アグネスタキオンとおかしくなったトレーナー【完結】   作:砂糖ノ塊

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問:疲労は解消されるか?

さあ最終コーナーを回って最後の直線!

 

3番アグネスタキオン!ここで上がってきました!!

 

「──ッ!」

 

アグネスタキオン!先頭はアグネスタキオンだ!!後続を突き放しぐんぐん進んでいく!!

 

「(ここからもう一回スピードを……ッ!)」

 

後続はもう見えません!これはセーフティーリードか!?

 

一着はアグネスタキオン!圧倒的な強さを見せ、今一着に輝きました!!

 

「ふぅ…………」

 

 検証完了、か……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おツカれさマ、タキオン」

 

 レースを一着で終えた後、控室でトレーナー君がタオルを差し出しながら労いの言葉をかけてきた。

 

「あぁ、ありがとう」

「どうダイ?今日のレースの感ショくハ?」

「まずまず、といったところだね。改善すべき点は多いさ」

「よく言うヨ、大差勝チシたウマ娘のコメんとトハ思えナいネ」

「おやおや、君が私に皮肉を言うなんて珍しいじゃないか」

「別ニ、皮肉を言っタつもりハ……」

 

 申し訳無さそうにうつむく彼は、やはり以前の彼とどこか違う雰囲気を醸し出していて、どこか調子を狂わされる。

 

「……それにしても、ここのところレース続きだったから少し疲れたよ」

 

 結果、沈黙に耐えきれなくなった私が無理に話題を変えることになる。

 

「……そウ言うト思ッテ、ハイこレ」

 

 トレーナー君がカバンから取り出したのは、なんとも甘い香りのする私の好物の甘味……もといカップケーキという代物だった。

 

「気が利くじゃないかトレーナー君!……おや?今日のはいつものとは少々違うように見えるが?」

「うン、最近頑張っテクれてるカラネ。今日はトク別にスイートカップケーキを買ってきタ!」

 

 私のこの頭脳を100%フル回転させるために糖分は必須なのは言うまでもない。

 

 が、しかし甘味というのはどれだけ時間が経っても心躍るものだ。

 

 私は内心掛かり気味なのを悟られないように冷静さを取り繕った。

 

「流石……と言いたいところだが、完璧には一手足りなかったようだね。ここに紅茶があれば、言うことなしの100点満点だったのに、実に惜しかったよトレーナー君!」

 

 つい早口でまくし立ててしまったけれど……どうだろう、不審がられてないだろうか?

 

「そう言ウト思っテ……」

「今日はやけに準備がいいじゃないか」

「はイ、どうゾ」

「…………トレーナー君、なんだいそれは?」

 

 私の目の前に、"禍々しい"と形容するのがこれ以上なく自然な緑色の液体が差し出された。

 

「ナニって……ロイヤルビタージュース」

「で、君はなぜこれを今取り出した?今のは完全に紅茶が出てくる流れだっただろう?」

「ケーキをタべる前ニ、タキオンにはコれを飲んでモらいマス」

嫌だぁあああ!!

 

 ちゃぶ台返しよろしく、私は青汁とカップケーキが乗っているテーブルを思いっきりひっくり返した。

 

 今思えばカップケーキごとぶん投げたのは悪手極まりなかったと反省している。

 

「おっトット……」

 

 彼は宙に舞ったカップケーキを見事キャッチし、華麗にテーブルを足で持ち上げ、別にしなくていいのに青汁も一滴もこぼさず掴んだ……

 

「危ナイナじゃナイかタキオン」

「大道芸人か君はッ!!」

「きミのトレーナーだヨ」

「知ってるよそんなことは!!」

「だったラ……」

「でもそれとこれとは話が別だ!論理的思考とは程遠いぞ!!」

「こレを飲めバ体力がゼン回復……」

「そんないかがわしいもの、飲むわけがないだろう!?」

「タキオンの薬ノほうがよッポどいかがわシイよ……」

「一緒にしないでくれるかな!?」

 

 私は自分のことを棚に上げた。

 

「ダダっ娘タキオン……」

「……じゃあバイタルだ!あれなら飲もうじゃないか!」

 

 バイタル、味は人間用の栄養ドリンクとほぼ一緒だが……まぁあれなら飲めないことはない。

 

「モうないヨ」

「なんだと!?買い溜めしておいた分はどこにいったんだ!!」

「前も、その前も、タキオンがソウやってダダをコネるカラ、使い切っチャッたヨ」

「なら今すぐ買ってきたまえ!」

「メガホンとアンクルと……アトこれしか売ってなカッタ」

 

 そう言ってトレーナー君はカバンから……何でも出てくるなあのカバン。四○元ポケットか何かか?

 

「……帽子?」

「コレをこうシテ……」

 

 アメリカの大学の卒業式で学生が身につけるような帽子を、私の頭の上にかぶせてきた。

 

「ヨっ!タキオンはかセ!」

「君は私をバ鹿にしているのかい!?」

 

 〚アグネスタキオンは「切れ者」になった〛

 

「チぇ、駄目カ……」

「これで私の機嫌が良くなると思っているのなら、君は救いようのないバ鹿だよ」

 

 結構強めの口調で言ったが……どうだろう、全然伝わってる気がしない。

 

「じゃあドウすればイイ?」

「諦めるんだな!私は何があっても絶対その液体は飲まない!!」

「…………」

「……そんな目で見ても駄目だ」

「どうシてモ……?」

 

 彼の問いに私は腕を組んで『断固として拒否』のポーズで返した。

 

「ナラ……仕方ないナァ…………」

「っ…………?」

 

 私の予想に反してすっぱり諦めたのか、その後もトレーナー君は私に何もしなかった──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ということがあったんだよ」

「はぁ……そうですか……」

「まったく……今の彼にはいつも調子を狂わされる……」

「大変ですね…………」

「疲れたから私は仮眠を取ることにするよ。起こしてくれるな」

「わかりました……おやすみなさい……」

 

 本当に疲れていたんだろう。机に突っ伏したタキオンさんからは数分もしないうちに寝息が聞こえてきた。

 

「………………それじゃあ私はこれで」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()に一言挨拶をして、私は部屋を出ていった。

 

「本当、大変ですね……」

 

 

 

 

 

〚ロイヤルビタージュースを使用〛

 

〚体力が100回復した

 

〚やる気が下がった

 

 

 

〚やる気が2上がった




今回は少し短めでした。

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