よう実×呪術廻戦   作:青春 零

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66話 ぅゎょぅι゛ょっょぃ

 

 場所は船のカフェテラス。そこの隅、人気の少ない一角にて一組の男女が向かい合って座る姿があった。

 カフェで男女が二人きり。しかし浮ついた雰囲気は欠片も無く、むしろどこか暗く、沈んだ雰囲気が漂っていた。

 

「それで……何があった?」

 

 向かい合う男女の男の方――綾小路清隆が口を開く。

 感情の窺えない無機質の瞳の奥に映るのは、対面する女子――堀北鈴音。

 

「…………そうね、どこから話したらいいか」

 

 そこには普段の毅然とした態度は無く、何やら思考が定まっていないような弱々しい印象を受けた。

 

「要点を抜き出すのが難しいなら、最初から話してくれ。

 最初のディスカッションで何があったのか。どうして竜グループの試験が()()()()()()?」

 

 綾小路の問いかけに、しばらくして堀北の口がゆっくりと開かれる。

 

「……そうね、まず――」

 

 そうして彼女の口から語られたのは、ほんの数時間前の出来事。

 彼女が最初のディスカッションに赴いたところから、語り出された。

 

 

◆◇◆

 

 

 時刻は12時48分。第1回目のディスカッションまで間もなくという時間。

 堀北は船内2階『竜』と書かれたプレートが掛けられた部屋へと来ていた。

 扉を開くと既にそこには何人かの生徒の姿があり、会議用の円卓を囲むように席についていた。

 

 当たり前だが、やはり皆クラス毎固まって席についている様子。

 自分以外のDクラスメンバー、平田と櫛田も既に席についており、堀北は少し悩みながらも平田の隣に着席した。

 正直、堀北にとっては平田も苦手な部類の人間だが、それでも櫛田よりはマシと思ったが故だ。

 

「今日はよろしく、堀北さん」

 

「一緒に頑張ろうね」

 

「……ええ」

 

 爽やかな笑顔で挨拶をしてくる平田に、これまた満面の笑みで声を掛けてくる櫛田。

 それに対し素っ気なく返事を返しながら、堀北は改めて周囲を観察する。

 今室内に居るのは自分を含め11名。AクラスとBクラスは既に全員着席しており、Cクラスからは一人だけ、名前もよく覚えていない男子の姿があった。

 

 試験開始まで残り10分程。

 各生徒、様相は様々であるがやはり誰もが少なからず緊張感を抱いているようで、ある者は落ち着きなく視線を彷徨わせ、ある者は石像のようにジッと身を固めている姿が見受けられた。 

 

 ――ただその中において例外が二人。

 

 堀北の視線は自然とある一点、一組の男女が居る方へと吸い寄せられた。

 それと同時に――カタン、と小さな音が響き、そこでようやく黙っていた男女の内、男の方が口を開いた。

 

「ん、ステイルメイトか。引き分けだな」

 

「む……またですか。どうも勝ちきれませんね」

 

「君も大概負けず嫌いだよな。最近はチラホラ黒星も出て来たし、大分腕上がったんじゃない?」

 

「そう思うなら、偶には本気でやって頂けませんか?

 負けるだけならいざ知らず、手を抜かれて引き分けるというのも中々もどかしいのですが」

 

「いや、だって君強いし。本気で勝とうと思ったら疲れんだよね。

 息抜きって言いながら、それで疲れてたら意味なくない?」

 

「成程。つまり、本気を引き出したいなら何かを賭けろと」

 

「言ってねぇよ」

 

 皆が真剣な顔で緊張感を漂わせてる中、まるでそこだけ別空間のようにマイペースな会話を繰り広げる二人――五条護と坂柳有栖。

 隣り合った席に座る二人の前には一つのチェス盤が置かれており、今まさに一勝負が終わった後とばかりに、駒が入り組んで置かれていた。

 それを見て、表情には出さぬまま内心複雑な感情を浮かべる堀北。

 

(……相変わらず、読めないわね)

 

 確かに今は自由時間。まだ試験が始まっていない以上、誰がどのように過ごそうと個人の勝手である。

 しかしながら、何ゆえ試験直前のこの空気の中で呑気に遊んでいられるのか。

 

 こういう所が彼の食えないところだ。

 今回も、以前の取引の時も、本気で試験のことなどどうでもいいかのように振舞って、まるで真意が読めない。

 あるいはこれも、こちらのペースを乱す作戦の内なのか。 

 

(……今の会話からして、どうやらチェスでは五条君の方が上手みたいね。

 やっぱり彼がAクラスの指揮を執ってるのかしら?)

