とあるガンプラ部の日常   作:紅蓮弐式

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一応一話の続きです。

後書きで少しSEEDのMSのOSの差について触れたのでせっかくだからもう少しそこの部分の話をひろげてみます。

それと、今回はプラントについてちょっと批判的な事をかいてますがあくまで作者個人の見解です。

ご了承下さい。


目的意識の差

山岸とGBNをやりにガンダムベースに向かう途中、雑談の合間に山岸からこんな疑問がとんできた。

 

「なあ高岡、そういやさっき機体の操縦方法聞いたときに、コーディネーターは多分全部マニュアルだって言ってたけど、お前が言うにはマニュアル操縦ってめっちゃ面倒臭いし大変なんだろ?何でわざわざそんな面倒なことしてんだ?普通に楽出来るようにすればいいじゃん」

 

「あぁ、それな。それに関しても例の如く俺が知る限り公式で明言されてないんだが、多分設計思想の差だ」

 

「設計思想?」

 

「あぁ、目的意識やコンセプトと言っても良いかもしれない。とにかく、ナチュラルとコーディネーターではMSに求めたものというか、目指したものが違うんだよ」

 

「具体的には?」

 

「これも例によって推測でしかないが、多分コーディネーターは『パイロットが文字通り手足のように自由自在に動かせる機体』を、ナチュラル側は『多くのパイロットがなるべく短い練習期間で軍の望む最低限の動きが出来る機体』をそれぞれ目指したんだと思うぞ」

 

「なんか言葉だけ聞くとどっちも良さそうだけど、お前はナチュラルの方が好みっぽいな」

 

「当然だろ。MSは兵器なんだぞ。個人技を活かしやすい機体よりも誰もが安定した性能が出せる機体の方が兵器として正しいに決まってる!少なくとも、コーディネーター側のコンセプトは本来間違っても量産機でやることじゃない!」

 

「そこまで熱くならんでも。でもそれなら、何でそんなコンセプトにしたんだ?」

 

「多分だけど、一番の理由は出来ちゃったからだろう」

 

「え?」

 

「だから、出来ちゃったからだ。コーディネーターの能力的に可能だったから本来なら問題になるはずの事が問題視されなかったんだ」

 

「でも、問題にならなかったんなら別にいいんじゃないか?」

 

「いいわけあるか!大体、問題視されなかっただけで、問題がないわけじゃないんだぞ!」

 

「落ち着け落ち着け。それで、何が問題なんだ?」

 

「………はぁ。まず一番の問題は、いくら並の人間より高い能力を持ったコーディネーターといえど、開発者の理想通りに自由自在に機体を動かせる奴など極一部にすぎなかったことだ。他の有象無象は、最初からアシスト機能を充実させていれば楽にこなせたことをわざわざ苦労してやっているにすぎん。当然ながら、コーディネーターがいくら優秀といってもあくまで人間の枠組みの中での話だ。面倒で神経のすり減る作業をしていれば当然の如く消耗するし、ミスも増える。俺が思うに、コレはザフト……というかプラントの大多数のコーディネーターの悪い癖なんだが、あいつら自分の能力を過信しすぎだ」

 

「………ひょっとしなくても、お前プラントの事嫌い?お前ジオンは結構好きじゃん」

 

「嫌いだね。あと、確かに俺はどっちかって言えば連邦よりジオンが好きだがプラントとジオンは完全に別物だぞ。そのへんについて話すと本当に長くなるが、それでもいいか?」

 

「………いや、やめとく。それで、他には何が問題なんだ?」

 

「そもそもの話、ほとんどの場合プラント側が当初想定していた仮想敵相手にそこまでの自由度なんぞ必要無い事」

 

「え?何で?」

 

