よう実×呪術廻戦   作:青春 零

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70話 秘めし渇望

「――ここに、乙骨憂太は居るか!」

 

 開口一番、雄叫びとでも形容すべき大声量が運動場に響く。

 それを発したのは、護達から10m程離れた位置に立つ一人の男。

 近づいてくるその男の姿を見て、護は薄らと目を細めた。

 

(……コイツ、相当やるな)

 

 兄のように六眼を持たぬ護には、相手の術師としての細かな技量まで推し量ることは出来ない。

 それでも分かる、強者としての気配。

 

 分厚い筋肉に覆われた肉体。佇まいから分かる安定した体幹。

 体術だけでも相当な技量(レベル)であるのは間違いないが、全身に巡った呪力はムラが無く、基礎的な呪力操作に於いても相当な練度であることが窺える。

 

 そんな風に分析をしていると、後ろでパンダが呟く。

 

「殴り込みか?」

 

「見たまんまだろ」

 

 少なくとも、友好的な雰囲気には見えない。

 単なる挨拶なら、あんな風に呪力を(みなぎ)らせてはいないだろう。

 今のあの男はさながらアイドリング状態のエンジン。いつでも臨戦態勢に入れるような意気が見受けられる。

 

 そこで護は、チラリと有栖と楓花の方へ視線を向ける。

 

(……ここで荒事は避けたい)

 

 あまり気は進まないが、穏便に済ませたいならここは自分が前に出るべきか。

 そう思った護は、皆の前に率先して前に出る。

 

「とりあえず聞くけど、どちら様?」

 

「京都校2年、東堂葵(とうどうあおい)。好きな女の好み(タイプ)(ケツ)身長(タッパ)のデカい女性!」

 

「いや、聞いてねぇよ」

 

 何でこの人いきなり性癖暴露してんの? と思いながら、一瞬遅れて気付く。

 

「――って、東堂?」

 

 その名前には、護も少しばかり聞き覚えがあった。

 

「知っているのか?」

 

 その様子を見て、疑問の声を上げる楓花。

 すると護に代わって、パンダがその疑問に答えた。

 

「京都の方で、1級の資格を取ったって評判の術師だ。

 学生の内に1級の資格を取れる奴は少ないからな。割と有名だぞ」

 

「ほぅ……」

 

 そんな説明をバックに聞きながら、護は口を開く。

 

「……で、その東堂先輩が乙骨君に何の用ですか?」

 

 一応、年上で初対面の相手とあって敬語で問いかける。

 

「愚問だな……」

 

 すると東堂はフッと笑みを浮かべると自らのシャツを脱ぎ捨て、そして言った。

 

「乙骨憂太を――見定めに来た!」

 

(((何故脱いだ……?)))

 

 ドンッ、と自らの厚い胸板を叩きながら叫ぶゴリラ……もとい東堂。

 皆が白けた視線を向ける中、気にした風も無く言葉を続ける。

 

「交流会は俺にとって血沸き肉踊る魂の独壇場。

 そこに呪霊に憑りつかれ、あまつさえ制御もできん1年が参加すると聞いてな。

 そんな奴に俺の初舞台を台無しにされてみろ。怒りのあまり、俺はそいつを殺してしまうかもしれん」

 

(暑苦しい奴……)

 

「乙骨という男が俺の相手足り得るのか……今日はそれを確かめに来た。

 もし足り得ないのであれば、ここで半殺しにして出場を辞退させる。それが、せめてもの優しさというやつだろう」

 

(どんな優しさだ)

 

 何とも自分勝手な理由である。

 乙骨という存在が下手に扱えば暴走しかねない爆弾であること。知らぬ筈も無いだろうに、そんなことはお構い無しらしい。

 

 まぁ、それを言ったらそんな危険人物を交流会に出すなという話でもあるのだが。

 

「さぁ、質問には答えたぞ。どいつが乙骨だ? それとも、お前がそうか?」

 

 ともあれ、この場に乙骨が居ないのは幸いだった。

 この男のテンションからして、この場に乙骨が居たら本当に襲い掛かっていたかもしれない。

 

 護は、安堵と呆れの混じった息を吐きながら質問に答える。

 

「違います。生憎と乙骨君なら任務で留守ですよ」

 

「チッ……入れ違いになったか」

 

「気は済んだか? そんじゃ帰った帰った」

 

 忌々し気に舌打ちする東堂に向かって、パンダがしっしっと手を振る。

 

「いいや……まだだ!」

 

(まだ何かあんのかよ……)

 

「ここで肩透かしを食らったままでは、尚のこと本番で俺は何をするか分からんからな。

 ……そこのお前、名前は?」

 

 そう言って、護に向かって指を向ける東堂。

 

「…………」 

 

 スッ――

 

 無言で横へスライドする護。しかし東堂の指はこちらを追って来る。

 後ろを振り返って見るが背後には誰もいない。

 少し顔を横に向けると、離れた所に居るパンダ達は揃って護を指さしながら「ウン」と頷いた。

 

(……なんで俺、毎回変な奴に目をつけられんの?)

