「結局、メタリアだけだったか」
「残念だよね?」
「空気が重いわ。無駄に探索時間も使ったから」
清水は例のメタリックカラーを仲間にした事で、調子に乗った。
調子に乗って、メタル狩りとやらを提案して来た。
要はレベリングだ。メタル専門の。
清水に南雲が同調!仕方無いからメタル狩りを始める。
だが例のメタリックカラーは現れ無かった。
流石は噂のレア・モンスターである。清水の悔しがり様が、半端では無い。
時折今でも「くっ最低3体揃えばフル装備が!」とか呟いている。
「来たか。道中問題無かったようだな?」
「おぉ檜山!お疲れさん」
「あぁ、こんな低層で遅れを取るかよ」
その後は大迷宮の探索も順調に進んで、30層の合流地点に到着した。
オルクス大迷宮上層30階層。
其処に一つ目のゲートが在る。此処のゲートを解放すれば、
入口近くのゲートポイントから、ショートカットが可能になる。
オルクス大迷宮の、第一攻略目標だ。
「南雲君!怪我は無い?」
「大丈夫だよ、白崎さん。
檜山君も清水君も、凄かったから」
「あら、それは是非拝見したかったわね?」
30層のゲートの手前まで、最初に到達したのは天之河の勇者パーティーだ。
俺達のパーティーは、メタル狩りで時間を浪費して二番手だった。
「あれ?え~と、その子はナニ!?」
「スライムだ。はぐれなメタルっぽいスライム。
名前はメタリア」
「あっそれ私も知ってる!
でも、余り可愛くない?本当にその子が!?」
「確かに」
「リアルスライムに、可愛さを求められても」
まぁ勇者様より早いと、天之河が煩かったかもしれない。
俺達のパーティーに、順位を気にするヤツは居ない。どうでも良い事だ。
「あれ、出遅れたかな?」
暫くして、他のクラスメイトのパーティーも到着する。
俺達のパーティーの直ぐ後に来たのが、中村のパーティーだ。
中村と仲の良い女子ばかりの仲良しパーティー。
魔術師ばかりで良く此処まで、と感心してしまう。
「天之河と檜山か、待たせたか?」
次に到着したのは、永山のパーティーだ。
中村のパーティーとは真逆の、体育会系脳筋漢パーティー。
やはり永山と仲の良い、部活仲間でパーティーを組んで居るらしい。
言うまでも無く、こっちは戦士ばかり。割と本気で暑苦しい。
「ふぅ、やっと到着かよ」
最後に到着したのは、寄せ集め臭い近藤パーティーだ。
俺が南雲イジメを止めてから、グループは崩壊した。
だがイジメを止めても、イジメグループが快くクラスに受け入れられる事は無かった。
グループは孤立して、行き場の無いボッチ系が集まってパーティーになった。
それが近藤パーティー。寄せ集めパーティーの所以だった。
「皆!無事に合流出来て何よりだ。
事前情報では、この先にゲートポイントが在る。
オルクス大迷宮の攻略には欠かせない、重要な攻略ポイントになる。
だがその事前情報によるとゲートポイントの前に、
【ガーディアン】と呼ばれる大型の魔物が、居座っているらしい」
要は此処にも中ボスが居るって事だろう。
そのガーディアンとやらは、コボルトロードより強いのか?
「けれど必ず乗り越えられると信じている。
行くぞ!これがトータスの平和と、日本へ帰還する第一歩だ!!」
†
「居たね?ロボットが、ゴーレムだけど」
「ゴーレムは別腹だろう」
天之河の号令で、30階層レイド戦が始った。
合流地点に鎮座する如何にもと言った大扉の先に、それは居た。
30階層のガーディアン。ジャイアント・ゴーレムのギガンテスだ。
ギガンテスは一応人型だが、足が無い。
釣鐘に腕と頭が生えた、浮遊する鎧のゴーレム。それがギガンテスの武威。
「スタートサポート!
【信仰】→【祝福】!!」
如何にも硬く、如何にも重そうな豪腕。
ギガンテスの豪腕を警戒して、開幕からスタートサポートを掛ける。
信仰で得た恩恵を【祝福】の効果で共有する。
全体に恩恵を分け与える【祝福】は、大人数のレイド戦でこそ真価を発揮する。
「これは、良し!
恵理は援護を!永山は続けっ!!」
天之河Pが永山Pを率いて、ギガンテスに突撃した。
中村Pは後詰の援護だ。
バカ正直過ぎる!如何にも堅牢なギガンテスの装甲が見えないのか?
