「詐欺師の答弁だな?」
イシュタルの爺さんの説明を聞くのは二度目だが、
改めて聞くと、どう考えても詐欺師の答弁である。
まず俺達を異世界に召喚したのは、エヒトと言う神様の仕業だと明言している。
イシュタルの爺さんや他の神官共は、日本へ帰還する方法何て知らない。
全てが神様の掌って事だ。
「そうですな。エヒト様も救世主の願い、無下にはしますまい」
日本に帰れない。戦争に参加しろ。
パニックになるクラスメイトを天之河が纏めようとするが、
【戦争に勝てば日本へ帰れる】と、明言していない。
無下にすまい。と言っているだけだ。
考慮したけど、やっぱり却下☆と言う理屈が通るヤツだ。
それを今暴露するべきか?→止めた方が良い。
俺達は今、初見の世界に居る。初期Lvで常識的知識も無い。
俺は周回中で常識知識が少しはマシだが、
肝心のLvは多分1だ。厳しい事に大差は無い。
何の後ろ盾も無く、異世界を生きるのは辛い。
と言うか此処で戦争参加を拒否したら、
即座に処刑!と言うルートも在り得る。
此処での暴露にメリットは無い。
戦争参加を装って、まずは訓練でレベリングした方が良い。
「戦おう。
人々を救い、皆が家に帰れるように。世界も皆も救ってみせる!!」
と天之河が纏めに入っている訳だが、二度目の俺は気付いていた。
異世界召喚の魔法陣は、天之河の足元を中心に輝いていた事を!
この後解る事だが、天之河の天職は勇者。
そして魔法陣は、天之河の足元から展開していた。
詰り俺達は、天之河の異世界召喚に巻き込まれたかもしれないって事だ。
「面白そうだが、無いな」
この問題を暴露したらどうなる?
クラスの人気者のイケメンが、一気にクラスの悪役になるかもしれない。
逆にイケメンを陥れようとしたって事で、俺が吊るされるかもしれない。
興味は有るが、デメリットが酷くメリットが無いに等しい。
クラスがバラバラになって、戦力もダウンする。
大迷宮攻略前に、完全にアウト!解ってはいたが、イケメン補正がヤヴァイ。
†
「ぐっ!振り出しか!?」
詳しい話しを別室で聞く事になった。
前回は、メイドさんのおもてなしを受けたアレである。
おもてなしは好いが、爺さんの話しは無駄に長い。
確かトータスの歴史関連だったか、
ガチの教会関係者らしく、神様万歳な話だった気がする。
スキップ推奨だ。二度も聞く気がしない。
テンションが下降していると、即行で結果が出た。
移動中のクラスメイトと、見事にはぐれた。
記憶を頼りに彷徨って、大聖堂に蜻蛉返りだ。
「シスターか?」
振り出しに戻る。戻ったが、次のイベントは起こっていた。
静謐な大聖堂で、跪き祈りを捧げる人影を捉える。
人影は黒い修道服姿。場所的にシスターだろう。
日本ではすっかり萌えジョブのシスターだが、
実物の黒い修道服は、想像以上に昏い。墓場の喪服のような昏さだ。
シスターってのは、こうも不吉な代物だったか!?
「フラグメント」
俺に気付いたシスターが立ち上がる。
立ち上がって振り向くと、確かにそう呟いた。
フラグメント。
旗とか条件の?それはフラグの方だったか。
「檜山大介。
まだ組んでも居ないが、勇者のお仲間って事になる。アンタは?」
「ノイントと申します。
エヒト様に仕えるシスターです」
振り向いて、シスターがフードを下げる。
フードの下は、死神的な髑髏でも驚く心算は無かった。
神山に髑髏が闊歩しているのは問題だが、想定範囲内!と言う事になる。
だが想定は覆される。
シスターの素顔は、圧倒的な銀髪美人だった。
確実にAPPは18!最大値を記録☆
実は地上に舞い降りたヴァルキリーだと言われても、納得の容姿である。
「ヒヤマダイスケ。
それがフラグメントの名前ですか、覚えて置きましょう」
このシスター、死神処かヴァルキリーである!
余りのAPPに圧倒されて硬直していると、
ノイントが俺の名前を、刻むように口にする。
ぐっ!APPが高いと、それだけでサマになる。
とても初対面の取り巻きの一人の名前を口にする仕草じゃない。
「フラグメントって言うのは、何の事だ?」
どう考えてもキーワードはコレだ。
渾名?と言うより、何かの役職名か!?
