ありふれた和平で世界平定(ディストピア)   作:LW

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今回は採掘と捕獲です。


06 はぐれなメタル

「此処の壁、色が蒼い」

 

「鉱脈だ。稀少金属コバルトの。

 ファンタジー風に言うと、腐食銀【コバルト】」

 

フェリエルの案内で発見したのは、やはりコバルトの鉱脈だった。

コボルトの設定は、トータスでも有効らしい。

 

「腐食銀【コバルト】?」

 

「名前の通り、腐食した銀だと言われている」

 

コボルトは穴倉に棲息する魔物だが、

コボルトが出たら、銀脈が近くに在る!と言われる程。

それだけコボルトは、銀脈に棲息している確率が高いらしい。

そしてコボルトが棲息する銀脈で、コバルトは採掘される。

コボルトには銀を腐食させる能力が有る。そう信じられた。

 

と言うのがコボルトとコバルトの設定だ。

僕達は異世界に来て居る訳だけど、こうも設定通りの展開になるとは!

 

「と言う訳で臨時収入だ。

 採れるだけ採って行こう☆」

 

「採掘するの!?」

 

と言っても素人の僕達が採掘する訳じゃない。

経験は勿論、道具も無い。これは如何にも無謀な挑戦だろう。

まさか武器で掘る訳にも行かない。工夫を雇うのも無い。

実戦訓練の必要経費以外の、プライベートで動かせる資金が無い。

必要な資金は、随伴する騎士団が管理している。正にお子様扱いである。

 

「フェリエル!」

 

「あぁそっか、フェリエルに」

 

採掘はフェリエルに任せる事にする。

後は待つだけで、稀少金属が手に入る。一財産ゲットだ。

 

「呑気に採掘していて大丈夫なの?

 他の皆は、大迷宮を探索中なのに」

 

「少し道に迷った事にすれば問題無い」

 

「清水。

 お金に目が眩んで無い?」

 

「金は大事だろう。金=行動力。

 金が有れば出来る事が増える。選択肢が増える!と言う事だ。

 今は探索の費用も生活費も王国持ち。

 これでは国からの依頼を断り辛いし、

 断って費用を取り上げられたら、干上がって死ぬ。

 金は、活動資金は絶対に必要だ」

 

「うぅ、社会常識が重いっっ!!!」

 

結局は召喚当初の問題に戻ってしまう。

だが!もう僕達は無力な異邦人では無い。戦う力が有る。

自分で身を護れるし、恐らく自分で働いて金も稼げる。

行動を自分で選べる!

必ずしもハイリヒ王国に、聖教教会に従う義理は無い!と言う事だ。

 

「その為の採掘?」

 

「そう!この手に自由を掴む。

 職業選択の自由って事」

 

勇者の仲間とか言うブラック企業は退職して、

冒険者でも始めよう!ファンタジーの弩定番である。

何よりあの教皇はアウト。信用出来無い。

上司にしたくない人間の見本Lvだと思う。

 

「フェリエル?」

 

「そう全てが上手く行かないか」

 

命令通り採掘を続けていたフェリエルが、警戒モードに入る。

命令終了前の行動変更。警戒モードへの移行。これは襲撃の兆しだ。

 

「中ボスのお出ましか、それともエクストラクラスか?」

 

「大きい」

 

鉱脈の奥から現れたのは、大型のコボルトだ。

主人公とヒロインの相乗りが出来る程の巨体だった。

当然ながら乗れる事と、乗せてくれるかどうかは別問題である。

 

コボルトロード(仮)は、既にテリトリーを侵した僕達に殺気を放っている。

敵対認定確定!と言った処だ。

或いは同族のコボルトを使役しているのが、気に入らないのかもしれない。

フェリエルにも同様の殺気を放っていた。

 

「悪いけど、コバルトは頂いて行く。

 気に入らないなら、戦うだけ」

 

 

「何かテンション↑↑だな?清水」

 

「すっかり置いて行かれた感が有るよね?」

 

と言う割には、檜山も南雲も文句一つ無く戦闘態勢に入る。

既に文句を言って、どうにかなる状況では無い事を悟っているからだ。

 

「奥から、また」

 

園部の悲痛な声。

眷属と言った処だろう。奥から通常サイズのコボルトが、次々と姿を現す。

取り巻き付きのボス戦!と言う事か。

 

「錬成→【ダウンフォール】」

 

取り巻き付きのボス戦では、

大抵の場合、素早く取り巻きを処理してボスに挑む事になる。

南雲はそれを良く解っている。南雲の錬成で、即席の落し穴が出来る。

取り巻きのコボルトが面白い位に嵌って、行動が阻害される。

 

「曲がって!」

 

動かない的に園部と、菅原と宮崎の攻撃が突き刺さる。

特に園部の攻撃は、ホーミングシュートと言う投擲術だ。

文字通り投擲したナイフが、側面からホーミングしてコボルトの耳辺りに刺さる。

骨の薄い側面を、正面から狙った攻撃。ナイフは脳まで達している筈。

 

「ボス戦に手加減は要らねえっ!!

