『死穢八斎會』
日本でも数少ない極道組織の1つ。
嘗ては裏社会を牛耳る組織も多数存在していたが、ヒーローの登場により数多の組織は摘発・解体が進行していき数が減少していった。
生き残った極道組織もあるが、それらはすべて指定敵団体とレッテルを貼られて監視対象となり細々と暮らしているのである。
死穢八斎會もその一つでありながらもトップの組長は今の社会で極道が生き残る術を模索している義理人情に厚い人物でもあり、組員たちもそんな組長に惚れてついてきているのである。
そんな日々が続いているある朝のこと。
門の前で2人の組員が日課である掃除をしている時だった。
「………なぁ、いつまで若頭の独裁を受けなきゃいけねぇんだろうな?」
「知るかよ。ホントに無茶苦茶しやがるよアイツは」
箒でチリを掃きながら組員たちは死穢八斎會の若頭の愚痴を洩らしている。
組長は現在文字通り動けず実権を握った若頭の好き勝手な行為に組の殆どが不満を持っているが、誰も逆らえずにいるのである。
一体どうすればいいのかとため息をついたその時だった。
「ん?」
車のエンジン音が聞こえて1人の組員が顔を上げると、向こうから数台のバンが走ってきていた。
普通なら気にすることはないがスピードを異常に出しておりすぐそこまで迫ってきている。
そしてバン数台はブレーキ音を鳴らして門の前で止まった。
「な、なんだ!?」
「てめぇら何モンだゴラァ!?」
いきなり現れたバンの搭乗者に組員たちはドスを効かせた声で怒鳴り上げた。
最近活動している半グレ集団のイタズラかと思ったが、バンから降りた面子を見て驚嘆の声を上げてしまう。
「こ、こいつらまさか…!?」
◆◆◆◆◆
同時刻、警察署前。
多くの警察官を始めとしたプロヒーロー、それに加えてインターン活動として同行している雄英高校の学生たちの姿があり緊迫した空気に包まれていた。
彼はこれから死穢八斎會の事務所へと赴こうとしていた。
死穢八斎會若頭『オーバーホール』は個性を消すことができる弾丸の違法な開発を行っており着実にシマを広げようとしている。
更にその弾丸には人間の細胞が混じっており、それは『壊理』という幼い少女のものであり、オーバーホールは壊理を道具のように扱うという非道な行為を行っているのである。
だからこそオーバーホールの確保と壊理の救出のため『サーナイトアイ』指揮の元で死穢八斎會へ乗り込んでいくのだった。
警察代表として警部が最終確認をしている時だった。
「警部!た、大変です!」
警察署から1人の警官があわただしく出てきて警部の元へ駆けつけた。
「どうした!?」
警官の様子を見てただ事ではないと察し警部含めてヒーローたちが不審に思っていると衝撃の報告が上がってきた。
「八斎會事務所を監視している仲間から連絡が入ったのですが…!八斎會が襲撃を受けています!」
『なっ!!??』
まさかこれから行こうとしていた組織が襲撃を受けているということに警部はもちろんのことヒーローたちも信じられないという表情だった。
今のご時世極道に襲撃をするなど余程の馬鹿でなければしないのだが、警部は警官からもっと詳しく情報を聞こうとする。
「一体どこの組織が襲撃をしているんだ!?」
「そ、それが………!」
言葉を詰まらせながらも警官はその組織の名前を報告した。
「八斎會を襲撃しているのは………
天羽組なんです!!」
「天羽組だと!?」
「何やて!?天羽組!?」
「マジかよ…!」
天羽組の名前が出た途端ヒーローたちはざわめいてしまい、インターン生たちは天羽組という名前すら知らず首を傾げてしまう。
しかし、プロ含めてヒーローたちが険しい顔になっていることにただ者ではないということを察する。
そんな中、ナイトアイはすぐさま警部に指示を促す。