†
「ああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ」
割り当てられた個室のベッドで悶える。
異世界トータスの、二度目の二日目の朝だった。
ノイントの回答は、要領を得なかった。
迂遠な語りは、やはり教会関係者だと実感させられる。
その後は前回と同じだった。
ノイントの案内でクラスメイトと合流して、
神山の景色を堪能しながら下山。滞在先のハイリヒ王国へ入国した。
ハイリヒ王国の国王やら何やら、
お偉いさんとの顔合わせも、前回通り愛子先生と天之河メインで対応した。
その顔合わせで結構可愛い感じの王女様とも会った訳だが、
超絶美人のノイントと出逢った後では、何の食指も働か無い。
最後に歓迎の晩餐会になったが、特筆する事は何も無かった。
就寝時間になると、一人づつ個室が割り当てられた。
豪勢な話だ。で、夜は明けて翌朝って事になる。
「今日のメインイベントは、ステータスプレートか。
これは避けられ無いな」
ステータスプレートは文字通り自身のステータスの表示と、
トータスでの身分証明にもなる代物だ。受け取り必須である。
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檜山大介 17歳 男 レベル:1
天職:神官戦士
筋力:110
体力:80
耐性:60
敏捷:110
魔力:120
魔耐:120
技能:
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
信仰・洗礼・祝福・巡礼・苦行
不浄耐性・恐怖耐性・魅了耐性・言語理解
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で、配布されたプレートに表示された俺のステータスが↑だ。
色々とツッコミ処が有るんだが!?
まず天職:神官戦士って何だ?前回は確か【軽戦士】だった筈。
それに初期ステータスもかなり違う。
全体的にバランス良く高く、勇者の天之河より高数値な項目も有る。
このステータス!殆ど魔法戦士系じゃ無いのか!?
終いにこの■で塗り潰されたのは何だ?バグか、バグなのか!?
「天職が神官とか☆」
配布担当の騎士団長のメルドさんも、初めてのケースだと言う始末。
俺が困惑している内にもプレートの配布は進み、問題の南雲の番が来る。
====================================
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
====================================
来た!南雲のド平凡な器用貧乏ステータスッ!!
前回はこのステータスを見て、散々笑い者にした案件である。
「な、何かな檜山君」
しかしどうやったらこの器用貧乏ステータスが、あの魔王に変貌するんだ!?
確か魔物の肉を喰って生き残れたら成れる!って話だったか?
試したくネェェェッッッ!!!!!!
「まっ強く生きろよ?」
「えっあぁ、うん」
ポン、と肩に手を置いてそう応える。
何を言われるかと身構えていたらしい南雲は、呆然としている。
勿論未来の魔王様をイジメたりしない。それは自殺行為だ。
「技能検証とレベリングを始めるか、精々死なないように」
†
補足&解説枠。
ノイント初遭遇と、ステータスプレート配布回です。
天之河の足元の魔法陣
原作展開。恐らく異世界召喚されたのは天之河一人。
異世界召喚時にこれに気付いて、
かつ黙殺したクラスメイトが何人居るかな?と想像すると、
この後の天之河のピエロ具合が、更に酷くなる☆
フラグメント
直訳で【破片】【断片】【断章】。
原作ではハジメが【イレギュラー】と呼ばれていますが、
本作では檜山が【フラグメント】と呼ばれる事になります。
原作のラストで敗北したエヒトが、
自身が敗北した結末を覆す為、必要なフラグを召喚した!と言う設定。
APP
TRPGで容姿、または外見的な魅力を表すステータス。
キャラメイク時に3D6のダイスで決定。最大値は18、最小値は3になる。
TRPG
ゲームのプレイに友達が【必須】なリア充ゲーム。
必要な物は紙とペンだけ!と言う謳い文句は有名ですが、
某TRPG紹介動画で、必要な物【友達】。
とコメントが付いていたのは爆笑しました☆
神官戦士
本作の檜山の天職。原作では軽戦士。
エヒトの力でループした周回檜山は、その影響を受けています。
神の力の適正が生えました。→天職が神官戦士に!
魅了耐性
香織を諦める要因にもなった技能。
耐性がありながらノイントに惚れる辺り、
檜山本来の弱耐性が窺える展開☆
ステータス/技能
本作では基礎技能を非表示にしています。
次回は檜山の強化回。
しかし檜山!友達が居ないです。イベントが起きないっ!!
クラスメイトもそろそろ出したい処☆