とあるガンプラ部の日常   作:紅蓮弐式

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どうやって動かしてんの?

いつもと変わらない日々、今日も今日とて部員数5人のギリギリ部としての体裁を保っている程度のガンプラ部の部室で、俺は友人で同級生の山岸と適当に駄弁りながらガンプラをイジっている時に、山岸からこんな質問を受けた。

 

「なあ高岡、今ふと疑問に思ったんだけどさー、MSってどうやって操縦してんの?」

 

「?それはGBNでの事じゃなくて作品内での設定的な意味でか?」

 

「そうそう、GBNの場合はシステムがある程度こっちの考えを読み取ってるのをコントローラーで補強してく感じだろ。でもそれはGBNがフルダイブ式のゲームだから出来るんであって、実際はそんなわけにもいかないじゃん。そこんとこ設定オタクのお前的にどうなん?」

 

「………俺も本当のガチ勢からすれば鼻で笑われる程度でしか無いんだが、まぁ、一応それなりにお前が満足出来る答えは出せる。ただし、ちょっと長くなるぞ」

 

「ん〜、わかった。でも下校時間までには終わらせてくれよ」

 

「努力する。じゃあ早速本題に入るが、結論から言うと大きく分けて3つ、もしくはその組み合わせだ。一つはマスタースレイブ方式、もう一つはコマンド入力方式、最後が思考操作だ。マスタースレイブ方式は、ガンダムだとGガン以外では基本無いから主に後の2つだ」

 

「………マスタースレイブって何?」

 

「……そういやGガン知らなかったな。まぁ、簡単に言うと、実際に自分の身体を動かして機体にその通りの動きをさせるやり方の事だな」

 

「自分がコックピットでパンチしたら機体もパンチする的な?」

 

「簡単に言うとそういうこと」

 

「でもそれだと殴る蹴るは出来ても内蔵武器が使えなかったり走ったり飛んだり出来ないじゃん」

 

「そこは各SF作品ごとに色んな方法で解決してるんだが、Gガンの場合は思考制御と音声認識も併用してるから、コックピットで出来ない動作も内蔵武器も問題ないよ。ただ、本題とは少しズレるけど、マスタースレイブ方式の一番の問題はそこじゃない」

 

「え?」

 

「走ったり跳んだりってことにも一応つながるんだが、一番の問題はとにかく場所をとることなんだよ。人が手足をある程度自由に動かすのには最低でも高さ・幅・奥行きが2m以上は必要だし、パイロットの動きをスキャンして機体に反映させるための機械やらなんやらを加味すると、コックピットブロックだけでだいたい高さ・幅2.5mの立方体位の体積が最低でも必要なんだが、50m以上あるスーパーロボットとかならともかく、18m前後のMSにとっては致命的なまでに厳しい。というか、現実的に考えるなら無理」

 

「そうなのか?18mもあれば意外となんとかなりそうな気はするけど」

 

「………山岸、胴体が18mじゃないんだぞ。全体で18mなんだ。しかもMSの場合、俺らと違って基本的に8頭身から9頭身くらいのバランスだから、全体で18mの場合、脚だけで大体10〜12m前後、頭が2mちょいってところだから、胴体はせいぜい高さが4〜5mで幅が2〜3m前後しかない。腹部の厚みが大体2〜3m位、胸部は機体によってかなり差があるが、それでもせいぜい厚みは4〜5m程度、場合によっては胴体にも稼動部があるし、内蔵武器があるやつもいる。ついでに言うと、機体の動力のジェネレーターも大体は胴体にあるし、排熱用の排気ダクトはガンダム顔してるやつは大体胸部にある。それなのに、モビルファイターのコックピットブロックの体積は描写的にさっき言った最低限のサイズより明らかにデカいし、コアファイターのあるやつまでいる。これでもなんとかなると思うか?」

 

「………………無理だな」

 

「だろ?」

 

「でも、それならなんでMSにわざわざそんなもん採用したんだ?」

 

「見栄えがいいから」

 

「は?」

 

「より正確に言うと、映像化するときに演出が楽なんだよ。コックピットで操縦桿握って叫んでるよりも圧倒的かつ簡単に画面映えする」

 

「えぇ〜」

 

「勿論、一応設定的な意味での理由はある。ただ、個人的にはMSのサイズにわざわざ無理矢理積まなきゃいけないほどの説得力を感じなかった。基本的には無駄にコックピットを広く作ってパイロットの技量をより反映するより、スペースを切り詰めてジェネレーターなりなんなりを強化して機体そのものを強くしたほうが合理的なんだから。まぁ、Gガン世界には多少の性能差を誤差にしちゃう例外(バケモノ)もいるんだが」

 

「」

 

「あぁ、1つ擁護しとくと、Gガンでマスタースレイブ方式を採用したのは、作品としては正しい。あの当時はとにかく子供受けするインパクトあるガンダムが求められてたから、その意味では例えSF的に多少間違っていようが、あれは間違いなく正しいし英断だった」

 

「まぁ、とりあえずマスタースレイブについてはわかった。で、他の2つは?」

 