 

 呆れかけた思考を引き戻し、僅かでも情報を得るべく考えを巡らせる。

 堀北自身チェスはあまり詳しくないが、今の口振りからして二人の間に明確な力の差があるのは理解できた。

 勿論ゲームの強弱で実力の全てを判断することなどできないが、仮にもチェスは思考力を競うゲーム。であれば、やはりAクラスの中で警戒すべきは五条護か――

 

 ――そう思っていると、ふと視界の端で一人驚いた表情を浮かべている者が居ることに気が付いた。

 

「坂柳が、素直に負けを認めただと……?」

 

 そう言って呟いたのは、Bクラスの神崎。

 彼の呟きが聞こえたのか、他の生徒の視線も彼へと向く。

 坂柳自身も、また同様に視線を向け言葉を返した。

 

「おや、心外ですね神崎君。正々堂々の勝負で負けてそれを認めない程、私は狭量な人間ではありませんよ?」

 

「そこまで言う気は無いが……少々意外だっただけだ。『手加減するな』などと、まるで相手が格上と認めるような発言、お前の口から出るとは思わなかったんでな」

 

「チェスで嘘を吐くつもりはありませんので。

 それに神崎君と直接お話するのも随分と久しぶりですから。印象が変わって見えるのも当然でしょう」

 

「……それにしては変わり過ぎな気もするがな」

 

 何やら過去に面識があるような二人の口振り。

 どうやら気になったのは堀北だけではないらしく、今まさに坂柳の隣に座る青年――五条護も疑問の声を発した。

 

「なに、君ら知り合いなの?」

 

「神崎君のお父様は神崎エンジニアという企業の代表を務められているんです。

 私の家と直接の繋がりがある訳ではありませんが、それなりに名の知れた親を持つ者同士、パーティーなどに呼ばれることも多かったものですから」 

 

 なんでもないことのように、あっさりとした口調で語る坂柳。

 しかしそれを聞いていた他の者達は、降ってきた思わぬ情報に少なからず衝撃を受けていた。

 

 勿論、神崎が一企業の御曹司だからといってこの試験に何か影響がある訳では無い。だが、その人を知る上でその人が育った環境というのは重要なファクターの一つ。 

 場合によってはその人に対する見方が変わるかもしれない情報。

 現に他のBクラスの生徒も初耳だったようで、驚いた表情を神崎へと向けていた。

 

「神崎君ってお坊ちゃまだったんだ……」

 

「あ、けどちょっと納得かも。いつもピシッとしてるとことか、なんかそれっぽい」

 

「……お坊ちゃまは止めてくれ。そう大したものでもない。あくまで父がその地位についていたというだけで、俺自身が偉いわけではないからな。

 できればあまり大袈裟にしないでくれると助かる」

 

 なまじ身近に居たからこそ驚きもひとしおだったのだろう。それまでの緊張感も忘れ素直に驚いた感想を述べる女子二人。

 その視線を受け、神崎は若干辟易した様子を浮かべつつ言葉を返した。

 

「ほーん……」

 

 もっとも、そんな中において質問した当人は何とも関心薄気な様子だったが。

 

「……俺としては、むしろお前と五条の関係の方が気になるがな。

 お前にしては随分と気安く接しているようだが、一体どういう繋がりだ?」

 

 話を逸らしたかったのか、今度は神崎が問いを投げかけた。

 これに関しては堀北としても少しばかり興味があった。

 なにせAクラスでも特に警戒すべき二人の関係性。少しでも参考になる情報を得られないかと耳をそばだてる。

 

「そうですね……一言で言い表せるものでもないのですが。

 しいて言うのであれば同じベッ――「単なる友達です」――ンムッ……」

 

 ――が、彼女の口からその言葉が紡がれることはなく、次の瞬間隣から伸びた手が強制的にその口を塞いだ。

 

(((はやい……)))

 

 あまりに素早く、手が霞んで見える程の動きに、その場にいた者達の心の声が一致する。

 しばらくしてゆっくりと離される手。すると坂柳はその手の主に向かって非難気な視線を向けた。

 

「むぅ……少々強引ではありませんか? こういうのは二人きりの時にお願いしたいものです」

 

「そういうこと言うから黙らせたんだよ。いい加減分かってんだっての、このパターンは。一々誤解を招く発言すんな」

 

「酷いですね、まるで人を虚言癖でもあるかのように。

 護君との関係に関して、私は偽りを述べたことなどありませんよ?」

 

「嘘は言ってませんとか、詐欺師の常套句でしかねぇのよ」

 

 そうして言い合う二人の姿は、傍から見る分にはじゃれ合っているようにしか見えなかった。

 堀北自身、他人の恋愛ごとに興味など無かったが、確かにこの二人を見ていると、単なる友人というには少々距離感が近いように見える。

 というか、いくら友人同士といってもいきなり異性の口を押さえたり、押さえられた側もまんざらでもない反応をしているのはどうなのか。

 

(もし私が綾小路君にやられたら、間違いなく報復してるわね)

 

 つい、そんなことを思ってしまう堀北。

 こんな風に余計な事を考えている辺り、自分も大分気が緩んでしまったらしいと、堀北は今一度改めて気を引き締めようとする。

 

 すると――ふと、ガチャリと部屋のドアが開く音が響いた。

 

 自然と、堀北含め室内に居る一同の視線がそちらへと向く。

 開かれたドアから入ってきたのは、ここに居なかった残るCクラスの生徒達。

 時計を見れば、いつの間にか試験開始まで残り1分を切ろうかという所だった。

 

