 

「瀬流彦先生は、麻帆良の魔法教師のお一人です」

 

 私がそう紹介すると、二人は驚きの表情で瀬流彦先生を見た。

 すると、瀬流彦は二人に向けて言った。

 

「廊下の戦いは知っていたんだけどね、ちょっと手伝えなくて、ごめんよ」

 

 申し訳なさそうにする瀬流彦先生に、私は横から言う。

 

「いえ、他の生徒達を守っていてくださったんですよね? 助かりました」

 

「そう言ってくれると嬉しいよ。いやあ、僕、攻撃魔法は不得意でさ。防御関連だったら、麻帆良でもそこそこなんだけど」

 

「なるほど、生徒の護衛役でしたか……敵対している組織の地へ修学旅行に行くならば、そういう方もいらっしゃいますよね」

 

 雪広さんが何か納得したのか、そのように一人つぶやいた。

 

「ちなみに、ネギ先生には、僕が魔法使いだということは内緒ね」

 

「なぜですの?」

 

「親書の受け渡しは、僕の手伝いなしにネギ先生一人でさせたいんだ。東西を和解させたという実績は、今後の彼の助けになるはずだよ。もちろん、彼のパートナーが手伝うのは構わないけどね」

 

「なるほど、立派な魔法使い(マギステル・マギ)としての箔付けですのね」

 

「そういうことだね」

 

 瀬流彦先生と雪広さんが、そんな会話を交わす。神楽坂さんは、話についてこられていないのか、一人ぽかーんとした顔をしている。

 その後、瀬流彦先生は眠り続ける近衛さんの容態を桜咲さんに聞いた後、ロビーを去っていった。

 

 そして、私達も解散ということで、場に発動していた魔法を解除して、部屋へと戻っていく。

 私も、旅館の警戒はサーヴァントのエミヤさんに任せて、部屋へと戻る。

 

 さすがにあんだけ主犯のお弁当女を痛めつければ、今夜は追加で襲ってはこないだろうが、念のためだ。

 

「ただいま戻りました」

 

 そう言いながら、部屋の扉を開いて中へと入る。そして、靴を脱いで座敷に上がったところで、私は思わぬものを目撃した。

 

「『戦いの歌(カントゥス・ベラークス)』!」

 

 なんとそこには、『戦いの歌』を成功させる、ネギくんの姿が!

 

「えっ、いやいや、私とロビーで別れてから十分くらいしか経っていないでしょう。おかしくない?」

 

 私がそう言うと、部屋にいた水無瀬さんが、くわっと目を見開いて言った。

 

「そうよね、おかしいわよね! これがスプリングフィールドの血なの!?」

 

「くっくっくっ、スプリングフィールドに魔法習得の才の血など流れておらぬわ。こやつの父は、『千の魔法の男(サウザンドマスター)』などと呼ばれているが、実のところ、両の手の指に足りる数の魔法しか使えなかったのだぞ。これは、純粋なこやつだけの才能だ」

 

「なに、その驚きの真実!?」

 

 キティちゃんの暴露に、水無瀬さんは驚くばかり。

 一方、魔法の指導をしていたらしきちう様は、あきらめ顔。自分の呪文の才能と比べて、いろいろとどうでもよくなってしまったのだろうか。古さんは魔法を使えないので、いまいちすごさを分かっていない顔だ。

 

 私はとりあえず、脳を駆け巡る今までの修行の日々を頭の隅に押し込めて、部屋の奥へと進む。そして、茶々丸さんが用意しているお茶を一杯もらうことにするのだった。

 




※執筆資料としてPSO2の設定資料集全巻購入したので、精査に時間を取られて更新ペース落ちそうです。
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