童貞貫き通して魔法使いになれたので"あさおん"魔法使ってみた   作:sannsann

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Q.天使を見たことはある?    A.今目の前にいるよ。

 

 

私の携帯電話から出ている着信音は、周りにたくさんの人が行き交い、喧騒の中であるはずなのに、とても大きく響き渡ったように思えた。

 

やばい、皆がこっちを見てる、ばれた、私が てるる だってばれた。

マスターが携帯を操作して、通話をやめると・・・私の手の中にある携帯も音が途切れる。

これでもう確定だろう。

 

 

・・・・・・ぁ・・・

 

 

喋ろうとしても、声が掠れて出なかった。

目尻に涙が集まるのがわかる。

ああ、泣いちゃいそう・・・て言うかもう泣いてるんじゃないか私。

 

私にとっては永遠に続くかのような長い、けど実際の時間にしてわずか数秒の沈黙の後。

 

 

「えっと、君が…てるる………………ちゃん、かな?」

 

 

ちゃん付けて。

けどこの時はそんなツッコミを考える余裕も言う余裕も両方無くて、コクリと頷くことしかできなかった。

 

そして再びの沈黙。

 

 

「い、いやーびっくりしたでござるよw

 まさかリアル中学生ってまじでござったかw

 あ・・・いや・・・小学生? 皆を騙してたってそういう・・・?」

 

 

沈黙を破った・・・口調からして忍者さんの発言。

なんとか場を繋げようとしたのだろうが・・・視線が私を上下したあと小学生だとか言いやがった。

どこを見て判断したんだよ。

 

 

「・・・・・・中学生であってます・・・・・・」

 

「あ、あははー!そうでござったか!いや失礼!」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

再び辛い沈黙タイム。

 

 

「そっかー!ごめんね黙っちゃって!

 皆てるるちゃんが可愛かったからちょっとびっくりしちゃったんだよ、ね?」

 

 

そんな中ゆふぃさんらしき人がすかさずフォローしてくれた。

さすがの会話テクニック。

 

 

「そ、そうだなーびっくりしたのは本当だわ・・・。

 とりあえず場所移そっか・・・

 よし!たこ焼き食いながら自己紹介タイムだ!」

 

 

続けて筋肉モリモリマッチョマンの変態的な人が謙虚にモノを言い、タコ梅というお店に移動することになった。

とりあえずなんとかなった・・・。

 

移動中は気を遣ってか、ゆふぃさんが私の横に並んで歩いてくれた。

男連中はその前だ。

たまにチラチラと見てくる人がいるけど、すぐ小突かれて前を向いてる。

 

そんな中ゆふぃさんがそっと私に耳打ちしてきた。

距離が近い、こんな綺麗な人に近づかれたら元童貞の私にはヤバイ、効果がバツギュンすぐる。

 

 

「てるるちゃんは中学生・・・なんだよね、何年生?

 私は24歳、社会人2年生」

 

「あの・・・今年2年に」

 

「おー、じゃあ2年生仲間だね」

 

 

こちらに向ける笑顔のなんと眩しいことか。

ごめんなさいネカマだとか男を手玉に取る悪女だとか内心罵ってて。

まるで天使のようです。

 

 

「てるるちゃんは、大体京都とか言ってたけど、どのへんなの?」

 

「……あの、ええと……」

 

 

それから私は聞かれるがままにペラペラと自分のことを話しまくった。

女性とリアルで、しかも可愛い女性と話すなんて二度の人生の中でもはじめてかもしれない。

 

 

「あのね、てるるちゃんはさ、まだまだ社会のこととか、知らないことや理解できないことばっかりだと思うんだけど・・・今から言うことだけは覚えておいて欲しいな」

 

 

なんだろう、なにを言われるんだろう。

内心のドキドキを顔に出さないようにして、ゆふぃさんの方に顔を向ける。

 

 

「あんまりね、ネットで知り合った人のことを、簡単に信じちゃいけないよ。

 そもそも簡単に会っちゃ駄目だよ?

 仮にオフ会に参加しても、ゲームとプライベートとは必ず一線を引いて、自分のリアルのことはあまり話さないこと。

 今だって、私はてるるちゃんの住んでいる所とかある程度わかっちゃったよ?」

 

 

思わぬ言葉にフリーズしてしまう。

 

 

「今日もたぶんちゃんと考えた上で来たんだと思う。

 私がいるから、女は一人じゃないっていうのもわかってたと思うし、ボイスチャットで話している限り皆良い人そうだけどね。

 それでも、中には危ない人もいる。

 本当に、エッチな事目的で会う人だっているの。

 てるるちゃんが思っている以上に男の人は怖いんだよ。

 てるるちゃんも保健の授業で習ったりしたでしょ?

 男は本当にオオカミなの・・・だから気をつけてね?

 もちろん良い人だってたくさんいる。

 ただ何でもかんでも信じてちゃ痛い目みちゃうからね・・・以上お姉さんからの忠告でした」

 

 

天使のようなどころじゃない、まじで天使そのものだった。

こんな自分を心配してくれている。

明らかに未成年な自分がホイホイと誘われるがままにオフ会へ出てきたことを優しく注意してくれてる。

いやすんません、自分あさおん魔法で女子中学生になった元オッサンなんすよ・・・貴方がいうそのオオカミさんだったんですよ・・・なんて言えるわけもなく、はい、とだけ頷いておいた。

 

「あとね、こんなこと言っておいてなんだけど・・・。

 もちろん私の事も信用しすぎたら駄目だよ?

 ちゃんとどういう人か見極めて、ね。

 ネット上で知り合った人との付き合い方の鉄則だよ」

 

「・・・はい・・・わかりました。

 あの・・・ありがとうございます・・・」

 

身長差から、見上げるように私が言うと、ゆふぃさんは目頭を押さえて上を向いてしまった。

 

・・・・・・可愛すぎか・・・

 

「え?」

 

なんて言ったのか聞き取れなかった。

すぐにゆふぃさんが何でもないと言ってごまかしていたが・・・まあいいや。

 

そんなこんなでたこ焼き専門の喫茶店であるタコ梅に到着した。

ところで・・・これ喫茶店ていうか単なるたこ焼き屋では・・・。

 

 

 

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