 龍園を先頭に入ってきた彼らは、ギリギリの到着にも拘わらず慌てた様子はなく、空いてた席へと腰を下ろす。

 

 そして――

 

『ではこれより1回目のグループディスカッションを開始します』

 

 試験の開始を告げるアナウンスが響いた。

 

 

◆◇◆

 

 

 スピーカーから流れる始まりを告げるアナウンス。

 円卓を囲むのは、各クラスから集まった総勢14名の生徒達。

 

 Aクラス ・ 葛城康平(かつらぎこうへい) 五条護(ごじょうまもる) 坂柳有栖(さかやなぎありす) 的場信二(まとばしんじ)

 Bクラス ・ 安藤紗代(あんどうさよ) 神崎隆二(かんざきりゅうじ) 津辺仁美(つべひとみ)

 Cクラス ・ 小田拓海(おだたくみ) 鈴木英俊(すずきひでとし) 園田正志(そのだまさし) 龍園翔(りゅうえんかける)

 Dクラス ・ 櫛田桔梗(くしだききょう) 平田洋介(ひらたようすけ) 堀北鈴音(ほりきたすずね)

 

 改めて見れば錚々(そうそう)たる顔ぶれだ。

 先程までの会話で緩んだ空気はどこへ行ったのか、打って変わった静けさ。

 それは試験が始まったことの緊張だけではないだろう。堀北自身を含め、その場に居る大半の者がギリギリで部屋に入ってきたその男へと警戒の視線を向けていた。

 

 そんな中Bクラスの神崎が、その男――龍園翔へと声を掛ける。

 

「随分とギリギリの到着だったな」

 

「急ぐ理由も無かったんでな。緊張で震えるお前らを笑うのも悪いと思って、気を遣ってやったのさ」

 

「お前にそのような配慮が出来たとは驚きだ」

 

 やはり無人島の一件もあってか、神崎が龍園に向ける声は鋭い。

 今度も何か企んでいるのではないかと、眉間に小さな皴を寄せながら露骨なまでに警戒を露わにしていた。

 

 険呑な雰囲気の二人に触発され、一層空気が重くなる。

 そんな空気を切り替えようと思ったのか、一人の男子が意を決したように口を開いた。

 

「えっと……とりあえず、自己紹介でもどうかな?

 一応グループ名簿で名前は分かってるとはいえ、初めて顔を合わせる人も居るし、ちゃんと自己紹介はしておいたほうがいいと思うんだ」

 

「そ、そうだね。それがいいよ! ね、堀北さん」

 

 そう言って切り出したのは平田。

 どうやらこの空気がいたたまれないと思ったのは彼だけではなかったのか、櫛田が勢いよく賛同を示し続き堀北へと振ってきた。

 

「……そうね。このまま睨み合っていたところで、何の進展もないもの」

 

 正直、堀北としては今更自己紹介なんてと思わないでも無いが、ここで流れを断ち切ってしまえば会議の進行そのものに支障が出る恐れがある。

 優待者が分からない現状、それは得策ではない。堀北は僅かな黙考の末、その流れに乗ることにした。

 

 続き、そちらはどうするのかとその視線を神崎へと向ける。

 

「……確かに、こうしていても話は進まないな。こちらとしても異論は無い」

 

 その言葉に、彼と同じBクラスの女子二人も頷いて賛同を示す。

 Bクラスの了解も得られたところで、視線はそのままAクラスへと向けられる。

 

「構いませんよ。ディスカッションを行う上で、自己紹介は基本ですから」

 

「同じく、異論は無い」

 

 微笑みながら頷く坂柳に、それとは対照的な仏頂面で頷く葛城。

 他の二人にも視線を向けるが、どうやら異論は無い様子で静かな頷きが返ってきた。

 

 そこで皆の視線は残る一クラス――もとい、一番の問題児である龍園へと向けられた。

 

「……龍園君も、それでいいかな?」

 

 そう言って、おずおずと問いかける平田。

 すると龍園は、知ったことかとばかりにフンッと鼻を鳴らし言葉を返した。

 

「一々俺の了承がいるか? 今更俺に自己紹介してほしい奴も居ねぇだろ。やりたきゃ勝手にやってろ」

 

 その態度に平田は困った表情を浮かべるが、しかしめげずに食い下がる。

 

「そうかな? たしかにお互い名前を知るだけなら自己紹介は必要ないと思う。

 けど、今回の試験は全員参加のグループディスカッションだ。

 学校側がどこで見ているかも分からない以上、ポーズだけでも参加してる姿勢を見せた方がいいんじゃないかな?」

 

「真面目に参加しない奴にはペナルティでも下るってか? 

 在り得ねぇな。今回の試験はオオカミの群れに潜んだ優待者(ヒツジ)を見つけてどう料理するか、それだけのゲームだ。

 でなきゃご丁寧にルール項目で『話し合いの内容は自由』なんて書きゃしねぇ」

 

 確かに、これまでの傾向からして龍園の言っていることも一理ある。

 あくまでルールとして明言されていた以上、ここで自己紹介に加わらなかったからと言ってペナルティが発生する可能性は低いだろう。

 

「万が一ペナルティがあったとしても、それこそお前らには関係ねぇ話だ。

 読みが甘かったと、こっちが勝手にダメージを喰らうだけの話。他所(よそ)にとやかく言われる筋合いはねぇ」

 

「だとしても、そこまで頑なに拒否する理由も無いと思うけど?