 【信仰】!力を貸せっっ!!!」

 

沈黙した取り巻きを突破して、檜山が斬り込む。

技能を使用したらしい檜山の動きが、いつもとは違った。

自己ブーストなのか、巨体のコボルトロードをズバズバ斬り裂いている。

そしてあの祈りの剣の性能も、相変わらず規格外だ。

ゲーム基準で言うなら、明らかに登場時期が早い。

 

「極天蝕【エクリプス・ゼロ】」

 

檜山が前線でヘイトを稼いでいる内に、いきなり大技を放つ。

危険を察したコボルトロードが、

檜山から強引に離れて退避しようとしたが、それは悪手だった。

檜山を下がらせる手間が省けた。

 

闇で光を遮断して、偽りの蝕を生み出す冷凍魔法。

コボルトロードの退避は間に合わず、片足が蝕に囚われて砕け散った。

片足で済んだのは称賛に価する。だけど足の部位欠損は致命的だった。

 

「おらあっっ!!!」

 

片足を喪った激痛に怯むコボルトロードに、檜山が追い打ちを掛ける。

勝敗は殆ど決したと言って良いだろう。後一太刀で、コボルトロードは沈む。

 

「ナンノマネダ、ニンゲン」

 

「喋った!?」

 

僕は檜山の、最後の一撃を止めた。

そして片言ながら口を開くコボルトロード。

園部は驚いていたが、そう言う事も有るだろう。その方が都合が良い。

 

「ナサケヲカケルツモリカ、コロスマデモナイトデモ?」

 

「此処で殺すより、

 これからもコバルトを作り続けてくれた方が、都合が良い。

 採り尽くすのはアウト!と言う事だ」

 

「流石は清水。エゲツネェ」

 

エコだと言って欲しい。

森の木を全て伐採するのは、アウトなのと同じだ。

コボルトロードはこちらの理屈を理解出来無かったようだが、

今回は退き下がった。勝者の特権である。

 

「危な気無く圧倒出来た。良い塩梅」

 

 

「清水?」

 

「どうやら伏兵らしい。何か居る」

 

大量のコバルトを手に入れて、上機嫌で探索に復帰する。

だが斥候を務めるフェリエルから、警告の報告が上がる。

どうやら伏兵が居るらしい。伏兵!待ち伏せを仕掛ける新しい魔物。

 

「コイツはっっ!!?」

 

「うわっグロッ!?何なのコレ!!?」

 

フェリエルが看破した伏兵は、ゲル状の魔物だった。

金属を思わせるメタルカラーで、ウネウネと蠢いている。

園部はアウトらしく、顔色が悪い。

 

「うおおおぉぉぉっっっキタ――(゚∀゚)――!!

 ファンタジーの超弩定番のスライム!しかもコイツ、はぐれなメタルか!?」

 

「えっ本物!?」

 

「えっどうしてそんなに盛り上がってるの!?」

 

何かはぐれなメタルっぽいスライムなので、そのまま呼称する。

だがはぐれなメタルの割には、逃げる気配がしない。

異世界のメタルは逃げないのか!?何て素晴らしい展開!

と思っていたら、はぐれなメタルが襲い掛って来た。

何と言うレア行動!あのはぐれなメタルが、である。

 

「狙いはコバルトか!?」

 

はぐれなメタルの狙いは、どうやらコバルトらしい。

コバルトを納めた道具袋を、必要に狙って来る。

はぐれなメタルと言う位だから、稀少金属が好物なのかもしれない。

何と言うグルメ!コバルトを食べる心算か!?

 

「だがこれはチャンス!」

 

コバルトを文字通り餌にして、はぐれなメタルを踏み留まらせる。

使うのは当然【魔獣使役】の技能だ。リアルで1/256だろうと成功させる!

 

「良し!手応え有ったあああぁぁぁっっっ!!!!!!」

 

「おめでとう!清水君☆」

 

「何なの?この盛り上がり!?」

 

見事1/256を釣り上げた。

魔獣使役は確率技能では無いが、気分的に1/256である。

 

「良し!名前は【メタリア】だ☆」

 

結局コバルト(一欠片)を食べているらしいメタリア。

随分御機嫌に食事中らしく、こちらのリアクションに応えは無かった。

 

 

補足&解説枠。

採掘とメタル回になりました☆

 

コボルトとコバルト

コバルトに関する設定は、作中の通り。

清水の知っていた別作品の設定が、

トータスでそのまま有効化されていた設定です。

 

VSコボルトロード

資金を手に入れて自由を手にする。

自由の為に戦う!お約束です。英雄願望持ちの清水は、テンションが↑います。

 

はぐれなメタル

得られる経験値が高い事で有名なメタルモンスター。

似のメタリックカラーのゲル状のスライム。

原作の可愛い系では無く、リアルスライム系。

はぐれなメタルが推しなので、

似た感じのスライムをそう呼んでいるだけ。と言う設定。

 

捕獲率が1/256なのは超有名☆

幸運か時間を使い果たさないと、仲間には出来無い。

本作では運要素の確率捕獲では無いので、鬼畜度は温い。

後は出現率の問題。こちらの方がレア設定。

 

原作では最弱モンスターとして登場したスライム。

しかし他作品のリアルスライムは、

奇襲が怖い。酸がヤヴァイ。物理がアウト!と中々の難敵として描かれています。




元は普通のスライムを出す心算でした。
しかしいつの間にか、メタルなアイツが出ていました。
あの原作で、一番の推しモンスターなのです☆

次回は30階層ゲート解放戦。レイド戦です。
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