「警部!こうなっては致し方ありません!一刻も早く我々も向かわなければ!」
「あぁ!総員!直ちに現場へ急行!」
そして警部の掛け声と共に警官とヒーローたちは予定よりも早く死穢八斎會の事務所へと向かうこととなった。
全員が死穢八斎會の事務所へ向かう中、インターン生の『緑谷出久』は近くにいるナイトアイに話しかける。
「ナイトアイ。天羽組って何なんですか…?」
「………八斎會と同じ極道だが、半グレも恐れる狂人揃いの武闘派の集まりだ。標的にされた組織は瞬く間に壊滅してしまう程のな」
ナイトアイから天羽組のことを聞いた緑谷は目を見開き最悪の事態を想定してしまう。
壊滅ということは壊理も含めてしまうのではないかと。
そんな中、2人の話を聞いていた『切島鋭二朗』はふと疑問に思うことがあった。
「そんな連中が、何で八斎會に襲撃してんすか!?」
「天羽組の目的は、恐らく報復だ」
単なる襲撃とか考えにくい切島の質問に警部が答えた。
「ほ、報復?」
「実は数週間前に天羽組の構成員がオーバーホールに殺害された情報があったんだ。天羽組は自分達のシマを荒らす連中には決して容赦しないからな。今回もそれが要因だろう」
それを聞いた緑谷は理解するものの納得はしない。
いくら組織の人間を殺されたとしても仕返しは間違っていると人一倍強い正義感を持ちながら死穢八斎會へと向かうのだった。
◆◆◆◆◆
一方その頃、死穢八斎會では報復で襲撃を仕掛けている天羽組と抗争を始めていた。
「天羽組がナンボのモンじゃあ!」
「数じゃこっちが有利だ!」
「チャカ使えチャカ!」
八斎會組員たちが総出で天羽組を抑え込もうとしている。
数はもちろん武器や個性持ちも多数いるため速やかに終わると思われていたがそれは間違いに終わってしまう。
何故なら相手は狂人揃いの天羽組なのだから。
「お前はダルマァ!!」
「ひぎゃぁぁぁ!!」
『日本刀の和中』
素早い斬擊で相手の両腕を日本刀で切り裂く。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄野田ァ!!」
「ぐはぁぁぁ!!」
『アイスピック野田』
愛用のアイスピックで目にも止まらぬ早さで相手の胸を連続で刺して穴だらけにする。
「グリーングリーン!青空にーはー!外道が叫ーぶー!」
「ガハァ!?」
『アーミーナイフの小林』
相手に脇腹に刺したナイフを捻り回して致命傷を負わせる。
「テメェの腸見せてみぃ!!」
「うぐぅ…!」
『ドスの工藤』
ドスを相手へ深く突き刺してなぎ払い腹を掻っ捌く。
「どーもー!現代の吸血鬼のトージョーでーす!!」
「うぎゃあああ!?」
『バイティング須永』
チタン製の牙で相手の首の頸動脈や噛みついて食いちぎる。
「人間煎餅のできあがりぃ!!」
「ぐぎゃあああ!?」
『ハンマーの冨樫』
鉄のハンマーで相手の両足を平べったくし歩けなくする。
一癖二癖では収まりきらない狂人揃いの天羽組の前では数の大差も関係なく次々に再起不能にさせていく。
「うわぁ…!やっぱり何度見ても兄貴たちはえげつないなぁ…!」
天羽組たちの粛清法を見ていた新人の『速水』は感心して半ば唖然となっていた。
今まで幾度も兄貴たちと仕事を共にしてきたがまだ馴れずにいるが懸命に組のために貢献している。
「ボサッとするな速水!俺たちも続くぞ!」
「は、はいっ!」
そんな速水を一喝して正気に戻した天羽組の中堅『小峠華太』はチャカを構えて兄貴分たちに続いていった。
標的は死穢八斎會若者オーバーホール。
天羽組の構成員を殺したにも拘らずケジメをつけない始末に小峠含めて兄貴分たちは怒り狂っていた。
極道の隅にも置けない外道は生かす価値はないと。
「きっちりケジメはつけされるからな…待っていろオーバーホール…!!」