 あなたの行動は、駄々をこねる子供と何も変わらないように見えるわ」 

 

 あまりに勝手な態度を見かね、口を挟む堀北。

 確かに龍園の言っている事は理屈の上では間違っていない。会話に参加するかどうかは個人の自由。それで万が一ペナルティが発生してもCクラスの自滅になる可能性が高いだろう。

 

 だが、それだけでは結局こちらの利益には繋がらない。

 試験における勝利を目指すのであれば優待者の発見は必須。Cクラスも会話に引っ張り出さなくてはならない以上、ここで躓くのは得策ではない。

 

「ハッ、形だけでも足並み揃えてみせりゃ満足か?

 見せかけだけの仲良しごっこがやりたいなら、それこそ甘ちゃんなガキの思考ってもんだ」

 

「内心がどうあれ、コミュニケーションの為に上辺を繕えるのが大人というものだと思うけど? 

 話し合いを放棄するのは優待者を捜す上でデメリットでしかない。その程度の事にも考えが及ばず意地を張る方が幼稚というものよ。

 それとも、あなた達の中に優待者が居るから参加したくないのかしら?」

 

「それで探りを入れてるつもりか? くだらねぇ挑発だな。

 そんなに意味のねぇ自己紹介がしたいってんなら名乗ってやるよ――龍園翔だ。これで満足か?」

 

 それだけ言って、龍園はドンッと足をテーブルの上に乗せ椅子へともたれ掛かった。

 傲岸不遜とはまさにこのことか。とても話し合いに参加する意思があるようには見えぬその態度に、冷静にと心掛けていた堀北の心の防波堤は軋みを上げた。

 

「っ、あなたね――」

 

「やめておけ堀北。龍園の挑発に乗るだけ時間の無駄だ。ひとまず俺達だけで進めた方がいい」

 

 一瞬、声を荒げそうになったところで神崎から諫める声が飛ぶ。

 先程まではむしろ彼の方が苛立ちを募らせていた様子だったが、堀北とのやり取りを見て却って冷静になったようだ。

 

「わかった。それじゃあ言い出しっぺの僕から、クラス毎順番に紹介していこうか」

 

 平田も、これ以上龍園に固執しても空気が悪化するだけと思ったのだろう。気分を切り替え、努めて明るい声音でを進めようとする。

 

 そして始まる自己紹介。もっとも、基本的にはただ名前を名乗るだけの簡素なものだが。

 まずはDクラスから平田、櫛田、堀北の順に。続きBクラス、Aクラスへとつつがなく終わらせていく。

 最後、龍園以外のCクラスの生徒はどうすればいいのかと龍園に窺うような視線を向けていたが、何の指示も無いと小さな声で名前を名乗った。

 

 ここまで開始からおよそ10分。

 自己紹介も終わったところで、ようやく本題へと入るべく再び平田が口を開いた。

 

「それじゃあ話し合いを進めて行く訳だけど、どうやって進めて行こうか? 誰か意見がある人はいるかな?」

 

 ほとんど間を置かずに切り出したのはいい判断だ。

 本人に打算があったかは知らないが、これで平田は自然な形で進行役のポジションに収まることができた。

 話し合いにおいて特別有利な立場という訳では無いが、思惑の読めない人間が収まるよりは余程いい。

 

 問題は、ここからどう進めるか。出来ればまずは周りの出方を窺いたいところだが、もし誰も発言しないのであれば自分から率先して手を挙げる必要もあるだろう。

 そう思い視線を彷徨わせると、しかしすぐに一人の男子が手を挙げた。

 

「それじゃあ神崎君、どうぞ」

 

「では、失礼する」

 

 そうして平田が手を挙げた男子――神崎の名を呼ぶと、彼はスッと立ち上がり落ち着いた声音で言葉を紡ぎ始めた。

 

「ディスカッションにあたって、まず決めるべきは話し合いのテーマだろう。学校側は自由と言っていたが、討論すべき目標が定まらないことには進めようがない。

 その上で、Bクラスとしては結果1で終わらせることを目標に議論すべきだと考えている」

 

「結果1――全員がポイントを得られる結果を目指すってことだね?」

 

「そうだ」

 

 確認のため反芻する平田に、力強く頷き返す神崎。

 皆の注目が集まる中、彼は堂々とした態度で説明を続ける。

 

「何を当たり前の事を言っているんだと思うかもしれないが、ひとまず前提として全員が優待者ではないという仮定のもと聞いてくれ。

 用意された結果の内、結果2と結果4――これら優待者の逃げ切りを許す結末は誰も望まないだろう。これはいいか?」

 

「当然ね」

 

 神崎の問いかけに、堀北も頷く。

 これはあくまで前提の確認。ここで変に誤魔化しや虚偽を混ぜる必要は無い。

 