「MS同士かもしくはそれに匹敵する機動力を持った相手と戦うにしても大軍同士での撃ち合いならやっぱりマニュアルでやる必要はないし、ましてや当初想定していた仮想敵はNジャマーでレーダーに目潰しくらった戦艦とMA……単座式小型戦闘機のメビウスだ。ミサイルが当てにならない以上、メビウスは機首に固定された機銃しかろくに武装がないし、機動力も加速性能以外MSに遠く及ばないから正面に立たないようにするだけで一対一ならほぼ完封できる。それの裏付けとして、メビウスとMSの戦力比は3:1〜5:1という公式設定まであるくらいだ。まさに移動しながら撃つだけで勝てる相手ってわけだ。操縦方法の説明の時にも言ったが、移動して撃つだけならコマンド入力で簡単に出来る。わざわざマニュアルで手間掛けてやる必要なんぞ無い。戦艦相手にしても、自動照準システムがNジャマーで上手く機能してない以上、余程近付くかなんかしない限り対空砲火も牽制程度にしかならんから、適当に弾幕の薄い所から攻撃すればいい。勿論これもコマンド入力で全く問題無くこなせる程度のことでしかない。ちなみに、今言った事は殆ど全部一年戦争初期のジオンと連邦にも当て嵌まるんだが、ジオンは当然殆どをマニュアルでなんて馬鹿なことはしてない。それでも連邦相手に総数で劣っていたにもかかわらずほぼ完勝している」

 

「お、おぅ。とりあえず言いたい事はなんとなくわかった。でも、操縦方法聞いた時にお前も言ってたけど、ナチュラルはMS開発の時にそこで躓いたんだろ?だったら、コーディネーターにしか使えない仕様にしとくのはある程度意味があったんじゃないか?」

 

「まぁ、そういう見方も出来るが、それでも所詮は時間の問題だったと思うぞ。仮に百歩譲ってコーディネーターがプラントにしかいないとかならまだしも、中立国は勿論、連合側にも少数だがコーディネーターはいたんだ。機体に関しては開発にあまり問題なかったんだし、結局ナチュラル用のOSも連合側……というか大西洋連合がほぼ独力で実用レベルの物を完成させてるから、やっぱりデメリットのほうが大きかったと思う」

 

「えぇ〜」

 

「それに、これは意外と忘れられてる設定なんだが、そもそもナチュラルも才能と努力次第でコーディネーター仕様の機体を実戦レベルで使えるぞ」

 

「え⁉」

 

「しかも本編最序盤からエース扱いだし」

 

「マジかよ。全く知らんかった。で、誰なの?正直全くわからんのだが」

 

「え?クルーゼだけど」

 

「アイツコーディネーターじゃなかったの⁉」

 

「本編で明言はされてないけど、まず間違いなくナチュラルだよ。だってアイツ、ムウさんの父親のクローンじゃん。ムウさんがナチュラルのいいとこの坊ちゃんなわけだから、当然ムウさんの父親のアルダ・フラガもナチュラルなわけだ。そして、クルーゼ達が作られた理由がクローンを使った延命なんだから、当然遺伝子調整なんかされてるわけがない。そんなことしたらただの別人になっちゃうからな」

 

「知らんかった………」

 

「まぁそれはひとまず置いといて、ここまで散々操縦難易度について言及しといてなんだが、そもそもMSのパイロットにとって一番必要なものは、高度な操縦テクニックなんかじゃない。必要無い訳ではないが、平均以上であれば後は基本的にあったら良いな程度だ」

 

「じゃあさっきまでの話はいったい………まぁいいや。で、その一番大事なものって?」

 

「高度な状況判断力かな。個人的には間違いなくこれが一番だと思う」

 

「状況判断力?」

 

「まぁ、分かりやすくゲーム的に言うならFPSとかで地の利を理解し常に良いポジションを取り続けられる事、所謂立ち回り力かな。戦術的視点と言い換えてもいい。別に戦闘機だろうが戦車だろうが個人的には結局これが一番大事とは思うんだが、MSの場合は他の既存兵器よりも高い自由度が売りな以上、特にこれが重要だ。高度な操縦テクニックなんて基本的に状況毎に取れる選択肢が増える程度でしかない」

 

「でも、キラとかアムロとかのトップエース以外のエースも不利な状況を何度も個人技でひっくり返してんじゃん」

 

