トレセン学園での奇妙な日常   作:ボンゴレパスタ

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トレセン学園に巣食う闇2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に迫ってくるスタンドの攻撃を間一髪のところでかわすと、仗助は自身を襲った蚊のような容姿をしたスタンドをまじまじと観察した。

 

 

 

 

 

 

 

 

――姿から見て群体型のスタンドと見て間違いねーようだな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後にスピードワゴン財団の調査によって判明したことだったが、スタンドという者は能力者の精神の写し鏡のようなものらしく、目の前のスタンドのような群体型のスタンドを持つ能力者は、精神に決定的な欠陥を抱えているらしい。そして仗助は少なくとも過去に2度群体型のスタンドとの戦闘経験があった。1度目は、億康の兄貴である虹村形兆のスタンド「バッド・カンパニー」との戦い。そして2度目は友人だった重ちーのスタンド「ハーヴェスト」との戦いである。そしてその2度にもわたるスタンドとの戦いで、仗助は既に一つの結論に達したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――このスタンドの本体をぶっ倒すしかね~よ~だな…

 

 

 

 

 

 

 

このスタンドも例に漏れないが、群体型のスタンドは1、2体倒したところでは本体にダメージは殆ど及ばない。その攻撃をしている間に、スタンドに攻撃される恐れが大きい以上、無闇に攻撃を加えるのは得策ではないのは火を見るよりも明らかであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仗助に攻撃を躱されたスタンドは徐々にスピードを緩めると、闘牛士に突っ込む闘牛のように再び仗助に向かってくるのだった。

 

 

 

 

 

 

――――なっ

 

 

 

 

 

 

 

 

今の動きを観察して分かったことだったが、機械的ではなかったーーつまりこのスタンドは自動操縦型のスタンドではない。どこからか仗助の姿を見ているか、何かで仗助達の動きにある程度検討を付けているということになる。しかし、辺りを見回してもこちらの様子を見ている様子はなく、消灯時間が過ぎている以上明かりを使えば目立つはずだが、今周りにある光は仗助とキングの二つだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び仗助が攻撃を躱すと、キングに向かって怒鳴り声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「逃げろ!!」

 

 

 

 

 

 

その声に弾かれたように走り出したキングだったが、すぐに向きを変えようとしたキングに急にスタンドが狙いを定めると向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――キング!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キングへの攻撃を庇うように仗助がキングの身体を押すと、スタンドの口元にある管が仗助の腕に突き刺さるーーすると仗助の腕に急に数十キロの鉛をつけたかのようなだるさが襲ってくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「俺のスタンドに刺されちまうと、成人式ではしゃぎすぎて、酒かっ食らったやつみて~によ~、力が入らなくなるんだぜ~~?俺のスタンド全体が刺しちまえば、意識もぶっ飛んじまうし、放っておけば死んじまうだろうな~~まぁ、あとでそいつで楽しめれば、どうなろうと知ったこっちゃね~からな~~~~~!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――いちいち癇に障るヤローだな

 

 

 

 

 

 

 

仗助が苦痛と苛立ちで顔を歪めながらキングと共に逃げようとすると、バランスを崩して倒れかかってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「仗助!!」

 

 

 

 

 

 

倒れかかった仗助をキングが支えると、少し離れた教室にかけこむのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に入り込むと、仗助達は入り口を急いでふさぎ、倒れこむように教室の中央で息を整えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――どうやらここは、調理室のようだな…

 

 

 

 

 

 

 

 

負傷した腕の様子を見ると、左腕がまるで鬱血したように腫れていた。

キングは仗助の腕を見ると小さく悲鳴をあげたが、気を持ち直すと仗助に質問を投げかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきの出来事は一体何なの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――不本意ではあったが彼女を危険に巻き込んでしまった。キングには、事件のことやスタンドのことを知る権利があるだろう…しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「事が丸く収まったら、全部話すからよ~…今はちょいと手伝ってほしいことがあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「手伝ってほしい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――何となくだが、犯人がどうやって攻撃に徹しているのか分かったからよ~…やつを倒す為にも頼むぜ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 仗助はゆっくりと身体を起こすと、男を出し抜くために行動を開始したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その男は調理室から少し離れた位置で、既に用心深くスタンドを展開させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――俺のスタンドには、扉をブチ破るパワーはない

 

 

 

 

 

 

 

自身のスタンドのパワーの程度を心得ていた男は、仗助たちの位置を見抜いており、既に通気口から教室内に慎重に侵入していた。そしてその詳しい位置を確認すると、教室内には二つの目印があったーー間違いなく先ほど逃げ込んだ二人から発せられているものだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――やれ!!スメルス・ライク・ティーン・スピリッツ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