「クラスの利益を考えるなら誰もが結果3を掴みたいと願うのが本心だと思う。だがその結果判断を誤ってしまえば、誰にとっても最悪の結果にしかならない。

 ここは余計な欲を捨て、どうすれば結果1へ導けるかそこに焦点を当てるべきではないか、俺はそう考えている」

 

 そこまで話し終えたところで、周りの反応を窺う神崎。

 周囲の面々は黙って考え込む素振りを見せており、堀北自身もまた今の神崎の話の内容を頭の中で吟味していた。

 

(……ここまではおおよそ予想できた展開ね)

 

 結果1を目指す。これ自体はこの試験において至極当然の提案だ。

 誰だって「自分は結果3で勝ちたいからそのために話し合いましょう」なんて馬鹿正直にいう者はいない。

 どのような結果を目指すにせよ、会話そのものが成立しなくては文字通り話にならない以上、ひとまずの目標として結果1を掲げるのは当然のこと。

 

 おそらくこの場に居る大半の生徒は神崎の言葉を額面通りに受け止めてはいないだろう。

 結果1を掲げながら裏で結果3を狙っているのか、あるいは自クラスの優待者を隠すため敢えて自分から提案したのか、そういった裏を考えている筈だ。

 

「いいんじゃないかな? 折角グループになったんだし、私も疑い合ってギスギスするより皆で協力して結果1を目指したいな」

 

 果たしてそんな裏の意図を理解しているのかいないのか、気楽さを感じさせる調子で櫛田が口を開いた。

 

「……そうだね。僕も神崎君の意見に賛成かな。話し合いが進まないことには優待者の逃げ切りを許してしまう。

 全員にとって利益がある結果1を目指すのが、一番無理のない目標だと思うよ」

 

 櫛田が賛成したことが契機になったのか、平田がその流れに続く。

 その流れを見て、堀北は自分はどうするべきかと考える。

 

 ここで自分が賛成に回れば、Dクラスは全員が賛成という形で意見が固まってしまう。

 話し合いの活性を促すなら、別方向からもアプローチできる余地を残す為に安易に賛同するべきではないと思えた。

 

「……私としては素直に賛成できないわね」

 

「え、どうして? 結果1になれば全員にポイントが入るんだよ? 誰も損をしないで済むし、結果としては最善の結果なんじゃないかな?」

 

 堀北が反対したことが意外だったのか、櫛田が疑問気な声を上げる。

 

「簡単な話よ。このグループの構成はAとCが四人。BとDが三人。

 もし結果1になって全員にプライベートポイントが配られた場合、得をするのは人数の多いAクラスとCクラス。

 加えて、もしもその二クラスに優待者が居た場合、得られる総ポイント数は250万ポイント。私達Dクラスとは100万ポイントもの差を付けられることになるわ」

 

 この場に居る全員、この学校におけるプライベートポイントの価値に関しては重々承知している事だろう。

 堀北の話を聞き、何人かは確かにと考え込む素振りを見せた。

 しかし当の神崎は予めそういった意見が出ることも予想していたのか、すぐさま返答を返した。

 

「確かにな。だが、それについては考え方次第だろう」

 

「どういう意味かしら?」

 

「クラスポイントと違いプライベートポイントは使える用途の自由度が高い。つまりあればそれだけ戦略の幅が広がることになる」

 

「そうね」

 

「優待者が他クラスに居るという前提で考えるなら、例え結果1にならなくとも他クラスと差が生じる可能性は高い。

 ならば、少しでもポイントを得ておいた方が今後のクラス争いでも逆転の目は増えると、そう考える事はできないか?」

 

「……そちらの言い分は分かったわ。

 だけどこちらとしては、それでも安易に頷けない。BクラスとDクラスでは条件が違うもの」

 

「無論それも理解している。こちらも今すぐに賛同しろと迫るつもりもない。あくまで会議の方向性として、それを軸に進めて行きたいという提案だ」

 

 堀北としても神崎の言い分には共感できる所はあるが、それでも反対のスタンスは崩さない。

 あくまで堀北が心掛けるべきは、話し合いを進行させる上で適した立ち位置を取り続ける事。

 神崎自身も、ここで結果1で纏めようなどと本気で考えてはいないだろう。これはあくまで会話の取っ掛かりと作る為の提案でしかない。

 

「ひとまず、今の話も踏まえて他クラスの意見も聞きたい。

 現時点において、他に結果1を目指すことに賛成の者はいるか? もし反対意見があるなら、遠慮せずに言ってくれ」

 

 そう言って、周りへと問いかける神崎。

 問題は、残りのAクラスとCクラスがどうするか。

 先程堀北が言った人数差による獲得ポイントを念頭に置くなら、彼らとしては結果1になった方が得とも言える。

 だが、それはあくまでプライベートポイントだけを見た場合のこと。結果3を狙っているのか、自クラスに優待者がいるかで、また意見は変わってくる。

 

 あるいはここである程度、優待者を絞り込めるかもしれない。

 そう思い、堀北が周囲の反応を注意深く見ていると、ふと龍園が口を開いた。

 

