よう実×呪術廻戦   作:青春 零

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21話 人生相談

 薄暗い室内で、一組の男女が身を寄せ合っていた。 

 互いの吐息が聞こえる程の距離で、絡み合う視線。

 どちらからともなく、ゆっくりと近づく二人の顔。

 窓から見える月をバックに、そのシルエットは重なろうとし、そして――

 

 

 パァン

 

 

 風船の割れる音が、室内に響いた。

 

「はい、また失敗ですね」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()キスシーンを横目に、護は突然の音にビクリと体を震わせた鬼龍院に向かって声を掛ける。

 画面の中では既にエンドロールが流れているが、それをよそに鬼龍院は悔しそうに顔を顰めた。

 

 今二人が行っているのは、映画を見ながら集中力を維持して、呪力を流し続ける訓練である。

 午前中に始めた呪力を練る訓練に関しては、既に終了している。

 無闇に手を痛めることを嫌い、一回一回丁寧に意識を集中させたからか、護の予想に反して、ほんの1時間程度で結界を壊すに至った。

 

 その後昼食を挟み、今の訓練に至る。

 

 内容としては至極単純である。風船に護特製の呪符を貼り、呪力を流し始めたら訓練開始。

 呪力を流している間は何ともないが、呪力が途絶えてしまうと、その瞬間風船は勢いよく割れてしまうというもの。

 

「キスシーンで集中力を欠くとか、先輩って意外と初心(うぶ)いとこあるんですね」

 

「む、違うぞ五条。私はあまりにも演出がありきたりなので、退屈してしまっただけだ」

 

 鬼龍院自身、嫌なタイミングで失敗してしまったという自覚はあるらしい。

 いつものような余裕を持った態度ではなく、割と真剣な様子で、護の言葉を否定した。

 もっとも、護にしてみれば別段揶揄うような意図はなく、単に思った感想を言っただけなので、これ以上掘り下げるつもりもないのだが。

 

「なんにしても、失敗に変わりはないです。はい、やり直し」

 

 話しながら膨らませていた風船に呪符をペタリと貼ると、それを鬼龍院に手渡した。

 受け取りながら、それを微妙な顔で見つめる鬼龍院。

 

「……このバラエティ番組の罰ゲームみたいな訓練は、君が考えたのか?」

 

「映画を見るって訓練方法は、兄が偶に教えるやり方です。風船が割れる辺りは俺のアレンジですが。

 さすがに顔をボコボコにした状態で登校したら、目立ちますし」

 

 ポツリと呟いた物騒な言葉に、鬼龍院は僅かに眉を顰める。

 

「私は何をやらされるところだったんだ……」

 

 グローブつけた小さなクマさんに殴られます。と言えば混乱しそうなのであえて言わず、護はテーブルの上のDVDに手を伸ばした。

 

「まぁ、気にしないでください。痛みを伴った方が覚えは早いものですけど、別に急いで詰め込む必要もありませんから、当面は関係ない話です。

 それより、次は何を見ますか?」

 

「少し待ってくれ、さすがに目が疲れた。休憩もかねて飲み物を入れよう。

 お茶とコーヒー、どちらがいい?」

 

「先輩と同じで」

 

 わざわざ別の物を頼んで手間を増やさせることもないと、鬼龍院と同じものをオーダーする。

 

「そうか。次に見る映画は適当に選んでくれ」

 

 そう言って立ち上がり、キッチンへと向かう姿を横目に、護はデッキから今しがた見たDVDを抜き取り適当に目についた物と交換する。

 

 しばらくして、お茶と茶菓子を盆に乗せて戻ってくる鬼龍院。

 

「しかし、まさか自分の部屋で男子と映画を見る日が来るとはな」

 

 お茶の入ったカップを手渡しながら護の隣へと座る。

 揶揄うようなものではなく、どことなく感慨深げに感じる口調。鬼龍院自身、本心から今の状況が意外な事であると思っているようだった。

 

「少し意外ですね。先輩なら結構モテそうですけど、恋人とかいなかったんですか?」

 

 少なくとも容姿だけを見るならば、アイドルや女優等と比較しても彼女程整った人間はそうはいない。

 その気になればいつでも恋人なんて作れそうなものだ。

 

「ほぅ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。だが不思議なことに私は全くモテたことが無くてな。皆が皆、君程見る目はないらしい」

 

(むしろ見る目があるからこそじゃないかな?)