自身の指示で、気づかれないようにスタンドは一気に飛び出すと、一直線にその場所に向かっていく。そして、攻撃が当たったという確かな手ごたえを男は感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――今ので、二回分の攻撃が当たった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――仗助たちに動きが確認できないことからも、確実にわがスタンド「スメルス・ライク・ティーン・スピリッツ」は奴らを始末したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――あとは女と楽しむだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

卑小な笑みを浮かべながらその男は調理室のドアを開き、そこから顔をのぞかせるとそこには力なく二人の人物が倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

「オイオイ!!上玉じゃあね~~かよ~~!!これは滾るってもんだよなぁ~~!!」

 

 

 

 

 

 

 

男は盛りの付いた犬のように自制も効かず、倒れているキングに走って向かっていくーーしかし男の手がキングに届く直前、男の顔面に強い衝撃が走り、男はその顔面をクレーターのように陥没させながら後方に吹っ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な~~~~~~なへ、ヒンヒンひているんだぁ~~!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男の眼前には、自身のスタンドで仕留めたはずの東方仗助が何事もなかったように立ち上がっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仗助は眼前の敵を冷静に見下ろしながら、後方にいるキングに向かって優しく声をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ありがとな、キング…もう大丈夫だからよ~~寝たふりしなくても大丈夫だぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉を聞き、後ろで倒れていたキングはパチッと目を開け、まるで母親について回る人見知りの子供のように、仗助の後ろに隠れるーーその様子を信じられないものを見たかのように目を見開きながら、男はクレイジー・Dの打撃を受けて雑にくりぬいたハロウィンのカボチャのようになってしまった口をパクパクさせながら必死に仗助に言葉を投げかけようとした。

 

 

 

 

 

 

 

「にゃ、にゃ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――なんで攻撃を受けたのに倒れてね~のかって?さっきおめ~が嬉々として攻撃したのは俺らじゃあなく、あれだったからだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

仗助が親指で指さした後方にあったのは、ガスコンロとスタンドの攻撃によって変色した肉だった。仗助の術中にはまった屈辱で顔を染め上げている男とは裏腹に、仗助は冷静な面持ちで言葉を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――おめーの服装を見て、謎が解けたよ。不法侵入しているからバレないように深夜に現れてんのかと思ってたが、俺のトレーナーバッジを瞬時に見抜いたり、昨日攻撃されたあとに誰にも怪しまれずに校舎から出られたりしたのが不思議でしょうがなかったからなぁ~~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――おめー、警備員だったのか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――トレセン学園を危険に陥れた犯人。その正体は、本来生徒たちの安全を守らなければならない立場であるはずの警備員だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――おめ~の敗因はいくつかあるが、まずは刺したやつが何なのかも分からないし、その標的を嗅ぎ分けるのに二酸化炭素の排出がミソだってことが俺にバレちまったことだよなぁ~~。走り出そうと息が激しくなったーーつまり二酸化炭素の排出量が多くなったキングに狙いを変えて襲いかかったのが何よりの証拠だし、なによりスタンドの姿のモチーフだろう虫の蚊は、二酸化炭素の排出から血を吸う動物に行き着いているみて~だしよ~……幸いここは調理室、コンロに火を焚いて肉をぶら下げとく準備はできた。―――おめ~がそれに引っかかって俺たちと肉を識別することもできね~なんてよぉ、それにきた時に俺にまだ意識があるのか確認もしなかったこともいただけね~よな~~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そしてなにより。おめ~はその下衆な魂胆から、獲物を仕留めたあとに必ず現場に現れる…倒れたやつに言いたくもねぇ~ようなことをするためになぁ~~~~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ス、スメルズ・ライク…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

顔面をまるで木槌で打ち据えたように陥没させながらも仗助に攻撃を加えようと試みるが、その男がスタンドを出現させるよりも早く仗助が再びクレイジー・Dを発現させると、特徴的な掛け声と共に男にラッシュを喰らわせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドララララララララララララララララララァ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クレイジー・Dの攻撃をまともに受けた男の身体は、窓を突き破って遥か後方に吹っ飛んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その趣味に似合った顔面に変えてやっからよ~~無駄なことはすんなよな~」

 

 

 

 

 

 

 

 

仗助は乱れた髪型を慎重に手のひらであてがうと、男が吹っ飛んでいった方向へ足を進めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スメルス・ライク・ティーン・スピリッツ(モチーフ;ニルヴァーナの楽曲)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

能力者:及川敏(警備員)

破壊力:Dスピード:B射程距離:A 持続力:A精密動作性:D成長性:B

 

 

 

 

 

 

 

 

蚊の姿をした群体型スタンド。五月蠅のように集団で行動し、獲物に襲い掛かる。遠距離で攻撃する際は、対象の二酸化炭素の排出によって位置を見分け攻撃する。攻撃の際はスタンド一匹一匹が対象に毒を注入することで、対象を昏倒、量を調整することで毒殺も可能。

 

 

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