「まぁ、アニメの描写的にそう感じるのも無理は無いし、本当に極稀にそういう理不尽な奴もいるが、俺が今話しているのはあくまで一般論だ。例えばな、操縦テクニックの良し悪しって言うのは、どれだけ複雑な動きを速く正確に出来るかということだ。それに対して状況判断力ってのは、何時・何処で・何をすべきかをいかに早く正確に判断出来るかということなんだ。どれだけ鋭く正確な踏み込みや切り返しが出来ようが、或いは正確で素早い射撃が出来ようが、其処に正確な判断が伴わなければ例え最初は運良く大丈夫でもそのうち簡単に対処されるようになる。例えば、相手が格闘戦が得意なら此方は離れて戦うし、逆に射撃が得意なら遮蔽物に隠れながら動くか無駄弾を撃たせるか、とにかく相手がただ単純なテクニックだけなら戦場では案外どうにでもなるものなんだよ」

 

「?ビームは弾切れ無いんじゃないの?ビームって光線でしょ?」

 

「………そこからか………。その話は本筋からズレるしちょっと長くなるから取り敢えず置いとくが、取り敢えず光線じゃないし弾切れもするとだけ覚えといてくれ。まぁもう少し簡単に言うとな、例えば俺とお前がGBNで対戦する場合、一対一なら8割以上は俺が勝つじゃん。俺の操縦テクニック自体は全体的に平均かやや下くらい。どっちかといえば射撃より格闘戦の方が得意な位だ。それに対してお前の場合、単純な操縦テクニックなら全体的に最低でも俺と同じ位かやや上、格闘戦なら確実に俺に競り勝てるくらいの実力があるのにだ。何でだと思う?」

 

「そりゃお前、基本的に逃げながら撃つか不意打ちするかで基本的に絶対俺と真っ向勝負しないじゃん。俺がお前に勝つ時って基本的にお前のガス欠か凡ミスが原因だし………あっ!!」

 

「そうそれだよ。要はそういうことなんだよ。単純な技量で多少上回った所で、お前みたいにろくに考えもせず突撃したりしたら簡単にカモられるんだよ。MS戦においても、エースと呼ばれる奴の大半が実は単純な技量より高い状況判断力が売りの奴の方が多い。まぁ、そういうやつは大概場数もこなしているから技量も相応に高い事が殆どなんだが」

 

「それでお前に勝てなかったのか………。そうならそうともっと早く教えてくれれば良かったのに」

 

「バカ野郎、お前に気付かれたら俺の勝率が落ちるだろうが。一応友人のよしみで今教えたけど、赤の他人なら一生カモるところだ。で、話を戻すと、要はMSをただ動かす以外にもパイロットが考えなきゃならん事は多いんだから、楽できる所は楽できるようにすべきだって事。エース用のカスタム機とかならともかく、量産機に過度な自由度なんてナンセンスだ」

 

「なるほどな〜。しかし、少し話は戻るが、そもそも何で連合軍や連邦軍はそんなMSの的にしかならない戦闘機を宇宙艦隊の主力になんぞしてたんだ?どっちも1年以内にMSを独自開発出来たんだから、もっとマシなのを配備出来そうなもんだけど」

 

「それについても、最初に言ったみたいに目的意識の差だな。そもそも、MSが出てくるまでは連合でも連邦でも、艦載機なんぞ艦隊のオマケでしかないしな。断じて宇宙戦の主力ではない」

 

「え?そうなの?」

 

「そうだよ。そもそもMSにしても、Nジャマーやミノフスキー粒子やらでレーダーを妨害してなかったら、少なくとも開戦当初の性能ではしっかり陣形を組んだ艦隊相手にまず勝てないし」

 

「え⁉」

 

「そりゃそうだろ。そもそもNジャマーとかが戦場で使われるまでは、レーダーと高度に連携した自動照準システムによる対空砲火と主砲、自動追尾式ミサイルが戦艦の主力武装だったんだぞ。いくらMSの機動力が高くても、下手すれば戦艦の防空圏内に入った瞬間に撃墜されるわ。ましてやそれ以下の機動力しかないメビウスやセイバーフィッシュじゃ余計にな。MSが戦場に出てくるまで………というかNジャマーとかが戦場で使われるまでは、正しく戦艦こそが宇宙戦での主力であり、戦艦同士の艦隊戦こそがスタンダードだったんだよ」

 

「じゃあ、逆に何でそんな大して当てにしてない艦載機なんてそもそも積んでたんだ?」

 