「ククッ、とんだ茶番だな」

 

「……どういう意味だ。龍園」

 

 つい堪えきれずとばかりに、嘲笑を漏らす龍園。

 その言葉に、一度は気を鎮めた神崎が再び視線を鋭くする。

 

「馬鹿馬鹿しいって言ってんのさ。

 耳障りの良いご題目を並べちゃいるが、優待者を捜しだして吊るし上げようって点に変わりはねぇだろうが。

 結果1にしようと言ったところで、優待者と自ら名乗り出る馬鹿が居る筈もねぇ。いくら口約束をしたところで、裏切る奴は必ず出てくるからな」

 

「それは、お前自身の事を言っているのか?」

 

「かもな。だが、それを俺に言ってる時点で、お前自身結果1が成立しないと思ってる証拠だ」

 

 神崎に限らず、この場で龍園を信用しようという者はいないだろう。

 優待者が分かれば間違いなく抜け駆けするだろう、真逆の意味での信頼。

 そんな人間が一人でも混ざっている時点で、優待者だと名乗り出る者などいる筈がない。

 

「……裏切りの可能性があることは百も承知だ。俺が言っているのは、その上でどうすれば全員合意のもと結果1に導けるか、それを話し合おうと言っている」

 

「詭弁にしか聞こえねぇな。てめぇ自身が結果3を狙ってるから、話を引き延ばしたいようにしか見えねぇぜ」

 

「それはお前自身が狙っているから、そう見えるだけじゃないのか」

 

 見下すように言い放つ龍園に対し、険しい瞳で睨みつける神崎。

 その光景を傍から眺めながら、堀北は静かに歯噛みした。

 

(……余計なことをしてくれたわね)

 

 龍園の言っていることは間違っていない。

 話し合いで全員の意見を纏めるなどまず不可能。

 神崎が言った、結果1にするため話し合おうという提案は聞こえの良い絵空事でしかない。

 

 堀北もそれは分かっている。

 それでも敢えてそれを指摘しなかったのは、そうしなければ話が進まないからだ。

 優待者が分からない現状、話し合うことはそれ自体が唯一取れる行動指針。

 

 龍園の発言は、その前提を壊しかねない発言だ。

 もしこの状況で互いが互いに疑心暗鬼に陥ってしまえば、会話そのものが成立せず、どの結果を選ぶかなんて選択肢自体が立ち消える。

 

「そんな事を言うからには、あなたは他にアイデアでもあるのかしら?

 話し合いの意義を否定するなら、何か建設的な意見の一つでも言って欲しいものね」

 

 何を企んでいるのかと、踏み込む堀北。

 龍園の行動は理屈にあわない。

 優待者を見つけたいなら話し合いの膠着は避けるべき。これは龍園とて同じ筈だ。

 

 自分のクラスに優待者が居るから邪魔をしている?

 それなら選ぶべきは妨害ではなく沈黙だ。周りがどれだけ話し合おうと、Cクラス全員が会話を拒否してしまえば4分の1以上の確率には成り得ないのだから、不必要に目立つ必要もない。

 

「建設的な意見ねぇ……そんじゃあ一つだけ忠告しておいてやる」

 

「忠告……ね」

 

()()()()優待者を捜そうとするだけ無駄ってもんだ。テメェの首を絞めたくねぇなら、余計な口は開かず大人しくしてるんだな」

 

 結果、出てきたのは到底建設的な意見とは程遠い話し合いの否定。

 忠告と言うから何かと思えば……結局この男は場を搔き乱して楽しんでいるだけかと、堀北は心底呆れ果てた。

 

「……そう、あなたに話し合う気が無いのはよくわかったわ。なら、お願いだから黙っていてくれないかしら?

 やる気も無い人に茶々を入れられても、はっきり言って邪魔でしかないの」

 

「ククッ、こっちは親切心で言ってやったんだがな。

 まぁいい。お前がそう言うならお望み通り黙って見物してやるよ」

 

 龍園翔――会議から離脱。

 これでもし彼が優待者だった場合、特定はより一層難しくなった訳だが、それについて何かいう者はいなかった。

 おそらくは誰もが、話し合いの邪魔をされるよりもマシと判断したのだろう。

  

 そして再び、場に沈黙が落ちる。

 厄介者が一人減ったとはいえ、場の雰囲気はあまり良くない。

 

 先程の龍園の語りで、改めて実感した事実。

 誰もが心の底では出し抜こうとしている。その猜疑心が口を重くする。

 

 このまま神崎の結果1を目指す路線で話を続けていいのか、あるいは別の議題を提案して話題そのものを切り替えるべきか。

 そんなことを考えていると、ふと一人の生徒が口を開いた。

 

「フフッ、少々気まずい空気になってしまいましたが、どうやら三クラスとも大凡の意見は出たようですね。

 では、今度は私から意見を述べさせて頂いてよろしいでしょうか?」

 

「あ、うんそうだね。それじゃあ坂柳さん――どうぞ」

 

 ここにきてようやく口を開いたAクラス、坂柳。

 改めて話し合いを進めるきっかけが出来たことに、平田はホッとした表情を浮かべつつ続きを促した。

 

「では僭越ながら、この試験を手早く終わらせることのできる提案を、一つさせて頂こうかと思います」 

 

(手早く終わらせる提案?)

