トレセン学園での奇妙な日常   作:ボンゴレパスタ

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世界にもっと☆マーベラスその2ー迫る影

 

 

 

……………ん?

 

 

 

 

ゆっくりと視界に光を取り込み、意識を呼び覚ました仗助は、壁に手をついてゆっくりと立ち上がるーー重い頭を押さえ、こめかみを強く打ち付ける頭痛に顔をしかめたが、その時に仗助が感じたのは、自身の身体を襲う違和感だった。

 

 

 

 

……オレってこんなに小さかったか?

 

 

 

高校生の時の身長は180センチだったがそれからも仗助は成長を続けており、ジョセフ・ジョースターや空条承太郎といったジョースター家の血統に漏れず、190センチ以上もの体躯を誇る巨躯を有しているはずだったが、今はどう考えてもそこから見ている視界よりも低いように見受けられた。これではどう多く見積もっても160センチくらいしかないのではないだろうか?

 

 

 

 

そういえば気を失った時、キングが一緒にいたはずだ。仗助は自身の愛バの安全を確かめようと横を向くと、あまりの現実と乖離した光景にその目を見開くのだった。

 

 

 

 

―――なんでオレが寝てんだ?

 

 

 

そこに横たわっていたのは、自分自身―――東方仗助が気を失ってその場に倒れているのだった。目の前の光景が、自身が理解できる範疇をとっくに超えて混乱で頭の中で?が浮かんでいると、後ろから声を投げかけるのだった。

 

 

 

「マーベラス☆やっぱり私の能力でよりマーベラスな結果となったね!☆」

 

 

 

 

 

声の方向を見やった仗助だったが、声の主を確認するとため息をつきながら口を開くのだった。

 

 

 

 

「おい、マーベラスよ~一体全体、何がどうなってんだよ~?」

 

 

 

そう口にした仗助だったが、自身から発せられた声がいつもより遥かに高いことに気が付いた。しかも何だか聞き覚えのある声である。再び自身の身に降りかかった奇妙な体験に仗助が顔をしかめていると、マーベラスはますます顔を輝かせると言葉を続けた。

 

 

 

「まだ何が起こったか、わかってないみたいね☆ほら、これを見て!」

 

 

 

マーベラスはどこから取り出したのか自身が持っている鏡を仗助の前に差し出すと、仗助はあまりに現実離れした光景に、驚愕の声をあげるのだった。

 

 

 

「なんだって~~~~~~~!!!!!」

 

 

 

 

鏡の前で叫び声をあげているのは、自身の担当ウマ娘であるはずのキングヘイローだった。

 

 

 

 

「マーベラスサンデーさん!勝手に走って行ってしまうんじゃあありません…ってもう遅かったようですわね…」

 

 

 

廊下の向こうから走ってやってきたマックイーンは、目の前の惨状を目にすると静かにため息をつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…一体全体、何が起こっているの?」

 

 

 

 

 

東方仗助の身体となったキングヘイローは、膨れっ面で居心地が悪そうに机に座るキングの身体となった仗助のことを睨みつけるーーいつものキングであれば、その動作も可愛げのあるものとして映るのだろうが、目の前にいるのはどう頑張って見たとしても成人男性にしか見えない――とどのつまり、乙女言葉を話す成人男性という何とも奇妙な光景に仗助は顔をしかめると、マックイーンは簀巻きにされて身動きが取れなくなったマーベラスサンデーを一瞥すると、二人に声を掛けるのだった。

 

 

「申し訳ありません…本当は学園で見つかった新たなスタンド使い…マーベラスサンデーをあなた達に紹介しようと思ったんですが、貴方達の存在をお伝えしたところ、貴方達にお会いしたいと急に走って行ってしまわれて…どうやら彼女は先走って能力を発動してしまったようですわ…もうご存じかと思いますが、彼女の能力は触れた生物の精神を入れ替えるという厄介なものですわ…」

 

 

 

 

「――こいつの能力はわかったし、こいつが敵じゃあないってことも分かったけどよ~…それで能力は一体いつ解除されるんだよ~~?」

 

 

 

「私の姿でそんな口調で喋るんじゃあないわよ!!それに私の身体でそんなはしたない座り方をすることは許さないわよ!!」

 

 

 

 

キングは般若のような顔で仗助の首根っこを掴み、マックイーンはその間に入って懸命に止めに入ると、簀巻きにされたマーベラスは自身のしでかしたことを既に忘れてしまったかのように目を輝かせながら口を開くのだった。

 

 

 

 

 

「マーべラス!一度能力を使うと、あと2時間はこのままでいるしかないわね☆」

 