 

 鬼龍院の周囲の男性は、ちゃんと彼女の性格を理解しているのだろう。

 どんなに綺麗な花であっても、毒や棘を内包していると分かれば誰だって敬遠するのが普通である。

 

「……もう少し控えめな性格になれば、すぐに男は寄ってくると思いますけど」

 

「生憎と、そのままの私を受け止める度量の無い男に興味はない。

 そう言う君はどうなんだ? 学校では坂柳と随分仲睦まじいようじゃないか」

 

「有栖さんは単なる友人ですよ。向こうも特別な感情は抱いてないでしょうし、俺もそういう目で見ることはありません」

 

「現役の高校生にしては随分と枯れているな。

 それとも君は、男色の気でもあるのか?」

 

「ねぇよ。あと言っておくけど、不能とかでもないんで」

 

 次に鬼龍院が言いそうなことを予想し、先んじて否定する護。

 

「ふむ……となると残る可能性は、呪術師の世界に巻き込むことを敬遠してと、そんなところか?」

 

「まぁ、そんなところですね。ウチの家系は呪術師の中でもかなり面倒な家系なんで、何も知らない人を巻き込む訳にはいきませんよ」

 

「お家絡みか。そういえばさっき兄がどうとも言っていたな。君の家族は全員が呪術師なのか?」

 

「ええ、こっちの業界じゃ、知らない者はいないってくらいの名家ですね」

 

「……ちっとも誇らし気に聞こえないな」

 

 名家と語る護の口調にはどことなく自嘲めいた響きがあり、鬼龍院は耳聡くそれを感じ取った。

 

「長い歴史がある分、それだけしがらみも多いってことです。

 幸い今の当主は兄ですし、俺は割かし自由にさせてもらってますが」

 

「なるほど、家格に合うような相手でなければ親が認めないと」

 

 鬼龍院は得心の得た様子でそう言ったが、護の言いたいことはそうではなかった。

 

「少し違います。まぁ、実際親はいい顔しないんでしょうけど、俺が気にしてるのはそこじゃないです」

 

「ではなんだというんだ?」

 

「……血の繋がりって、切ろうとして切れるものじゃないでしょう?

 特に呪術師の場合はそれが顕著なんです」

 

 これを言ったところで、呪術社会について知らない鬼龍院にはピンときにくい話。

 この機会に少し詳しく説明するかと、護はお茶を一口飲んで喉を湿らせてから口を開いた。

 

「昨日先輩は俺の術を一子相伝の秘術なのかと聞きましたが、実際そういう術は存在します。

 代々血筋による遺伝によって引き継がれる術、これを相伝の術式と言いますが、術師の家系にとってはこれが何よりも尊ばれます」

 

「遺伝によって引き継がれる……君の術が相伝ではない辺り、100%継承する方法は無いわけか」

 

 この辺りやはり鬼龍院は呑み込みが早いと、護は感心しながら頷いた。

 

「その通りです。兄弟全員が発現しないこともあれば、何代かまたいで発現することもある。

 そして家の当主には、相伝の術式を持つ者が選ばれる傾向が強い。

 これが何を意味するか分かりますか?」

 

 その問いかけに対し、いつもの飄々とした笑みを潜めて、鬼龍院は神妙な面持ちで口を開いた。

 

「……親類縁者による家督争いか。仮に直系がそれを持たず、遠縁に持つ者が現れた場合、良い顔はしないだろうな」

 

「ええ、家督争いの暗殺謀殺なんてのはほんの一例ですが、要は呪術師が持つ血の価値は、それだけ高いってことです。

 ウチの兄なんか、子供の頃にトータルで億を超える懸賞金を掛けられたこともありますよ」

 

「何とも、スケールの違う話だな」

 

 億を超える懸賞金という言葉には、流石に鬼龍院も驚いた様子だ。

 

「ま、あの人の場合はちょっと規格が違いすぎますけどね」

 

 幼少時からそれだけの懸賞金を掛けられるのも、呪術師としては稀な例だが。

 この話に関しては護も伝聞でしか知らないが、おそらくはそんな状況下でも兄は堂々と町中を闊歩していたことだろう。

 その姿を想像すると、ついクッと笑みが漏れてしまった。

 