 

 最早そういう呪いにでも掛かっているのだろうか。

 そう思いながら、護は端的に名前を述べる。

 

「……五条護です」

 

「五条……五条悟の縁者か」

 

「弟です」

 

 ちなみに、護のことを五条悟の弟と知らない術師は割と多い。

 今の時代、五条家に関する評判などほとんど五条悟一人によるもの。五条悟という存在があまりに強烈過ぎるために、他の家族のことなど誰も気に留めないのが実情である。

 家が術師じゃない家系出身の中には、五条悟に弟が居る事自体知らない術師だっているくらいだ。

 

 ついでに言うなら、五条悟が普段から眼帯やらグラサンやらを付けているのも理由の一つ。

 顔立ちに関しては割と似ている兄弟ではあるのだが、兄がそんな風に素顔を隠している為に、顔だけで判別することも難しくなってるのだ。

 

 閑話休題、それはさておき。

 

「退屈凌ぎだ。乙骨が居ないというなら、代わりにお前が答えろ!」

 

「答えるって何? ってか何で俺?」

 

「言ったろう、退屈凌ぎだ。

 見たところ、この中じゃお前が一番デキるな?」

 

「……何のことですか?」

 

「惚けるな。俺に対し、お前は他の連中を庇う様に率先して前へ出た。

 こちらに対する警戒の向け方といい、見ればわかる」

 

(コイツ……ゴリラの癖に洞察力高ぇな)

 

 ただの直感ではなく、こちらの所作を分析した上での判断。

 どうやらこの男、あながち見た目通りの脳筋では無いらしい。護は内心で舌打ちした。

 

「買い被りだと思いますけど」

 

 そんな護の言葉も無視して、東堂は言葉を続ける。

 

「お前が俺を楽しませてくれるような奴なら、それを差し置いて出る乙骨にも多少は期待が持てるかもしれんからな。ちょっとした物差しだ」

 

(差し置いても何も、そもそも俺に出場する権利なんて無いんだが……)

 

 とはいえ、これを言ってしまうとまた乙骨にターゲットが移りそうだ。

 交流会まで変なトラブルが起きても面倒である。それならいっそ、興味の対象を自分に移しておいた方がいいか。

 

 そんな風に悩んでいる内に、東堂が叫んだ。

 

「さぁ、俺の質問に答えてもらうぞ。五条護! お前は――

 

 

 ――どんな女がタイプだ!!

 

 

「「「……………………はぁ?」」」

 

 一瞬、質問の意味が分からず、揃って呆けた声を上げる護やパンダ達。

 そんな反応を見て、東堂は繰り返す。

 

「聞こえなかったか? どんな女がタイプかと聞いたんだ」

 

 どうやら聞き間違いではなかったらしい。

 だからと言って頭の中の疑問符が消える訳では無いが。

 

「いや、わけ分からん。何だその質問?」

 

 あまりの意味不明っぷりに、思わず敬語が取れてしまった。

 

「性癖にはソイツの全てが反映される。女の趣味がつまらん奴はソイツ自身もつまらん。俺は、つまらん男が大っ嫌いだ!」

 

「それ、あんたの主観じゃん。実力関係ねぇだろ」

 

 変人と関わるのも慣れたつもりでいたが、どうしよう。このゴリラと意思疎通を取れる気がまるでしない。

 というか、この後の展開が容易に想像できてしまって護は頭が痛くなってきた。

 

「成程、一理あるな」

 

「いや、ねぇよ」

 

 案の定、何やら悪ノリを始める楓花。

 

「まぁまぁ、落ち着けよ護。ここは穏便に済ますのが先決だろ? 大人しく答えてやろうぜ」

 

「声が浮かれてんぞ。ちったぁ繕えや」

 

 そして続いて乗っかってくるのが、この獣畜生である。

 振り返らなくても分かる。こいつ絶対、滅茶苦茶イイ笑顔でサムズアップをキメてると。

 

「ご安心ください護君。護君とて年頃の男の子なのは理解しています。どんな性癖であれ、ここで聞いたことは私達の胸に秘めておきましょう」

 

「そういう理解の示し方は求めてねぇんだわ」

 

 なにやら慈愛の籠った口調で語りかけてくる有栖。

 秘密にするとか言う前に、そもそも掘り起こそうとするなという話である。

 

「いくら~」

 

 狗巻に関しては何を言っているんだかよくわからん。

 少なくともフォローする気はない様子だ。

 

 この場に味方は居なかった。

 

「さぁ、答えろ! なんなら男でもいいぞ?」

 