 

 その言葉に、堀北含め聞いていた者達は訝し気な表情を浮かべる。

 一体何を言い出すのか、そう思っていると次の瞬間、彼女はとんでもないことを口にした。

 

「100万ポイント――もし、試験終了までに優待者が名乗り出てくれたのであれば、こちらはそれだけのポイントを支払う用意が有ります」

 

「――――なっ!?」

 

 誰が発したのか、驚愕の声が響くと同時に堀北もまた驚きに目を見開いた。

 

 瞬時に理解する。これは罠だ。

 

 露骨なまでの買収作戦。彼女が狙っているのは買収による裏切りそのものではなく、その提案をすることで反応する者が居ないかを見るのが狙いなのだと。

 

 即座にそれを理解した堀北は、表情を押し殺したまま、慎重に周りの反応を観察すべく素早く視線を彷徨わせた。

 見れば自クラスの平田や櫛田を含め、大半の生徒は小さく目を見開いたり口元を押さえたりといった反応を浮かべている。

 パッとみた限りは純粋に驚いてるようなリアクション。幸いと言うべきか、特段それ以上の感情は読み取れなかった。

 

 そんな中、比較的冷静を保って見えた神崎が真っ先に口を開いた。

 

「……何を言うかと思えば買収とはな。お前にしては随分と安易な方法を考えたものだ。

 そんな方法、()()()()()()()()

 

「おや、どうしてそう思うのですか?」

 

 キッパリと言い切る神崎に対し、疑問気に首を傾げる坂柳。

 彼女とは顔を合わせて間もないが、そんな堀北の目から見ても今の仕草は何だか白々しく見えた。

 

「簡単な事だ。例えば、仮に俺が優待者だったとしてお前に情報を売ったとする。

 だが、そんなことをしても試験が終われば、すぐにバレるのは目に見えている」

 

 言いながら、神崎は周囲の生徒を軽く見渡す。

 

「今回の試験、学校側は優待者も優待者を誰が当てたかも公表しないと言っていたが、それも絶対ではない。

 竜グループが結果3で終わり、更に集計の結果クラスポイントが減っていれば、当然裏切りの可能性を考えない訳にはいかない」

 

 試験終了後に明かされるのは、各グループがどの結果で終わったかと各クラスが何ポイント獲得したかという情報のみ。

 だがそれだけあれば、どのグループにどのクラスの優待者がいたか、そしてどのクラスがそれを当てたか、ある程度まで絞り込むことは不可能ではない。

 

「そうなれば、優待者を見つけるのは簡単だ。

 疑いが向く優待者以外の生徒――この場合、安藤と津辺にしてみれば自分が疑われれば当然黙ってはいない。

 自分が無実であることを証明する為、今朝来た通知メールを公開するだろう。

 必然的に消去法で残る俺が優待者だと特定されることになる」

 

 理路整然とした神崎の説明。

 それは目の前の坂柳に対して語りながら、周囲の生徒達に対しても言い聞かせているように聞こえた。

 

「成程、確かにその通り――と言いたいところですが、本当に出来ますか? 裏切り者捜し」

 

「なに?」

 

「確かにその方法であれば優待者を特定することは簡単でしょう。ですが、それはその人物が裏切ったことの証明にはなりえません。

 もしも私が情報を買い取るのではなく、自力で優待者を見つけていたとしたらどうしますか?」

 

「それは……」

 

「結果、その人物はありもしない裏切りを疑われクラスでの居場所を失うことになるでしょう。

 それはBクラスとしても本意ではないのでありませんか?」

 

 そう言われた神崎は、言葉に詰まったようにグッと押し黙った。

 仮にそうなってしまった場合、優待者を保有していたクラスにとっては最悪だろう。

 裏切りの痕跡を見つけるより、やってもいないことを証明するのがいかに難しいか。そんなのは悪魔の証明に他ならない。

 

 そのやり取りを眺めながら、堀北は静かに歯噛みした。

 

(――まずいわね)

 

 堀北の価値基準で考えるなら、坂柳の提案は論外。

 例え100万ポイント貰えたとしても、その対価としてクラスポイントを減らすなどあり得ない選択。

 だがそれは、堀北がAクラスを目指しているから言えることだ。

 

 個人の利益だけを考えるならば、例えクラスポイントが50減っても100万のプライベートポイントを得た方が圧倒的に得。

 そうでなくても、優待者にしてみればいつ自分が指名されるかもわからないこの状況。

 少しでも早く楽になる為に、情報を売り渡す者が居ないと断言することは出来ない。

 

(本当に、厄介な策を打ってくれたわね)

 

 単純ながらに効果的。ポイントが潤沢にあるAクラスだからこそできる作戦と言えるだろう。

 今更ながら、無人島でのAクラスとの取引は軽率だったかもしれないと後悔が湧き上がる。

 

