ありふれた和平で世界平定(ディストピア)   作:LW

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今回は、野郎同士の月下の語らいです☆


05 園部を日本に帰してやりたい

「どうでも良いが、意外だ。

 実戦前の約束。主人公キャラか!?」

 

「それは違う。まして主人公でも無い」

 

実戦前夜。

何と無く宿泊先を徘徊していたら、サロンに清水と園部が居た。

二人は何かシリアス顔で話していて、

暫くして園部が微かに笑顔を浮かべながら退室。

どうやら清水は、上手くやったらしい☆(憶測)

 

「まぁ丁度良い。

 確認させて貰うけど、【戻って】来たのか?」

 

戻って、か。間違い無くこのループだか逆行だかの件だろう。

それを認識していると言う事は、清水も!

 

「まぁな?」

 

「なら、檜山が黒幕?」

 

「自分も信じて無い事を、態々訊くなよ。

 んな事が出来るなら、もっと盛大にやり直してる」

 

もうその気は失せたがもっと前なら、

香織を手に入れようとして、派手に逆行したかもしれない。

まぁ何にしても、この件の首謀者は俺じゃない。

好き勝手にやり直し何て、都合の良い事は出来無い。

 

「それなら何を?

 檜山は、明らかに前回と違う行動を取っている」

 

「同じ行動を取って、同じ失敗を繰り返せってのか?

 それはただのマヌケだろ!

 まずは魔王の誕生を阻止する。これは絶対だ」

 

「あぁうん。それは解る」

 

清水も魔王に殺されてるからな、此処はあっさり同意して来る。

利害の一致ってヤツだ。考える事は同じらしい。

 

「なら、まずはオルクスだ。俺達で南雲を護衛する。

 それで良いな?」

 

清水が無言で頷く。

良し良し。一人より二人の方が、出来る事が増える。幸先が良い。

 

「逆行の記憶は大きなアドバンテージになる。

 他にも何か目的が?」

 

「他の目的?

 【凄い美人を口説く】だな」

 

「【日本に帰りたい】ではなくて?」

 

「日本でやり残した事でも有るのか?

 俺は無い。美人を口説く方が重要だろ」

 

「思い切りが良過ぎる。

 確かに僕も、無いと言えば無いけど」

 

「それでも帰りたい。か?」

 

「言葉にするなら、故郷だから。

 日本の方が平和だから、過ごし易いからって事になる」

 

ふと邪推が胸を過る。

他に目的は無い。と清水は言うが、

確かに目撃した園部の微笑みが、邪推を象って零れた。

 

「【園部を日本に帰してやりたい】。とかは無いのか?」

 

 

「本気何だな。

 闇術師ってのは、後衛職だろう?」

 

「園部にも言われた。だけど立派な戦闘職だ。

 南雲は生産職で、女子も後衛職。

 此処は男の戦闘職が、前に出るシーンだろう」

 

「まぁ否定はしない」

 

オルクスの探索が始った。

六人づつのパーティーで大迷宮を探索して、地下に続く順路を開拓する。

上層だけでも100層だ。分担した方が早い。

 

「当然の結果だ」

 

「確実に掘り出し物だな?」

 

と言っても、こんな浅い階層で苦戦する筈も無い。

充分に訓練は積んだし、

65層までは人類の踏破階層で、事前に見取り図も手に入る。

何より俺達に取って、オルクスの攻略は二度目だ。

更に祈りの剣の性能がヤヴァイ。ノイントは流石である。

 

「凄いよ!檜山君っ!!」

 

「まさか檜山が、意外だわ」

 

後方メンバーの視線が熱い。

しかし園部は、清水の活躍が見たいだけでは?

 

「清水!」

 

「任せろ」

 

次の魔物が早々に姿を現す。コボルトの群だ。

祈りの剣の高性能さに調子に乗って、一人で戦い過ぎたか?

息を整える時間が欲しい。此処は少し、清水に任せるか。

 

「棘舞【サイレントソーン】」

 

清水が前に出て何か魔法を放つと、コボルトの群が崩れ落ちた。

崩れ落ちてそのまま悶え苦しみ出して、やがて静かになる。

 

「エゲツネェなぁ、ヲイ」

 

「この魔法は効果の割に、コスパが良い。

 毒耐性の無いザコ相手なら、効果が望める」

 

名前からして、棘だか針だかを飛ばす魔法だろうとは思う。

だが俺は視認出来無かった。清水の解説では、

影のような黒い棘の魔法らしい。それを薄暗い迷宮内で使った事になる。

魔物相手に情けも容赦も要らないが、何とも殺意マシマシである。

 

清水は戦闘方針に付いて回避盾がどうこう言っていたが、

防御無用の無双風景を披露していた。清水もまだ、苦戦何てしないって事だ。

 

「毒耐性って言うと―――」

 

「ゴーレムとかアンデットには、確定で効かない。

 フレッシュゴーレムなら、行けるかもしれない」

 

「フレッシュって、殆どアンデット扱いじゃないのかな?」

 

「だからかもだよ。

 後は金属製の、ロボットとかだ」

 

「トータスで、ロボット何て居るの?」

 

「ならオートマタで、これなら居るかもしれない」

 

「オートマタか、ロマンだよネ☆」

 

清水と南雲が、オタクトークで盛り上がっている。

ヲオイ清水!蚊帳の外の園部が、ヤヴァイ感じだぞ?