(帰りてぇ……)

 

 本当に、心の底からそう思った。

 なんなら今すぐ転移でこの場から消えてしまいたい衝動に駆られるが、そこは硬い理性でグッと堪える。

 

 正直まともに取り合いたくないが、ここで回答拒否をしようものならすぐにでも殴り掛かってきそうな勢いだ。

 甚だ遺憾であるが、護は真面目にどう答えるべきかと考えることにした。

 

「女の好み、ねぇ……」

 

 護とて年頃の男。性欲というものが全く無い訳じゃ無い。

 

 だが護の場合、『美人』を見て『美人』と思うことはあっても、その人の何が美しいのか、それ以上の掘り下げをしたことが無かった。

 

 一般的な少年少女であれば、こういう相手と付き合いたいとか、こういう青春を送りたいといった願望も抱くのだろう。

 

 しかし護にはそれが無い。

 誰かと付き合ったところでその相手を幸せに出来るなど到底思えない。

 まともな恋愛など無理だと切り捨てていた護にとって、女の好み――つまりは自分にとっての理想像を考えるなど、不毛な事にしか思えなかったのだ。

 

 考えれば考える程、そんな自分の内面ばかりが掘り下げられて思考が冷めていく。

 

(この際、適当に俺も同じ趣味とか言ってみるか? ……いや、それはそれで不興を買いそうだな)

 

 この勘の良いゴリラのこと。下手な虚偽による同調は、却って自分の趣味を馬鹿にされたと怒りかねない。

 

 ならばウケを狙ってマニアックな答えでも返そうかとも思ったが、即座に却下する。

 パンダ達の反応が面倒と思った訳じゃない。

 こういうこだわりが強い相手の場合、何が逆鱗に触れるか分かったもんじゃないと思ったからだ。

 

 キノコタケノコ論争然り、こしあんつぶあん論争然り、そしてムネ派シリ派論争然り。

 古今東西、傍から見たらくだらない論争でも、人によって譲れない一線というものは存在するものである。

 

(あー、面倒くせ)

 

 こうなると、なんだか何を言ってもキレられそうな気がしてきた。

 もはや投げ槍。護は悩んだ末、どうにでもなれと口を開く。

 

「別に……これさえあれば、なんて好みは特に思いつかないですけど。

 しいて言うなら優しさだとか努力家だとか……俺がその人のために何かしてあげたいと、そう思わせるような魅力がその人に在るならそれでいいです」

 

 女のタイプというよりは人として好ましいタイプという感じだが、まぁ嘘は言っていない。

 

「女子的に、今の回答はどう思う? 10点満点で」

 

「ふむ……真剣に答えようとした姿勢は評価するが、最終的に答えが無難に纏めたあたりに妥協の色が見えるな。4点」

 

「そうですね。どうやら護君は初恋もまだのご様子。

 難しい問題だったのはわかりますが、やはり内容を曖昧なまま返したのが残念です。5点で」

 

「護ー! ドンマァーイ!」

 

「うるっせぇ」

 

 パンダ達のせいで気が散りそうになるが、問題は東堂がどのような反応をするかである。

 護自身、このような回答で東堂が気に入るとは思っていないが、たとえ気に入らなくとも呆れて帰ってくれるのであればそれで十分。

 

「それがお前の答えか」

 

 顔を俯かせ「フゥ―」と深く息を吐く東堂。

 果たしてそこに浮かんでいるのは如何なる感情か。

 注視する護の視線の先で、東堂はゆらりと顔を上げた。

 

「――哀れな男だ。五条護」

 

 瞬間、東堂の纏う呪力が一気にハネ上がった。

 

「――ッ、離れろ!」

 

 咄嗟――護は叫ぶと同時、パンダ達の立ち位置とは逆方向、グラウンド側に向かって飛び退く。

 

 だがそれと同時、東堂もまた護と同じ方向へと跳んでいた。

 

(コイツ、俺が動く方向を見越して――)

 

 眼前に、拳を振りかぶる東堂の姿が迫る。

 こちらの飛ぶ方向を確認してから動いたのでは不可能なタイミング。明らかにこちらの動きを予想した上で決め打ちした動き。

 

「――チッ」

 

 跳躍直後のこのタイミングでは、術式を使わず回避するのは不可能。

 護は回避を諦め、咄嗟に腕を掲げてガードした。

 

 ガードの上から東堂の拳が突き刺さる。

 踏ん張りの利かぬ空中ということもあって、護の身体はその拳の勢い全てを受け止め、大きく吹き飛ばされた。

 

 背中から地面に着弾した護の身体が、ズザザッと音を立てながらグラウンドを抉り、大きく土煙を巻き上げる。

 

「なっ!?」

 

 その光景を見て、驚いた声を上げる有栖。

 だが、彼女が驚く間に他の者達は行動していた。

 