「簡単に言うと、相手の迎撃能力を削る為だな。戦艦同士の戦いの場合、お互い有効打になりうるのは大体主砲かミサイルの2種類なんだが、一般的な艦隊戦が行われるような距離でレーダーがちゃんと生きてる場合、主砲は結構な確率でかわされるんだよ。なんせレーダーが生きてるからお互いの位置がバッチリ分かるし熱源反応で撃つタイミングもある程度バレる。ついでに砲口の向きで何処狙ってるかもバレちゃうから、乱戦とかでない限り撃たれる前に射線から逃げることも出来てしまう。残る問題はミサイルなわけだが、これも馬鹿正直に正面から撃つだけだと、いくら自動追尾だろうと防空圏内に入った途端に迎撃用の機銃で簡単に撃墜されてしまう。故に、何らかの方法でミサイルの迎撃能力を下げる必要があるわけだ。で、ここで艦載機の出番ってわけ。戦艦より小回りが利くのを活かして相手の防空圏ギリギリから対空砲を狙ったり、そうして出来た穴にあわよくば対艦ミサイルを撃ち込んだり、あるいは一隻に集中して攻撃することで陣形に綻びを作ったりするわけだ。勿論そういった事に対する迎撃や妨害も艦載機の役割だ。ただ、それでもやっぱり真っ向勝負だとどうあがいても戦闘機で戦艦には基本的に勝てないから、艦載機の質よりもより勝利に直結する戦艦に重きを置かれてたんじゃないかな?この戦法だと、さっき言った事が最低限できれば艦載機の質なんて余程大きな差でもない限り勝敗にはあまり絡まないし、さっき言った役割は基本的に一撃離脱戦法で可能なのと、何より少しでも攻撃を回避しやすいように投射面積を減らす必要もあったから、意外とあれはあれで良かったんだよ」

 

「なるほど〜。所で投射面積って何?」

 

「そこもか。まぁ簡単にいうと、相手から見える面積の事だな。例えばさっき言った戦闘機とかだと、上からや下から見た時より前・横・後ろから見たほうが見える面積が小さいだろ。で、基本的に戦闘機が動いてる時ってのは、相手からは機体の前・横・後ろ以外殆ど見えないし、なるべくそうなるように動いて被弾のリスクを下げるんだ」

 

「なるほどね。つまり的を小さくするわけだ」

 

「そういうこと。そういうわけで、Nジャマーとかを前提にしなければ、あれはあれで理に適ってたんだよ」

 

「ふ〜ん。アニメ観てる時はただ軍が怠慢だったり無能だからだと思ってたけど、意外とちゃんとした理由があったんだな」

 

「まあ今言った事の半分位は俺の予想でしか無いがな。それでもそんなに大きくは間違って無い筈だが」

 

「偶に思うけど、よくそんなに色々考えれるよな」

 

「金が無いオタクは物欲を満たせないから知識欲の方に流れるんだよ。まだ言いたい事もあるが、もうすぐガンダムベースにつくし、とりあえず今日はこの辺にしとくか」

 

「そうだな。何より、お前の満足するまで語らせたら夜が明けちまいそうだし」

 

「それは否定出来んな」

 

「だろ?で、とりあえずエクシアでお前の機体に勝つのは難しい事がわかったから、先ずは新しい機体選びに付き合ってくれよ」

 

「別にお前が勝てないのはあんまり機体と関係ないんだが………まぁいいや。相談位は乗ってやるよ」

 

「よーし見てろよ!新しい機体でお前の高い鼻へし折ってやるぜ!」

 

「そう思うならせめて自分でちゃんと作れるようになれよ………」

 

 

 

そうして俺達は駄弁りながら、プラモコーナーへと向かった。

 

 

 

 

ちなみに、ちょっとだけムカついたので後日山岸の新機体はキッチリエクシアでボコした。

 

 

 

 




操縦テクニックの下りは、本当は自動車のオートマとミッションで例えるのが一番わかり易いかと思ったんですが、あくまで学生が話してる設定なので自動車について語るのは不自然な為、本編中では無駄に長く分かりづらくなってしまいました。

本編中でプラントに対してキツめに当たったのは、作者本人の好みというより不合理な点をツッコんだ方が話を進めやすいからです。

個人的にたまたまプラントがわかり易いツッコミ所が多く感じたから書きやすかったというだけで、別にそこまで嫌いでは無いです。



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