「あーそうだったな。ならまずはわかりやすいコマンド入力方式からだな。ガンダムに限らず、いわゆるリアルロボットと言われるタイプのロボットアニメの半分以上がこの方式だな。これはものすごく簡単に言うと、めっちゃ複雑なスマブラやモンハンみたいなもんだ」

 

「めっちゃってどんくらい?」

 

「まず歩く・走る・跳ぶ・は当たり前で、戦闘に必要な動作だけでも各種状況に対応した射撃・格闘動作が武装の数だけ存在するし、それに付随した武装の切り替え、或いは放棄、補充などなど、パッと思いつくだけで相当な量になるし、当然これ以外にも沢山あるはずだ。これらの動作を、フットペダルと2本の操縦桿、それと周りにあるスイッチ等の組み合わせでできる限り淀みなく文字通り命懸けでやらなきゃならん」

 

「………それってマトモに動かせんの?」

 

「格闘戦はともかく、ただ『移動して撃つ』だけならFPSゲームと難易度的に大差無いハズだから意外となんとかなると思う。さっきはいかにも難しそうな感じで言ったが、例えばビームライフルを撃つ場合、わざわざパイロットが一挙手一投足まで事細かに機体側に指示する必要なんてまず無い。パイロットが照準を合わせた方向に機体が最適なフォームで射撃するように、あらかじめ機体に登録されてるモーションパターンをもとに機体側が補正をかけるようにするなりすれば、それで事足りる。それくらいを淀みなく実戦で出来るようにする程度なら、大概の人間は練習次第でどうとでもなる」

 

「なんだ〜じゃあ俺でもなんとかなるな!」

 

「あくまで『移動して撃つだけなら』だ。実戦だと機体側の補正をキャンセルしてマニュアルで撃たなきゃいけない時もあるだろうし、格闘戦をする場合は自分から仕掛ける最初の一撃以外は射撃と違って機体側のサポートなんて恐らくほとんど当てにできん」

 

「何で?格闘戦も格ゲーみたいにあらかじめ機体に登録されてるモーションをコマンド入力でよびだすだけじゃないの?」

 

「相手のモーションパターンが完全に把握出来ていて、なおかつ相手がマニュアル操縦しない前提ならそれでもいいかもしれんが、そんなことはまず無い。特に、コマンド入力方式で武器の打ち合いが出来るような技量の持ち主はまず間違いなくマニュアル操縦してくるから補正頼りだと多分瞬殺だ。それに射撃戦にしても、大軍で弾幕を張るとかならともかく、小隊単位の遭遇戦とかだとやっぱりある程度マニュアルで出来ないとキツイと思うぞ」

 

「え?」

 

「相手も馬鹿じゃないんだからこっちのモーションパターンの研究くらいしてるだろうし、完全にモーションパターンそのままの動きしかしなかったら、特にベテランにとってはいい的にしかならん。なんせ、相手がどのタイミングでどう動くかバレバレなんだから、相手が躱せないタイミングで簡単に攻撃できる。多分格ゲーとかの着地攻めより簡単だ」

 

「………やっぱ俺には無理かも」

 

「ちなみにだが、SEEDのコーディネーターは描写的に恐らく別の意味で極端だ。多分機体に入ってるモーションパターンは最低限以下で、ほとんどの動作をマニュアルでやってる。連合が鹵獲したやつをろくに使えなかったり機体はいい出来なのに特に初期のソフトウェアがお粗末扱いだったりするのも多分そのせいだ」

 

「うへぇ」

 

「まぁ、さっき言ったのは極端な例で、射撃戦に関しては多分たまにマニュアル操縦を混ぜれる程度の腕で並くらいにはなれるから、エースを狙わないなら大丈夫だと思うぞ?それに、モーションパターンじたいもちょっとずつ更新するんだろうから技量が低くてもそこまで問題無いのかもしれんし。格闘戦に関しても、作品によって多少描写に差があるが、モブ同士の戦いで武器の打ち合いなんてほとんど起こらない。大体は『相手の攻撃をステップなりスラスターの切り替えなりで躱してから攻撃』を繰り返すだけだ。これならマニュアル操縦出来なくてもなんとかなる」

 

「ふーん。そういやさ、そもそもマニュアル操縦ってどうやんの?」

 

「そういや説明してなかったな。まあこれは俺の知る限り明確に説明してる資料がないから俺の想像になるんだが、多分両手の操縦桿と両足のフットペダルに手足の動きを連動させてるんだと思う。例えば、操縦桿をAのボタンを押しながら動かせば肘と連動、Bのボタンなら手首みたいな感じで適宜切り替えたり併用しながらやれば一応できるんじゃないかと思う。ひょっとしたらもっとスマートなやりかたもあるのかもしれんが俺には思いつかんからとりあえず暫定的にこうだと思っといてくれ」

 

「なるほどな〜。とりあえずコマンド入力方式はある程度わかったよ。で、最後が思考操作だっけ?具体的にはどんな感じなん?語感からしてニュータイプのピキーン的なやつ?」