 楓花は驚く有栖を抱え上げ東堂から距離を取り、パンダはそんな二人の前に躍り出て拳を構える。

 そして狗巻はネックウォーマーに指を掛け、いつでも呪言を放てるように構えた。

 

 先程の呑気な態度から一転。即座に臨戦態勢に入るパンダ達。

 

「呪言か……やめておけ。この距離でそれは俺に通じん」

 

 パンダ達の姿を一瞥し、呟く東堂。

 それに対し、拳を構えたパンダが口を開く。

 

「オイオイ。いくら答えが気に入らなかったからって、いきなりこれはやり過ぎじゃないか?」

 

「勘違いするな。俺は何も、奴の答えがつまらなかったから殴った訳じゃ無い。それは半分だ」

 

「半分はあんのかよ」

 

「俺が殴ったのは、奴が“推し”というものを何も理解していなかったからだ!!」

 

「…………何言ってんだコイツ?」

 

「ツナ」

 

 呆れと困惑の混じった呟きを漏らすパンダ達。

 構わず東堂は叫ぶ。

 

「いいか! 女の好みとは、すなわち人生の指針! 

 それの為なら命を燃やせる。それがあるからこそ自分の人生は明るく彩られる。

 さながら太陽の如く照らすそんな存在を、人は“推し”と呼ぶのだ!」

 

「お、おぅ……」

 

「…………」

 

 あまりに熱量の籠った叫びに、思わず気圧されるパンダと狗巻。 

 しかしそこで、スンッと東堂の声が落ち着いたものになる。

 

「だが、奴の答えからはそのような熱量を感じなかった。

 ただ己を偽っているだけならつまらない奴と済ませることも出来たが、本心から絞り出した答えがあれだというなら、いっそ哀れみすら覚える」

 

「……まぁ、百歩譲って言いたいことは分からんでもないけどな。それで何で殴る理由になるよ?」

 

「かのマザー・テレサはこう言った。人は追い詰められた極限の状況下でこそ、本当の己と向き合うことができると」

 

「絶対言ってないと思う」

 

 マザー、そこまで体育会系じゃないだろう。

 

「言うなれば、奴は未だ卵の殻に閉じこもった雛鳥のようなもの。

 それを自覚せず自ら殻を破る気が無いというなら、誰かが力ずくで割ってやるしかあるまい」

 

「ムチャクチャ言ってんな」

 

「しゃけ」

 

 人それを余計なお世話と言う。

 東堂にすれば今日会ったばかりの相手。何かしてやる義理など無いだろうに、護の何が琴線に触れたというのか。

 

 それはともかく。

 

「だからって、こっちもハイそうですかって見てる訳にもいかないんでな。

 それ以上やるなら、俺らも相手になるぞ?」

 

「明太子」

 

「ほぅ……やるか?」

 

 不敵な笑みを浮かべる東堂。

 パンダと狗巻は瞬時にアイコンタクトを交わす。

 

(棘の呪言で隙が出来た瞬間、俺が一気に押さえ込む)

 

 視線でそう語り掛けるパンダに、狗巻も頷きを返す。

 

 術師同士の戦いにおいて、“呪言”は単体でそこまでの脅威に成り得ない。

 相手との実力差にもよるが、基本的には耳から脳にかけての頭部を呪力で守る。ただそれだけで対処が出来てしまう。

 

 しかし、その場に味方がいるなら話は別。

 呪言から身を守るためのその行為は、集団戦においては致命的な隙となり得る。

 

 互いに機を窺う三者。

 張り詰める緊張の中、東堂が踏み込もうと僅かに重心を傾けたその瞬間、狗巻は口を開いた。

 

「動――」

 

 ――パァン

 

「――くな」

 

 紡がれる呪言。

 しかし、それが東堂を捉えることは無く――

 

「――は?」

 

「!?」

 

 気付けば狗巻の視界から東堂の姿は消え、何故かそこにはパンダが立っていた。

 何が起きたのか。不可解な現象に目を瞠るパンダと狗巻。

 

「言ったろう。俺には通じんと」

 

 驚愕に硬直したほんの一瞬。

 その一瞬で、気付けば東堂は狗巻の至近距離まで肉薄していた。

 

 本来、呪言の発動に位置関係は然程重要ではない。

 自分の声に呪力を乗せて放つこの術式は、例え相手が離れた所に居ようと見えないところに居ようと、声さえ届けば対象として捉えることができる。

 

 だがそれは、あくまで術師自身が対象の存在を認識していればの話。

 対象が一瞬にして自らの認識の外に出た場合、ましてそれと入れ替わるように当てる気の無かった味方が現われた場合。

 繊細なコントロールを要する呪言は、本来の効果を発揮できない。

 

「――ッ、棘!」

 