 そんな護に対し、鬼龍院が珍しいものを見たような目を向けてくる。

 

「……君もそういう顔をするのだな」

 

 言われて、顔に手を当てる護。

 

「俺、なんか変な顔してました?」

 

「変ということはないさ。ただ、兄君について語る君の顔は、少年のような愛嬌があったぞ。

 よほど尊敬しているのだな」

 

 実際護は兄のことを尊敬しているが、いざ人にそう言われるとどうも素直に認めるのが恥ずかしく感じてしまう。

 不承不承といった感じに、護は顔を顰めながら答えた。

 

「まぁ、ふざけた性格ですけど、実力に関しては間違いなく当代最強の術師ですから」

 

「ほぅ、君が言うのなら誇張や身内贔屓ではないのだろうが、まさか最強という言葉が出るとはな」

 

 鬼龍院の口調は、どこまで本気に受け取っていいのかわからないという風だった。

 実際知り合いが、自分の兄は最強ですなんて言ったところで、実感なんて湧かないのが現実だろう。

 

「この辺り実際に見てみないとピンとこないでしょうね。今は別に信じなくてもいいです。

 ていうか、そもそも兄のことは今は関係ありませんし」

 

 なんの比喩でもなく、兄には日本中の人間を皆殺しにできるだけの力が有るのだが、それを説明したところで、本気にする者はいないだろう。

 護は兄に関する話を切り上げて、話を戻した。

 

「えっと、確か呪術師の血統は貴重ってとこまで話しましたよね?」

 

「ああ、覚えているとも」

 

「ここまで言ったら、もうほとんど答えです。俺が家族を持てば、その家族にも色々と重荷を背負わせることになる」

 

 同じ術師であればあるいはそういう未来もと思うことは有るが、それでも御三家という家柄は呪術界でもかなりの厄ネタだ。普通の人間が夢見るような幸せな家庭を築けるなどと、護は思っていなかった。

 

「家のことが無くても、呪術師なんて厄介事の付き纏う仕事ですし。

 好きになった相手に自分と一緒に地獄までついてきてくれ、なんて言う気もありませんから。それなら最初から一生独り身でいると割り切った方が、気が楽なんです」

 

 そう言って苦笑する護の横顔を鬼龍院はじっと見つめていると、ふと手に持ったカップを置いて、右手を護の方へと向けた。

 

「五条、手を出せ」

 

「何ですか急に? 別にいいですけど」

 

 鬼龍院が向けているのと同じように、護は左手を開いた状態で鬼龍院の方へと向けた。

 すると鬼龍院は護の手に自分の手を合わせて、そのまま握りこんでしまう。

 

「ふむ、お前の手は大きいな。それにかなり固い」

 

(お前?)

 

 いきなり呼び方が君からお前に変わったことが少しばかり気になったが、わざわざ指摘することもないかとそのまま流した。

 

「はぁ、男の手なんてこんなもんですよ」

 

「謙遜するな。普通の男子ではこうはならんさ。

 まさしく戦う者の手といった感じだな」

 

「それはどうも」

 

「私の手はどうだ?」

 

「は?」

 

 何が言いたいのか分からず、呆けた表情を浮かべる護。

 

「私の手を握ってみろ。どう思う?」

 

 いつものように揶揄っているのかと思ったが、鬼龍院からふざけている気配は感じられない。

 僅かに逡巡した後、護は素直に手を握り返し素直な感想を述べた。

 

「思ったより、ずっと小さいですね」

 

 当たり前だが男と女では指の太さも長さも違う。

 わかってはいたつもりでも、実際に手を合わせてみるとその違いがよく実感できた。

 

「それだけか?」

 

 護は動揺しにくいだけで、気恥ずかしい気持ちが無いわけではない。

 こうして淡々と感想を聞かれると、なんと答えるべきかと答えに窮してしまう。結局悩んだのち、思った感想をそのまま口に出した。

 

「……綺麗な手だと、思います」

 

「うむ、そうだろうとも。日頃の手入れは欠かしていないからな」

 

 褒められたことを謙遜するでもなく、むしろ誇らしげに胸を張る鬼龍院。

 そんな彼女に対し、護は意図が分からず珍妙な物を見るような目を向けた。

 