 

 

 

「まじかよ」

 

 

 

 

 

結局能力が解除されるまでの2時間、仗助達は教室から一歩も動くことができずに過ごすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――その日の夜、仗助はトレーナー同士の交流会を兼ねて、数人のトレーナーたちとの呑み会にその足を繰り出すのだった。当日キングにはトレーニング用品の買い付けに行くため、少し練習を早めに切り上げると、府中駅から京王線に乗り込み、新宿行きに乗り込んでしばしの電車移動を楽しむーー実を言うと夜中まで外に出歩いたり、呑みすぎたりすると翌日にキングから小言を言われてしまうため、また参加するその他のトレーナーたちもあまり担当ウマ娘たちから呑みに出歩くことは快く思われているわけではないため、できるだけ近場で呑もうということになり、京王線直通都営新宿線、明大前に降り立つーーちょうど大学の講義が終わったのか、大学生たちがすれ違いで改札内に歩みを進めてくるーーー仗助は目の前のロータリーに自身の到着を待つ集団を見つけると、声をあげながら手を振るのだった――駅前の手頃な居酒屋を今夜の根城に定めると、一行はビールを片手にその日の宴を開始するのだった。

 

 

 

「仗助トレーナー、今日もお疲れさまでした」

 

 

 

仗助の正面に座る同僚の桐生院トレーナーで、その横に座るのは先輩の九条拓実だったーー仗助は早々に空になった彼女のグラスにビールを注ぐと、言葉を投げかけるのだった。

 

 

「―――お疲れ、葵のとこのハッピーミーク、この間のレースも勝ってたじゃあね~か」

 

 

「仗助さんの担当は、キングヘイローさんでしたね!クラシック路線から突然路線変更、ビックリしました!」

 

 

「…あれがキングとの一流に向けて、進む道だからよ~…まぁ、楽しみに見ててくれや」

 

 

 

「はい!キングさんの同期は強豪が揃ってますからね!シニア期も楽しみです!」

 

 

「あぁ。東条ハナトレーナー率いるチーム「リギル」に所属するエルコンドルパサー、そしてあそこに座ってるトレーナー、篠原司トレーナーの担当、セイウンスカイ、そして九条さんとこのグラスワンダー…」

 

 

 

 

 

 

「―――お、俺の名前が聞こえたと思ったら面白そうな話してんじゃね~か」

 

 

 

二人の会話に割って入ったのは、ちょうど話題に挙がっていた九条トレーナーだった。九条は顔を赤らめながら二人の会話に加わると、仗助と葵に向けて言葉を投げかけるのだった。

 

 

 

「二人とも、今日もお疲れ様――葵も仗助のとこの担当も最近頑張ってんじゃあね~か?」

 

 

 

「九条先輩のグラスワンダーも今年の有馬、あのスペシャルウィークと対決だって話題になっていたじゃあないですか!」

 

 

 

 

葵は九条の言葉に頬を赤らめながら返すーーそういえば、二人は育成学校時代の先輩・後輩の仲だったな…葵の顔を見れば、彼女が九条のことを少なからず思っていることは明らかなのだが、それを指摘するほどオレは野暮じゃあね~ぜ…と仗助が内心男子高校生よろしくニヤニヤしていると、突然後ろから声がかけられるのだった。

 

 

 

 

「うちのスぺが絶対に勝つだろうが、今年の有馬は熱くなりそうだな」

 

 

 

顎回りに無精ひげを生やし、癖っ毛を後ろで一つにまとめていて、声を掛けてきたのは九条よりもさらに先輩であるスペシャルウィークのトレーナー、沖野トレーナーだった。噂ではウマ娘の足を触っただけでその適正や才能を見抜くらしいが…奇妙な噂は立っているが、スペシャルウィークやサイレンススズカといった一流のウマ娘たちを取りまとめる一流のトレーナーであることに間違いはない。

 

 

 

突如沖野トレーナーに肩を回された九条は苦笑いを顔に浮かべつつ、手に握られたグラスを啜るーー沖野は視界に映った仗助に狙いを定めると、言葉を投げかけるのだった。

 

 

「お前があのキングヘイローのトレーナー、東方仗助だな?」

 

 

「―――そうっす。東方仗助っす」

 

 

「あの記者会見、見たぜ…クラシック路線から突然の短距離への路線変更…メディアはお嬢さまと不良トレーナーのご乱心なんて騒ぎ立ててたな…」

 

 

 

「……確かにそうっすね~…」

 

 

 

 