 叫ぶパンダ。

 回避、反撃は不可能なタイミング。パンダのフォローも間に合わない。

 

 振り抜かれた拳が、狗巻の顔面を直撃する――

 

 ――そう思われた瞬間、しかし東堂の拳は一枚の透明な壁に遮られていた。

 

「なに?」

 

「ハシャギ過ぎだよ。お前」

 

 直後、突如として横合いから現れた護の拳が、東堂の頬にめり込んだ。

 

「――ッ?!」

 

 体勢が崩れたその一瞬。更に体を捻り、続け様に東堂の胴体へと蹴りを叩きこむ。

 的確に体の芯を捉えたその一撃は、先程のお返しとばかりに東堂の体を勢いよく吹っ飛ばした。

 

 その光景を冷めた瞳で一瞥。

 護は淡々とした態度でパンダ達に向かって声を発した。

 

「……パンダ、狗巻君。こっちはいい。有栖と楓花についててくれ」

 

「……いいのか?」

 

「いい」

 

 確認するように問うてくるパンダに対し、端的に返事を返す。

 

 護の身を案じて――それもあるだろうが、おそらくパンダとしてはこう言いたいのだろう。

 実力を隠しているお前に任せていいのか? と。

 

(どうせ楽巌寺学長辺りは、薄々感づいてる) 

 

 京都の楽巌寺学長を含め、一部のやり手の術師達は護が実力を隠していることに勘づいている節がある。

 殴り合いの強さに限って言えば、自分に()()()()の実力があると知られるくらいはある程度割り切れるというもの。

 

「俺が売られた喧嘩だ。俺がやる」

 

 流石にこれの相手は、パンダと狗巻には荷が重いだろう。

 二人を侮る訳では無く、相手が悪い。護の見た所この東堂という男、これまでに会った1級術師達と比較しても相当な上澄みだ。

 

 加えて先程見た術式。

 向こうにしても呪言が厄介であることは変わらない以上、もし二人が相手したら次は確実に狗巻を潰しに来るだろう。

 言っては何だが、一人でやった方が対処しやすい。

 

(加茂さんだってそう遠くにはいないだろう。こんだけ呪力を撒き散らしてりゃその内気が付く)

 

 幸い目途は立っている。

 高専の敷地が広いとはいえ、加茂と別れたのはつい今しがたのこと。

 こちらは加茂が駆けつけるまでのらりくらり、適当にやり過ごしていればいい。

 

「今のは、中々良い蹴りだった」

 

 そんなことを考えている内に、東堂は立ち上がっていた。

 手応えからしてそこそこダメージは入った筈だが、表面上そんな素振りは見えない。

 コキコキと首を鳴らしながら、しっかりした足取りで近づいてくる。

 

「もっとも、威力()()はの話だが。

 お前が秘めている力は、まだまだこんなものじゃない筈だ」

 

「さっきから、どういう目線でモノ言ってんだ。あんたが俺の何を知ってるよ?」

 

「知らん! だが、貴様が俺を甞め腐っているのだけはよくわかる」

 

(甞めている、ね……)

 

 まぁ、否定はしない。

 実際護の目から見て、東堂は確かに実力者ではあるが脅威として映っていなかった。

 強い――が、術式を使わずとも対処可能な相手。その程度の認識。

 

 自分のそういった根底にある意識を感じ取ったのだとすれば、こちらが何を言ったところで逆撫ですることにしかならないだろう。

 

 なんにせよ、今更言葉で収まるなど期待していない。

 護は僅かに重心を下げ、応戦すべく構えを取る。

 

「いくぞ」

 

 即座、東堂は仕掛けてきた。

 

 

◆◇◆

 

 

 一足飛びに距離を詰め、繰り出されるのは右の拳。 

 明らかに先程よりも速く、鋭い動き。

 

 しかし護はそれを見ても一歩も退くことは無く、真っ向からその拳を受け止めた。

 

 ――ゴゥッ

 

 おおよそ掌で受けたとは思えぬ衝撃音が、二人を中心として響く。

 

 合わせた掌と拳はさながら鍔迫り合いの如く。

 両者は互いに呪力を籠め、真っ向から押し合う。

 

 東堂にとって、これは単なる小手調べ。

 相手の地力を測り、どのように戦うか、どこまでやっていいかを確かめる確認作業。

 そして護もまた、それを理解した上で受けて立った。

 

 真っ向からの力比べ。

 果たして、顔を顰めたのは東堂の方だった。

 

(互角――いや、力では奴の方が上かっ!)

 

 一見、力が拮抗しているかに見える光景。

 しかし拳に伝わる違和感。東堂は理屈より先に直感で、護が余力を残していることを感じ取った。

 

(組み合いに持ち込まれれば不利。ここは一旦距離を取り、コンパクトな動きで隙を作るのが定石(セオリー)――だが!)