「……結局何がしたいんですか?」

 

「私の手に触れて、心地良いとは思わんか?」

 

「まぁ、良い手触りだとは思いますけど」

 

「要はそういうことだ」

 

「いや、全くわからん」

 

 やはり揶揄われているのだろうかと思った護は手を離そうと指を開くが、鬼龍院の方はしっかりと握りこんで離す気配が無い。

 すると彼女は護へと目を合わせたまま、真剣な表情で語り始めた。

 

「お前はどうも、他人に対して何の期待もしていない様に見える。

 自分と周りでは住む世界が違うと思っているからかな? 根本的にお前は、他者を見下しがちだ」

 

「見下すって、そんなことは……」

 

「無いと言い切れるか? 弱者を助けるのは当たり前。そんな相手からの見返りは期待していない。

 こういう考えが無いと、本当に断言できるのか?」

 

 そう言われてしまえば、護としては否定することはできなかった。

 傷ついている者、困っている者が居たら助けるのは当たり前。そこに代価なんて期待したことはない。

 

「勘違いするなよ? 私は別に責めているわけではない。優れた能力を持つ者と、そうでない者とが同じ視点に立つことはない。

 慈悲や庇護、救済……どんな綺麗な言葉で飾ろうと、それらの本質は上位者から下位者に向けられる施しだからな」

 

「結局、何が言いたいんですか?」

 

「少し回りくどかったか。どうも後輩の人生相談に乗るなど初めての経験なのでな。

 まったくお前はことごとく、私の初めてを奪っていくな」

 

「そういうのいいから、続けてください」

 

 真面目な雰囲気から一転して茶化す鬼龍院だが、護はその言葉を一蹴して、答えを待つようにジッと彼女の瞳を見つめた。

 

「まぁ、何が言いたいかというと、お前はもう少し我が儘になるべきだ」

 

「は?」

 

「お前は今まで、誰かに何かをしてほしいとか、他人が持つ何かが欲しいと思ったことは有るか?」

 

「いや、それくらい普通に……ん?」

 

 言われて、今までの人生を振り返ろうとしてみて、そのような記憶が無いことに気付く。

 あったとしても、せいぜいが仕事上で頼ったりするくらい。我が儘と呼べるものは思いつかなかった。

 

「確かにお前にできることと、我々一般人にできることには雲泥の差があるのだろう。

 しかし、最初から何もできないと全てを切り捨てることは有るまい。

 こうして触れ合い、ほんのわずかな温もりをプレゼントするくらいは私にもできる。何ならこのまま抱き着いてその心地も体感してみるか?」

 

「結構です。というか、別に俺の生き方がどうあろうと先輩には関係ないでしょ。

 結局先輩は、何がしたいんですか?」

 

「理由か? しいて言うなら、その関係ないという考え方が気に食わん。

 仮にも私はお前の弟子で、先輩だ。一人で生きて一人で死ぬ。自己完結した機械の歯車のごとき生き方は、少々見かねる」

 

「そうは言っても、俺は今の在り方に不満なんてありません」

 

 鬼龍院の言っていることは理解した。

 おおよそ見返りもなく義務感で動く護の生き方は、傍から見たら非人間的に見えるのだろう。

 しかし、それに関して護自身不満を抱いてはいない。変われと言われても変わる必要性は感じないのだ。

 

「別に生き方を変えるだなんて、難しいことを考える必要はない。

 私が言いたいのは、さっき言ったとおりだ。もう少し我が儘になれ。

 お前が思っているよりも、人が人に与えられるものというのは多いんだぞ」

 

「我が儘に、ねぇ……」

 

 そうは言われても、現状護が他人に対して何かしてほしいかと言われても思いつかない。

 

「まぁ、言われたところでわからんか。

 手始めに、お前はまず私のことを名前で呼びたまえ」

 

「いや、何でですか」

 

 どうして今の会話から呼び方に話題が飛ぶのか、護には理解できなかった。

 

「まずはお前の中の遠慮を取っ払わんといけないからな。

 その敬語もやめた方がいい。坂柳に対してはもう少し砕けているそうじゃないか。

 そもそも、師弟の立場で畏まられているのもどうかと思っていたんだ」

 

