ブルアカをやってて気付いたのは、ほのぼのな学園ものではなく思ったよりシリアスが重い上に設定がヤバそうなこと。
セフィロトの名を冠する人工知能とかヤバい感じしかしない。
セフィロトといえばロボトミーコーポレーションのなイメージの私。
先日はウタハ部長に表に出されました。
菌糸類みたいな私には非道な仕打ちです。
ああ、元の私の部屋に戻りたい……
仕方ないので、このエンジニア部の部室とも言うべき広い作業場で私は自分の世界に入るのです。
これでも依頼が舞い込んで忙しいんです。
主に武器関係で。
整備や改造依頼、はては新武器の開発まで。
そして、依頼主について詮索は致しません。
興味もないですし……私は自分の世界に浸るために依頼を受けてるので……
道具をどう取り扱おうとも、その人の勝手です……
包丁が凶器になるのに規制はされても廃棄されないのと一緒です。
まあそもそも私達は負傷はしても死体なんてそもそも出ないのですけど。
「スズ」
「っ……!?」
作業台で武器をイジってると突撃に声を掛けられ、息が少しだけ出来なくなる。
ゆっくり振り返れば笑顔のウタハ部長。
「は、はひ……部長。ななな、何か御用ですか?」
どもりながらも何とか答える。
「ああ、すまない。正面から話し掛けるべきだったな」
1年以上の付き合いになる部長は私の様子を見て謝罪する。
突然話し掛けられるとビックリします……
「いや、大した用じゃないが……少し、行き詰まっていてな。私の開発してる『雷ちゃん』なんだが、可動範囲にどうも難があるみたいなんだ」
「えっと……工学的な問題、ですか? それともシ、システムでしょうか?」
「どちらかと言えば工学的なところだな。システムの方はテストは済んでてロジックは問題ないみたいだし、フローチャートのエラーもない。これが図面なんだが、少し意見が欲しい」
と言われて、ウタハ部長から青い図面とスペックの基本データを貰う。
さ、さすがは部長です。
戦闘も出来るイスとは思ってもいませんでした。
しかも戦闘力も申し分ないスペック。
ですけど……
「い、いいんですか? 発明品のスペックをこ、公開するなんて……」
ある意味、企業秘密を開示してるようなものです。
このデータがあればコピー品や果ては改造も容易にしてしまうし、技術的なノウハウを活用してよくないものが作れてしまいます。
「エンジニア部にそんな恥知らずはいないさ。それに、一言くれれば部外者はともかく同じ生徒で部のみんなならそんなことはしないと信じてるとも」
ウタハ部長はイケメンです……
私と対局にあるような性格が羨ましい限りです……
「それはそうと、スズはこれを見て問題点は何か分かるか?」
「は、はい……おそらくベアリングの問題じゃないかと……」
「数値的には問題ないはずだが……」
「材質の方です……か、荷重計算は合ってると思いますが……駆動の方じゃなく使ってるものが……え、えっとーー」
ど、どう説明すれば良いのか考えないと。
そして、とりあえず駆動重視じゃなく荷重重視の物に変えた方がいいという説明を何とか伝えれました。
その後に私の
「ああ、そういうことか。確かに駆動重視で組んでたな……。うん、さすがはスズだ」
「それは、ど、どうも、です」
「まあ、その調子でエンジニア部以外でも少しずつでもいいから話せると良いんだがな」
「うッ……」
あ、マズイですそんなこと言われたら動悸がしてきそうです。
「お、おい。過呼吸になってるぞ」
「はっ、はぁッ……だ、ダイジョウブです。す、すぐ落ち着きますので」
想像したら気分が悪くなってきました。
「スズの極度な人見知りの克服はまだ当分叶いそうにないな」
「す、すみません……」
「まあ、いいさ。何も明日世界が滅びる訳でもない。少しずつ変わってくれると嬉しい」
それだけ言い残してウタハ委員長は去って行きました。
変化、ですか……
そう言えば連邦生徒会長が行方不明との噂がありましたね。
このキヴォトスにも何か変化が訪れるのでしょうか?
変化に便乗すれば、私も……
これはほんの気紛れ。ただの思いつき。
たまには、外に出ましょう……
だけど怖いので誰か知ってる人と一緒に行きたいところです。
重い腰取りで取り敢えずは学園の外に向かおうとすると、コトリに話しかけられる。
「先輩、どちらへ?」
「外に……」
「外……スズ先輩が外に!?」
「なに!? 遂にスズが外にだと!?」
どこで聞いてたのか、コトリの言葉を聞いて急にウタハ部長が湧いてきました。
「ひうっ!?」
部員の剣幕に変な声が出る。
そ、そんなに驚くこと……あるかもしれませんが……
「そうか、遂に……成長したのか」
あの、ウタハ部長……何故に涙を流されてますか。
しみじみとした感じで、問題が解決して発明が完成した時のような表情を浮かべてる部長。
後輩どもも感心してるかのような感じです。
「それはそうとどこに出掛けるんだ?」
「と、とりあえずは……部室から出るだけです」
私に学園の外なんて無理です。
部室の外を少し出るだけ……
ああ、きっと眩しいんだろうな、と思いつつ足取り重く外に出る。
「お年寄りみたいですね」
コトリのボソっとした言葉に、流石にイラッとしました。
睨むと、
「〜〜♪」
目を逸して口笛吹いてます。
……言われても仕方ありませんけど。
それから、1ヶ月ぶりの外。
日は眩しく、新鮮な空気。
晴れやかな空は広がり、どこまでも青い。
深呼吸して一息吐く。
――やっぱり戻りましょう。
私に外の世界は早かったのです。
眩しすぎて困ります。
憎らしい程に世界が輝いていて、このままでは干からびます。
「珍しい。あんたが外に出るなんて」
「ひっ……」
この声はセミナーの鬼こと早瀬ユウカです。
振り返れば、いつの間にか立っていた。
「……鬼」
「誰が鬼よ!」
「はうっ……」
思わず声に出てしまったようです。
迂闊でした。
「って、こんなことをしてる場合じゃなかったわ。これから連邦生徒会に行かないといけないのに」
何やら急ぎのようです。
それから、私を見て何かを思いついた顔をする。
「そうだ。ちょっと付き合ってくれない?」
その言葉に私は首をブンブンと横に振る。
「まあ、そう反応すると思ったわ。ただですら部室に引きこもってばかりなのに。規則正しい学校生活をしないとダメでしょ」
余計なお世話です。
ちゃんと問題なく生活はできてますし、私は誰にも迷惑は掛けてないのです。
「というわけで、部長さん。連れて行っていい?」
「構わないとも」
その言葉にハッとなる。
いつの間にやらウタハ部長までいる!?