 

 それを理解しながらなお、東堂が選択したのは追撃の一手。 

 即座に拳を引き、僅かに下がってからの右上段蹴り。 

 しかし威力はあれど大振りな一撃。護は軽く腕を掲げ、それをガードする。

 

(堅いな。反撃の素振りも無し。ならば、強引にこじ開けるまで!)

 

 すかさず体勢を変え、追撃の手を繰り出す東堂。

 拳による連打に、蹴撃を織り交ぜての猛攻。休ませる間など与えないとばかりに果敢に攻め立てていく。

 

 対し、護はその猛攻を捌きながら、冷静に東堂の動きを観察していた。

 

 

(身体能力に関しちゃ大体五分……筋力だけなら向こうが上なくらいか?

 だが呪力量、呪力操作じゃこっちが上。これなら普通の呪力強化で十分対応できるが……気になるのは向こうの術式)

 

 気になるのは、先程からやけに大振りな攻撃が多いということ。

 こちらが防戦に徹するつもりと見越して、強引にぶち破ろうとしているようにも見えるが、おそらくそれだけではない。

 

(コイツ、多分俺と()()()()()の術師だな。さっきからこの動き……こっちを誘ってやがる)

 

 ここに来て、護は少しだけ興味が湧いた。

 東堂の動きは、少しであるが自分と似ている。

 

 護の戦闘スタイルは術式と格闘術を併用するスタイル。そのため普段はすぐに掌印が組めるよう、どちらかと言えば手よりも足を使った攻撃を多用する傾向がある。

 東堂の動きから感じたのも、それと同じ印象。

 

 先程見たパンダ達に起きた現象。加えてこちらの攻撃を誘っているような挙動。

 

(大凡の狙いは予想がつくが……さてどうするか)

 

 護にとって、この喧嘩に意義など無い。

 あまり目立ちたくも無いので誰か止めに来るまで防戦に徹するつもりだったが、それと同時に程々の力で済むならある程度は見せて構わないとも思っている。

 

 どちらにしても所詮は単なる時間潰し。

 僅かな逡巡の後、護はあえて東堂の誘いに乗ることにした。

 

 直後、護の腹を目掛けて東堂の蹴りが繰り出される。

 これまでだったら後ろに躱すか防ぐかしていたその一撃。しかし護は敢えて紙一重で躱しつつ、前へと踏み込んだ。

 狙うは顎。脇腹で挟むように東堂の足を押さえ、動きを封じながら、掌底の構えを取る。

 

 確実に当たる必中の間合い。

 その瞬間、東堂は両の手を打ち鳴らした。 

 

――パァン

 

 小気味の良い音が響き、同時に護の視界から東堂の姿が消える。

 消えた東堂が現われたのは、護の背後。

 がら空きの背中に向かって、拳を振りかぶる東堂。

 

 だがそれと同時に、まるでそうなると分かっていたかのように護は振り返った。

 振り返り様に振るった腕で東堂の拳を払い、代わりに繰り出した拳が東堂の頬へとめり込む。

 

「――ッグ!」

 

 予期せぬダメージ。東堂は即座に飛び退き距離を取った。

 口元を拭い、護を見据えながら口を開く。

 

「……まさか一度見ただけで俺の術式に対応するとはな」

 

「一度見りゃ十分だろ。“位置の入れ替え”……面白い術式だけど、1対1なら入れ替えのパターンは限られるからな。

 あんたがこっちの攻撃誘ってんのも分かってたし、おかげでタイミングも測りやすかったよ」

 

 なんてことの無いように言っているが、これはあくまで護だからできたことだろう。

 自身、転移を可能とする術式を持ち、並外れた視野の広さと思考速度を備えているからこそできた対応力。

 普通の術師であれば、ほとんど初見でこれに対応するのはまず無理だろう。

 

「成程……どうやら甞めていたのは俺の方だったらしいな」

 

「どうする。まだやるか?」

 

 地力においては護が上。肝心の術式も対処可能であることは示された。

 最早そちらに打つ手は無いだろうと、問いかける護。

 しかし東堂はそれに対し、不敵な笑みを浮かべて見せた。

 

「愚問だな。ようやく、エンジンが温まってきたところだ」

 

 すると東堂は、おもむろに呪力の籠った拳で地面を殴りつけた。

 土煙が舞い、東堂の体が覆い隠される。

 

(目くらまし……?)

 

 一体何のために。

 護が僅かな疑問を抱くと同時、土煙の中から何か小さなものが飛び出し、空高くへ飛んでいくのが見えた。

 目を凝らすと、それは小さな小石。

 

 まさか――と、そう思った瞬間、煙の中から東堂の両手を叩く音が響いた。

 

――パァン

 

 護と小石の位置が入れ替わり、護の身体が宙へと放り出される。

 

(――ッ、コイツ、非生物も対象に出来るのか!)