「いや、あんた師弟だからって口調を気にするタイプじゃないでしょ」

 

「いいじゃないか、その調子だ」

 

 護の反応を楽しむような鬼龍院の様子に、ため息が口から漏れる。

 

「あー、別にいいけどさ。呼び方や話し方、変えるくらい」

 

 別に呼び方を変えるくらいのこと、護にとっては気にすることでもない。

 むしろこっちの方が素である分、幾分か楽ですらある。

 

「そうしたまえ。私の方もこれからは護と呼ばせてもらおう」

 

「……弟子が師匠呼び捨てにするのはいいのか?」

 

「問題ないだろう? 私は先輩でもあるのだからな」

 

「都合の良い時だけ持ち出してくるな。

 ていうか、いつまで手握ってるつもりさ?」

 

 実のところこれまでの会話中、楓花はずっと護の手を握ったままだった。

 

「せっかくだ、このまま映画を見るぞ」

 

「いや、なんで?」

 

 楓花の方は片手でも問題なく風船が持てて修行ができるが、護の方は片手では参考書が捲り難くなって困る。

 

「こうでもしないと、お前はずっと参考書を捲っているだろう。

 そもそも中間テストの過去問も渡したというのに、勉強する必要もあるまい」

 

「いや、今後の試験を考えると範囲外の問題も出してきそうだし、こうして時間があるうちに予習しておこうかと。

 それに過去問に関して、俺は使う気ないし」

 

 その言葉に、今度は楓花の方が戸惑いの表情を浮かべた。

 

「使わない? 何故だ」

 

「楓花さん、俺のこと調べるのに教師に聞きまわったんでしょ? そんな状況で俺が全教科100点なんて取れば、明らかに疑いが行くよ?

 点数調整をするにしても、それなら最初から普通に受けても変わんないし」

 

 その護の言葉に、楓花は面白そうに笑みを浮かべた。

 

「おや、まさか私の心配をしてくれるとはな。しかし、遠慮することはない。

 どうせ教師も、明確な証拠が無ければペナルティなど与えられん」

 

「いや、いい。今回は実力試しってことで普通に受ける」

 

「やれやれ、強情なことだ。せっかく私が過去問を仕入れたというのに、無駄になってしまったか」

 

「なんだ、あれ楓花さんのじゃなかったの?」

 

「知人を経由して手に入れたものだ。

 ああ、ポイントに関しては気にする必要はない。穏便な方法で譲ってもらったのでな」

 

(絶対碌でもない方法だ)

 

 そう言ってニヤリと笑う楓花の顔を見て、護は逆に不穏なものを感じ取った。

 脅迫か、強奪か、何にしてもまともな方法ではなさそうだと。

 

「まぁ、過去問に関しては感謝してるよ。俺自身は使わないけど、ちゃんと利用するつもりだから、無駄にはならない」

 

「ふむ、一体何に使うつもりだ?」

 

「まぁ、ちょっとした確認作業だよ」

 

 問われ、護は一瞬答えるべきかと迷ったが、楓花であれば問題はないと判断し自身の考えを明かし始めるのだった。

 

 

 ちなみに握られた手に関しては、この後映画を一本見終わるまで、終始楓花に握られたままとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 今回書いた後に思ったこと。
 鬼龍院先輩が、先輩している(゚д゚)!?

 ちょっと友好度上げるため、強引な展開に持って行ってしまいました。
 キャラ崩壊とか感じてしまったら、申し訳ありません。
 
 本当は適当に映画見て駄弁りながら、呪術業界に関する話でもするつもりだったんですが、あまりにも中身の無い内容に感じたので、鬼龍院先輩による人生相談が開始されました。

護君「結局先輩は、何がしたいんですか?」

 はい、私も書いていてよくわからなくなった。
 
 もう少し読んでいてときめきのある展開を書ければよかったんですが、今の私にはこれが精いっぱい。




 ちなみに、もう少し甘ったるいシーンないの? と思われた方の為に、次の問題を提供します。答えと思われるシーンをご自由に想像し、お楽しみください。
 

 鬼龍院さんは左手に風船を持ち、右手で護君の手を握っています。どうやってお茶や茶菓子を口に運んだでしょうか?

 

 
 

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