 こうなってしまえば、こちらも悠長に構えてはいられない。

 彼女の提案を覆す手段が思い浮かばない以上、いち早く優待者を特定することが求められる。

 

 他の者も似たようなことを考えているのか、皆が皆、互いに警戒したように視線を向け合う一同。

 そんな状態がしばらく続いたところで、ふと坂柳は何が面白いのか、再びクスリと笑みを浮かべた。

 

「フフッ……すみません、冗談です」

 

「「「――は?」」」

 

 深刻な面持ちから一転、呆けた表情を浮かべる一同。

 

「失礼、ふざけた訳では無いのです。こう言えば少しは皆さんの反応を引き出せると思ったものですから」

 

「……どういうつもりだ? 先程の発言が揺さぶりであることは察していた。だが、何故このタイミングでそれを撤回する?」

 

 問いかける神崎。堀北も同じ疑問を抱いていた。

 こちらの反応を見たかったというなら、明かすのがあまりに早すぎる。本気で取引をする気が無かったにしても、今回のディスカッションが終わるまでは引っ張ってよかった筈だ。

 

 これではまるで――

 

「簡単な事です。もう、その必要は無くなりましたから」

 

 そう言いながら、坂柳はおもむろにテーブルの下から手を抜き出した。

 そこに握られているのは、一つのケータイ。

 

「待て、坂柳……何をするつもりだ?」

 

 どこか愕然としたように問いかける神崎。しかし彼女はその問いに答えることはなく、ただ画面をタップしながら、独り言のように語り始める。

 

「アメリカの心理学者――ポール・エクマン曰く、感情とは生物学的なものであり、いかな文化・環境で育った者であろうと、無意識下で極僅かな“微表情”が顔に現われると言います。

 私が最初にポイントを提示した時、大半の方に現れたのは『驚愕』と『疑念』の感情。

 そして何人かの生徒は、すぐさま視線を彷徨わせました」

 

 そこで坂柳は手を止めると、画面から顔を上げ、軽く周囲を見渡した。

 堀北は、一瞬彼女と目が合ったような気がして僅かな寒気が走った。

 

「“微表情”で読み取れるのは感情だけですが、その後の視線の動きと合わせればより詳しいことが分かってきます。

 例えばBクラス。神崎君とそこのお二人の意識は常に他のクラスに向いていました。

 おそらくは事前に情報を共有していたのでしょう。互いが互いに()()()()()()()と」

 

 堀北には人の“微表情”など読めない。だが坂柳の言葉を聞いて、少し納得できる部分もあった。

 思い返してみれば坂柳に反論していた神崎の態度は、他クラスに向かって語っていたように思える。

 

 得心を得ると同時に、感じる危機感。

 彼女の言っていることがハッタリではないという確証が、堀北の中に芽生える。

 

「『疑念』と『警戒』他者を疑うという点では同じ感情でも、立場によってその質は大きく変わります。

 私の先程の提案は、皆さんの中にある『疑念』をより色濃くする為のもの。

 本当なら、もう少し時間を掛けて絞り込むつもりだったんですが――」

 

 そして彼女は、ケータイの画面をタップする。

 堀北には、それをただ黙ってみる事しか出来ず――

 

――直後、ピピピピッとその場に居る全員のケータイが鳴った。

 

「――存外、早く済んでしまいましたね」

 

 そう言って呟く彼女の顔には、先程までの笑みは無く、ただ心底つまらなそうな表情が浮かんでいた。

 

 




 大変お待たせいたしましたぁ! 
 
 なんか、思い描いていた展開とはちょっと違う展開になってしまいましたが、もう諦めた。
 本当なら2、3回ほどディスカッション挟んで、そこで有栖さんに今回の提案をさせるつもりだったんですが、このメンツでグダグダ不毛な会話をさせるのが辛すぎて、一気にまとめに入りました。


Q.>しいて言うのであれば……
  有栖さんは何を言いかけたの?
A.「同じベッドの上で、刺激的な映画を観る関係でしょうか」

Q.なんで今回堀北視点?
A.ぶっちゃけなんとなく。最初は俯瞰視点、次に護君視点と、色々試したんですがどうもしっくりこず。試験の参加者側で尚且つ客観的に状況を観れる人物として堀北に焦点を当てました。

Q.原作じゃ、堀北って櫛田が優待者って知ってなかった?
A.原作では具体的にどのタイミングで櫛田が平田・堀北にカミングアウトしたかは不明。ただ警戒心の強い彼女の性格的に、最初からバラす真似はしないかなと思ったので初回のディスカッションでは知らない想定で書きました。

Q.葛城がなんか静かじゃない?
A.一応理由はある。詳しくは次回。


 原作との相違点
 龍園のやる気減。一応勝つ気はあるけど、何をしてでもって程のモチベーションはない。
 一応自クラスの優待者は把握済み。ただし暴力で脅したりはしてない。もし当てられたら多少はポイントを補填してやるよと条件を付けて聞き出した。

夏休みの締めくくりの水着回、開催するならどっちがいい?

  • よう実4.5巻準拠。学内プールに行こう
  • 高専メンバー参加型。学外で皆と楽しもう
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