 

 盲点。護自身、転移を可能とする術式を持っているが故の認識のズレ。

 護にとって、空間の転移は本来複雑な処理を有する作業。今でこそ自己の転移をノータイムで行えるようにはなったが、他者間の転移は未だに多少の時間が掛かるのが現状。

 

 いくら己の術式とは術理が違うとはいえ、それを拍手のワンアクションで発動できる東堂の術式に、少なくない戦慄を覚えた。

 

(拍手なんて緩い条件で発動していい術じゃねぇだろ)

 

 生物以外にも発動可能。おそらく一定量の呪力を籠めるなり条件は有るのだろうが、それでもこれだけで戦術の幅は大きく広がる。

 

 そんなことを考えている内に、東堂は更に手を打ち鳴らした。

 

――パァン

 

 そして護が次に現れたのは、東堂の正面。

 そして護が現われた時には既に東堂は蹴りの姿勢に入っており、先程宙に投げ出され体勢を崩された護には当然防ぎようも無く、東堂の蹴りは見事に護の横腹を捉えた。

 

 蹴り飛ばされる護。

 最初の邂逅時と同様。禄に踏ん張りが利かなかったせいもあって、凄まじい勢いで護の身体は蹴り飛ばされた。

 

 大凡10メートル近くあろう距離を飛ばされながら、しかし受け身を取り即座に体勢を立て直す。

 

 そんな護を見据えながら東堂は口を開く。

 

「さて、まずは一発。俺がまともに喰らったのは二発のパンチと一発の蹴りだったな。

 蹴りは返した。残る拳二つ分もお返しさせてもらおうか」

 

 戦意十分。呪力を漲らせながら、ここからが本番だと構える東堂。

 そんな東堂を見つめながら、護は不可解な感覚を覚えていた。

 

 ――ウズ

 

 それは東堂という術師を侮ったことへの後悔でも、自身に対する不甲斐なさでも無い。

 この時、胸の内に湧きあがったその感情。それは――高揚感。

 

(コイツの術式……面白い)

 

 護にとって、東堂という男は脅威足り得ない。

 良い一撃を貰っておいて何だが、その評価に変化はない。

 

 護が本気で術式を行使すれば、10回やって10回勝てるだけの実力差はあるだろう。

 

 だがここで重要なのは、結果ではなくその過程。 

 

 おそらく東堂の術式は、自分の術式とは相性が悪い。こちらにとっても――相手にとっても。

 

 小石に込めた微弱な呪力すら捉える東堂の術式は、おそらく護が張った結界すらも術式対象として捉えることができるだろう。  

 同時に、一度に入れ替える数に限りがある東堂は、護の術式に対して何を入れ替えるかの取捨選択を迫られる。

 

 互いに相性が悪いからこそ、成立し得る駆け引き。

 このような駆け引きが成立する相手は、護にとっても初めてのこと。

 

 それは自分にとって、己の術式の新たな可能性を引き出すきっかけになるのではないか。

 

 

 護は自分でも気づかぬうちに、自然と印を組んでいた。

 瞳が暗く沈み、纏う雰囲気そのものが重く、冷たいものへと変わっていく。

 

「――ッ!」

 

 すると、対面する東堂もその気配の変化を感じ取ったのか、即座に後ろへと飛び退いた。

 得体の知れない悪寒。されど高まる強者としての気配に、東堂は警戒の視線を浮かべながらも口角を吊り上げる。

 

「どうやら、ようやくその気になったらしいな」

 

 再び高まる戦意。一層硬く拳を握り締める東堂。そうしていざ、踏み込もうとした次の瞬間――

 

 

 ――二人の間を、赤い一線が通り過ぎた。

 

 

「そこまでだ東堂」

 

 声の方を振り向くと、そこに居たのは加茂の姿。

 その姿を見た瞬間、護の纏っていた気配が霧散する。

 

(やべ、ちょっと熱くなりすぎてた)

 

 加茂の乱入に、ひそかに感謝の念を送る護。

 しかし一方で東堂は、不機嫌そうな声を加茂へと発した。

 

「邪魔をするな。加茂」

 

「断る。同じ京都校の生徒としてお前の行動は目に余る」

 

「お前の目に余るなど知ったことか。ようやく面白くなってきたところだ。俺の邪魔をするというならまず先に、お前から殺すぞ」

 

「……こちらとしても、どうしてもと言うなら相手になるがな。

 だがいいのか? ここでこれ以上騒ぎを起こせば、場合によっては交流会の出場停止すら在り得るぞ?」

 

 その言葉に、東堂の動きが止まる。

 このまま一時の戦意に身を任せるか、あるいは交流会の楽しみを取っておくべきか、東堂の中の天秤が揺らぐ。

 