しかもいい笑顔で。
「というわけで、スズ。たまには外の世界を満喫してくれ」
「……嫌です」
「ウタハ部長の許可も出たことだし、行くわよ」
私の勇気の拒否の言葉はそこら辺の石のように投げられました。
「いーやぁぁぁ……」
抵抗虚しく、私は連行された。
――連邦生徒会。
このキヴォトス全域の学園を統括する行政機関とも言うべき、学園都市の中枢。
しかし、今となっては色々と混乱が見られます。
行政区画のある階にまであれよあれよと連れられてきました。
やはりセミナーの鬼……
「だから! 連邦生徒会長を呼んでちょうだい! 今の状況について納得いく説明を要求するわ!」
「そう言われましても、私共では対応致しかねます」
ユウカはレセプションルームの受付の生徒に対してゴリ押ししてます。
そう言えば……私はここになんの用事もないですし、帰っていいですよね。帰りましょう。
こっそり、エレベーターに向かいます。
直談判に夢中でユウカは気付いてないみたいですし。
こんな人がごちゃごちゃしたところから早く出ないと……気持ち悪くなりそうです。
エレベーターが上がってきて、扉が開くといきなり柔らかいものが目の前に当たったと思えば、反動で尻もち。
な、なんですか……入ろうと思えば壁が。
「あの……大丈夫ですか?」
見上げれば黒い翼が腰から生えた高身長の少女。
……な、何というダイナマイトボディフレーム。
お、おっぱいオバケです……
「オ、オバケ……」
「オバケ……?」
またしても口に出してしまいました。
相手も首を傾げて、言葉を繰り返す。
「早く降りて下さい。後ろが詰まってます」
何やら黒い翼の彼女の後ろから声がする。
それから彼女が横に避けるように移動すると、さらに2人の少女が。
キヴォトス三大学園とされる私のいるミレニアムサイエンススクール。
そして残り2つがゲヘナ学園とトリニティ総合学園、その生徒が目の前にいます。
「ミレニアムの生徒ですね。あなたも連邦生徒会長に用が?」
と、ゲヘナのメガネを掛けた人に尋ねられますが。
「…………」
初対面で話すなんて無理です。
視線が泳ぐ。
いたたまれないので、そのまま柱の陰に隠れます。
私は柱です。なので何もお答え出来ません。
「噂には聞いてましたが、まさかミレニアムの一流引きこもりガンスミスでしょうか?」
「なんですか……その不名誉と名誉が同居してる通り名は」
銀髪のトリニティ生徒の言葉にメガネのゲヘナ生徒がツッコんでます。
「ミレニアムのエンジニア部の発明はキヴォトスでも有名ではありますけど、特に武器関係で凄腕の生徒がいると。ただ、その方は表に一切出ない引きこもりだとかで――」
「聞いたことがあります。他校でも依頼されれば要求に応える武器職人。各学園に武器職人はいますが、わざわざ依頼をしてでも彼女の改造を受ける生徒はいるそうです」
銀髪の生徒の言葉にメガネの生徒が補足するよう説明しています。
……スゥー、と呼吸が小さくなります。
私は有名になりたい訳ではないんです。
「確か名前は
銀髪の生徒――スズミ……確かに名前と銃に見覚えはあります。
人体工学で銃床の形状とグリップは多少イジってましたし、反動制御なので銃身のガス圧の流れも変えましたけど。
「お陰で命中率が格段によくなりました。こんなにピッタリ合う銃は初めてです。あと、閃光弾も希望通りのものでいつも助かります」
閃光弾……そう言えば、トリニティから結構な数が来てますね。
お得意様がこの人でしたか。
「…………どもです」
お礼を言われて答えない訳ではないです。
でも、これが私の精一杯。
それ以上は言葉が出ないんです。
「はぁ、
ユウカが私の様子に気付きます。
何やってるとはなんですか!
私はこんな雑多な場所には来たくないのに無理矢理連れて来たクセに!
と、言葉では言えませんので目で訴えます。
「そんな睨むんじゃなくて言葉にしなさいよ」
それが出来れば苦労しません!
ただでさえ、人と話すのが苦手なのに!
これも言えないので、私は唸るしかできない。
「うぅ〜〜」
「知ってはいたけど、重症ね」
「……堅、物」
「やっと口を開いたらそれ!? 誰が堅物よ!」
そんな時でした。
エレベーターから、連邦生徒会の行政官ともう一人――大人の人が出てきたのは。
これが私と先生の出会い。
確かな変化がこの日を境に始まりました。
ちなみにオリキャラのスズもセフィロト関連で設定してます。
プロフィールから推理してみると案外分かる人は分かってしまうかも。