案の定【祝福】の効果が有った上で、ギガンテスに攻撃が届かない。
「硬そうな釣鐘野郎だ。関節を狙う!」
天之河Pと永山Pが正面からギガンテスと交戦する中、
俺達は戦場を迂回して、側面からギガンテスの関節部を狙う。
重装甲系を相手取る時の常套手段だ。
「ちっザコ共がっ!!」
だがそうはさせまいと、ギガンテスは取り巻きを解放する。
ボムゴーレムだ。通称自爆ゴーレム。
見た目はただのストーンゴーレムだが、ダメージが蓄積すると自爆する。
面倒なのがゾロゾロと出て来た。この自爆兵を突破して、仕掛けなければならない。
「ザコだな!オレ達に任せろっ!!」
しかし近藤Pが華麗に踊り出て、ボムゴーレムの取り巻き部隊に喰らい付く。
取り巻きとの戦いの方が、楽勝だと判断して参戦したのはバレバレだった。
だが助かる事には違いない。取り巻きは近藤Pに任せて、ギガンテスに攻撃を続行。
「釣鐘野郎は金属ロボっぽいからな、どうせ弱点は【雷撃】だろ!
【洗礼】!【雷撃付与】っっ!!!」
【洗礼】は自身の武器に、闇を除いた五属性のどれかを任意で付与出来る。
今回は【雷撃付与】だ。祈りの剣に雷撃が宿る。
「喰らえっっ!!!」
何度も何度も、ギガンテスを雷迅剣で斬り捨てる。
だがギガンテスは沈まない。効いていない訳じゃない。しぶといだけだ。
何度雷迅剣で斬られても、ギガンテスは踏み留まる。
「ちっ釣鐘がぁぁっっ!!!」
雷迅剣の連撃を前に、ギガンテスは怯んだ。怯んだように見えた。
だがそれは誤りだった。ギガンテスは後退すると、胸の装甲を開いた。
装甲が開くと、中から無数の槍がその姿を現す。
「メタリア!メタルシールドッッ!!!」
「錬成→【アースウォール】」
悪寒がした。死の影を感じた。
俺を捕らえようとする、死神の鎌を幻視した。
無数の槍が、ミサイルの如く投擲される。認識が追い付く前に退避していた。
後方では清水がメタリアを大盾に変化させて、
南雲が土壁を錬成して、後衛陣を護る姿が視界に映る。
「うわぁぁぁっっっ!!!」
それより外周では、ボムゴーレム達が自爆を始めていた。
近藤Pが連鎖的な爆発を前に、陣形を崩して行く。思ったよりも早い。
「今だっ!天之河っっ!!!」
「行って!光輝っ!!」
永山Pと中村Pが正面からギガンテスを押さえる内に、
天之河Pが、遂にギガンテスの背後を取った。
「うおおぉぉぉっっっ!!!!!!」
ギガンテスの背後から、天之河Pが決死の攻撃を加える。
怯むギガンテス。だが再び胸の装甲を開いて、天之河Pを捉えた。
「やらせるかぁぁっっ!!!」
再び開いた胸の装甲部分に、雷迅剣を叩き込む!
何度も何度も、ギガンテスが沈黙するまで叩き込む。
「どうだ!釣鐘野郎がっっ!!!」
ギガンテスが崩れ墜ちた。
投擲する筈だった槍を真上に撃ち出して、
落下して来た槍に、自ら貫かれて串刺しになった。ギガンテスは沈黙した。
戦いは終った。30階層ゲート解放戦は、勇者Pの勝利で幕を閉じる。
†
補足&解説枠。
30階層のガーディアンとのレイド戦です。
メタル狩り
経験値獲得が高くレベリングに効率的な、
メタルモンスターを重点的に狙って狩る事。
またはメタルモンスターを、効率的に狩る手段の事。
合流地点
ゲームなら、確実にセーブポイントが在る場所。
ボス部屋前の謎の空き部屋。控え室なのかもしれない。
近藤P
お察しの通り、最弱のパーティー。
寄せ集め。自分より弱い魔物としか戦わない。←賢い選択。
祝福
自身に与えられた恩恵(バフ)を、仲間にも施す技能。
任意に与える恩恵を選択可能。
恩恵を与える人数。与える恩恵の項目数で、消耗するMPが激変。多用は厳禁。
ボムゴーレムの自爆攻撃を前に、近藤Pが生き残れたのはこの技能のおかげ。
洗礼
【地】【水】【火】【風】【光】の、
全六属性中、五属性を任意に一つ付与出来る。
しかし六属性中、闇属性だけは付与出来無い。
結果、光属性の相手には優位に立てない。
また作中の雷撃付与の雷属性は、風属性の派生属性となる。
メタルシールド
メタリアが武装化して、大盾に変化した姿。
他にも鎧や兜。武器にも変化出来る。高性能枠。
武装化した際にもメタリアがサポートしてくれるので、
清水が本来装備出来無い重装備でも、取り扱う事が可能。
そろそろノイントが描きたい気分ですが、まだ不在のシーン。
帝国イベントまで出番が無い予定。と言う訳で、園部さんの出番です☆
次回はホルアドの休日。