 

「まぁ、概ね間違ってないけど、ニュータイプ以外でもこの方式の奴は実はガンダム作品に限らず意外と多い。まあ大体はさっきのコマンド入力方式との併用の、いわゆる間接思考制御ってやつなんだが。」

 

「間接思考制御?」

 

「これは、わかりやすくも何もほぼほぼGBNでの機体の操縦方法そのものだな。各作品ごとの差はただ単にシステムの完成度の差でしかない。リアルロボットで思考制御って言ったら大体これだな。ちなみに、間接でないものを俗に直接思考制御とも言うけど、これはもっと簡単で手足を一切動かす必要なく完全に思考だけで機体を動かすやり方だ。この方式の利点は極めて単純。システムの完成度にもよるが、直接・間接問わずコマンド入力方式より短い訓練期間で戦力化できるうえに、相手が同程度のパイロットならまず負けないくらいの性能差をつけられることだ」

 

「そんなに違うもんなん?」

 

「多分だけど、かなりの差がつくと思うぞ。例えばだが、俺等は別に能力的にはごく普通の学生なわけだが、GBNではちょっと練習するだけで別段不自由することなく機体を動かせるし、相手にもよるが鍔迫り合いだってわりと普通に出来るわけだ。だがしかし、コマンド入力方式でそんなことするのは少なくとも俺等には絶対に不可能だ。どんだけ練習しても少なくとも俺には絶対にできる気がしない。さっきも言ったが、コマンド入力方式で規定のモーションパターン以外の動きをしようとするとかなり煩雑なんだ。そもそもモーションパターンを呼び出すだけにしてもある程度使いこなすにはそれなりの練習が必要だと思うし。それを大した練習も無しに出来るなら、それだけで結構なアドバンテージだと思うぞ」

 

「そう言われるとそうか」

 

「アニメだとそもそもパイロットとして有能なやつが使ってるかみんな同じ操縦方式なのがほとんどたからイマイチわかりづらいけどな。一番わかりやすく優位性を描いてるのは俺が知る限り鉄血のオルフェンズかな。あれは正にさっきいった例のお手本みたいな感じだ」

 

「具体的には?」

 

「ある程度場数を踏んだ傭兵が大して学の無い奴隷扱いの少年兵に操縦方式の格差だけで一部のエースパイロット以外は一対一で普通に押し負けてる。あの世界のMSは基本的にモーションパターンの組み合わせで動す典型的なコマンド入力方式なことが序盤で明確に描かれてるから間違いない」

 

「そんだけ差があるなら何でみんな採用してないんだ?やっぱり才能とかお金がネックなん?」

 

「いや、もっと最低な理由だ。基本的に理論上誰でも使えるんだが、子供の頃に脊髄に機械との接続端子を埋め込まないといけないんだ。しかも確かそれなりの確率で失敗するし、失敗すると良くて半身不随だ。作品内では基本的に貧しかったり奴隷の子供にしかやらない非人道的な行いとされてるし、何より大人に基本的に使えないから軍で正式採用とか絶対無理だ」

 

「………なんかガンダムってニュータイプ関連含めそういうの多くない?」

 

「全く否定出来んな。他の作品で間接思考制御を採用してる場合、大体は正式採用出来るくらいには安全だったりするから余計にな~」

 

「なんか絶対デメリットがあったりするもんな。まあ、思考制御についても大体わかったよ。やっぱりというか案の定長くなったけどな」

 

「それは俺の性分だから仕方ない。一応短めに話したつもりだ。それより部活ももうすぐ終わるし、今日もよってくだろ?」

 

「ああ、なんか話聞いてたらやりたくなったしな。その前に買い食いしてこうぜ!」

 

「買い食いは今月プラモで厳しいからパスだな。とりあえず行こうか」

 

 

 

そう言うとほぼ同時にチャイムが鳴り、俺達は部室をあとにしたのだった。

 

 




話の流れ的に不自然なので書きませんでしたが、私が個人的に一番納得し感心した操縦システムはフルメタル・パニックのセミ・マスタースレイブ方式です。

小説のオマケ的な感じで設定画と解説が載ってたはずなので興味ある方は是非。

勿論作品も面白いです。

それと、本編中では書きませんでしたが、SEEDのOSについては恐らくお粗末扱いされた原因は設計思想の差が一番大きいと思います。

ナチュラル側のOSは、恐らくパイロットを機体側が補佐する(介護と言い替えても良いかもしれない)こと前提で作られてると思いますが、初期の頃は未完成故に中途半端に補正を入れてくるので、補佐のいらないコーディネーターからすれば邪魔でしかないし、ナチュラルからしても補佐が足り無いから扱いづらいといった感じだったんだと思います(故に1話にてキラ君が戦闘中に行ったのは、OSの再構築というより機体の補正機能のカットがメインだったんじゃないかと思います)


あらすじにも書きましたが、あくまで私個人の意見・考察なので異論・反論は認めます。

頼むから荒らさないでください。

意見・感想待ってます。
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