―――仗助は基本的に自分のことをバ鹿にされたり、けなされたりしても(髪型のことを除いて)無闇に目くじらを立てたり、ムキになったりような器量の狭い男ではないが、自身の担当ウマ娘を面と向かってけなされて、はいそうですかと気軽に受け流せるほど器用な男ではないーー仗助はその場で狂犬のような目つきで沖野のことを睨みつけると、その殺気を感じ取った九条が宥めに入り、葵はおろおろと仗助と沖野を見比べる―ーー仗助は沖野を見据えつつ、徐に口を開くのだった。

 

 

「……これはオレとキングが決めた道っすから…そんなくだらね~ことは一々気にしていられないっすね~…」

 

 

「……」

 

 

 

「それでこそ!トレーナーの鏡ってやつだ、仗助!トレーナーは担当ウマ娘のことを第一に考えてやらね~とな~!!」

 

 

―――突然の沖野の豹変ぶりに仗助たちが目を見開いていると、それに構わず沖野は言葉を続けるのだった。

 

 

「俺もお前と同じ立場だったら、きっと同じ選択をしたよ。お前は担当のキングのこと、第一に考えているんだな~~!」

 

「え、えぇ…まぁ、そうっすけど…」

 

 

調子付いた沖野は仗助の肩に腕を回し、空いたグラスに手に持った酒瓶の中身を継ぎ足していくーー最初の内は顔を引きつらせていた仗助も、沖野の底抜けな明るさとウマ娘のことを第一に考えるその姿勢にあっという間に心を許し、最後にはお互い肩を組みあいながら、酒豪として知られるたづなと共にウマ娘の愛を語るために夜の街へ消えていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと仗助っ!!どうして貴方から酒臭い匂いがするのよ!」

 

 

 

「ギクッ!匂いは今朝のシャワーでちゃんと消したはずなのに…って、ハッ!」

 

 

「貴方!朝まで吞んでいたの!?」

 

 

「すまね~な~!キング!本当は真っすぐ帰るつもりだったんだけどよ~!」

 

 

 

 

翌日朝に寮に帰宅しそのまま朝練に向かった仗助だったが、キングに昨日の行動を容易く看破され大目玉を食うこととなった。プライベートの問題であり、トレーナーとしての職務には影響が出ていない以上は放っておいて欲しいというのが本音のところではあるが、キングが嫌がっていることであるのは間違いないのでこれからは控えようと3日経てば忘れてしまう誓いを心の中で立てる仗助だった。

 

 

 

 

 

 

その日も練習を終えた仗助はキングを先にトレーナー室に戻すと練習道具を片付けてトレーナー室に向かっていくのだった。校舎の中に入り、真っすぐ廊下を歩いていく。すると、目の前から急に殺気を感じるーーー野生の本能で後ろに飛びのいた仗助だったが、すると目の前の地面から刃物がついている腕が飛び出してきたのだった。

 

 

 

 

―――――なっ!!

 

 

 

 

 

地面に腕をついて後方へ一回転し、攻撃を回避した仗助は、すぐさまクレイジー・Dを繰り出して臨戦態勢を繰り出すーーーすると廊下の角から一人の男が姿を現すのだった。白のスーツに赤のシャツという出で立ちのその男は、ティアドロップ型のサングラスにテクノカットという風貌で、仗助の方を見据えるとスーツの襟を正しながら口を開くのだった。

 

 

 

 

「お前が東方仗助、だな?…よく今の攻撃を躱したな」

 

 

 

 

「…てめ~、スタンド使いかよ。オレに何の用だ…」

 

 

 

 

仗助の言葉を受けた男は、不敵な笑みを仗助に向けるとまるで地を這うような声を仗助に投げかけるのだった。

 

 

 

 

 

「オレの名前は一ノ瀬成彦だ…裏稼業で生計を立てている。因みにだがお前とは初対面だ…つまりお前やM県にいるお前のオフクロさんに何か恨みがあるってわけじゃあない……だが」

 

「お前を始末させてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

スノウクリスタル・デイ

 

 

能力者:マーベラスサンデー

 

 

【破壊力 - D/ スピード - B / 射程距離 - A/ 持続力 - A/ 精密動作性 - C / 成長性 - A】

 

 

両手で触れた生物の精神を入れ替えるスタンド。初期段階のシルバーチャリオッツ・Rの縮小版と捉えて良い。入れ替わった人物は自身のスタンド能力を入れ替わった先の肉体でそのまま使うことができる。一度精神が入れ替わってしまうとマーベラス自身も解除することはできず、2時間経過しないと元には戻らない。




何か薄い本にありそうな能力っすねこれ…そういう展開はないのでご了承を
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