「フンッ……まぁいいだろう」

 

 どうやら交流会を優先する方をとったらしい。

 鼻を鳴らしながらも拳を治める東堂。

 

「この場は引いてやる。だが、こんな半端な終わり方で満足する気も無い。

 五条護。交流会、お前も出ろ。そこで決着をつけてやる」

 

(いや出ねぇよ。っつか出れねぇよ)

 

 そもそも正式な東京校の生徒でもない護に出場権などあろう筈も無い。

 しかしそんなことは露知らず、護の返事も聞かぬまま東堂は言いたいことは言ったとばかりに、勝手に去っていく。 

 

 まさしく嵐のような一幕に、護は心底疲れたと深い溜め息を吐いた。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 ――夕刻――

 

 沈む太陽が赤くなり、町の景色が燃えるように染め上げられるその時間。

 人気の少ない並木道を、複数人の女子グループが歩いていた。 

 

「ちょっと高かったよね~。あの占い」

 

「ほんと。私もうこれで今月ピンチ」

 

「私も~~」

 

「あんた達それ毎月言ってるじゃない。計画性なさすぎでしょ」

 

「いやいや、今回は仕方ないって。だって、占ってもらえるの夏休みの間だけでしょ?

 行くしかないじゃん! 高校生活で彼氏ができるかどうかの瀬戸際だよ!」

 

「いや必死過ぎでしょ。別に勝手にすればいいけど……で? 結局良い結果は聞けたの?」

 

「んー、私は割と満足かな」

 

「私はビミョ~。想いが実る可能性は低いって」

 

「私も。恋愛はともかく、学業はもっと頑張りましょうって」

 

「あんたは合ってるじゃない」

 

「ひどっ、これでも成績上がってるんだよ!」

 

 そんな風に和気あいあいと話しながら歩く四人の女子達。

 真っ赤な夕焼けに染まった景色の中、高らかな笑い声が響く。

 

 しかしそこで、ふと一人の女子が「けどさぁ――」と口を開く。

 

「――あの占い師の人、ちょっと怖かったよね?」

 

「分かる~。あれってメイクかな?」

 

「雰囲気を出すためにってこと?

 違うでしょ、ハロウィンじゃないんだから。占い師っぽく見せるならもっと他にあるでしょ」

 

「うん……けどメイクじゃないならすごいよね。失礼だけど、ついジロジロ見ちゃった。一体何があったらあんな風になるんだろって」

 

「分かる~。だってさ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――あんな大きな縫い痕、まるで頭が割れたみたいじゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 最近、自分の妄想力が衰えてきているような気がする今日この頃。
 護君に術式を使わせないというハンデを背負わせつつ、東堂の強者感も損なわないようにしたい。
 そんなことを思っていたのですが中々戦闘シーンのイメージが湧かず、ものっそい時間が掛かってしまいました。
 誠に申し訳ないです。
 

 そして最後、ホラー枠で特別出演して頂きました、虎杖香織(偽)さん。
 ぶっちゃけ彼女の登場に関しては深い意味は無いです。
 ただあの人、回遊の為に方々下見はしていただろうし、原作の外部の占い師って設定は割と潜り込む上で便利だなと思ったので、いい機会だから利用させてもらいました。



 ちなみに、東堂が呪言を躱した部分に関しては独自解釈入ってます。
 位置替えで呪言の対象者と入れ替わった場合、入れ替わった対象に呪言は効くのかな? と考えた結果、多分制御を失い不発に終わるのではと勝手に考察しました。



Q.潜入の仕方が大胆過ぎません?
A.原作でも大胆に町中を動き回っていたし、これくらいおかしくないと思うの。

Q.そもそもなんで占い師?
A.あえて胡散臭い仕事を選ぶことで、逆に警戒が薄まると思った。

Q.原作の占い師さんたちどこ行った?
A.世界線が違うってことで、この世界では存在しないことになりました。
  前回護君はああ言ったけど、この世界でマジもんの占い師って割と生き難いと思うの。
  あと個人的に、原作読み返したらあの占い師の存在にちょっと違和感を覚えたので、まぁ消失してもいいかなと。

Q.実際護君の好みってどんなんよ?
A.本人は自覚していないけど、外見的な好みだけを言うなら実は楓花さんみたいなスタイルが理想形に近い。
  しいて言うならモデル体型? そこそこに筋肉がついてて女性的な丸みもある、バランスの良い体形が好み。

Q.東堂から見た護君の印象は?
A.なんか強そうなヤツが居んな。オラ、ワクワクすっぞ――とか思ったらあまりに覇気の無い答えが返ってきてがっかりした。
 

夏休みの締めくくりの水着回、開催するならどっちがいい?

  • よう実4.5巻準拠。学内プールに行こう
  • 高専メンバー参加型。学外で皆と楽しもう
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