 

「ヲイ!園部ッッ!!!」

 

「ッッ!!?」

 

楽勝ムードで、気を緩め過ぎた。

後方から別のコボルトが襲い掛って来る。奇襲だった。

ターゲットは園部だ。

後衛組は突然の出来事に硬直していたし、南雲は間に合わない。

俺は信仰を使ってブーストダッシュで決めようとした訳だが、

 

「操影【シャドウサーヴァント】」

 

清水の魔法の方が速い!そして今回は、俺の目でも見えた。

影が伸びる。清水の影が意志が在るかのように伸びて、

園部に奇襲を仕掛けたコボルトの、影を斬り裂いた。

影を斬り裂かれたコボルトは、影と同じ末路を辿って柘榴になった。

 

「無事か?

 だから後方警戒を頼んだ訳だが」

 

「ごめんなさい。私が―――」

 

「いや、園部が無事で良かった」

 

「清水」

 

うん、今度の蚊帳の外は俺達である。

空気を読んで、他の連中と周囲の警戒に入る。

 

「うん。これが、

 【お前等!結婚しちゃえよ☆】ってヤツなのかな?」

 

「知らん」

 

 

「清水。何をしているの?」

 

「技能検証。試したい事が有る」

 

オルクスの探索は続く。

最も優先すべき身を護る戦闘技能は、充分検証したと思う。

少なくとも次の30層のゲートまでは、戦闘で後れを取る事は無いだろう。

なので特殊技能の検証に入りたい。

 

「それって、さっき倒したコボルトでしょう?」

 

「あぁ、威力を調整して瀕死に止めている」

 

「えっまだ生きてるの?」

 

「検証だから」

 

今目の前に倒れているのは、探索中に撃破したコボルト。

そのコボルトを一体だけ、棘舞で瀕死に止めた。

【魔獣使役】の技能を検証しようと思う。

 

この技能は、文字通り魔物を従える事が出来る。

前回はウルの町で、スタンピードを起こした要因にもなった技能だ。

 

「良し、手応え有り」

 

上手くコボルトを使役出来た。

前回と変わりは無いらしい。問題無く【格下】の魔物を従えられる。

確率の幸運では無く、実力を問われる技能だ。

 

「暗黒回帰【ネガティブヒール】」

 

「清水って、回復魔法も使えるんだ?」

 

使役したコボルトを運用する為、回復魔法を施す。

因みにこの魔法は、闇属性の回復魔法だ。

確かにHPは回復するが、回復だけなら光属性の方が効率が良い。

暗黒回帰【ネガティブヒール】は、

アンデットのダメージも癒す事が出来る負のヒールである。

 

そもそも通常のヒールは、

アンデットを始めたとした負の存在を傷付けてしまう。

暗黒回帰【ネガティブヒール】は、そんな負の存在を癒す特殊なヒールだ。

と言っても今回癒すのは、通常のコボルト。

特に問題無く、コボルトは復帰を果たした。

 

「凄い。これで頼もしい味方が!って事?」

 

「いや、それは無い。

 知っての通り、僕達は充分に強い。

 肉壁になる機会は有っても、通常のコボルトが戦力になる事は無い」

 

「それならどうして?」

 

園部の疑問は当然だろう。

だけどコボルトの使い道は他に有る。

まずコボルトは獣系の魔物で、嗅覚が優れている。

戦闘より索敵向きだろう。斥候役と言う訳だ。

 

「清水の言う通りだったな?

 まさかザコのコボルトにこんな長所が」

 

「言っただろう?斥候向きだと」

 

それ以来、コボルトを先頭に立たせた。

自慢の嗅覚で、コボルトは真っ先に襲撃に気付いた。

 

「これってトラップ?」

 

「罠にも気付いたの?」

 

「良し良し、良い調子だ」

 

その上このコボルトは、仕掛けられたトラップも看破した。

迷宮内の違和感を感知出来るらしい。これは素晴らしい誤算。

 

「何だか随分頼りになった気がする。

 名前。付けてあげたら?」

 

「名前か」

 

園部からの提案。

短い間に、随分と仲間意識が芽生えたらしい。

 

それにしても名前か。

実は僕は、名前を付けるのが好きだったりする。

と言ってもペットに付ける名前では無い。

名無しのヒロインに付ける名前だ。

 

そう!これは趣味のゲームの話。

多くのゲームをプレイすれば、名前の無いヒロインと出逢う事も有る。

そして、プレイヤーに選択が委ねられる事も!

大抵のヒロインは名前を付けると、とても喜んでくれる。

僕は、そんな名付けイベントが大好物だった。

 

「なら【フェリエル】だ」

 

【フェンリル】だと有名過ぎるから、適当に弄った結果だ。

同じ狼系でも遙かに格下のコボルトには、過ぎた名前だろう。これで良い。

 

「フェリエル?」

 

「何か嗅ぎ付けたな?

 これはアレかもしれないな」

 

名付けが終った後も探索は続く。

斥候を務めるフェリエルが、鼻をヒクヒクさせていた。

これは何かを嗅ぎ付けた合図だ。僕はそれに心当たりが有る。

 

「行こう。臨時収入の時間だ」

 

 

補足&解説枠。

オルクス大迷宮探索パート。まだ低層です☆

 

フレッシュゴーレム

数多く存在する○○製ゴーレムの、バリエーションの一つ。

フレッシュとは、死肉製ゴーレムの事。殆どアンデット。

製法がゴーレム系統なだけ。アンデットにしか見えない。

 

オートマタ

自動人形の事。オートマトンと言う場合も有。

オートマタは個人的な押しヒロイン種族☆大好物です。

 

コボルト

最近のファンタジーでは、定番ザコモンスターはゴブリンですが?

私の推しザコモンスターはコボルトです。




次回は資金調達の採掘です。
何を採掘するのか?解る人は中々のファンタジー通と見ました☆
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